2024年からはじまった新NISAでは、どのような投資対象を購入したら良いか迷っている方が多いのではないでしょうか。
今回は、NISA成長投資枠でも購入ができる人気の米国高配当ETF「SPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF)」について解説します。SPYDの特徴やメリット・デメリット、他の高配当ETFとの違いについても確認していきましょう。
目次
SPYDとは、どのようなETFか?
SPYDは正式名称「SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF」、世界最大級の金融機関である米国の「ステート・ストリート」が販売するETFです。
ここではSPYDの特徴や高配当ETFについて解説していきます。
高配当ETFとは
ETFとは上場投資信託のことで、証券取引所に上場している投資信託のことをいいます。
ETFは投資信託と異なり、証券取引所で取引できるため、リアルタイムで売買が行えることや、経費率といわれる運用コストが安いのが特徴です。
今回紹介するSPYDは、ETFの中でも米国の高配当株式を中心に組み入れており、同様の高配当ETFとしては、VYMやHDVといった高配当ETFがあります。
SPYDはいくらで買える?経費は?
ETF(上場投資信託)の購入単位は1株単位から可能です。
SPYDは1株38.73ドル(株価、為替レートは2024年2月22日現在)です。為替は1ドル円/150.23円なので5,818円で1株購入できます。10株で58,180円、100株で約581,800円です。
SPYDのコスト
SPYDの年間の経費率は0.07%です。また、証券会社によっては購入費用や売却の際の費用がかかります。SBI証券や楽天証券でSPYDを購入する場合は無料です。経費を知っておくことは重要です。(実際の手数料は証券会社でご確認ください。)
SPYDの主な組み入れ銘柄
SPYDはS&P500の高配当な銘柄で構成
SPYDは、米国の代表的な500銘柄の株式で構成されるS&P500のうち、配当利回りが高い株式80銘柄で構成されています。
80銘柄の内、上位の10銘柄は以下のようになっています。
順位 | 銘柄名 | 組入比率 |
1 | フォードモーター | 1.46% |
2 | IBM | 1.33% |
3 | アズブロ | 1.33% |
4 | アッヴィ | 1.31% |
5 | ファーストエナジー | 1.31% |
6 | シェブロン | 1.30% |
7 | フランクリン・リソーシズ | 1.30% |
8 | エバーソース・エナジー | 1.30% |
9 | デジタル・リアルティ・トラスト | 1.30% |
10 | パブリック・サービス・エンタープライズ | 1.29% |
※2024年2月ステート・ストリートHPより
大きな偏りがなく、ほぼ均等の比率で組み入れているのが特徴です。1社の業績に全体が大きく左右されないメリットがありますね。
続いてこの80種の銘柄の業種別構成比を見ていきましょう。
業種 | 組入比率 |
不動産 | 26.13% |
金融 | 20.70% |
公共事業 | 16.32% |
生活必需品 | 7.54% |
素材 | 6.32% |
ヘルスケア | 6.22% |
一般消費財・サービス | 5.37% |
エネルギー | 5.12% |
コミュニケーション・サービス | 2.5% |
資本財・サービス | 2.46% |
情報技術 | 1.34% |
※2024年2月 ステート・ストリートHPより
特徴として、不動産や金融、公共事業の銘柄の比率が高くなっています。
不動産や金融系の銘柄は、景気に左右されやすいといった側面がありますが、SPYDの場合、1月と7月の半年に一度銘柄の組み替えが行われるため、業績の悪い企業は外されるなど、高配当を維持する取り組みが行われています。
SPYDの運用成績
SPYDのトータルリターン
期間 | トータルリターン |
3ヶ月 | 8.89% |
1年 | -2.62% |
3年 | 6.55% |
5年 | 5.38% |
SPYDの配当はどのくらい
高配当ETFと言われるSPYDの気になる配当利回りですが、直近の配当利回りは5.6%(税込)。
S&P500に連動したETFのVOO(バンガードS&P500)の配当利回りが1.56%(税込)となっていますので、いかに配当利回りが高いかわかります。また配当は3月、6月、9月、12月の年4回支払われます。
払日 | 1口あたりの分配金 | 円換算 |
2023年12月 | 0.534ドル | 約80 |
2023年9月 | 0.441ドル | 約66円 |
2023年6月 | 0.465ドル | 約69円 |
2022年3月 | 0.387ドル | 約58円 |
(例えば)38.73ドルで10口保有していた場合の分配金は?
