
日本製鉄株式会社(東証プライム:5401)は、日本の三大製鉄メーカーのひとつで、鉄鋼業界でも業績がトップクラスの企業です。
15カ国以上に拠点があり、世界中で鉄の製造を中心とした事業を展開しています。
10年以上欠かさず配当金が支払われており、2025年3月期(2024年4月1日〜2025年3月31日)の配当金は、前期と同様の年間160円(1株あたり)となりました。2026年3月期は120円と減配の予想がでています。
本記事では、日本製鉄の配当金額やいつもらえるか、配当利回り、配当性向について解説します。
日本製鉄の株はNISAの成長投資枠でも買えるので、非課税での運用も可能です。
目次
日本製鉄の配当金はいくら|2026年3月期は減配予想
2025年度3月期(2024年4月1日〜2025年3月31日)の日本製鉄の配当金は、1株あたり年間160円となりました。そのため、100株(単元株)を保有していると16,000円もらえます。しかし、2026年3月期の当金額は、1株当たり120円の減配予想となっています。
過去7年度分の配当金の推移(1株あたり)を、以下の表にまとめました。
事業年度 | 中間配当 | 期末配当 | 年間合計額 |
2026年3月期(予想) | 60円 | 60円 | 120円 |
2025年3月期 | 80円 | 80円 | 160円 |
2024年3月期 | 75円 | 85円 | 160円 |
2023年3月期 | 90円 | 90円 | 180円 |
2022年3月期 | 70円 | 90円 | 160円 |
2021年3月期 | – | 10円 | 10円 |
2020年3月期 | 10円 | – | 10円 |
2019年3月期 | 40円 | 40円 | 80円 |
配当金は配当所得として20.315%の税金が差し引かれるので、証券口座に振り込まれる金額は9,563円となります。
配当金の税金や節税方法については、こちらの章で解説しています。
日本製鉄の配当金はいつもらえる
日本製鉄の配当金は、中間と期末の合計2回にわけて支払われます。日本製鉄の配当金が支払われる時期と株主確定日を、以下の表にまとめました。
項目 | 中間配当 | 期末配当 |
権利確定日 | 9月30日 | 3月31日 |
支払われる時期 | 11月〜12月頃 | 5月〜6月頃 |
日本製鉄の配当金を受け取るには、株主名簿への登録が必要です。
反映に時間がかかるので、2026年の期末配当を受け取るために、基準日の2営業日前(2026年9月26日15時30分)までに株を買いましょう。
日本製鉄の配当利回りと配当性向
日本製鉄の配当利回りは5.73%(2025年3月期)で、配当性向は45.6%です。2026年は配当利回りは5.17%、配当性向は62.8%の予想になっています。直近5年度の推移については、以下の表をご覧ください。
事業年度 | 配当利回り | 配当性向 |
2026年3月期(予想) | 5.17% | 62.8% |
2025年3月期 | 5.73% | 45.6% |
2024年3月期 | 2.97% | 26.8% |
2023年3月期 | 3.76% | 23.9% |
2022年3月期 | 4.22% | 23.1% |
参照元:みんかぶ|日本製鉄(5401)
日本製鉄の株は「高配当株」としても注目されている銘柄です。日経平均やプライム市場全銘柄の配当利回りは平均2%前後ですが、日本製鉄の株は過去3年間にわたって5〜8%の高水準を維持しています。
しかし2026年3月期の予想は、配当利回りは3.2%(2025年5月23日終値3,750円ベース)に低下し、従来の高配当株としての魅力に陰りが見られます。
おすすめの高配当株をお探しの方は 新NISA向け【成長投資枠】配当利回り4%超!アナリストおすすめ高配当株10選 で解説しています。
また、以下の表では、2025年3月期の実績の日本製鉄の配当利回りと配当性向を、競合他社と比較しました。
会社名 | 配当利回り | 配当性向 |
日本製鉄株式会社(5401) | 5.27% | 62.8% |
JFEホールディングス(5411) | 4.97% | 69.23% |
神戸製鉄所(5406) | 5.64% | 32.82% |
参照元:みんかぶ
日本の三大鉄鋼メーカーと呼ばれる上記3社と比べても、日本製鉄の配当利回りは競合に劣らない水準です。
配当性向と配当利回りは、企業を評価するときに使う指標です。詳しくは「配当利回りと配当性向とは?違いや計算式、目安となる数値を解説」の記事で解説しています。
日本製鉄の業績
2020年度はコロナの影響で製鉄の需要が落ち込み、純利益は324億円の赤字を記録。当時の配当金は10円で、過去10年で最も低い水準となりました。
しかし、その後の業績はV字に回復し、2022年度には過去最高となる約7,000億円の純利益を達成しています。
2023年度以降は、需要が落ち着いた影響もあり、2024年度の中間決算では、前年同期比で純利益が18.9%減少。ピーク時と比べてやや減少していますが、コロナ禍のような大幅な業績悪化には至っていません。
2026年3月期の見通しは?
