
株式投資の魅力のひとつに株主優待があります。株式の売買が目的の機関投資家と違って、長期保有する一般投資家は、定期的にお得なサービスを受けられたり、商品を安価に購入できたりするのを楽しみにしている人も多いです。
本記事では、株主優待を受けるための銘柄の探し方や穴場銘柄8選を紹介しています。株主優待でお得な銘柄をお探しの方はぜひ参考にしていただければ幸いです。
株主優待とは
株主優待とは、投資している会社から株主が商品やサービスなどの特典を受け取ることです。すべての企業で行われているわけではなく、日本企業に多く見られる特典です。
株主優待を受けるには、一定数以上の株式を権利付最終日に保有している必要があります。必要な株式数は単元株である100株以上が一般的ですが、100株以下の単位未満株でも受け取れる場合があります。
証券会社などの株式に関する情報サイトでは、株主優待の特集が組まれている場合が多く、例えば株式の購入金額が5万円以下など少額でも受けられる情報も公開しているので参考にしてみましょう。
また、株主優待を受けるには、株式の取得日に注意が必要です。権利付最終日や権利確定日などの言葉は難しいですが、一度理解すれば忘れません。下記に日付と取得例を挙げておきます。
日付例 | 状態 | 説明 |
27日 | (権利付き) | |
28日 | ||
29日 | 権利付最終日 | 株式を買う期限 |
30日 | 権利落ち日 | |
31日 | 権利確定日 | 優待の受渡日 |
1日 | (権利落ち) | |
2日 |
株式優待を受けるには、権利確定日の2営業日前の権利付最終日に株式を保有していることが必要です。
株主優待は企業の決算の後に株主に実施され、実際に商品などが手元に届いて利用できるのは、2、3ヵ月後になることが多いです。企業の中には、年2回以上決算が行われ、優待が実施されるところもあります。
権利付最終日は、株主優待のみではなく配当を受ける権利が確定する日でもあります。権利付最終日までは株価は上がっていても、その日を過ぎると株価が下がることが多いです。
値下がりは一時的な場合が多いので、一喜一憂せず保有を続けると良いでしょう。
株主優待の種類
株主が受け取れる株主優待の種類には、次のようなものがあります。
1.ギフト券(商品購入に利用できる)
2.サービス割引券(施設利用やサービス利用する際の割引を受けられる)
3.商品詰め合わせ(企業の商品を受け取れる)
4.商品カタログ(カタログから好きな商品を選べる)
5.株主優待カード(店頭で示すと割引を受ける)
株主優待で取り扱われるのは、食事や贅沢品の他、日用品などもあります。株式情報サイトでは、株主優待の種類や内容で検索できるサービスもあるので、好みに応じて好きな優待を選ぶのもよいでしょう。
お得な株主優待銘柄の選び方
優待株を選ぶ際に、参考となるポイントは次の3つです。
1.優待利回り
2.配当利回り
3.株価の推移
銘柄を選ぶ際には、この3点に注目しましょう。株式情報サイトで検索する際に役立つので参考にしてください。順番に解説していきます。
1.優待利回り
優待利回りとは、株主優待の内容を金銭に換算して、株価に対する割合を利回りとして計算します。計算式は次のとおりです。
優待利回り(%) = 株主優待の金銭的価値 ÷ 購入金額 × 100
購入した株価に対して、株主優待の価値がどれくらいあるかを示したものです。
2.配当利回り
配当は、株式の売買で得られる利益と並んで株式投資の大きなメリットです。もしも株主優待がない銘柄でも、配当がない株式はあまりありません。配当を出さないと株主から追及を受ける場合があるからです。配当利回りの計算式は次のとおりです。
配当利回り(%) = 1株当たりの年間配当金額 ÷ 1株の購入価格 × 100
配当利回りは、株式を保有する一番の金銭的メリットなので、必ず確認しておきましょう。
3.株価の推移
入手したい優待銘柄を探す際には、株価の推移の確認も必要です。企業の株価が順調でないと、配当や株主優待を受け続けられない可能性があるからです。過去数年分の推移と、今後の見通しを持っておくと良いでしょう。
情報サイトでは、優待情報だけではなく、上場している市場名や株価の推移グラフが記載されているので確認しておきましょう。
株主優待の穴場銘柄8選
この章では、前述した配当利回りと優待利回りを考慮した株主優待おすすめの穴場銘柄を5つ紹介します。株式情報サイトでは、決算月別に株主優待の内容が掲載されているところが多いです。
自分に合った株主優待銘柄を探す場合、配当利回りや優待利回り、またはその両方を条件とする方法があります。検索の上位には大手企業だけではなく、あまり知られていない成長企業の銘柄も上がるのが特徴です。
なお、優待内容は変更される場合があるので、企業サイトで必ず確認が必要です。
物語コーポレーション(東証プライム) 3097
物語コーポレーションは、「焼肉きんぐ」などを展開する企業です。株主優待の対象となる株数は100株で、受けられる優待内容は次のとおりです。
項目 | 優待内容 |
100株以上 | 当社全店舗(『焼きたてのかるび』を除く)でご利用いただける 「株主様お食事ご優待券」3,500円相当(年間7,000円分) |
