
株式投資を始めたいと思いつつ、何から勉強すればよいのかわからず、途方に暮れている方もいるでしょう。まずは株式投資の流れなどの基本の内容を身に付け、実践しながら知識を習得していきましょう。今回は、初心者におすすめの株式投資の勉強法や注意点などを解説します。
目次
株式投資の勉強は意味がない?
結論からいうと、株式投資で利益を上げるなら勉強は必要です。株式投資に限らず、投資を始める上で基礎知識を身につけるための勉強は避けては通れません。
「株式投資の勉強は意味がない」と言われるのは、どんなに勉強しても、100%株式投資で勝てるわけではないためでしょう。
また、たまに「完璧に知識を身に付けてからでないと株式投資を始められない」と、いつまでも勉強を続ける初心者の方がいます。しかし、勉強だけで実際の株式投資に勝てるような知識が身に付くことは、ほぼありません。勉強と並行して株式投資を始め、経験値を上げながら学びを深めていくことをおすすめします。
【ステップ1】株式投資とは
「株式投資」とは、譲渡益や配当金などの利益を得ることを目的に、株式会社の発行する「株式」を売買することです。
譲渡益とは、保有していた株式を売却した際に発生した利益のことで、配当金とは、「株主」と呼ばれる株式を購入した投資家に分配される現金配当のことを意味する言葉です。株主は持ち株数に応じて利益の還元を受ける権利を持っており、企業の利益の状況で配当金の有無や増減が決まります。ただし、利益が出ていても配当金を支払わない企業や、利益がなくても配当金を支払う企業があります。
株式とは、株式会社が投資家から資金を集めた際、引き換えに発行する証書のことです。株式会社が新たな事業を始めるには、多額の資金が必要です。そこで投資家から資金を集め、お金を出してくれた株主に渡す証明書として、株式が発行されます。
株式投資を始める際は、まず次の項目について勉強しましょう。
- 株式投資の流れ
- 株価とは
- リスクとリターンの関係性
- 株式投資にかかる税金
それぞれ解説していきます。
株式投資の流れ
株式投資は基本的に、以下の流れで行います。
- 証券会社を選ぶ
- 証券口座を開設する
- 株式の銘柄を選ぶ
- 株式を購入する
- 株式を売却する
はじめに、証券口座を開設する証券会社を選びましょう。証券会社によって手数料や情報提供のサービス、取り扱う金融商品などが異なります。そのためよく比較検討を行い、自分が使いやすいと感じた会社で証券口座を開設してください。
証券会社にもよりますが、口座開設の方法には郵便申し込みやインターネット申し込み、店舗での申し込みがあります。すぐに株式投資を始めたい方は、申し込みから取り引きができるまでの期間が短い、インターネット申し込みを選択しましょう。
株式の銘柄は、はじめは身近で馴染みのある企業や、ニュースなどで興味を持った企業の株を選ぶのが無難です。購入する銘柄を決めたら、個別銘柄のチャート分析などを行い、購入のタイミングを探ります。そして、利益が出たタイミングで売却しましょう。
株価とは
「株価」とは、株式会社が発行する株式1株あたりの価格のことです。株価が数百円の企業もあれば、数万円の企業もあります。株価は、需要と供給のバランスで決まります。株式会社が発行する株式には限りがあるため、株式を買いたい人が多ければ株価が上がり、売りたい人が多ければ下がることをおさえておきましょう。
ただし、マネーゲームのみで決まるわけでははなく、企業の成長性や安定性、財務内容なども株価に反映されます。また、株価は社会情勢の変化や自然災害の発生、金利や景気の変動などによっても変動します。
リスクとリターンの関係性
投資においては、リターンが大きくなるほどリスクも大きくなるのが一般的です。投資におけるリターンとは「得られる収益」のことです。一方、リスクは「危険なこと」や「避けるべきこと」といった通常の意味とはやや異なり、「リターンが不確実である」ことを指します。
つまり「リスクが大きい」という表現は、「収益を多く得られるかもしれないし、大きく損失が出るかもしれない」という意味で使われます。
投資では、リスクを抑えようとするとリターンは低下し、高いリターンを得ようとするとリスクが高まることをおさえておきましょう。
