
株式会社あおぞら銀行(東証プライム:8304)は、四半期配当型を実施している企業で、年4回にわけて配当金をもらえます。
2025年第1〜3四半期はすべて配当金が支払われており、期末配当も19円が支払われる予定です。
また、直近5年間で見ると配当利回りが6%を超えている年もあり、なぜ配当が高いのか気になる方もいるでしょう。
本記事では、あおぞら銀行の株が高配当である理由や配当利回り、配当金や株価の推移などを解説します。
あおぞら銀行の株は、NISAの成長投資枠でも購入が可能です。
目次
あおぞら銀行の配当金はいくら|年間76円の予想
2025年3月期(2024年4月1日〜2025年3月31日 )あおぞら銀行の株を100株持っていれば、年間7,600円の配当金がもらえますが、この配当をもらうために必要な投資額は221,400円です。(2025年3月4日終値で計算)。
あおぞら銀行の配当金は、業績にあわせて金額が決まります。
2023年3月期までは、年間100円以上の配当金をキープしていました。しかし、2024年に業績が悪化した影響で、2024年第3〜4四半期の配当金は0円。
結果、2024年3月期の年間配当金は、前年(2023年3月期)より50%以上減少しました。2025年3月期の業績は回復しつつありますが、配当金額は前期と同じ76円になる予定です。
直近5年分の配当金の推移を、以下の表にまとめました。
(1株あたり)
事業年度 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 年間合計額 |
2025年3月期 | 19円 | 19円 | 19円 | 19円 (予想) | 76円 (予想) |
2024年3月期 | 38円 | 38円 | – | – | 76円 |
2023年3月期 | 38円 | 38円 | 38円 | 40円 | 154円 |
2022年3月期 | 32円 | 32円 | 40円 | 45円 | 149円 |
2021年3月期 | 30円 | 30円 | 30円 | 34円 | 124円 |
参照元:あおぞら銀行|配当・株主優待制度
配当からは税金が差し引かれます
また、配当金には20.315%の税金がかかります。今期にあおぞら銀行の株を100株持っていれば、実際に支払われる年間の配当金額は以下のとおりです。
【税引後に受け取れる配当金】 (76円×100株)×(1−20.315%)=6,056.06円
配当金にかかる税金や節税方法を知りたい方は、こちらの「配当金に税金はかからない?節税のコツや新NISAで非課税で受け取る方法を解説」記事をごらんください。
あおぞら銀行の配当金はいつもらえる|年4回
あおぞら銀行の配当金は、年4回の決算ごとに支払われます。権利確定日と配当金の支払い時期を、以下の表にまとめました。
項目 | 権利確定日 | 支払い時期 |
第1四半期 | 6月30日 | 8〜9月頃 |
第2四半期 | 9月30日 | 11〜12月頃 |
第3四半期 | 12月31日 | 3月中旬頃 |
第4四半期 | 3月31日 | 5〜6月頃 |
あおぞら銀行の配当金を受け取るには、株主名簿への登録が必要です。配当金を受け取るには、原則として権利確定日の2営業日前までに株を買いましょう。2026年3月期第1四半期の配当をもらうには2025年6月26日15:30までに購入する必要があります。
ただし、証券会社によって買付日が異なるケースがあるため、できるだけ早めに注文を完了させましょう。
あおぞら銀行の配当利回りと配当性向|高配当の理由とは
2025年3月期(予想)において、あおぞら銀行の配当利回りは3.51%で、配当性向は58.4%です。直近5年間の推移は、以下の表をご覧ください。
事業年度 | 配当利回り | 配当性向 |
2025年3月期 | 3.51%(予想) | 58.4%(予想) |
2024年3月期 | 2.73% | -17.78% |
2023年3月期 | 5.87% | 206.24% |
2022年3月期 | 5.78% | 49.69% |
2021年3月期 | 6.30% | 49.94% |
参照元:株式会社あおぞら銀行|2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
日経平均やプライム市場全銘柄の配当利回りの平均値は、1.87〜2.34%です。
2025年3月期において、あおぞら銀行の株は利回りが3.5%を超えているので、高水準だといえます。また、2021年〜2023年3月期の配当利回りは5〜6%であり、あおぞら銀行の株は高配当株としても注目されている投資先です。
あおぞら銀行の株が高配当であるおもな理由は、株価を上げるための施策として株主還元に力を入れているからだと考えられます。
一般的に、配当性向を20〜50%で設定する企業が多いなか、あおぞら銀行の配当性向は2016年〜2023年3月期まで49%以上※の高水準を維持しています。さらに、株価は10年前から50%程度下がっているため、株を安く買えて安定して配当金がもらえるあおぞら銀行の株で配当益を狙う投資家も多いです。
ただ、高配当株にも減配リスクがあるので、長期的に成長できる企業であるかを冷静に判断する必要があるでしょう。
こちらの記事では、高配当が期待できるおすすめの株と高配当株投資のリスクについて解説しています。