1株:38.73ドル×10口×150.23ドル/円(為替レート)×5.6%=3,258円
58,180円の投資で年間3,258円の分配金です。
VTIが1.53%(2024.2.15時点)、VOOが1.56%なので配当はかなり高いと言えます。
※Bloomberg ファンド情報より抜粋
SPYDのチャートも確認
SPYD週足チャート
2015年10月より開始されたSPYDのチャートです。2020年コロナショックで大きく下げたものの現在はほぼ戻してきている状況です。
定期的に積立していれば、含み益と配当金でプラスになっていると考えられます。
SPYDと他の高配当ETFを比較してみよう
米国高配当ETFには、SPYDのほかに同じような人気のETF、VYM(バンガード米国高配当株式ETF)、HDV(iシェアーズ・コア高配当株ETF)があります。
ステート・ストリート、バンガード、ブラックロックは世界三大ETF運用会社と呼ばれており、それぞれの運用会社が高配当ETFを販売しています。
それぞれの違いを比較してみましょう。
ティッカー(名称) | 運用会社 | 基準価格 | 配当利回り | 経費率 |
SPYD | ステート・ストリート | 38.15ドル | 5.60% | 0.07% |
VYN | バンガード | 112.88ドル | 3.90% | 0.06% |
HD | ブラックロック | 103.13ドル | 3.79% | 0.08% |
※Bloombergより2月8日時点の価格を引用
比較してみると、配当利回りでは、SPYDが一番高いのがわかります。また、現状の基準価格は、約38ドルですので、1株買うのに5,700円程度から始められます。ほかの2つのETFは100ドルを超えているため、15,000円ほどの費用が必要です。
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SPYDのメリット・デメリットは
ここまでSPYDの特徴について解説してきましたが、投資するにあたってのメリット・デメリットについても確認しておきましょう。
メリット① 高配当が期待できる
SPYDの最大の魅力は、高配当にあります。
さきほど他の米国高配当ETFとも比較しましたが、その中でも高い配当利回りを示しています。この配当金でさらにSPYDを買い増していけば、大きな複利効果を得ることが可能です。
メリット②運用コストが低い
ETFや投資信託は、長期間運用していくことを考えると運用期間にかかる経費の差が重要になってきます。一般的にS&P500のような指数に連動した運用成績を目指すインデックスファンドは経費率が低いのが特徴です。
SPYDの経費率0.07%は、100万円を1年間運用したとして約700円の経費。
経費率は他のETFに比べても非常に少ない経費率といえるでしょう。
メリット③少額から投資できる
SPYDは、ファンドが設立されたのが2015年と比較的新しいETFです。
運用期間が短いこともあり、価格はまだ大きく上がっておらず、2月8日時点で約38ドル。
ETFに投資をする際は、1株からの投資となりますので、1ドル150円と考えると5,700円で買えることになります。
一方、VOOの場合、現在約460ドルまで上がっているので、1株買うのに70,000円近く用意しなければなりません。
少額から投資を始めたい方には魅力的なメリットですね。
デメリット①不況に弱く景気変動の影響を受けやすい
SPYDのデメリットとしては、景気変動の影響を受けやすいことがあげられます。
SPYDは、不動産や金融関連の株式が多く含まれており、不景気になると不動産の価格が下落する、企業がお金を積極的に借りなくなり金融業界の収益が悪化するなどの影響が考えられます。
ただし、景気は好・不況を繰り返すものですので、好況になれば収益が良くなります。不況の際に買い付けを行えば、好況の際は大きく伸ばすことができるでしょう。
デメリット②売却益は狙いにくい
SPYDは、配当金重視の商品設計がされています。そのため株価が上がるのを待って売却益を狙う運用には向いていません。
SPYDとVOOの比較チャート
他のETFと比較してみても、価格が大きく伸びていないことがわかります。その分安定した推移となっているともいえるでしょう。長期で買い持ちして運用し、配当を得るのに適したETFです。
デメリット③為替の影響がある
SPYDに限ったことではありませんが、米国ETFは米ドルで運用するため、為替の影響を受けます。
現在は、150円近い円安となっているため、円換算で見ると利益が出ているように見えても、大きく円高に振れると円換算でみた場合の利益率は下がります。
為替は長期で見れば上がったあとは下がるものですので、長期運用で考えればそれほど気にすることはないでしょう。
SPYDに投資する方法
SPYDに実際に投資をする際は、どのような方法があるでしょうか?
