![もう迷わない!投資信託とETFの違いを徹底解説します](https://www.risingbull.co.jp/stock/wp-content/uploads/2023/10/img-investment-trust-etf01-870x568.webp)
投資信託は分散投資に適していて、運用をプロにお任せできるという安心感から初めての投資先として人気が高い金融商品です。
投資信託のことを調べてみるとETFという言葉を目にすることがあります。
ETFは証券取引所に上場している投資信託のことで、日本語では上場投資信託と呼ばれています。
上場している投資信託としていない投資信託と何が違うの?
投資するならどちらがいい?
など、投資を始める前に知っておきたい投資信託とETFの違いをわかりやすく解説します。
目次
おさえておきたい投資信託の基本
投資信託のしくみ
投資信託は投資金融商品の一つで、「投信」とか「ファンド」とも呼ばれます。
複数の投資家から集めた資金を一つの大きな資金にして、運用のプロであるファンドマネージャーが国内外の株式、債券、不動産など投資信託のテーマにそった金融商品に分散して資産を投下し運用益をあげることを目指すものです。
投資信託とは複数の投資商品が詰め込まれた福袋のようなものと考えるとイメージしやすいでしょう。
投資信託の種類
投資信託は運用方針により2つに分類されます。
1.インデックスファンド
インデックスファンドとは、日経平均株価、TOPIX、NYダウ、S&P500などの指数に連動させる投資信託です。
たとえば、日経平均株価に連動させたインデックスファンドであれば、日経平均株価を構成する225社の株価に連動した投資信託ということになります。
2.アクティブファンド
アクティブファンドは指数以上の利益を目指す投資信託です。
アクティブファンドは、指数に連動していないため、ファンドに組み入れる商品を選ぶのもファンドマネージャーの仕事です。そのため、手数料がインデックスファンドより高いことが特徴で、運用益はファンドマネージャーの手腕次第ともいえます。
投資信託にかかるコスト
投資信託の運用にかかるコストは次の3つがメインです。
1.購入時手数料
投資信託を購入する際に、販売会社へ払う手数料。ただし、手数料のかからないノーロードの投資信託も増えています。
2.信託報酬
投資信託の保有中、保有額に応じて継続してかかる手数料。投資信託によって手数料は異なり、信託財産から支払われます。
保有中ずっとかかるコストなので、信託報酬が低い投資信託を選ぶことは運用効率を高めるコツの一つです。
3.信託財産留保額
投資信託を売却(換金)する際にかかるコスト。販売会社に支払われる手数料ではなく、信託財産に留保されるもので、投資信託によってはかからない場合もあります。
投資信託により他の費用がかかる場合もあります。目論見書で確認が必要です。
投資信託が選ばれる理由3つ
1.少額から投資が可能
個別株へ投資をする場合にはある程度のまとまった資金が必要ですが、投資信託は複数の投資家の資金を一つにして運用するため、1人1人は少額の出資でも可能です。
2.一つのファンドを買うだけで分散投資がかなう
投資で大きな損失を回避する手法として分散投資という考え方があります。
通常、複数の金融商品に分散投資をするには多くの資金が必要です。
しかし、投資信託は、一つのファンドに複数の銘柄(金融商品)が入っているため、一つのファンドに投資をするだけで、幅広い銘柄に投資しているのと同じ効果があります。
たとえば、ファンド内のA商品の価値が下がっても、B商品やC商品の値上がりでカバーできれば、損失を免れる可能性が高くなります。
3.運用はファンドマネージャーにお任せ
個人で投資を成功させるには、ある程度の知識や経験が必要になりますが、投資信託は専門的知識を身に付けたプロに運用を任せられますので、日々の値動き、経済、金融の知識がなくても始めやすい投資といえます。
投資信託の2つの利益
1.売買差益
購入時の基準価額より売却時の基準価額が高ければ差額が収益となります。
基準価額は次のように算出します。
基準価額(一口あたり)=純資産総額*/総口数
*純資産価額とは、投資信託が保有している株や債券などの価値を合計して、信託報酬などのコストを引いたもの
なお、証券取引所で取引される上場株式などは、需要と供給の関係で刻々と株価が変動するのに対し、投資信託の基準価額は1日1つです。基準価額は投資信託を売買する際の一口当たりの取引価額になります。
2.分配金
投資信託の運用により得られた利益を保有口数に応じて投資家へ還元することを「分配金」と呼びます。
分配金は投資信託によって、「あり」「なし」があり、また分配の頻度も投資信託により異なります。
また、分配金が「あり」の投資信託は、分配金が支払われると基準価額が下がります。つまり、分配金がある投資信託が必ずしもお得ということにはなりません。
投資信託の分配金にかかる税金、かからない税金
さらに、分配金について詳しく説明します。分配金には普通分配金と特別分配金(元本払戻金)の2種類があります。
普通分配金
分配金落ち後の基準価額が、個別元本を上回っているケースでは分配金は投資家の純粋な利益となるため、分配金には約20%が課税されます。
特別分配金(元本払戻金)
分配金落ち後の基準価額が、個別元本を下回ってしまうケースでは個別元本を一部取り崩して分配金を受け取っていることになるため、投資家の純粋な利益ではないため、分配金に税金はかかりません。
個別元本は人により違うため、分配金支払い後の基準価額が自分の個別元本と比較してどうなるかをあらかじめ知ることはできません。
定期的に分配金を受け取りたい、または適宜、利益を確定したい場合は、「分配金あり」の投資信託を選びます。ただ、分配金を受け取れば運用資産は減少します。その反面、「分配金なし」もしくは「分配金再投資」の投資信託は分配金を元本に組み入れるため運用資産が増えます。
つまり、分配金ありの投資信託は、分配金なしの投資信託よりも運用効率は悪くなります。
ETF(上場投資信託)って何?