株式投資にかかる税金
株式投資で得た配当金と譲渡益には、基本的にそれぞれに所得税15%と住民税5%、合わせて20%の税金がかかります。
そのため、株式投資で年間20万円以上の利益が出た場合には、確定申告をしなければなりません。ただし、証券口座を開設する際に「特定口座(源泉徴収あり)」を選択すれば、証券会社が利益にかかる税金を源泉徴収し税務署に納めるため、確定申告は不要です。
また、そもそも少額の投資に税金がかからないNISA(ニーサ)という制度もあります。NISAとは「少額投資非課税制度」のことで、国の税制優遇制度の1つです。
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【ステップ2】2つの銘柄分析方法
株式投資の概要が理解できたら、銘柄の分析法についても勉強する必要があるでしょう。銘柄分析法は、以下の2つに大別されます。
1.ファンダメンタルズ分析
2.テクニカル分析
それぞれの分析法について解説していきます。
1.ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析とは、簡単にいうと企業の業績や財務状況、世界的な経済動向などを分析して、株価の動向を予想する方法です。企業価値に対して株価が割安であったり、事業成長が見込まれる企業は、将来的に企業価値に見合う価格まで株価が上昇するというのが、ファンダメンタルズ分析の基本的な考え方です。
情報量が多く難解な部分もあるため、勉強してもすぐにすべてを習得するのは難しいかもしれません。しかし、ファンダメンタルズ分析の手法を使えるようになると、より精度の高い予測をすることが可能になるでしょう。
2.テクニカル分析
テクニカル分析は、株価チャートからトレンドやパターンなどを読み取り、今後の株価の動きや為替動向などを予想する手法です。過去に同じような投資行動がみられれば、将来も同じようなパターンになると予測するのが、テクニカル分析の基本です。
経済に関する知識は特に必要とされず、チャートのみに注力すればよい点や、分析力を上げればよい精度の高い予測ができる点がテクニカル分析のメリットです。しかし、相場は必ずしも過去のパターンと合致しないことや、突発的な出来事には対応できないことに注意する必要があります。
株式投資の勉強におすすめのツール5選
株式投資の勉強におすすめのツールは、次の5つです。
1.書籍・雑誌
2.会社四季報
3.経済新聞
4.証券会社のインターネット記事のコラム
5.投資シミュレーションアプリ
各ツールの特徴を確認していきましょう。
1.書籍・雑誌
株式投資について勉強する方法として書籍や雑誌を読むのは、オーソドックスではあるものの確実に知識が身に付くためおすすめです。投資家に求められる知識が体系的にわかりやすくまとめられているものが多く、結果的にインターネットで検索するよりも効率的に学べることが多いでしょう。
また出版社の基準をクリアした内容を記載されているため、基本的に誤情報は書かれていないことも、書籍や雑誌で株式投資の勉強をするメリットといえます。
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2.会社四季報
会社四季報は、国内の上場企業の基本情報や業績がわかりやすくまとめられている季刊雑誌です。各年度の業績の確認もできるため、企業の成長力を分析するのに役立ちます。ファンダメンタルズ分析を行うために、欠かせないツールといえるでしょう。
「会社四季報ONLINE」もあるため、インターネット上で見ることも可能です。
3.経済新聞
日本経済新聞をはじめとする経済新聞も、株式投資の勉強に適したツールの1つです。経済新聞には上場企業の業績や決算内容、為替相場といった経済に関する情報が数多く掲載されています。
経済新聞に目を通せば、上場企業のニュースや市場の動向も理解できるでしょう。アプリ版も用意されているため、すきま時間にも知識を得られます。
4.証券会社のインターネット記事のコラム
ネット証券などが提供する初心者向けコラムは、投資に関する基本情報をわかりやすく解説しているため、初心者が株式投資の勉強をするのに適しています。投資や資産運用に関する有資格者が書いていることが多く、証券会社も内容を確認をしているため、正確な情報を収集しやすいといえるでしょう。