※『焼肉きんぐ』『丸源ラーメン』『二代目丸源』『熟成醤油ラーメン きゃべとん』『お好み焼本舗』『寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵』『しゃぶとかに 源氏総本店』『魚貝三昧 げん屋』『熟成焼肉 肉源』『牛たん大好き 焼肉はっぴぃ』『濃厚中華そば 餃子 丸福』『果実屋珈琲』の各全(※直営・FC全店舗)でご利用可能です。
企業サイト:物語コーポレーション
RIZAPグループ(株)(札証アンビシャス)2928
RIZAPグループ(株)は減量ジムやゴルフ指導の「ライザップ」や廉価ジム「チョコザップ」を中心に小売事業などを展開しています。株主優待の対象となる株数は100株で、受けられる優待内容は次のとおりです。
内容 | 対象株数 |
①chocoZAP半額 ②優待券(RIZAP グループで利用可能) ③優待ポイント(RIZAP グループの商品引き換え可能) | 100株以上:①6カ月 200株以上:①1年 400株以上:①1年(2名)+②5,000円分+③10,000ポイント 800株以上:①1年(4名)+②10,000円分+③14,000ポイント 1,600株以上:①1年(4名)+②10,000円分+③24,000ポイント 2,400株以上:①1年(4名)+②10,000円分+③30,000ポイント 4,000株以上:①1年(4名)+②10,000円分+③36,000ポイント 8,000株以上:①1年(4名)+②10,000円分+③72,000ポイント 16,000株以上:①1年(4名)+②10,000円分+③144,000ポイント |
企業サイト:RIZAPグループ(株)
Aoba-BBT(東証スタンダード市場)2464
インターネットを活用した遠隔型マネジメント教育事業を中心に、主に社会人を対象にビジネスの基礎から専門分野別に分類された講座など提供。。株主優待の対象となる株数は100株で、受けられる優待内容は次のとおりです。
内容 | 対象株数 |
ご優待内容① Aoba-BBTが提供する教育プログラムの中から選りすぐった株主優待対象プログラムを優待価格で受講ができる。 | <優待価格> 100株~ 1,000株未満:10%割引 1,000株以上:20%割引 |
ご優待内容② | 100株~ 1,000株未満:無料レッスン2回分(4,180円(税込)相当) |
ご優待内容③ | 全ての株主様 入学金9,900円(税込)免除 |
ご優待内容④ | 100株~ 1,000株未満:優待価格61,600円(税込) 50,000株~100,000株未満:無料 |
ATAMIせかいえ平日宿泊(プレミアム(月の道))1泊分(1室:2名様利用)通常価格:96,800円(税込) | 100,000株(1,000単元)以上:無料 |
上記以外に |
企業サイト:Aoba-BBT
昭文社HD(東証スタンダード) 9475
「マップル」など地図出版やガイドブックなどで有名な企業。旅行先のレジャー予約などにも力を入れています。株主優待の対象となる株数は100株で、受けられる優待内容は次のとおりです。
項目 | 優待内容 |
100株以上 | EC サイトサービス「昭文社オンラインストア」でご利用いただける、3,000 円分クーポンコードをお届けします。昭文社オンラインスト、アにある全商品でご利用いただけるほか、送料も無料となります。また、合計で税込 3,000 円を超える場合でも、超過分のお会計をいただくことで、商品をお届けが可能です。 |
企業サイト:昭文社HD
カーチスホールディングス( 東証スタンダード)7602
カーチスホールディングスは、東証スタンダードの上場企業で、中古車の買取大手です。
項目 | 優待内容 |
100株以上 | 30,000円相当のサービスが受けられます。 優待内容:車の購入や売却で利用可能です。利用条件の詳細は、カーチスに問い合わせが必要です。 |
企業サイト:株式会社カーチスホールディングス
フィスコ(東証グロース)3807
フィスコは、東証グロース上場企業で、金融情報の提供などを行っています。近年は暗号資産事業も展開しているので、優待内容もそれを反映したものとなっています。
項目 | 対象株数と内容 |
クラブフィスコのIPOナビ(リミテッド) | 無料クーポン ・100株以上 1ヵ月無料クーポン(6,600円相当) ・2,500株以上 3ヵ月無料クーポン(19,800円相当) ・5,000株以上 6ヵ月無料クーポン(39,600円相当) |
暗号資産「FSCC」 | 必要株数100株以上で、500円相当 ※FSCCを受け取るためには株式会社カイカエクスチェンジが運営する暗号資産交換所「Zaif」に口座をお持ちの株主様が対象。 |
企業サイト:フィスコ
太洋物産(東証スタンダード)9941
太陽物産はアメリカ・中国を始めとする世界各国からの農畜産物輸入をおこなっている会社です。株主優待の対象となる株数は500株以上となっていますが配当利回りが高い穴場銘柄です。
内容 | 対象株数 |
