
エヌビディア(NVIDIA)は、AIに必要な高性能GPU(画像を処理する装置)を開発しているアメリカの半導体メーカーです。
米国株への投資を考えていると「エヌビディアの配当金は魅力的なのか?」と疑問を抱く方もいるのではないでしょうか。
結論、2025年1月期のエヌビディアの配当金は1株あたり年間5.7円で、配当利回りも0.03%程度と低水準です。
本記事では、エヌビディアの配当金の詳細と少ない理由、投資リスクについて解説します。
企業の強みも紹介しているので、エヌビディアが自分の投資先に合うかどうかの参考にしてみてください。
目次
エヌビディア(NVIDIA)の配当金
エヌビディア(NVIDIA)の配当金について、以下の3つのポイントを解説します。
- 日本円でいくら?
- いつもらえる?
- 配当利回りと配当性向
エヌビディアの配当金の実態を把握し、投資先として適切かどうか冷静に判断しましょう。
日本円でいくら?|年間約5.7円
2025年1月期のエヌビディアの配当金は、1株あたり年間0.04ドル(約5.7円)※です。※以下為替は2025年6月2日終値(1ドル=142.69円)で計算
過去3年分の配当金の推移を、以下の表にまとめました。
(1株あたり・株式分割調整後)
事業年度 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 年間合計額 |
2026年1月期(予想) | 0.01ドル | 未定 | 未定 | 未定 | 0.04ドル |
2025年1月期 | 0.004ドル | 0.01ドル | 0.01ドル | 0.01ドル | 0.034ドル |
2024年1月期 | 0.004ドル | 0.004ドル | 0.004ドル | 0.004ドル | 0.016ドル |
2023年1月期 | 0.004ドル | 0.004ドル | 0.004ドル | 0.004ドル | 0.016ドル |
参照元:NVIDIA Corporation|Fundamentals、Fintel|NVDA 株式配当履歴
※2024年6月10日に株式分割(10分の1)を実施
2025年1月期第2四半期から、エヌビディアの配当金は1株あたり0.01ドルに増配されています。
株式分割(10分の1)を考慮すると、エヌビディアは2期連続での増配となる見込みです。
いつもらえる?|年4回!4月・6月・10月・12月の予定
エヌビディアの配当金は、年4回にわけて支払われます。 エヌビディアの配当金が支払われる時期と株主確定日を、以下の表にまとめました。
項目 | 株主確定日 | 支払い時期 |
第1四半期 | 3月上旬 | 4月上旬 |
第2四半期 | 6月上旬 | 6月下旬 |
第3四半期 | 9月上旬 | 10月上旬 |
第4四半期 | 12月上旬 | 12月下旬 |
参照元:NVIDIA|NewsRoom
エヌビディアの配当金を受け取るには、株主確定日までに購入して保有する必要があります。証券会社での注文反映に時間がかかったり、現地時間で日付を超えたりする可能性があります。
エヌビディアの配当金を狙うときは、余裕をもって注文を完了させましょう。
配当利回りと配当性向
2026年1月期の予想では、エヌビディアの配当利回りは0.03%、配当性向は1.14%です。過去3年分の推移については、以下の表をご覧ください。
事業年度 | 配当利回り | 配当性向 |
2026年1月期(予想) | 0.03% | 1.14% |
2025年1月期 | 0.02〜0.03% | 不明 |
2024年1月期 | 0.03〜0.07% | 不明 |
2023年1月期 | 0.07〜0.12% | 不明 |
参照元:koyfin|NVIDIA Corporation (NVDA)Dividend Date & History、Investing.com|エヌビディア 株式配当
日本の「高配当株」の利回りは3〜4%以上が目安ですが、エヌビディアの配当利回りは0.03%と低水準です。
現状でエヌビディアの株は「成長株」との位置付けなので、将来的な増配や値上がりに期待すべきでしょう。
エヌビディア(NVIDIA)の配当金が少ない2つの理由
エヌビディア(NVIDIA)の配当金が少ないと感じるおもな理由は、以下の2つです。
企業の還元方針を理解し、銘柄選びの参考にしてみてください。
利益を再投資しているから
エヌビディアの配当金が少ない理由は、利益の多くを研究開発や事業拡大に再投資しているからです。とくに、研究開発費は年々増加しており、過去5年間で以下のように投資しています。
(単位:百万ドル)
事業年度 | 研究開発費(前期比) |
2025年1月期 | 8,675(+18.2%) |
2024年1月期 | 7,339(+39.31%) |
2023年1月期 | 5,268(+34.25%) |
2022年1月期 | 3,924(+38.71%) |