そのほか、個人投資家のSNSへの投稿などから投資に関する知識を得る方もいます。リアルタイムでの投資判断や銘柄選定などを知ることが可能であるため、参考にしている方も少なくありません。しかし、個人の主観が強く反映されることや、再現性が低い情報も含まれているといった点に注意しましょう。
5.投資シミュレーションアプリ
アプリでも、基本的な株式投資に関する知識や、質問に答えるだけで自分に合ったポートフォリオの組み合わせ方などを知ることが可能です。そのため、アプリを株式投資の勉強に活用するのもおすすめです。
特に投資シミュレーションに対応したアプリは、実際にお金を投資することなく投資の疑似体験ができるため、投資の雰囲気を体験するのに効果的といえます。書籍などである程度の基礎知識を蓄えたものの、いきなり投資に挑戦するのは不安という方に向いています。
例)
金融庁のつみたてシミュレーションは簡単に将来いくらになるか?毎月いくらつみたてて、何年つみたてるのかなどがシミュレーションできます。
株式投資の勉強における3つの注意点
株式投資の初心者が勉強をする際は、次の3点に注意するとよいでしょう。
1.インターネット情報を鵜呑みにしない
2.ある程度勉強したら実践する
3.メンタルコントロールの知識も身に付ける
注意点について、順番に解説していきます。
1.インターネット情報を鵜呑みにしない
株式投資に関するインターネット情報は、鵜呑みにしないようにしましょう。インターネット記事のコラムや個人投資家のSNSへの投稿内容なども、上手に活用すれば株式投資の勉強に有効なツールとなるでしょう。しかし、インターネットの情報は誰でも簡単に情報を検索できるのが利点である一方、誤った内容の可能性もあります。
前述のとおり、たとえば投資家のSNSへの投稿内容は、リアルな情報として有益である反面、個人の主観であることも少なくありません。また、ネットに書いてある投資方法が、自分にも向いているかどうかはわかりません。情報を提供した人にとっては効果的な手法であっても、別の人は成果を出せないこともあります。
特にインターネットで得た情報については鵜呑みにすることを避け、書籍で確認したり自分で判断したりすることが重要です。
2.ある程度勉強したら実践する
株式投資の勉強をある程度まで行ったら、実際の株式投資に挑戦していくことも大切です。時々、完璧に知識を身に付けるまで投資を始めない人や、シミュレーションアプリでバーチャル投資を続ける人がいます。しかし、実践することではじめて生きたテクニックが身に付きます。
ただし、初心者が株取引を始めてすぐは、損失を出す可能性が高いと考えられます。多額の資金で始めることは避けることが賢明です。株式投資の勉強で習得した知識が正しいかどうかを実際の株取引で確認し、思い通りの結果を得られない場合は修正して再度挑戦しましょう。株式投資の勉強と実践を並行して行うことで、株取引の経験値とスキルが高まっていきます。
3.メンタルコントロールの知識も身に付ける
株式投資の勉強によって株に関する知識を習得することが重要なのはもちろんですが、株取引で成果を出し続けるには、メンタルコントロールの知識も大切です。
株取引では、想定外の出来事が起きることは珍しいことではありません。精度の高い銘柄分析を行なえたり、相場の動きを正確に予想できたりしても、想定していなかった事態に直面しメンタルが崩れてしまうと、誤った判断をしてしまうでしょう。大きな失敗を避けるためにも、メンタルコントロールに関する知識も身に付けておくことをおすすめします。
まとめ
株式投資は、勉強をして基礎知識を身に付けたうえで始めましょう。はじめは、株式投資の流れやリスクとリターンの関係性、銘柄の分析方法などを学ぶことをおすすめします。
個人投資家のSNSへの投稿をはじめとしたインターネットの情報は、上手に活用すれば株式投資の知識を得るのに有効ですが、鵜呑みにしないよう注意が必要です。また、完璧に知識を身に付けるまで勉強を続けるのではなく、ある程度のタイミングで実際の株式投資に挑戦し、資産形成につなげましょう。