
本記事では、アステラス製薬株式会社(東証プライム:4503)の配当金額やいつもらえるか、配当利回り、配当性向について解説します。
アステラス製薬は、医薬品の研究や販売などを行っている日本の製薬会社です。2025年3月期の配当金は、1株あたり年間74円が見込まれています。
12年連続で配当金を増やし続けており、今期も1株あたり4円増配する予定です。
アステラス製薬の株はNISAの成長投資枠でも買えるので、非課税での運用もできます。
目次
アステラス製薬の配当金はいくら|13期連続の増配予想
2025年3月期のアステラス製薬の配当金は、1株あたり年間74円です。
予定どおり期末配当が支払われれば、アステラス製薬は13期連続での増配となります。直近5年分の配当金の推移を、以下の表にまとめました。
事業年度 | 中間配当 | 期末配当 | 年間合計額 |
2025年3月期 | 37円 | 37円(予想) | 74円(予想) |
2024年3月期 | 35円 | 35円 | 70円 |
2023年3月期 | 30円 | 30円 | 60円 |
2022年3月期 | 25円 | 25円 | 50円 |
2021年3月期 | 21円 | 21円 | 42円 |
アステラス製薬の株主は、100株あたり年間7,400円の配当金がもらえます。
ただし、配当金には20.315%の税金がかかるため、実際に支払われる金額は5,869円です。
【税引後に受け取れる配当金】(74円×100株)×(1−20.315%)=5,896.69円
ちなみに、アステラス製薬の株を100株買うためには、140,400円※が必要です。
※2025年4月2日の終値で計算
配当金の税金や節税方法については、こちらの配当金に税金はかからない?節税のコツや新NISAで非課税で受け取る方法を解説」の記事を参考にしてみてください。
アステラス製薬の配当金はいつもらえる|12月と6月
アステラス製薬の配当金は、年2回にわけて支払われます。
詳細は以下のとおりです。
項目 | 中間配当 | 期末配当 |
権利確定日 | 9月30日 | 3月31日 |
支払い予定日 | 12月初旬 | 6月初旬 |
配当金の受け取りには、株主名簿への登録が必要です。
反映に時間がかかるため、権利確定日の2営業日前までに注文を完了させましょう。2026年9月の中間配当をもらうためには2026年9月26日(金)15:30までに株を購入する必要があります。
ただし、証券会社によって買付日が異なるケースがあるため、できるだけ早めに購入するのがおすすめです。
アステラス製薬の配当利回り
2025年3月期において、アステラス製薬の配当利回りは5.27%、配当性向は442.3%になる見込みです。
直近5年分の推移を以下の表にまとめました。
事業年度 | 配当利回り | 配当性向 |
2025年3月期(予想) | 5.27% | 442.3% |
2024年3月期 | 3.58% | 736.4% |
2023年3月期 | 2.98% | 110.61% |
2022年3月期 | 2.68% | 74.53% |
2021年3月期 | 2.49% | 64.68% |
参照元:アステラス製薬 (4503)、アステラス製薬|決算関連資料
直近4年間で見ると、アステラス製薬の利回りは、約2.5〜3.5%で推移しています。
今期は約5%の高配当が見込まれており、インカムゲインを狙ってアステラス製薬に投資する方も多いでしょう。
また、アステラス製薬の配当性向は2年連続で100%を超えており、純利益超えの配当金を維持しています。
配当性向と配当利回りは、企業を評価するときに使う指標です。
配当性向(%) | 配当利回り(%) | |
概要 | 税金を差し引いた企業の純粋な利益である当期純利益のうち、配当に回される額を表した割合 | 購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けられるかを示す指標 |
計算式 | 1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100 | 1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100 |
目安となる数値や詳しい計算方法については、こちらの「配当利回りと配当性向とは?違いや計算式、目安となる数値を解説」記事で解説しています。
配当性向が高い理由|400%超えの予想
本来、成長投資と株主還元のバランスを取るために、配当性向を20〜50%に設定する企業が多いです。
しかし、アステラス製薬は純利益を超える配当金を2年連続で維持しています。
アステラス製薬の配当性向が高い理由として、以下が挙げられます。
- 純利益の大幅な減少(3年連続で減少傾向)
