
武田薬品工業株式会社(東証プライム:4502)は、約80ヵ国で事業を展開している日本の大手製薬会社です。
本記事では、武田薬品の配当金額や支払い時期、配当性向、配当利回りについて解説します。
2026年3月期の配当金は1株あたり年間200円の予想で、前期より4円の増配が見込まれています。
武田薬品の株はNISAの成長投資枠でも購入できるので、非課税での運用も可能です。
目次
武田薬品の配当金はいくら|1株あたり年間200円の予想
2026年3月期の予想では、武田薬品の配当金は1株あたり年間200円です。100株持っていれば、年間20,000円の配当金が見込めます。
予想どおり配当金が支払われれば、1株あたりの年間配当金は前期(2025年3月期)から4円増加します。
直近5年分の配当金の推移を、以下の表にまとめました。
(1株あたり)
事業年度 | 中間配当 | 期末配当 | 年間合計額 |
2026年3月期(予想) | 100円 | 100円 | 200円 |
2025年3月期 | 98円 | 98円 | 196円 |
2024年3月期 | 94円 | 94円 | 188円 |
2023年3月期 | 90円 | 90円 | 180円 |
2022年3月期 | 90円 | 90円 | 180円 |
参照元:武田薬品|株式情報・株主還元
100株分の配当金を受け取るためには、416,500円※の投資額が必要です。※2025年5月23日の終値(1株=4,165円)で計算
配当金には20.315%の税金が発生するので、100株を保有する株主には税引後の15,937円が支払われます。
【税引後に受け取れる配当金】(200円×100株)×(1−20.315%)=15,937円
配当金の税金や節税方法については、こちらの「配当金に税金はかからない?節税のコツや新NISAで非課税で受け取る方法を解説」の記事を参考にしてみてください。
武田薬品の配当金はいつもらえる|12月中旬と7月中旬
武田薬品の配当金は、中間と期末の合計2回にわけて支払われます。武田薬品の配当金が支払われる時期と権利確定日を、以下の表にまとめました。
項目 | 中間配当 | 期末配当 |
権利確定日 | 9月30日 | 3月31日 |
支払い時期 | 12月中旬までに | 7月中旬までに |
参照元:武田薬品|株式情報・株主還元
武田薬品の配当金を受け取るには、株主名簿への登録が必要です。
反映に時間がかかるので、2026年の中間配当を受け取るためには基準日の2営業日前(2025年9月26日15時30分)までに株を買いましょう。
ただし、証券会社によって買付日が異なるケースがあるため、できるだけ早めに注文を完了させるのが無難です。
武田薬品の配当利回りと配当性向
2026年3月期において、武田薬品の配当利回りは4.82%の予想です。配当性向は2025年5月時点で予想が出ていません。
直近5年分の推移については、以下の表をご覧ください。
事業年度 | 配当利回り | 配当性向 |
2026年3月期(予想) | 4.82% | ー |
2025年3月期 | 4.66% | 286.7% |
2024年3月期 | 4.28% | 204.2% |
2023年3月期 | 4.58% | 88.1% |
2022年3月期 | 5.12% | 122.3% |
参照元:武田薬品|決算情報、みんかぶ|武田薬品工業 (4502)
武田薬品の株は「高配当株」としても注目されている銘柄です。
日経平均やプライム市場全銘柄の配当利回りは平均2.5%程度ですが、武田薬品の株は直近4年間にわたって4〜5%の高水準を維持しています。
また、直近2年間の配当性向は200%を超えており、利益の多くを株主に還元している状態です。
配当性向と配当利回りは、企業を評価するときに使う指標です。
配当利回り
購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けられるかを示す指標です。計算式は次のようになります。
配当利回り(%)=1株あたりの年間配当金額÷1株購入価額×100
配当性向
税金を差し引いた企業の純粋な利益である当期純利益のうち、配当に回される額を表した割合です。計算式は次のようになります。
配当性向(%)=1株あたりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100
目安となる数値や詳しい計算方法については、配当利回りと配当性向とは?違いや計算式、目安となる数値を解説 記事で解説しています。
配当性向が高すぎる理由|減益でも増配し続ける配当方針
武田薬品の配当性向が高すぎる理由は、減益中でも累進配当を継続しているからです。
累進配当は、配当金を減らすことなく、維持または増配を続ける配当方針です。
武田薬品は1988年から30年以上にわたり減配することなく、株主還元を継続してきました。
直近では、2024年3月期の純利益が減少したにもかかわらず、財務の改善を見込んで1株あたりの年間配当金を8円も増額しています。
