新NISAのスタート、日経平均4万円を突破、マイナス金利解除など、長い間停滞していた日本の金融市場が騒がしくなる中、投資信託の購入を考える人も多いのではないでしょうか。
現在、国内の投資信託はETFやREITを含め6,000本程あります。
投資信託の種類や運用方針、運用コストなどの基本的なことを知っておけば、自分に適切な商品を選ぶことができるでしょう。
本記事では、iFree新興国株式インデックスの特徴と、NISAで得られる非課税効果についてシミュレーションしていきます。
目次
iFree新興国株式インデックスとは
iFree新興国株式インデックスの特徴
iFree新興国株式インデックスは、大和アセットメントマネジメントが運用するインデックスファンドです。
インデックスファンドとは、特定の指数に連動した運用成果を目指すファンドです。
iFree新興国株式インデックスは、新興国を投資対象地域とし、「FTSE RAFIエマージングインデックス」をベンチマーク(指標)としています。
FTSE RAFIエマージングインデックスの構成国は、ブラジル、チリ、中国、インド、インドネシア、マレーシア、メキシコ、サウジアラビア、南アフリカ、台湾、タイ、トルコです。(2023年7月末時点)
また、FTSE RAFIエマージングインデックスは、FTSE社の各種基準をクリアした上場株式の中から、株式資本、キャッシュフロー、売上、配当の4つのファンダメンタル指標に着目して、独自のインデックス構成手法によって、銘柄の選定及びウェイト付けを行っています。
今後、新興国の成長に期待をしている人の選択肢になり得る投資信託でしょう。
iFree新興国株式インデックスの基本情報
【基本情報】
(基準日2024.3.19)
運用(委託)会社 | 大和アセットマネジメント |
設定日 | 2016.09.08 |
償還日 | 無期限 |
純資産額 | 151.31億円 |
基準価額 | 20,271円 |
決算日 | 毎年7月5日 |
商品分類 | インデックス型 |
投資対象地域 | 海外 |
投資対象資産 | 株式 |
為替ヘッジ | なし |
購入時手数料 | 無料 |
信託報酬(運用管理費用) | 年率0.374%(税込み) |
信託財産留保額 | 無料 |
NISA成長投資枠/つみたて投資枠 | 購入可能 |
iFree新興国株式インデックスの主な投資先
中国、台湾、ブラジルへの投資で全体の約60%を占めています。その他、急成長中のインドへの投資比率も高くなっています。これら新興国の成長次第では、大きな収益が見込める投資信託と言えそうです。
(グラフ:iFree新興国株式運用実績を参考に弊社で作成)
業種別では、金融、情報技術、エネルギー分野への投資が全体の50%を超えています。
iFree新興国株式インデックスの騰落率
iFree新興国株式インデックスの騰落率を対象ベンチマークと比較しました。騰落率は、任意の期間の最初と最後の価格の変化率を示した数字です。
たとえば、5年間の騰落率であれば、5年前と現在の基準価額の変化になります。
下表の場合、5年間の騰落率は+48.8%。基準価額は5年前の約1.5倍となっていることがわかります。しかし、残念ながら各期間のパフォーマンスは、それぞれのベンチマークを僅かずつ下回っています。
(2024.2.29現在)
期間 | iFree新興国株式インデックス | ベンチマーク (FTSE RAFIエマージングインデックス) |
6ヶ月 | +9.2% | +10.3% |
1年間 | +23.1% | +25.4% |
3年間 | +37.2% | +41.5% |
5年間 | +48.8% | +55.8% |
設定来 | +103.1% | +116.4% |
投資信託を選ぶ際には、騰落率は参考資料のひとつになりますが、そこからでは見えない期間中の値動きも確認してみることが大切になります。
投資信託の基準価額は、上昇したり下落したりをくり返し、日々変動しています。
騰落率は、あくまで任意の期間の最初と最後の価格の変化率の比較であって、期間中の価格変動の推移を見ることはできません。過去の実績は将来を保証するものではありませんが、保有資産の価格の下降局面に慌てることのないよう、過去の推移を辿っておくことも必要でしょう。
iFree新興国株式インデックスのリターン
iFree新興国株式インデックスの運用期間別の利回りは下記の通りです。直近1年内は、特に高いパフォーマンスを示しているようです。
(2024.3.15更新)
6ヶ月 | 1年 | 3年 | 5年 | |
リターン(年率) | 17.43 | 27.9 3 | 10.24 | 8.34 |
iFree新興国株式インデックスの投資先である新興国の株取引は、先進国の証券市場のような市場規模や取引量がないため、流動性が低いことが特徴のひとつです。そのため、政治情勢や投資先企業の業績などに株価が左右されやすい傾向があります。
つまり、先進国株式や全米株式の投資信託より、リターンのブレが大きくなる可能性があると捉えることができるでしょう。
NISAで運用成果をシミュレーションしてみよう
iFree新興国株式インデックスはNISAで購入可能
現在、一般投資家が売買できる国内投資信託は約6,000本あります。その中でNISAで売買できる商品は、低コスト・長期・分散投資に向いていると金融庁の認められた一部の投資信託に限られています。
iFree新興国株式インデックスはNISAで購入可能な商品ですので、長期資産形成のための条件をクリアした投資信託です。
NISAの「つみたて投資枠」「成長投資枠」とは
新NISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの投資枠が設けられています。