新NISA向け【成長投資枠】配当利回り4%超!アナリストおすすめ高配当株10選
また、以下の表では、配当利回りと配当性向を競合他社と比較しました。
会社名 | 配当利回り(2025年3月期予想) | 配当性向(2024年3月期実績) |
あおぞら銀行 (8304) | 3.51% | -17.78% |
セブン銀行 (8410) | 3.78% | 40.36% |
三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306) | 3.10% | 32.89% |
参照元:みんかぶ
表を見るとおり、今期(2025年3月期)のあおぞら銀行の配当利回りは、競合他社と同じ水準です。
あおぞら銀行の株を買おうか迷っているときは、配当利回りや配当性向を競合他社と比較することで、冷静な投資判断ができるでしょう。
配当性向と配当利回りは、企業を評価するときに使う指標です。
配当利回りとは
購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けられるかを示す指標です。計算式は次のようになります。
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100
配当性向とは
税金を差し引いた企業の純粋な利益である当期純利益のうち、配当に回される額を表した割合です。計算式は次のようになります。
配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100
目安となる数値や詳しい計算方法については、こちらの「配当利回りと配当性向とは?違いや計算式、目安となる数値を解説」記事で解説しています。
あおぞら銀行の株主優待|なし
あおぞら銀行は、株主優待を実施していません。
2021年12月末までは「商品券」が貰えたものの、すべての株主へ公平に利益を還元するために廃止となりました。そのため、今後も配当金で株主に利益を還元する可能性が高いです。
株主優待がもらえる銘柄を見たい方はこちらの記事では、株主優待がもらえるおすすめ銘柄を紹介しているので「配当金生活をしたい」という方は参考にしてみてください。
株のプロのアナリストが教える株主優待銘柄の探し方とおすすめ穴場銘柄8選
あおぞら銀行の業績|今期の純利益は180億円黒字の見込み
あおぞら銀行の2025年3月期(2024年12月末時点)を含め直近5年分の業績を以下の表にまとめました。
決算情報 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
2025年3月期 | 171,940 | – | 13,294 | 16,231 |
2024年3月期 | 246,299 | – | -54,816 | -49,904 |
2023年3月期 | 183,292 | – | 7,356 | 8,719 |
2022年3月期 | 134,737 | – | 46,294 | 35,004 |
2021年3月期 | 155,755 | – | 38,982 | 28,972 |
参照元:あおぞら銀行|決算ハイライト
2021年〜2022年3月期の2年間、あおぞら銀行は289億円以上の純利益をあげていました。
しかし、2024年3月期、あおぞら銀行の純利益は499億円の赤字となりました。おもな理由として、以下の3つが挙げられます。
- アメリカの金利が上がり、銀行が保有していた債券が約520億円も値下がりした
- 将来の税負担を減らすために貯めていたお金(繰延税金資産)の一部を取り消した
- アメリカの商業施設向けローンの返済が難しくなるリスクに備えて、あらかじめお金を確保(引当金を計上)した
参照元:日本経済新聞|あおぞら銀行、最終赤字498億円に拡大 24年3月期
大幅な赤字について、あおぞら銀行は「損失を2024年3月期にまとめて処理すれば、次年度からは黒字に戻れる」と説明していました。事実として、2025年3月期は純利益で170億円の黒字を目標としており、12月末時点ですでに162億円の黒字に到達しています。
あおぞら銀行の株でインカムゲインを狙いたい方は、今後も業績を回復し続けられるのか、四半期ごとの決算情報をチェックしましょう。
あおぞら銀行の事業内容
あおぞら銀行のおもな事業内容は、金融事業です。以下の5つのグループに分かれて事業を展開しています。
それぞれ解説します。
法人営業グループ
法人営業グループは、企業に対して、お金を借りる手助け(資金調達)や経営の問題解決などのサポートを行っている部門です。企業の合併や買収(M&A)のアドバイスや、事業承継の相談にも対応しています。
とくに、後継者がいない中小企業には、優れた技術やスキルを持った人材が失われないよう、次世代へ引き継ぐサポートに力を入れています。
マーケットグループ
マーケットグループは、為替や債券などの金融市場での取引を担当する部門です。
円やドルなどの外国通貨の価格変動リスクを抑える商品(デリバティブ)を提供し、企業のリスク管理をサポートしています。
カスタマーリレーショングループ
カスタマーリレーショングループでは、地域の金融機関や個人のお客様に対して金融サービスを提供しています。
