
ソニーグループ株式会社(東証プライム:6758)はゲームや音楽、映画などのエンタテインメント事業を中心とする日本の大手電機メーカーです。
2026年3月期の配当金は、1株あたり年間25円が見込まれています。
しかし、ソニーの配当利回りはほかの電機メーカーより低いため、将来的に利益が見込める投資先なのか不安に感じる方もいるでしょう。
本記事では、ソニーの配当金の推移と利回りが低い理由、株主優待、業績について解説します。
ソニーの株はNISAの成長投資枠でも購入できるので、非課税での運用も可能です。
目次
ソニーの配当金はいくら|2026年3月期は増配の予想
2026年3月期の予想では、ソニーの配当金は1株あたり年間25円です。100株あたり年間2,500円がもらえます。
前期と比べると、1株あたり5円増額される見込みです。
100株分の配当金を受け取るためには、383,300円※の投資額が必要となります。※2025年6月6日の終値(1株=3,833円)で計算
過去5年分の配当金の推移を表にまとめました。
(1株あたり)
事業年度 | 年間配当(調整前※1) | 年間配当(調整後※2) | ||
中間配当 | 期末配当 | 合計 | ||
2026年3月期(予想) | 12.5円 | 12.5円 | 25円 | 25円 |
2025年3月期 | 50円 | 10円 | 60円 | 20円 |
2024年3月期 | 40円 | 45円 | 85円 | 17円 |
2023年3月期 | 35円 | 40円 | 75円 | 15円 |
2022年3月期 | 30円 | 35円 | 65円 | 13円 |
※普通株式1株につき5株の割合で株式分割を実施(基準日:2024年9月30日、効力発生日:2024年10月1日)
※1)決算短信に記載された株式分割・併合などを考慮する前の金額
※2)株式分割・併合などを考慮した金額
【配当金からは引かれる税金】
配当金には20.315%の税金が発生するので、実際に受け取れる金額は税引き後の1,992円です。
【税引後に受け取れる配当金】2,500円×(1−20.315%)=1,992,125円
配当金の税金や節税方法については、こちらの「配当金に税金はかからない?節税のコツや新NISAで非課税で受け取る方法を解説」の記事を参考にしてみてください。
ソニーの配当金はいつもらえる|12月上旬と翌6月上旬
ソニーの配当金は、中間と期末の合計2回にわけて支払われます。支払い時期と権利確定日を、以下の表にまとめました。
項目 | 中間配当 | 期末配当 |
権利確定日 | 9月30日 | 3月31日 |
支払開始時期 | 12月上旬頃 | 6月上旬頃 |
ソニーの配当金を受け取るには、株主名簿への登録が必要です。
反映に時間がかかるので、2026年3月期の中間配当を受け取るためには、基準日の2営業日前(2025年9月26日15時30分)までに株を買いましょう。
ただし、証券会社によって買付日が異なるケースがあるため、できるだけ早めに注文を完了させるのがおすすめです。
ソニーの金融事業のパーシャル・スピンオフの2025年9月の配当について
ソニーグループは2025年9月に金融事業のパーシャル・スピンオフを実施し、株主に対して現物配当を行う予定です。
1. 現物配当の内容
- 配当形式: ソニーグループ株主は、保有するソニー株式1株につき、ソニーフィナンシャルグループ(SFGI)株式1株を現物配当として受け取ります。
- 基準日: 現物配当の基準日は2025年9月30日です。この時点でソニーグループの株主名簿に記録されている株主が対象となります
パーシャルスピンオフは、2023年度の税制改正で認められた制度で、会社が特定の事業部門や子会社を分離して、独立した企業として再編成することです。これは、株式を現物配当で株主に分配したり、株式の一部を保有したまま分離・上場させたりする新しい方法です。

ソニーの配当利回りと配当性向
2026年3月期の予想では、ソニーの配当利回りは0.67%、配当性向は10.59%です。直近5年分の推移については、以下の表をご覧ください。
事業年度 | 配当利回り | 配当性向 |
2026年3月期(予想) | 0.67% | 10.59% |
2025年3月期 | 0.68% | 10.6% |
2024年3月期 | 0.65% | 10.8% |
2023年3月期 | 0.67% | 9.9% |
2022年3月期 | 0.53% | 9.1% |