ウェバー社長は「成長投資」と「株主への利益還元」を続ける方針を表明しており、武田薬品は今後も累進配当を続けていく見込みです。
競合他社との比較|日本の5大製薬会社
2025年3月期の武田薬品の配当利回りと配当性向を、競合他社と比較しました。
(2025年3月期実績)
会社名 | 配当利回り | 配当性向 |
武田薬品(4502) | 4.66% | 286.71% |
アステラス製薬(4503) | 4.62% | 261.02% |
第一三共(4568) | 1.23% | 38.47% |
大塚ホールディングス(4578) | 1.65%※ | 18.93%※ |
中外製薬(4519) | 1.60%※ | 41.63%※ |
※12月期決算のため、2024年12月決算の数値を記載
参照元:みんかぶ
武田薬品の配当利回りと配当性向は、アステラス製薬と同じ水準です。
それでもほかの競合3社をはるかに上回っており、配当益を狙う投資家にとって武田製薬の株は注目すべき銘柄だと言えるでしょう。
アステラス製薬の配当金については、こちらの「アステラス製薬の配当金はいつもらえる?利回りや配当性向が高い理由を解説」記事を参考にしてみてください。
武田薬品の株主優待|なし
武田薬品は、株主優待を実施していません。しかし、武田薬品は30年以上も減配せず、配当金を出し続けている企業です。
今後も累進配当を維持する方針なので、武田薬品の株を持っていれば長期的に配当益を狙える可能性があります。
株主優待を優先したい方は、こちらの「【お得な株主優待】初心者でも購入しやすい人気銘柄5選」記事を参考にしてみてください。
武田薬品の業績
2025年3月期(2024年4月1日〜2025年3月31日)を含む、過去5年分の業績を以下の表にまとめました。
(単位:百万円)
決算情報 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
2025年3月期 | 4,581,551 | 342,586 | 175,084 | 107,928 |
2024年3月期 | 4,263,762 | 214,075 | 52,791 | 144,067 |
2023年3月期 | 4,027,478 | 490,505 | 375,090 | 317,017 |
2022年3月期 | 3,569,006 | 460,844 | 302,571 | 230,059 |
2021年3月期 | 3,197,812 | 509,269 | 366,235 | 376,005 |
参照元:武田薬品|決算短信
武田製薬は5つの事業分野が好調で、2025年3月期の売上高は前期より7.5%増加しています。
しかし、2024年3月期に複数の薬品で特許が切れたため、後発品の登場で利益が減少。2024年3月期の純利益は、前期比54.6%減の業績悪化となりました。
また、2025年3月期も後発品の影響が続き、純利益はさらに減少(前年比25.1%減)しています。
それでも、2026年3月期は「新商品の販売」や「コスト(人件費や開発費)の削減」などの戦略により、純利益は2,280億円(前年比111.3 %増)に増える見込みです。
武田薬品の事業内容
武田薬品のおもな事業内容は、以下の6分野です。
それぞれ紹介します。
消化器系・炎症性疾患
武田薬品は、消化器疾患に対する治療薬を開発しています。また、炎症性疾患の分野でも専門性を広げており、おもな対象疾患は以下のとおりです。
- 乾癬
- 進行肝疾患
- 神経性胃炎
- 炎症性腸疾患
- セリアック病
2025年3月期の消化器系疾患の売上収益は、前期より1,408億円増加しました。
希少疾患
患者数の少ない病気に対して、新薬の研究や治療法の開発などを進めています。具体的な病気の種類として、以下が挙げられます。
- 希少免疫疾患
- 希少出血性疾患
- ライソゾーム蓄積症(LSD)
- 移植後サイトメガロウイルス(CMV)
2025年3月期の希少疾患の売上収益は、前期より644億円増加しています。
血漿分画製剤
血漿分画製剤(けっしょうぶんかくせいざい)とは、人間の血液中にある「血漿(けっしょう)」とよばれる成分から作られる医薬品です。
おもに、免疫不全や慢性疾患の方に使用されます。2025年3月期の血漿分画製剤の売上収益は、前期より1,290億円増加しました。
オンコロジー(がん)
武田薬品はオンコロジー(がん)に対する治療にも注力しています。対象疾患の一部は、以下のとおりです。
- 胸部腫瘍
- 血液腫瘍
- 消化器腫瘍
2025年3月期のオンコロジーの売上収益は、前期より981億円増加しました。
ニューロサイエンス(神経精神疾患)
神経科学の分野では、睡眠障害やアルツハイマーなどの治療法を研究・開発しています。
2025年3月期のニューロサイエンスの売上収益は、前期より612億円の減少。
それでも、睡眠障害や神経変性疾患で悩む方の治療を目指し、今後もニューロサイエンス分野での事業を続ける見込みです。