「BANK」というスマートフォンアプリを活用すれば、実店舗に行かなくても預金や投資信託、資産運用のアドバイスなどのサービスを受けられます。
インターナショナルビジネスグループ
インターナショナルビジネスグループは、海外との取引を担当している部門です。ニューヨーク、ロンドン、東京の3つの拠点で世界中の企業に融資を行っています。
ヨーロッパやアメリカなどの大企業への融資が中心ですが、成長が著しいアジア地域でも現地のパートナー企業と協力して事業を展開しています。
ストラクチャードファイナンスグループ
ストラクチャードファイナンスグループは、仕組みが複雑な融資を提供する部門です。企業の買収資金を融資する仕組み(LBOファイナンス)や、太陽光や風力などの再生可能エネルギー事業への投資を支援しています。
また、オフィスビルやマンションなどの不動産融資も手がけており、2022年以降は環境関連事業に1,300億円以上の資金を提供しています。
あおぞら銀行と競合他社の業績比較
あおぞら銀行と競合他社の業績を比較してみましょう。前年度(2024年3月期)の業績は、以下のとおりです。
(百万円)
会社名 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
あおぞら銀行(8304) | 246,299 | – | -54,816 | -49,904 |
セブン銀行(8410) | 197,877 | – | 30,526 | 31,970 |
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) | 11,890,350 | – | 2,127,958 | 1,490,781 |
参照元:みんかぶ
2023年3月期まで、あおぞら銀行の純利益はプラスで推移していましたが、2024年3月期は499億円の赤字となりました。同行は「損失を一括処理し、次年度からは黒字回復する」と説明しており、2025年3月期の純利益は180億円になる見込みです。
一方、セブン銀行は純利益で黒字を維持していますが、直近の第3四半期の業績は前年同期より下がっています。また、三菱UFJフィナンシャル・グループは圧倒的な規模を誇り、2024年3月期までの3期連続で1兆円超の純利益を記録しています。
銀行株で配当益を狙うときは、過去の業績や競合他社の業績なども投資判断の参考にしましょう。
あおぞら銀行の株価|アナリスト予想は買いなのか
あおぞら銀行の株価は、2,214円(2025年3月4日終値)です。リアルタイムの株価を見たいときは、こちらのYahoo!ファイナンスで確認できます。
以下のチャートでは、直近10年間の株価の推移を示しています。
出典:Yahoo!ファイナンス|(株)あおぞら銀行【8304】
約10年前、あおぞら銀行の株は4,000円台で取引されていました。
しかし、株価は徐々に下がり、2020年に2,000円を切りました。その後、2,000円以上まで回復し、直近1年間では2,000〜3,000円程度で推移しています。
あおぞら銀行は3.5%配当は魅力的ですが配当性向が-17.78%と収益との整合性には課題が残ります。
今の業績は他のメガバンクとの比較でも若干見劣りする印象です。

また、あおぞら銀行と競合他社の株の値動きは、以下の表を参考にしてみてください。
会社名 | 現在の価格 | 年初来高値 | 年初来安値 |
あおぞら銀行(8304) | 2,214円(以下2025年3月4日終値) | 3,301円 (2024年1月25日) | 2,020円 (2024年2月16日) |
セブン銀行(8410) | 294.6円 | 350円(2024年11月13日) | 240円 (2024年8月5日) |
三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306) | 1,932円 | 2,039円(2025年2月19日) | 1,200円 (2024年1月4日) |
参照元:Yahoo!ファイナンス|日本株
あおぞら銀行の自己株式取得|直近での報告なし
2025年3月期において、あおぞら銀行は自己株式取得を実施しておらず、直近数年間でも報告はありません。
まとめ
本記事では、あおぞら銀行の配当金について解説しました。あおぞら銀行は年4回、配当金を出している企業です。
2025年3月期の配当金は、1株あたり年間76円が予定されています。100株あたり年間7,600円が支払われますが、実際に振り込まれる金額は税引後の6,056円です。
あおぞら銀行の株は高配当株としても人気があり、2021年〜2023年3月期の配当利回りは5〜6%で推移していました。積極的な株主還元により、今期も3.5%以上の利回りが期待されています。
業績を見ると、2024年3月期に純利益が499億円の赤字となりましたが、今期は180億円の黒字に回復する見込みです。
また、10年前と比べて、株価は約50%も下がっているものの、継続して配当金の支払いは続いています。
あおぞら銀行への投資を考えているときは、決算ごとの業績に加えて、競合他社の業績や利回りなどをチェックすることで、冷静な投資判断ができるでしょう。
銘柄選びの参考になれば幸いです。
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