2021年1月期 | 2,829(+19.07%) |
※参照元:finboard|NVDA (NVIDIA CORP) 研究開発費
直近では、アメリカ国内でAI製品の生産工場新設に向けて動いているとの発表もあったため、自社への成長投資はまだ続く見込みです。
エヌビディアが自社の価値を高めることで、将来的には株価や配当金の上昇につながり、株主への利益還元が期待できるでしょう。
参照元:NVIDIA|NVIDIA、米国で初めて国産 AI スーパーコンピューターを製造
過去に見かけ上の減配を実施しているから
株式分割の影響により、エヌビディアは過去に「見かけ上の減配」を記録しました。
2021年7月に実施された4対1の株式分割により、配当金額が0.16ドルから0.04ドルに減額されています。(参照元:Fintel|NVDA 株式配当履歴)
しかし、株式分割では1株あたりの価値(株価、配当金など)も分割されるため、実質的な配当金額は変わりません。
米国株では1株あたりの価格が高くなりすぎないよう、株式分割を頻繁に実施する企業が多いです。
それでも見かけ上は大幅な減配となっているため、米国株に馴染みのない投資家からすると「配当金が減っていて少ない」と感じる可能性があります。
エヌビディア(NVIDIA)とは|AI向けの半導体メーカー
項目 | 内容 |
名称 | NVIDIA Corporation(エヌビディア コーポレーション) |
設立 | 1993年 |
本社 | アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サンタ・クララ |
代表者 | Jensen Huang(ジェンセン・ファン) |
事業分野 | ・データセンター事業:AI向けの高性能GPUを提供 ・ゲーム事業:ゲーミングGPU「GeForce」シリーズの開発 ・システム開発事業:自動運転技術やロボティクスのシステム開発 ・専門家向けシステム開発事業:クリエイター向けのシステム開発 |
エヌビディア(NVIDIA)は、時価総額が米国トップクラスの半導体メーカーです。
もともとはゲーム用画像処理システムを開発していた半導体メーカーで、現在はAI時代の中核を担う企業へと成長しました。
「GPU(画像を処理する装置)」の開発力に優れており、AIの基盤となるチップでは世界トップシェアを誇ります。
エヌビディアのGPUはAIの学習に適しているため、ChatGPTなどのAIチャットサービスの基盤として活用されています。
エヌビディア(NVIDIA)の3つの強み
エヌビディア(NVIDIA)のおもな強みは、以下の3つです。
エヌビディアの強みを理解することで、将来性と投資価値がより明確になるでしょう。
半導体シェア率で世界1位を誇る
AI関連の半導体市場において、エヌビディアは世界1位のシェア率を誇ります。
なかでも「高性能GPU」の世界シェアは8〜9割と、AI関連の半導体事業ではエヌビディア1強の状態です。
また、AI開発のためのソフトウェアプラットフォーム「CUDA」はAI業界の標準となっており、エヌビディアのGPU製造技術が広く活用されています。
AI事業はどんどん増えていますが、技術力の高いエヌビディアは今後も高いシェア率を維持する可能性が高いでしょう。
複数の大手企業と提携している
エヌビディアは世界中の大手企業と提携し、さまざまな分野でAI技術を活用しています。
2025年5月時点で1,000を超える企業やプロジェクトとパートナー関係にあり、代表的な提携企業は以下のとおりです。
- トヨタ自動車:自動車メーカー(日本)
- 富士通株式会社:総合電機メーカー(日本)
- Microsoft:ソフトウェア開発会社(アメリカ)
- OpenAI:ChatGPTなどのAIの開発企業(アメリカ)
- TSMC(台湾積体電路製造):半導体メーカー(台湾)
大手企業との提携でエヌビディアの技術が広まれば、企業価値が高まって株価や配当金の上昇にも期待が高まります。
業績が徐々に伸び続けている
2026年1月期の予想を含むエヌビディアの業績を、以下の表にまとめました。
(単位:百万ドル)
事業年度 | 売上高 | 営業利益 | 当期利益 |
2026年1月期(予想) | 199,764 | 117,542 | 102,964 |
2025年1月期 | 130,497 | 81,453 | 72,880 |
2024年1月期 | 60,922 | 32,972 | 29,760 |
2023年1月期 | 26,974 | 5,577 | 4,368 |
上記のとおり、エヌビディアは徐々に業績を伸ばし続けています。
2025年1月期にはデータセンター事業での売上が急増したこともあり、過去最高額の業績を記録しました。
また、トランプ政権で「中国に向けた半導体の輸出制限」を受けたものの、2026年1月期第1四半期(2026年2月〜4月)の売上高は前年同期比69%増の440億ドルを記録。