- 株主還元を最優先する方針(12期連続の増配)
- IVERIC bio社の買収による一時的な支出の増加
- 収益力の成長に対する期待(網膜治療、がん治療薬など)
アステラス製薬の高配当は投資家にとって魅力的ですが、配当性向の高さが長く続くとは考えにくいです。
業績回復が遅れると内部資金が足りなくなり、研究開発の縮小や配当の引き下げにつながるリスクがあります。
長期的に配当収入を維持し続けるために、アステラス製薬の株主は、今後も企業の業績や方針をチェックしておきましょう。
競合4社との比較
前期(2024年3月期)のアステラス製薬の配当利回りと配当性向を競合他社と比較しました。
会社名 | 配当利回り | 配当性向 |
アステラス製薬(4503) | 3.58% | 736.4% |
武田薬品工業(4502) | 4.28% | 204.14% |
大塚ホールディングス(4578) | 1.65% | 18.93% |
第一三共(4568) | 1.14% | 47.76% |
中外製薬(4519) | 1.60% | 41.63% |
参照元:みんかぶ
上記5社は、日本の5大製薬会社です。
アステラス製薬の前期の配当利回りは、武田薬品工業に次ぐ2位の成績でした。
今期は3位になる見込みですが、安定して2%以上をキープしているのは、アステラス製薬と武田薬品工業のみです。また、配当性向はダントツの数値を記録しています。
現時点でアステラス製薬は、競合他社と比較しても配当金で利益を狙いやすい投資先だと言えるでしょう。
アステラス製薬の株主優待
アステラス製薬には、株主優待がありません。
株主優待が充実している株を探しているときは、こちらの「【お得な株主優待】初心者でも購入しやすい人気銘柄5選」をご覧ください。
アステラス製薬の業績|悪化している理由
2025年度(2024年12月末時点)を含む過去5年分のアステラス製薬の業績は、以下の表のとおりです。
(単位:百万円)
決算情報 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
2025年3月期 | 1,453,029 | -22,481 | -29,317 | -24,149 |
2024年3月期 | 1,603,672 | 25,518 | 24,969 | 17,045 |
2023年3月期 | 1,518,619 | 133,029 | 132,361 | 98,714 |
2022年3月期 | 1,296,163 | 155,686 | 156,886 | 124,086 |
2021年3月期 | 1,249,528 | 136,051 | 145,324 | 120,589 |
参照元:アステラス製薬|決算関連資料、みんかぶ|アステラス製薬 (4503)
アステラス製薬の純利益は、2022年3月期には1,200億円台を記録していました。
しかし、2024年3月期には170億円へと急減し、2025年3月期第3四半期では241億円の赤字となっています。
直近3年間で業績が悪化しているおもな理由は、以下のとおりです。
- 新薬や開発品の販売不振(目の疾患、更年期障害、筋ジストロフィーなど)
- 開発品の減損損失の計上(IZERVAY関連、遺伝子治療プログラムなど)
- 積極的なM&Aに伴う償却費の増加(IVERIC bio社)
- 業績の下方修正の繰り返しで信頼性が低下
アステラス製薬によると、新製品の開発によって今後は収益力が伸びると見込んでいます。
しかし、現状ではアステラス製薬の業績は減少傾向にあるため、企業の方針や競合他社との業績を比較しながら投資先を決めましょう。
アステラス製薬の事業内容
アステラス製薬は新薬の研究や製造、販売を行なっている企業です。
おもに以下の流れで、世界70ヶ国以上で医薬品を提供しています。
- 研究:新薬の候補を見つける
- 開発:安全性と有効性を確認する
- 製造:徹底した品質管理のもとで医薬品を作る
- 販売:医療関係者や患者に製品や詳しい情報を提供する
- ライフサイクルマネジメント:臨床報告や研究結果をもとに製品の改良を行う
ほかにも、デジタル技術を活用して「新薬の開発」や「患者の健康管理」など、新たな医療サービスを提供しています。
将来的には「研究費用を約60%削減できる」との試算もあり、アステラス製薬はコスト削減しながら他の事業を展開していく可能性があるでしょう。
アステラス製薬と競合他社の業績比較
アステラス製薬と競合他社の業績を比較してみましょう。前期(2024年3月期)の業績は、以下のとおりです。
(百万円)
会社名 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
アステラス製薬(4503) | 1,603,672 | 25,518 | 24,969 | 17,045 |