プライム全銘柄の平均配当利回りは2.65%程度ですが、直近4年間のソニーの配当利回りは1%を切っています。
また、配当性向を20〜50%に設定する企業が多いなか、ソニーは10%程度と低いです。
配当性向と配当利回りは、企業を評価するときに使う指標です。
配当利回りは、購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けられるかを示す指標です。計算式は次のようになります。
配当利回り(%)=1株あたりの年間配当金額÷1株購入価額×100
配当性向は、税金を差し引いた企業の純粋な利益である当期純利益のうち、配当に回される額を表した割合です。計算式は次のようになります。
配当性向(%)=1株あたりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100
目安となる数値や詳しい計算方法については、こちらの「配当利回りと配当性向とは?違いや計算式、目安となる数値を解説」記事で解説しています。
ソニーの配当金が少ない理由|自社株買いを合わせた還元方針等
ソニーの配当利回りが低い理由は、主に以下の要因によるものです。
1.株主還元の方針
配当以外に「自社株買い」を組み合わせた株主還元に力を入れています。そもそも、ソニーは「総還元性向」という指標を重視しています。
総還元性向とは「配当金」と「自社株買い」を組み合わせた株主還元割合※のことで、ソニーは過去に何度も自社株買いを実施してきました。
※総還元性向 =(配当金額+自社株買い金額)÷当期純利益×100(%)
自社株買いによってソニー株の流通量が減ると、1株あたりの価値が高まって株価が上がりやすくなる仕組みで、長期的に見るとソニーの株価も右肩上がりに成長しています。
2.成長戦略への資金集中
ソニーは新製品の開発や研究、設備投資、買収資金など、将来の成長を見据えた投資に資金を優先的に回しています。このような戦略により、配当金の支払いを抑えていると考えられます。
第5次中期経営計画 で配当は長期安定的に増配していく方針を打ち出していますので、今後は配当も期待できるようになるかもしれません。
短期での配当益を求める方には物足りないかもしれませんが、成長性を重視する方にとっては魅力的な銘柄と言えるでしょう。
競合他社との比較
2025年3月期のソニーの配当利回りと配当性向を競合他社と比較しました。
会社名 | 配当利回り | 配当性向 |
ソニー(6758) | 0.68% | 10.6% |
日立製作所(6501) | 1.20% | 32.12% |
パナソニックホールディングス(6752) | 3.36% | 30.59% |
三菱電機(6503) | 1.96% | 32.11% |
参照元:みんかぶ(2025年5月26日時点の情報)
競合3社と比べても、ソニーの配当利回りと配当性向は低いです。
現状では、長期的な成長に期待するか、他社の株を組み合わせたポートフォリオで利益を狙うのが現実的でしょう。
ソニーの株主優待|ソニーストアクーポンの配布
ソニーは株主優待を実施しています。優待内容は、通常よりお得にソニー製品が購入できる「ソニーストアクーポン」です。
2024年に配布されたクーポンの内容は、以下を参考にしてみてください。
クーポン名称 | 割引率 | 対象商品 |
株主特典AV | 15%オフ | テレビ、カメラ、オーディオなどのAV商品 |
株主特典VAIO | 5%オフ | VAIO本体(ソニーのPCブランド) |
参照元:ソニーグループポータル|株式全般
株主優待を受けるには、ソニーの株を100株以上所有した状態で「毎年3月末日」の株主名簿に記載される必要があります。
ソニーの株主優待を活用すれば、高額な家電製品でも買い替えやすくなるでしょう。
ソニーの業績
過去5年分(2026年3月期の予想を含む)のソニーの業績を以下の表にまとめました。
(単位:百万円)
決算情報 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
2026年3月期(予想) | 11,700,000 | 1,280,000 | 1,280,000 | 930,000 |
2025年3月期 | 12,957,064 | 1,407,163 | 1,473,726 | 1,141,600 |
2024年3月期 | 13,020,768 | 1,208,831 | 1,268,662 | 970,573 |
