最近は貯蓄よりも投資や資産形成を行う人が増えてきました。テレビのワイドショーや女性誌などでも投資に関する特集が組まれるようになり、以前よりも資産運用の話などを見聞きする機会も増えてきています。
そんな中、「投資初心者には長期投資がおすすめ」という情報も数多く出回っています。
しかし、なぜ長期の株式投資等が良いのか?についていまいちピンとこないという人も多いことでしょう。
この記事では、長期の株式投資のメリットについて詳しく、短期との違いも含めて説明していきます。
目次
長期と短期の株式投資の違い
まず長期の株式投資といっても、どのぐらいの期間を長期と呼ぶのか、短期の株式投資と何が違うのかについて詳しくみていきます。
長期の株式投資の特徴
まず長期の株式投資の特徴は以下の通りです。
・投資期間は10年単位を指すことが多い
「長期」というだけあって、投資期間は10年や20年を想定している人が多いです。
・株式の売買頻度は低め
長期の株式投資の場合、長期的な時間を味方につけるために売買頻度は低めです。
ただし、金融商品の価格変動によって株式を買い増ししたり、自分にとってリスクを取りすぎな時や株式自体が取引できなくなる場合などに売却することがあります。
・売却益だけでなくインカムゲインも得られる
株式の長期投資では、長期的に企業の株価が値上がることを期待し、株式の売却で得る「売却益」と、株主に分配される企業からの利益である「配当金」や「株主優待等」があります。長期的な株式投資では、売却益よりも配当金等のインカムゲインを重視する投資家もいます。
短期の株式投資の特徴
長期の株式投資に対して、短期の株式投資の特徴は以下の通りです。
・投資期間は1年未満を指すことが多い
「短期」という期間は、長くても1年程度を指すようです。人によっては数日〜数週間程度のトレードとなるスイングトレードや1日の間に何度も売買取引を繰り返すデイトレードを短期投資と考える人もいます。
・株式の売買頻度は高め
株式の短期投資はその株式が短期間の間に値上がりすれば利益を確定し、投資家が想定する株価よりも下がれば売却して新たな取引をするといった形で利益を積み上げていくものになります。
したがって、売買頻度は長期の株式投資に比べれば高く、その利益も売却益がメインでインカムゲインを想定していないケースが多いです。
長期と短期の株式投資の大きな違い
長期と短期の株式投資の特徴からみて、2つの投資の違いはやはりその投資期間にあります。
また、投資する期間の違いから売買スタイルが異なります。
長期では目先の株価の変動を気にすることはありませんが、短期では目先の株価で投資価値を判断します。
したがって、長期的な株式投資をする場合短期間での利益が出にくく、短期的な株式投資をする場合、長期間で利益を出すことは難しく、損失を出してしまう可能性も高いといういことになります。
長期の株式投資が推奨される理由
長期の株式投資は、投資初心者をはじめ万人に推奨される傾向があります。
「どうして投資初心者には長期の株式投資がおすすめなのか?」について、以下に詳しく解説していきます。
長期の株式投資のメリット
長期の株式投資のメリットは数多く存在します。
主なメリットについては以下の通りです。
複利効果を期待できる
複利とは、一定期間ごとに得られた利益を元本に加えて、元本が増えていくことでさらに利益を重ねていける仕組みのことを指します。
例えば、
10万円を投資するとして、年率2%の利益が得られたとすると、1年後に2,000円の利益が投資元本として追加されることになります。翌年102,000円を元手に再び年率2%の利益が得られたとすると、翌々年には2,040円が利益がとして投資元本に加えられます。
元本 | 年利 | 利息 | |
1年 | 100,000円 | 2% | 2,000円 |
2年 | 102,000円 | 2% | 2,040円 |
3年 | 104,040円 | 2% | 2,080円 |
10年 | 119,510円 | 2% | 2,390円 |
最初の数年は小さく感じるかもしれませんが、年率2%でも10年後には121,900円にまで投資元本を増やすことができます。単に貯金をしていてもほとんど増えませんが、長期的に投資を行うことで大きなリターンを得られる可能性が高まります。
安定的なリターンを期待できる
長期の株式投資は、時間を味方につける必要があるため、すぐに大金を手にすることはできません。しかし、複利効果を享受しながら年月をかけるごとに自分の資産を増やせる可能性が高まります。
長期的な視点で投資する分、目先の利益を追わずに済むので、精神的にも安定した投資を行うことができます。
また、投資の勉強として企業分析などを行う必要がない分、投資へのハードルが低く、投資初心者でも始めやすいというのが大きなメリットといえるでしょう。
長期の株式投資の注意点
長期的な株式投資はメリットも多いのですが、以下の注意すべき点もあります。
資産形成に時間がかかる
短期での株式投資は短いスパンで売買を繰り返して大きなリターンを築いていくので、人によっては一夜にして大金を手にすることもあります。
反面、長期での株式投資だとリスクを抑えることができる分、リターンも小さくなってしまいます。
それゆえ、10年や20年といった期間で利益が得られることから時間がかかるデメリットがあります。投資に時間をかけられないといった人には不向きといえるでしょう。
完全にほったらかしにはできない
一部の情報では、長期的な株式投資はほったらかしで良いという声もあります。
しかし、長期的な投資でもリスクを取り過ぎれば損失を被ることが多いです。
状況に応じて適切な売買ができてこそ、長期的に利益が得られる投資ができるわけです。
それゆえ、どのような状況になったら株式を売買するかなどマイルールなどを決めておく必要があります。
短期的な株式投資に比べれば時間をかける必要はありませんが、利益を得たい場合はある程度投資について理解できるようになっていかなければなりません。
投資初心者向けの長期的な株式投資とは?