「太洋物産プレミアム優待倶楽部」において、保有するポイント数に応じて、お米やブランド牛などのこだわりグルメ、スイーツや飲食類、銘酒、家電製品、選べる体験ギフトなど5,000種類以上の商品から選択可能。社会貢献活動への寄付も選択可。 また、他のプレミアム優待倶楽部導入企業の優待ポイントと合算が可能な共通株主優待コイン「WILLsCoin」にも交換可能。 | 500株以上で20,000ポイント(20,000円相当) 1,000株以上で 60,000ポイント(60,000円相当) |
企業サイト:太洋物産
NISSOホールディングス(東証プライム)9332
NISSOホールディングス(株)は事務派遣・紹介事業、介護福祉事業、障がい者雇用、海外での人材サービスなど、
さまざまな分野において事業を展開しています。株主優待の対象となる株数は300株以上となっていますが2000株以上だと配当利回りが高い穴場銘柄です。
内容 | 対象株数 |
保有株式数に応じて株主優待ポイントを贈呈。「NISSOプレミアム優待倶楽部」において、ポイントを食品、電化製品などへ交換可能。また他のプレミアム優待倶楽部導入企業の優待ポイントと合算可能な共通株主優待コイン「WILLsCoin」にも交換可能。 | 300株以上 3,000ポイント(3,000円相当) 500株以上 6,000ポイント(6,000円相当) 700株以上 10,000ポイント(10,000円相当) 900株以上 15,000ポイント(15,000円相当) 1,000株以上 20,000ポイント(20,000円相当) 2,000株以上 50,000ポイント(50,000円相当) |
企業サイト:NISSOホールディングス(株)
今回は、優待と配当に関して年間の利回りで選びました。実際に銘柄を選ぶ際には、次の例のように検索条件を工夫して合った銘柄を探すようにしてください。
• 優待内容を日用品に固定
• 決算月を3月に限定
• 条件を優待利回りのみに指定
• 取引市場を東証プライムに限定
株主優待の注意点
株主優待を目的として、株式を購入する際に注意すべき点は次の4つです。
1.株価の推移を確認する
2.信用取引は株主優待を受けられない
3.単元株数が条件でない場合がある
4.本人以外は利用できない場合がある
5.株主優待は廃止になる可能性もある
順番に解説します。
1. 株価の推移を確認する
株主優待がいくら充実した内容でも、株価が下落して回復の見込みがなければ含み損となってしまうため、優待だけを目当てに株を購入するのにはリスクがあります。
例えば、一般の株式投資であれば給与所得など他の所得と損益通算できますが、NISAを利用する場合は損益通算ができません。
また、実際に株式を購入する場合は、企業の業績や今後の株価の見通しを確認する必要があります。配当利回りと優待利回りのみに着目して購入するのはおすすめしません。業績が悪くても配当だけを無理をして出し続けるような企業もあるかもしれません。
利回り計算で選んだ企業であっても、株価自体が下がってしまえば、利回り計算も低下する点にも注意しましょう。
2. 信用取引は株主優待を受けられない
信用取引で行う株式は、投資家のものではなくあくまでも証券会社のものなので、株主優待が受けられません。信用取引には、証券会社などの審査を受けて行う信用買いや信用売りがあります。
投資家の保有する現金で行う現物取引に慣れると、信用で行う取引を行うと取引量が増えるので便利ですが、株主優待を受けられない点に注意しましょう。
3.単元株数が条件でない場合がある
株主優待を受けられる株数は、単元株とは限りません。優待の対象となる株数は企業ごとに決められているので必ず確認しましょう。
単元株は通常100株であることが多いですが、優待のための対象株式数が別途制限されている場合があります。
単元株数以上や未満株でも受けられる場合があります。また、保有する株式数が多ければ、段階的に受けられる内容も異なる場合があるので確認が必要です。
4. 本人以外は利用できない場合がある
株主優待の中身によっては、名義人本人しか利用できない場合があります。例えば、金券や取り寄せカタログは本人以外でも利用できる場合がありますが、店頭で本人確認が必要なものもあります。優待内容を他人に譲渡したい場合は、必ず利用条件を確認しましょう。
5.株主優待は廃止になる可能性もある
株主優待は未来永劫に続く制度ではありません。そのため、業績が悪くなれば優待価格が減額されたり、廃止になることもあります。そうなれば、株価は大幅に下落する可能性が高くなります。
まとめ
株主優待とは企業が株主に贈る特典のことです。株主優待を受けるには、次の条件を満たす必要があります。
1.決算月
2.対象となる株式数
3.権利確定日
これらの情報は、優待目的で投資する際検索する際にも役に立ちます。株式の情報サイトでは、決算月ごとの株主優待情報があるので注意して見てみましょう。
優待株を検索する際には、内容だけではなく次の点に気をつけてください。
1.優待利回り
2.配当利回り
3.株価の推移
自分のほしい銘柄を調べるには、配当利回りと優待利回りを合算するか、優待利回りのみでの検索が可能です。
本記事では株主優待に着目しましたが、株主優待だけを目当てに株を購入するのはリスクがあります。企業の業績や株価の見通しなどを考慮して、総合的に選びましょう。
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