2023年3月期 | 10,974,373 | 1,302,389 | 1,274,496 | 1,005,277 |
2022年3月期 | 9,921,513 | 1,202,339 | 1,117,503 | 882,178 |
参照元:ソニーグループ|決算公表資料
過去4年間で見ると、ソニーの純利益は約1兆円前後で推移しており、大幅な増減は見られません。
ただ、2026年3月期において、ソニーの業績は下がると予想されています。
おもな理由としては、アメリカの関税政策の影響で「営業利益」が約1,000億円も減少する見込みだからです。
アメリカへの輸出に高い関税がかかると、主力商品のPlayStation5やテレビなどの製造コストが大幅に上がります。
結果的に商品の価格が上がるため、消費者の購入意欲が下がって売上が落ちると考えられています。
ソニーはアメリカ国内での在庫を増やしたり、生産場所を変えたりといった対策を検討中です。
それでもすぐには短期間での改善は見込みにくいため、ソニーへの投資を検討している方は、関税政策やソニーの決算情報などを随時チェックしておきましょう。
ソニーの事業内容
ソニーグループは以下6つの分野で事業を展開しています。
- ゲーム&ネットワークサービス
- 音楽
- 映画
- エンタテインメント・テクノロジー&サービス
- イメージング&センシング・ソリューション
- 金融
それぞれ紹介します。
ゲーム&ネットワークサービス
ゲームやネットワークサービスに関する事業は、ソニーグループ株式会社の完全子会社である「ソニー・インタラクティブエンタテイメント」が運営しています。
1994年に日本で初代PlayStationを発売して30年以上、ソニーはネットワークサービスを駆使し、さまざまな「楽しい」を世界中に発信し続けています。
音楽
株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントは、音楽に関する事業を幅広く手掛けています。事業内容の一部は、以下のとおりです。
- タイアップ
- 音楽ストリーミング
- ライブエンタテイメント
- アーティスト、タレント、クリエイターの発掘と育成
別事業で展開中の「スマホ」と掛け合わせれば、ソニーのサービスや商品だけで日常のエンタメ空間を作れます。
映画
映画分野を手がける「株式会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント」は、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(米国)の日本支社です。
映画の劇場配給やマーケティング、放送局やデジタル配信サービスへのライセンス提供などを行っています。
エンタテインメント・テクノロジー&サービス
ソニーグループの完全子会社である「ソニー株式会社」は、個人と法人向けに以下のような製品を製造、販売しています。
個人向け | 法人向け |
・カメラ ・テレビ ・オーディオ ・スマートフォン | ・撮影機材 ・クラウドサービス ・ディスプレイ ・プロジェクター ・ネットワークサービス(NURO光) |
イメージング&センシング・ソリューション
ソニーグループは半導体製品の開発や設計、生産、販売などを行っています。
主力はカメラのレンズに使用される「イメージセンサー」で、スマホのカメラでもソニーの半導体技術が活用されています。
金融
金融分野では、ソニーグループの完全子会社「ソニーフィナンシャルグループ」が下記の4事業を担当しています。
- ソニー銀行(銀行事業)
- ソニー生命(生命保険事業)
- ソニー損保(損害保険事業)
- ソニー・ライフケア(介護事業)
「エンタメ」のイメージが強いソニーですが、金融事業でも多くの利用者に価値を提供しています。
ソニーと競合他社の業績比較
ソニーと競合他社の業績を比較してみましょう。
国内大手電機メーカー4社の2025年3月期の業績をまとめました。
(百万円)
会社名 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
ソニーグループ(6758) | 12,957,064 (-0.5%) | 1,407,163 (+16.4%) | 1,473,726 (+16.2%) | 1,141,600 (+17.6%) |
日立製作所(6501) | 9,783,370 (+0.6%) | 971,606 (+28.6%) | 962,733 (+16.6%) | 615,724 (+4.4%) |