つみたて投資枠は、旧「つみたてNISA」の後継と位置づけされており、投資信託や上場投資信託(ETF)への積立投資をするために利用する枠です。
年間120万円までの積立投資が可能で、投資額ベースで1,800万円が上限です。つみたて投資枠で売買できる投資信託とETFは約280本です。
購入時手数料は無料、保有中のコストである信託報酬も低めの設定となっています。
また、基本、分配金は再投資されて運用を継続しますので、つみたて投資枠での投資は、複利効果の期待が大きくなります。
一方、成長投資枠は、旧「一般NISA」の後継ですので、個別株の売買や不動産投資(REIT)などの売買も可能です。成長投資枠で投資信託を「一括購入」することもできます。
成長投資枠で売買できる投資信託には、信託報酬などコストの制限がありません。売買手数料がかかる場合や、信託報酬が比較的高めの設定となっている商品もあります。
対象となる投資信託数は、ETFを含めて約2,200本ありますので、商品選択の幅は広くなります。
成長投資枠では年間240万円まで非課税投資が可能で、成長投資枠対象の商品のみでは、1,200万円が上限です。
NISA2つの投資枠で購入できる投資信託の要件まとめ
「つみたて投資枠」「成長投資枠」で売買できる投資信託の要件をまとめておきましょう。
(2024年3月15日時点)
国内投資信託約6,000本 | |
↓ | ↓ |
つみたて投資枠向け | 成長投資枠向け |
投資信託 274本 ETF 7本 | 投資信託 1,884本ETF、 REITなど 303本 |
長期積立、分散投資に向いている商品に限定 ・購入手数料は無料 ・信託報酬が低水準 ・基本、分配金は再投資 など | 投機性が高い、分配頻度が多い商品は除く ・信託期間は20年以上または無期限 ・分配頻度が毎月でない ・デリバティブ(金融派生商品)に制限あり など |
NISAの非課税効果をシミュレーション
通常の投資では、運用から生じた利益に約20%が課税されますが、NISAでは、非課税投資の限度額までから生じた利益に税金はかかりません。
たとえば、iFree新興国株式インデックスの5年平均利回りの8%を想定して、以下のケースで非課税効果をシミュレーションしてみましょう。(分配金再投資、複利運用)
【何年間積み立てる?】
毎月5万円ずつ投資したとして8%で運用できたとすると、2,000万円に達するまでの期間はNISA口座のほうが約2年早くなる計算です。課税口座では、税引き後の分配金が再投資されますが、NISA口座では、分配金がそのまま再投資されるため運用効率が上がるからです。
課税口座 | NISA口座 | |
目標金額 | 2,000万円 | |
毎月積立額 | 5万円 | |
利回り | 8% | |
必要積立期間 | 18年1ヶ月 | 16年4か月 |
【10年後いくらになる?】
課税口座では利益が課税対象になり税金が徴収されるのに対し、NISA口座は非課税であるため、運用益全額が残ります。そのため、同じ金額を同じ期間積み立てた場合、手取りの差は約60万円になります。
課税口座 | NISA口座 | |
積立期間 | 10年 | |
毎月積立額 | 5万円 | |
利回り | 8% | |
運用成果(手取り) | 852万円 | 915万円 |
【毎月いくら積み立てる】
1,000万円を15年で準備しようとすると、課税口座では毎月3.3万円の積立が必要であるのに対し、NISA口座では2.9万円の積立により達成できます。
積立投資は、積立期間が長いほど雪だるま式に複利効果を享受できるため、早く投資を始めるほど少ない積立額で目標金額を達成できる可能性が高くなります。
課税口座 | NISA口座 | |
目標金額 | 1,000万円 | |
積立期間 | 15年 | |
利回り | 8% | |
必要積立額 | 3.3万円 | 2.9万円 |
他のiFreeシリーズ
大和アセットマネジメントのiFreeシリーズには他にも様々な商品があります。
S&P500インデックス
米国を代表する株価指数であるS&P500の動きに連動を目指すファンドです。
iFree 日経225インデックス
日経平均トータルリターン・インデックスの動きに連動を目指すファンドです。
iFree JPX日経400インデックス
投資指数「JPX日経インデックス400(配当込み)」の動きに連動を目指すファンドです。
iFreeNEXT NASDAQ100インデックス
米国の大手IT系企業が多く含まれるNASDAQ100の動きに連動を目指すファンドです。
iFree 8資産バランス
iFree8資産バランスは、国内債券、先進国債券、新興国債券、海外リート、国内リート、新興国株式、先進国株式、国内株式の8つの資産クラスに均等に分散投資をしています。
iFree TOPIXインデックス
TOPIXは、プライム市場の全銘柄から構成される日本の代表的な株価指数の1つです。そこに連動を目指すファンドです。
まとめ
iFree新興国株式インデックスは、新興国株式を投資対象とした投資信託です。
中国、台湾、ブラジル、インドなどに多く投資をしており、金融や情報技術分野への投資比率が高いことが特徴です。
リスクリターンの幅が大きくなりがちな新興国株式への投資は、長期、分散投資がかなう積立投資がおすすめです。積立投資は時間が価格のブレを吸収する効果が期待できます。
iFree新興国株式インデックスは、NISAで購入可能な投資信託です。
シミュレーション結果でわかるように、NISAの非課税積立は、資産形成を効率化してくれます。
現在、投資信託で運用をしている人は、2つ目、3つ目の投資先として、iFree新興国株式インデックスを投資対象に加えてみませんか。
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