今後もエヌビディアの業績は伸び続ける見込みです。
エヌビディア(NVIDIA)に投資する3つのデメリット
エヌビディア(NVIDIA)に投資する際のおもなデメリットは、以下の3つです。
米国株投資で大きな失敗をしないためにも、エヌビディアへの投資リスクを正しく理解しましょう。
為替リスクを伴う
エヌビディア株などの米国株投資には、為替リスクが伴います。
為替リスクとは、円とドルの交換レートが変わることで、持っている外国株の価値が減ってしまうリスクです。
たとえば、エヌビディア株を「1ドル=150円」で購入し、円高の影響で「1ドル=140円」になった場合、株価が変わらなくても1株あたり10円の損失が発生します。
たとえエヌビディアの株価が上がっても、円高が進めば日本円での利益が減る可能性があることを理解しておきましょう。
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【円安時に注目すべき株式銘柄ガイド】為替通貨変動の勝者になるために
狙える配当益が少ない
エヌビディア株は配当金が少ないため、ほかの投資先より利回りが低いです。
2025年1月期の配当金は、1株あたり年間0.04ドル(約5.7円)で、配当利回りは0.03%でした。
エヌビディア株で大きなインカムゲイン(配当益)を狙うのは難しいでしょう。
将来的に減配リスクがある
エヌビディアは半導体事業に注力している企業なので、AIや半導体のトレンドが過ぎれば業績悪化や減配の可能性があります。具体的には、以下のようなパターンが考えられるでしょう。
- AI開発の需要が下がり、エヌビディアの業績が下がる
- ほかの企業の半導体技術が高まって、エヌビディアのシェア率が下がる
- トランプ政権が「中国への関税政策」を強化しており、取引先や受注数が減少する
業績悪化は減配につながりやすいので、エヌビディアに投資するときはニュースや新聞でこまめに情報をチェックするのがおすすめです。
エヌビディアの株価
エヌビディアの株価は、137.38円です。※2025年6月2日終値

NVIDIA株はAI需要を背景に堅調な上昇基調ですが、短期的な変動が大きい銘柄です。業績発表や技術革新のニュースをチェックし、長期的な成長トレンドを捉えることが大切です。また、こちらの株はキャピタルゲインを狙うのに適していますが、配当金が少ないので配当投資には向かない銘柄です。
以下はNVIDAの株価チャートです。
引用元: tradingview.com
エヌビディア(NVIDIA)の配当金に関するよくある質問
エヌビディア(NVIDA)の配当金に関するよくある質問に回答します。
それぞれ見ていきましょう。
株主優待はありますか?
エヌビディアには、株主優待がありません。
日本株のように株主優待制度を設けている米国株は少数で、株主還元は「配当金」と「自社株買い」を中心に実施されます。
株主優待を優先したい方は、こちらの記事【お得な株主優待】初心者でも購入しやすい人気銘柄5選 を参考にしてください。
エヌビディアの配当金の計算方法は?
エヌビディアの年間配当金は、各四半期の配当金を合計して計算します。合計額を「支払い日の為替レート」で計算した金額が、日本円換算での配当金です。
【2025年1月期の年間配当金の計算シミュレーション(例)】
0.01ドル×4回(4半期ごと)×142.69円=約5.7円
米国株の配当金には米国で10%、日本国内で20.315%の税金がかかります。
「外国税額控除」を受ければ海外での税金が返還される可能性があるので、エヌビディア株の配当金を受け取るときは確定申告を検討してみてください。
エヌビディアの株は何株から買えますか?
エヌビディアの株は1株から購入できます。米国株式には、日本株のような「単元株(100株単位)」の概念がありません。
1株単位で少額投資がずつ挑戦できることは、米国株のメリットだと言えるでしょう。
米国株式を始めたい方はこちらの記事をどうぞ
プロが教える米国株投資:失敗しない証券会社選びと売買の注意事項
まとめ
エヌビディア(NVIDIA)は自社の成長投資を優先し、徐々に企業価値を高めてきました。
結果、現状では配当金が少ないです。
エヌビディアへの投資を検討するときは、以下のポイントをおさえておきましょう。
- 為替リスクや減配リスクを考慮する
- 短期ではなく、将来的な増配に期待する
- 長期保有を前提とした投資計画を立てる
それでも、エヌビディアの技術力は大手企業にも高く評価されており、世界での半導体シェア率はトップです。
米国株投資で損をしないためにも、お金や投資に関する勉強を続けながらエヌビディアへの投資を検討してみてください。
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