株式分割とは?企業側と投資家側それぞれのメリット・デメリット紹介

株式分割のイメージ

最近は新NISAなどが話題となり、個人投資家の人口も増えてきました。

ネットなどでも数多くの投資情報が流れており、YouTubeで株式投資を解説するようなものも増加傾向になります。

しかしながら、なかなか専門用語について解説してくれているものは見当たらないというのが現状ではないでしょうか。

今回は、株式投資に関わる専門用語の中で、「株式分割」について解説します。

企業側と投資家側それぞれにあるメリット・デメリットについてや2024年株式分割予定の企業についてわかりやすく解説していきます。

株式分割の基礎知識

グロース株とバリュー株、株式投資をするならどっち?違いとメリット・デメリットも解説のイメージ

まずは「株式分割とは何か?」や「どうして株式分割が行われるのか?」について説明します。

株式分割に関する基本的なことを押さえて、株式投資への理解を深めていきましょう。

株式分割とは?

 

株式分割とは、株式会社が発行済みの株式を分割して株数を増やすことです。

株主に対して無償で株数の保有を増やすことになることから、「株式無償割り当て」とも呼ばれています。通常、1:2や1:5といった整数倍で分割することが多いのですが、整数倍ではない分割が行われることがあります。

例えば、1:2で株式分割するとなると、100株を保有する投資家には200株の株式が分配されます。

株数が増えても会社の価値は変わらないので、基本的には分割された分だけ1株当たりの価格が修正されます

株式分割の割合は、会社が取締役会で自由に決定することができます。

2001年6月に実施された法改正で、分割後の1株あたりの純資産の下限が撤廃されたため、現在は大幅な株式分割が可能になりました。

株式分割が行われる理由

 

株式分割が行われる理由は、主に以下の通りです。

・株式の流動性を確保するため

分割することで1株の価格が下がり、少ない資金で購入が可能となります。これにより、多くの投資家によって売買が行われ、株価の上昇も期待できます。

・市場の上場基準を満たすため

現在、東証ではプライム・スタンダード・グロースという3つの市場が存在しています。

それぞれの市場には流通株式数などの基準をクリアする必要があるため、スタンダード市場からプライム市場への市場変更を行いたい場合などに株式分割を行うことがあります。

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・実質増配という株主還元のため

株式分割をすると、1株あたりの価値は下がりますが、配当金などが据え置きならば、既存の株主にとっては実質増配となります。株主還元の形の一つといえます。

 

企業側にとっての株式分割のメリット・デメリット

株のメリット・デメリットのイメージ

株式分割は、企業側にとっても投資家にとってもメリット・デメリットがあります。まずは企業側における株式分割のメリット・デメリットについて詳細に説明していきます。

企業側における株式分割のメリット

 

企業側における株式分割のメリットは主に以下の通りです。

・株価の安定

株式分割を行うと、1株あたりの単価は下がりますが株式総数が増えます。株価が下がることで株式自体は購入しやすくなります。

個人投資家などに支持されれば、株主数が増えて株価形成の安定性が増します。つまり、株主が増えることで大口投資家による売買の影響などを軽減することができるわけです。

・企業の信用性の向上

多くの株主の注目を集めることで、買い注文が入り、一般的に株式分割後は株価が上がりやすいです。株価の上昇は、時価総額の上昇につながります。

これにより企業の信用性が高まり、資金調達などの面で有利に働き、新たな経営判断ができるようになったりします。

・株式数だけを増やすことができる

株式分割をすれば、株式数だけを増やすことができます。株式分割と比較されるものとして増資が挙げられますが、増資の場合は新規に株式を発行して投資家から出資を募って資金調達することになります。

株式分割は資金調達を必要としないけれど株式数を増やしたい時に企業が実施できます。

企業側における株式分割のデメリット

 

企業側における株式分割のデメリットは主に以下の通りです。

・信用度が低下する可能性もある

基本的に株式の流動性が高まるので株価上昇などが期待されるのですが、株価が大きく変動するため、市場がネガティブに判断すると株価が下落する可能性があります。

企業の信用が低下することもあり、一概に株式分割すればメリットばかりとはいえません。

・株式分割のためのコストがかかる

まず、株式分割後の登記や法定資料の準備など事務コストがかかります。これらのコストを負担しても株式数を増やしたい場合に株式分割が行われるとみて良いでしょう。また株式数が増えると新規参入者などが増えます。

特に株主数が増えるということは、それだけ管理コストがかかることになります。株主数が増えれば株式総会の開催規模が大きくなるため、会場を押さえる必要が出てきます。

株主対応としても総会通知などを郵送したり、問い合わせ先を設けるといったコストがかかります。

・投機的な投資家が増える可能性がある

業績が伴わない非現実的な株式分割を行うと、投機的な投資家が売買をする可能性があります。そうなると、不当な株価の吊り上げなどが起こり、株式のボラティリティが高まります。

株価の乱高下が起こり、不安定な状況になるケースも起こり得ます。

 

投資家側にとっての株式分割のメリット・デメリット

株の取り引きのイメージ

企業にとってもメリット・デメリットがある株式分割ですが、投資家側にとっても株式分割にはメリット・デメリットがあります。

株式分割した企業の株式を購入する際は、メリット・デメリットをしっかり理解してから検討するのがおすすめです。

投資家側における株式分割のメリット

 