武田薬品工業(4502) | 4,263,762 | 214,075 | 52,791 | 144,067 |
大塚ホールディングス(4578) | 2,329,861 | 323,564 | 335,854 | 343,120 |
第一三共(4568) | 1,601,688 | 211,588 | 237,234 | 200,731 |
中外製薬(4519) | 1,170,611 | 542,002 | 543,0343 | 87,317 |
参照元:みんかぶ
アステラス製薬の前期純利益は約170億円と、競合他社と比べて低い水準です。
とくに、中外製薬(約3,873億円)や大塚ホールディングス(約3,431億円)と比較すると、20分の1以下の規模となっています。
直近5年間の業績でも、多くの競合他社が前期に過去最高益を更新するなか、アステラス製薬のみが大幅な減益を記録しました。
アステラス製薬は将来的に収益力が回復すると見込んでいますが、現状では業績が良くありません。
継続配当が期待できる企業に投資するために、アステラス製薬の業績や方針、開発状況などを競合他社と比較しながら投資先を決めましょう。
アステラス製薬の株価
アステラス製薬の株価は、1,404円(2025年4月2日終値)です。以下のチャートでは、直近10年間の株価の推移を示しています。
出典:Yahoo!ファイナンス|アステラス製薬(株)【4503】
約10年前、アステラス製薬の株価は2,000円前後で取引されていました。
その後、何度も上昇と下落を繰り返し、2023年6月には2,300円台を記録。以降は大幅に値下がりして、現在は1,400円台で推移しています。
2026年までの収益は横ばいが示唆されておりキャピタルゲインはしばらく期待できません。配当は5%超えの高配当なのでインカムゲイン投資の方は良さそうに見えますが、減益が続くと配当に影響しますので業績を確認しながら慎重な投資が必要になります。

また、アステラス製薬と競合他社の株の値動きについては、以下の表を参考にしてみてください。
会社名 | 現在の価格 | 年初来高値 | 年初来安値 |
アステラス製薬(4503) | 1,468円 (2025年4月2日終値) | 1,560円(2025年1月15日) | 1,365円(2025年4月3日) |
武田薬品工業(4502) | 4,458円 | 4,573円(2025年3月21日) | 4,012円(2025年1月23日) |
大塚ホールディングス(4578) | 7,593円 | 8,631円(2025年1月7日) | 7,054円(2025年2月20日) |
第一三共(4568) | 3,582円 | 4,564円(2025年1月22日) | 3,366円(2025年2月28日) |
中外製薬(4519) | 6,585円 | 7,979円(2025年2月26日) | 6,288円(2025年1月30日) |
参照元:Yahoo!ファイナンス|日本株
アステラス製薬の自己株式取得
2025年3月期において、アステラス製薬は自己株式取得を実施していません。
ただ、資本効率の向上や株主還元を目的として、過去に何度も自己株式取得を実施しています。
詳細は以下のとおりです。
取得期間 | 取得株式数 | 取得価額の総額(千円) | 消却日 |
2023年2月7日~2023年3月15日 | 26,188,50株 | 49,999,962 | 2023年3月29日 |
2022年2月3日~2022年3月9日 | 25,935,500株 | 49,999,849 | 2022年3月29日 |
2019年11月1日~2020年1月31日 | 27,036,100株 | 49,999,815 | 2020年2月14日 |
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まとめ
本記事では、アステラス製薬の配当金について解説しました。
アステラス製薬の2025年3月期の配当金は、1株あたり年間74円が予定されています。
100株を持っていれば、税引き後の5,869円がもらえる予定です。
12期連続での増配に加え、2期連続での配当性向100%超えにより、配当利回り約5%の「高配当株」としても注目されています。
しかし、近年のアステラス製薬は新薬の販売状況が不調であり、業績が徐々に悪化しています。
将来的に業績が回復する見込みですが、利益が少ない状態で多くの配当金を出していると、いずれ企業の資金が足りなくなるでしょう。
配当金を長く受け取り続けるために、アステラス製薬の企業方針や競合他社の業績などをチェックしながら投資先を検討してみてください。
銘柄選びの参考になれば幸いです。
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