長期的な株式投資と一口にいっても、投資初心者に向いている方法というのがあります。
まずは長期的な株式投資の基本を押さえて、自分の資産をしっかりと築く基礎を作っていきましょう。
長期・積立・分散が基本
長期的な株式投資といっても、ただ長期的に金融商品を保有しているだけでは利益を最大化できません。
長期投資と同様に意識したいのは、積立投資や分散投資です。
リスクを抑えてリターンを最大化したいならば、「長期・積立・分散」が基本と覚えておきましょう。
積立投資は、基本的に価格が変動する投資信託や株式などを常に一定金額で定期的に購入するドルコスト平均法で投資をすることを指します。
長く続けることで積立金額を上げることができる上、全体の平均購入単価を平準化させる効果があるため、安定したリターンを期待することができます。
分散投資は、その名のごとく投資先を分散させることを指します。
投資信託だけでなく株式も購入するといった金融商品での分散もあれば、日本株と米国株といった地域の分散などもあります。
株式投資での分散といえば、業種などを分散させる方法もあります。
飲食業だけでなく、製造業や銀行業など違う業種の株式も保有することで、ある業界全体が不調に陥っても別の業界が資産の下支えをしてくれるというケースがあります。
自分にとっての最適なポートフォリオを作る
「長期・積立・分散」が基本とするならば、長期的な株式投資をする前にどのような株式を保有すべきか、どのような資産割合(ポートフォリオ)が良いかを検討しておく必要があります。
投資初心者におすすめなのは、なるべくリスクを抑えた投資ですので、期間としてはなるべく長い期間を設定するのがおすすめです。
また、積立投資をするにしても、最初は余剰資金でやるのが基本です。
最初にいきなり資金を投資することが何よりも大きなリスクになります。
分散はいろんな観点からできますが、ミクロな視点よりかはマクロな視点から分散しておくと、世界的な相場の変化があった時でも安心して投資を続けられるでしょう。
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NISAなどを活用するのがおすすめ
投資初心者こそNISAやiDeCoといった非課税優遇制度を活用していきましょう。
特にNISAは18歳以上の日本国民であれば誰でも口座開設することができ、生涯投資枠1,800万円まで非課税で資産を運用することができます。
現行NISAには、積立投資枠と成長投資枠の2つがあり、積立投資枠では2回以上の積立が必須となっています。成長投資枠ではさまざまな株式を購入することができ、自由度が高い設計になっています。
NISA制度を活用することで、税金がかからない分再投資などに資産を回すことができます。
投資金額が増えれば、すでに説明した通り複利効果を高めることができるので、投資初心者でも効率的に資産を増やせます。
まとめ
長期的な株式投資は、短期的なそれとは投資スタイルや売買タイミングなどが大きく異なります。
それゆえ、短期的な株式投資で得られる利益は長期的な株式投資では得られないと思っていた方が良いでしょう。
しかしながら、長期的な株式投資は時間をかけて大きなリターンを得るものであり、投資初心者でも目先の利益にとらわれずにできる点で投資を始めやすいというメリットがあります。
何より、長期的な投資をすることで、複利効果が得られるなど労力少なく利益を得られる機会に恵まれます。
ただ、長期的な投資にもデメリットがあるので、その点では注意が必要です。
.また、投資初心者向けの長期的な株式投資であれば、投資からの安定したリターンを期待できます。
NISAなどの非課税優遇制度なども活用して、効率よく資産を増やすことで経済的な余裕を生み出していきましょう。
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