投資家側における株式分割のメリットは主に以下の通りです。

・株価の上昇が期待できる

企業側にとってのメリット同様、株式の流通量が増加することで、株価の上昇が期待できます。株価が上昇すれば、保有株主にとっては資産が増えます。

また、既存株主からすれば、1:2の株式分割で100株の保有株が200株に増えるので、株価の上昇に合わせてキャピタルゲインを得やすくなります。

・売買しやすい環境になる

株式分割によって、株式数の増加や新規投資家の参入があったりと、売買取引が活発になることが多いです。

したがって、購入したい時に購入でき、売却したいときに売却できるメリットがあります。さらに1:2の株式分割で既存株主が100株保有していたら、保有株式が200株に増加します。

この時売却する際にも、200株全部売ることもできますし、100株だけ売却して100株だけ保有し続けるといった選択をとることもできます。

・新規に株式を購入しやすい

株式分割によって1株あたりの単価が下がるので、新規に株式を購入しやすい傾向にあります。さらに企業の成長性などに期待できるなら、株価が安くなる分買い時と判断できるタイミングともいえます。

・配当金などが多くもらえる可能性がある

企業によりけりですが、1株あたりの配当金額を据え置きにするところが多いので、既存投資家にとってはインカムゲインによりお得感が出ます。

実質増配となるケースも多く、既存株主にとっては配当金を多く受け取れるのも魅力です。

株主優待も以前通りの株数で据え置きとなれば、分割後の安い株価で分割前と同じ優待がもらえます。

投資家側における株式分割のデメリット

 

投資家側における株式分割のデメリットは主に以下の通りです。

・株価の安定性を欠く可能性がある

株式分割をすると、特に分割直後は頻繁に売買取引が行われるため、株価の変動が大きくなります。

ボラティリティが高くなってしまうため、株価の安定性を欠くので、安定的に株式を保有したい人にとってもデメリットといえるでしょう。

投機筋などの取引が頻発すると、高騰や暴落が起こりやすく、投資初心者にとっては株式を保有してよいかどうかの判断に迷ってしまう可能性もあります。

・端株などが発生し管理コストがかかる

株式分割は株主の許可を必要とせず、企業側の手続きによって実施することができます。分割をする際、分割比率などは取締役会などで決定します。

それゆえ、1:1.1の株式分割などが実施されると、100株保有者は分割後に110株を保有することになります。

このため、端株の10株をどうするか等を考えなければいけません。端株は最低単元株と異なり、売買しづらいところがあります。

株式分割の発表があった時はこうした対策を考えなければならないこともあることを頭に入れておきましょう。

株式分割予定銘柄一覧

2024年9月末日までに株式分割を予定している企業の一覧です。詳細は企業のホームページ等をご確認ください。

分割権利落ち日銘柄市場割当比率
24/09/27ソフトバンク(9434)東証プライム1 → 10
24/09/27北海道瓦斯(9534)東証プライム1 → 5
24/08/29高島屋 (8233)東証プライム1 → 2
24/08/29ローツェ(6323)東証プライム1 → 10
24/08/29岡谷鋼機(7485)名証1 → 2
24/06/27タムロン(7740)東証プライム1 → 2
24/06/27日立製作所(6501)東証プライム1 → 5
24/06/27荏原製作所(6361)東証プライム1 → 5
24/06/27勤次郎(4013)東証グロース1 → 2
24/06/27西本Wismettacホールディングス(9260)東証プライム1 → 3
24/06/27日鉄ソリューションズ(2327)東証プライム1 → 2
24/06/27エリアリンク(8914)東証スタンダード1 → 2
24/06/19Genky DrugStores(9267)東証プライム1 → 2
24/05/30 GENDA(9166 )東証グロース1 → 2
24/05/30テンダ(4198)東証スタンダード1 → 3
24/05/30
佐藤渡辺(1807)
東証スタンダード1 → 2
24/05/30IGポート(3791)東証スタンダード1 → 4
24/05/30
大和証券オフィス投資法人 投資証券(8976)
東証REIT1 → 2
24/05/30Macbee Planet(7095)東証グロース1 → 4

引用:SBI証券

 

まとめ

株の分割のまとめのイメージ

株式分割は、その名の通り株式を分割することです。

例えば、1株5,000円の株式を保有している場合、企業が1:5で分割することを決定したとすると1株から保有株は5株となり、1株あたりの価格は1,000円となります。

株式分割は、企業側にとって増資をせずに株式数を増やせたりといったメリットがあります。

その反面、株式分割によって株主が増えると管理コストがかかるといったデメリットもあります。

同時に株式分割は投資家にとってもメリット・デメリット両方あります。

特に株式分割直後は1株あたりの株価が安くなるとはいえ、株価が大きく変動することが多いので投資初心者は売買面で高値掴みなどをしないように気をつける必要があります。

企業が株式分割を行う際にはその目的などを考慮し、個人投資家として今が買いのタイミングかどうかや保有していれば保有し続けるかどうかを検討する余地が生まれます。

株式分割への理解を深めておけば、投資判断をするべき時に迷わずに取り組めるので、どういった仕組みで何のために行われるのかはきちんと把握しておきましょう。

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