パナソニック(6752) | 8,458,185 (-0.5%) | 426,490 (+18.2%) | 486,289 (+14.4%) | 366,205 (-17.5%) |
三菱電機(6503) | 5,521,711 (+5.0%) | 391,850 (+19.3%) | 437,265 (+19.5%) | 324,084 (+13.7%) |
参照元:みんかぶ
※カッコ内の数字は前年同時期の業績と比べた際の増減を%表示したもの
競合他社と比較すると、ソニーの業績は上記4つの項目において業界トップです。また、純利益の伸び率も高く、ほかの企業より大幅な利益アップを達成しています。
他社より配当支出が少ないことも、現状でソニーが競合より利益を残せている理由のひとつでしょう。
ただ、アメリカの関税政策の影響もあり、2026年3月期の純利益は下がると予想されています。
四半期ごとの決算情報や関税政策をチェックしながら、ソニーへの投資を検討してみてください。
日立製作所の配当金については、こちらの「日立製作所の配当金は9期連続プラスで推移!期末配当の予想額や支払日、確定日はいつ?」記事で解説しています。
ソニーの株価
ソニーの株価は、3,833円(2025年6月6日終値)です。以下のチャートでは、直近10年間の株価の推移を示しています。
出典:Yahoo!ファイナンス|ソニーグループ(株)【6758】
長期的に見ると、ソニーの株価は右肩上がりで推移しています。
2020年はコロナショックで多くの企業の株価が下がるなか、ソニーの下落は比較的小さく抑えられています。
一方、2022年ごろに起きた世界的な半導体不足により、製造の遅れや一部商品の注文受付中止が生じ、業績への不安から一時は1,800円台まで下落しました。
それでも、半導体の供給が落ち着いてからは業績も回復し、2025年5月時点で3,600円程度で取引されています。
ソニーの配当金は配当利回りは0.62%と低めですが、ソニーの金融事業のパーシャル・スピンオフの2025年9月の配当でソ保有するソニー株式1株につき、ソニーフィナンシャルグループ(SFGI)株式1株を現物配当として受け取ることができるので魅力的です。今後配当金は増額の方針も打ち出されているので、配当投資も期待ができるようになるかもしれません。

ソニーと競合他社の株の値動きについては、以下の表を参考にしてみてください。
会社名 | 現在の価格 | 年初来高値 | 年初来安値 |
ソニーグループ(6758) | 3,683円 (以下2025/5/23終値) | 3,904円(202/2/18) | 2,980円 (以下2025/4/7) |
日立製作所(6501) | 3,800円 | 4,448円(2025/2/18) | 2,590円 |
パナソニック(6752) | 1,624.5円 | 1,919円(2025/2/18) | 1,364円 |
三菱電機(6503) | 2,986円 | 3,052円(2025/3/17) | 2,267円 |
参照元:Yahoo!ファイナンス|日本株(2025年5月26日時点の情報)
ソニーの自己株式取得
ソニーは自己株式取得を実施しています。
直近3回分の取得情報を表にまとめましたので、参考にしてみてください。
取得期間 | 取得総額 |
2024年5月15日~2024年11月25日 | 2,500億円 |
2023年5月18日~2024年5月17日 | 2,000億円 |
2022年5月11日~2023年5月10日 | 991億円 |
参照元:ソニーグループ|自己株式の取得
まとめ
本記事では、ソニーの配当金について解説しました。2026年3月期において、ソニーの配当金は1株あたり年間25円の見込みです。
100株持っていれば、税引後の1,992円が支払われます。
ソニーは自社株買いと配当金を組み合わせた方針で株主還元を実施しており、現状では右肩上がりに成長している株価に配当金額が追いついていません。
そのため、配当利回りと配当性向は低い状態です。
それでも、業績は日本の電化製品メーカーのなかでトップクラスです。
将来的な利益を狙う方にとって、長期的な還元方針を掲げるソニーは選択肢のひとつとなるでしょう。
銘柄選びの参考になれば幸いです。
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