ETFはExchange Traded Fundsの頭文字を取った表記で、日本語では上場投資信託といいます。上場しているため、株式のように刻々と変動する値動きを見ながら売買できることが非上場投資信託との大きな違いです。
なお、これまでのETFはインデックスファンドのみでしたが、2023年9月7日にアクティブファンドのETFが東京証券取引所に上場しました。
ETFの特徴
非上場投資信託は、当日の基準価額が分からない状態で取引します(ブラインド方式)が、ETFは株式のように取引所で売買ができるため、値動きを見ながら短期売買で収益を得ることも可能です。
株の売買同様、成行注文、指値注文もできます。また、ETFのコストとしては、株の売買同様に売買手数料がかかります。
また、投資信託同様に信託報酬は取られます。ただ、その費用は非上場投資信託より低めです。
投資信託とETFの分配金の扱いの違いは?
投資信託とETFでは分配金の扱いが異なります。
分配金は投資信託の運用により得られた利益を出資額に応じて投資家へ還元するものと説明してきました。
非上場投資信託では、分配金の「ある」「なし」や分配金の再投資を選択することができますが、ETFでは基本、分配金は現金で支払われます。また、特別分配金はなく、普通分配金しかありません。
投資信託の分配金は受け取らずに再投資することで複利効果が高くなり資産を増やしやすいため、より効果的な資産形成を望むのであれば、分配金再投資型の投資信託を選んだほうが良いのですが、ETFは、基本、分配金を自動では再投資してくれません。
つまり、ETFで複利効果を得るためには、自分で分配金を再投資(ETFを買い増し)しなければなりませんので注意しましょう。
また、ETFは非上場投資信託のような、毎月積立方式の買付けができないことがほとんどですので、株式のようにスポット購入する投資に向いているでしょう。
投資信託もETFもNISAの非課税枠を活用しよう
課税口座で投資信託やETFを購入し売買差益や普通分配金などを得た場合、約20%の税金が取られます。
しかし、NISAという非課税口座を利用すれば投資限度額内においては、いくら利益があっても税金が引かれることはありません。
新NISAの大きなポイントは次の4つ。
①非課税の投資枠が大幅に増えた
②つみたて投資と個別株投資が併用できる
③非課税投資期間が無期限になる
④商品を売却すれば翌年以降に再投資ができる
投資信託の積立投資は「つみたて投資枠」の年間120万円を上限、ETFをスポット購入するのであれば「成長投資枠」で年間240万円まで、合わせて年間360万円を投資信託やETFに非課税投資をすることが可能です。
累計で保有できる非課税限度額は1,800万円ですが、投資信託やETFを売却すれば、購入したときの価額が翌年の投資枠として復活します。
2023年中は、つみたてNISAと一般NISAの併用不可であるために、積立投資とETFのどちらかにしか非課税投資ができなかった方も、2024年以降は両方の商品に非課税投資ができるようになります。
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新NISA活用ガイド!初心者にわかりやすく新NISAの仕組みとメリットや活用事例を解説
まとめ
投資信託とETFの違いや特徴について解説しました。
2024年から新しいNISAが始まり、これを機に投資を始めたいと考えている方は多いのではないでしょうか。
投資信託は、基本的に長期で保有することで利益を得やすい投資ですが、ETFは取引時間中に取引価格の変動があるため、株式と同様に短期の取引でも利益が出せる可能性もあります。
また、投資信託を選ぶ際は、運用コストと分配金の扱いについて目論見書で確認することが大切です。
分配金あり、なし、再投資の別は投資信託によって異なります。また、ETFの分配金は基本的に自動では再投資してくれません。
なお、NISA対象の投資信託は長期安定運用の観点から、分配金は再投資されるものに限られています。
投資信託とETFの基本を知って、自分に合う投資スタイルを見つけましょう。
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