おすすめの購入方法を紹介します。
NISA成長投資枠で購入する
SPYDは、新NISAの成長投資枠での購入が可能です。NISA成長投資枠では年間240万円まで、最大1,200万円までの投資が可能です。
ETFを証券会社で購入する際は、販売手数料がかかりますが、新NISAが開始され、ネット証券会社を中心に海外ETFでも販売手数料無料で購入できるところが増えてきました。
ETFは販売手数料や経費率などの手数料を下げて、利益率を上げるかが大切になります。販売手数料がかからないネット証券会社で口座開設をして購入することをおすすめします。
注意点として、海外ETFから得られる配当については、米国での課税対象となるため、10%源泉徴収されて差し引かれた金額が振り込まれます。
NISAの場合は、配当や利益に課税されないため、2重課税とならず、この配当課税を控除することはできません。
NISAは、売却益には税金がかかりませんが、売却で損失が発生した際でも、ほかの利益が出ている株式などと損益通算できないことがデメリットといえます。
しかし、SPYDの場合、基本的には長期保有しながら配当を得る運用ですのでその点はあまり気にすることはないでしょう。
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一般口座・特定口座で購入する
NISA口座で上限まで株式を購入してしまった場合、それ以上の購入は一般口座や特定口座での買付となります。
この場合、配当金に関しては、米国で10%の源泉徴収をされた上に、国内で約20%課税される2重課税となります。ただし確定申告すれば外国税額控除がうけられます。
一般口座や特定口座でETFを購入する場合のメリットとしては、損益通算ができることがあげられます。ETFを売却し損出が出た場合、ほかの利益が出ている株式や配当と利益を相殺し、収める税額を下げることができるのです。
購入は定期的な積立で
新NISAでも、一般口座・特定口座でもSPYDの買付は、定期的に積立購入することをおすすめします。
価格の推移グラフでも確認しましたが、株価は上下に変動しています。価格が高いときにまとめて購入すると価格が下がった場合、大きな含み損を抱えることになります。
価格が高いときは1株、価格が下がったら2株買うといった買付をすれば平均単価を下げることも可能です。
長期的な運用を目指して、購入していきましょう。
高配当株はNISAつみたて枠運用しているけれど、実は個別株も気になっている。でも、日本では3,900以上ある上場会社の中から、「どの銘柄を購入すれば良いか全くわからない」という方には、投資顧問の利用をおすすめします。当サイトを運営するライジングブル投資顧問は、株の「売買サポート」を行っております。ライジングブルの売買サポートサービスは、3ヶ月9,000円で買い推奨だけではなく、売却、銘柄入替するところまで、リスク管理をしながらサポートします。
個人の方には難しい売り推奨のアドバイス実績も豊富にあり、
・これから株をはじめる方
・株をやっているが資産が一向に増えない方
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まとめ
SPYDは、米国の主要株式であるS&P500の中から、高配当の80銘柄を選び構成されているETFです。2015年に設立されたETFで歴史は浅いですが、他の高配当ETFと比較しても高い配当実績があるのが魅力です。
2024年から始まった新NISAの成長投資枠での買付もできることから、配当については米国での課税はありますが、国内では本来かかる約20%の税金はかかりません。
NISA成長投資枠での選択肢の一つとして組み込んではいかがでしょうか。
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