ワクチン
世界中の感染症を防ぐために、武田薬品はワクチンを開発中です。
デング熱や新型コロナウイルス感染症に対するワクチンは需要が高く、2025年3月期のワクチンの売上収益は前年から51億円も増加しています。
武田薬品と競合他社の業績比較
武田薬品と競合他社の業績を比較してみましょう。2025年3月期の業績は、以下のとおりです。
(百万円)
会社名 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
武田薬品(4502) | 4,581,551 | 342,586 | 175,084 | 107,928 |
アステラス製薬(4503) | 1,912,323 | 41,039 | 31,237 | 50,747 |
第一三共(4568) | 1,886,256 | 331,925 | 355,631 | 295,756 |
大塚ホールディングス(4578)※ | 2,329,861 | 323,564 | 335,854 | 343,120 |
中外製薬(4519)※ | 1,170,611 | 542,002 | 543,034 | 387,317 |
※12月決算のため、2024年12月期の業績を記載
参照元:みんかぶ
2025年3月期において、武田薬品の売上高は競合他社を大きく上回る結果となりました。
とくに、武田製薬の事業領域は競合よりも広く、5つの事業分野(ニューロサイエンス事業を除く)で売上が伸びています。
しかし、後発品の誕生や新型コロナワクチンの需要減少などの影響を受け、純利益では4位の成績です。
それでも、2026年3月期の純利益は2,280億円(前年比111.3 %増)に増える見込みなので、四半期ごとの業績をチェックしながら武田薬品への投資を検討してみてください。
武田薬品の株価
武田薬品の株価は、4,165円※です。※2025年5月23日終値
以下のチャートでは、直近10年間の株価の推移を示しています。
出典:Yahoo!ファイナンス|武田薬品【4502】
2015年頃、武田薬品の株価は6,000円前後で取引されていました。しかし、2018年にアイルランドの大手製薬会社「シャイアー」の買収に伴い、多額の負債が発生。
財務状況が不安視され、株価は4,000円台まで下落しました。
さらに、2020年の新型コロナウィルス感染症によって株式市場が全体的に下がり、武田薬品の株価も3,000円台前半まで下落しています。
それでも、武田薬品の「累進配当」が高く評価され、2023年には4,500円台まで回復。
2025年5月現在は4,000円前後で取引されています。
また、武田薬品と競合他社の株の値動きについては、以下の表を参考にしてみてください。
会社名 | 現在の価格 | 年初来高値 | 年初来安値 |
武田薬品(4502) | 4,165円 (以下2025/5/23終値) | 4,573円 (2025/3/21) | 3,916円 (2025/4/11) |
アステラス製薬(4503) | 1,393円 | 1,560円 (2025/1/15) | 1,244円 (2025/4/9) |
第一三共(4568) | 3,764円 | 4,564円 (2025/1/22) | 3,036円 (2025/4/11) |
大塚ホールディングス(4578) | 6,650円 | 8,631円 (2025/1/7) | 6,465円 (2025/5/15) |
中外製薬(4519) | 7,560円 | 8,655円 (2025/5/2) | 6,232円 (2025/4/11) |
参照元:Yahoo!ファイナンス|日本株
武田薬品の自己株式取得
武田薬品は自己株式取得を実施しています。直近での実施情報は以下のとおりです。
- 対象:普通株式
- 取得総数:2,850万株(上限)
- 取得価額の総額: 1,000億円(上限)
- 取得期間:2025年3月17日〜2025年5月31日
参照元:武田薬品|自己株式の取得状況及び取得終了に関するお知らせ
また、過去に何度も自己株式取得を実施しているので、今後も株主還元の一環として行う可能性があります。
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まとめ
本記事では、武田薬品の配当金について解説しました。2026年3月期の予想では、武田薬品の配当金は1株あたり年間200円です。
100株で年間20,000円が支払われますが、実際に振り込まれる金額は税引後の15,937円です。
直近4年間の配当利回りは4〜5%を維持しているので、武田薬品の株は「高配当株」として注目されています。
2026年3月期は純利益が回復する見込みなので、武田薬品は累進配当を続けながら、今後も株主への利益還元を行う可能性が高いでしょう。
銘柄選びの参考になれば幸いです。
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