2026年3月期の事業利益見通しは4,000億円(前期比41.5%減)、当期純利益2,000億円(同42.9%減)と大幅な減益が予測されています。この見通しには、トランプ政権による自動車関税10%追加措置の影響が数百億円規模で織り込まれており、米国市場向け輸出の35%減が見込まれています。
過去5年分の業績を以下の表にまとめました。
(単位:百万円)
決算情報 | 売上高 | 事業利益 | 経常利益 | 純利益 |
2025年3月期 | 8,695,526 | 683,237 | 763,972 | 549,372 |
2024年3月期 | 8,868,097 | 869,657 | 364,254 | 243,347 |
2023年3月期 | 7,975,586 | 916,456 | 866,849 | 694,019 |
2022年3月期 | 6,808,890 | 938,130 | 816,583 | 637,321 |
2021年3月期 | 4,829,272 | 110,046 | -8,656 | -32,432 |
2020年3月期 | 5,921,525 | -284,417 | -423,572 | -431,513 |
※事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費、並びにその他費用を控除し、持分法による投資利益及びその他収益を加えたもの
参照元:日本製鉄|決算情報
日本製鉄の事業内容
日本製鉄はさまざまな事業を展開している企業で、おもに4つの分野にわかれて事業を行っています。
それぞれ紹介します。
製鉄事業
日本製鉄の基幹となっているのが、製鉄事業です。
自動車、船舶、橋、建造物などに使われる鉄鋼製品の製造・販売をしています。厚板や薄板、ステンレス、チタンなど、用途に応じてさまざまな製品を展開。2020年時点での粗鋼生産量は約3,300万トンで、国内シェア39.9%を占めています。
エンジニアリング事業
エンジニアリング事業では、製鉄技術を活かして設備設計・施工を行っている事業です。
オフィスや物流施設だけでなく、大分銀行ドームや東京スカイツリーのような大型施設の施工(特殊鉄鋼)もサポートしています。
また、廃棄物の発電プラントや風力発電など、カーボンニュートラルの実現に向けた技術開発も行っています。
ケミカル・マテリアル事業
ケミカル・マテリアル事業は、2018年10月に「新日鉄住金化学」と「新日鉄住金マテリアルズ」の事業を一体化させた部門です。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
- 新日鉄住金化学:化学製品を作る技術(化学合成、精製、配合など)
- 新日鉄住金マテリアルズ:金属加工の技術(薄い鉄、細線の鉄、微粒子など)
2つの事業の技術を組み合わせて、日本製鉄グループは「さまざまな素材を総合的に提供できる会社」の実現を目指しています。
システムソリューション事業
製鉄所のシステム運用で得たノウハウを活かして、クラウドやAIを活用したITサービスを提供しているのがシステムソリューション事業です。
工場の生産管理や銀行のオンラインサービスなど、24時間365日動き続けるシステムを提供しています。
また下記の戦略的は取り組みも行っています。
脱炭素化への投資
日本蹄鉄は2050年カーボンニュートラル実現に向け、水素還元製鉄技術の実証プラント建設に2,300億円を投じる。2025年度中に広畑製鉄所で試験操業を開始し、2030年までに商業プラントへの移行を目指す。この技術が実用化されれば、CO2排出量を従来比50%削減可能と試算されます。
日本製鉄と競合他社の業績比較
日本製鉄と競合他社の業績を比較してみましょう。前年度(2023年度)の業績は、以下のとおりです。
(百万円)
会社名 | 売上高 | 事業利益 | 経常利益 | 純利益 |
日本製鉄株式会社(5401) | 4,859,647 | 375,753 | 364,254 | 243,347 |
JFEホールディングス(5411) | 4,859,647 | 135,339 | 144,315 | 91,867 |
神戸製鉄所(5406) | 2,555,031 | 158,721 | 157,192 | 120,180 |
参照元:みんかぶ
国内の大手鉄鋼メーカー3社の業績(2023年度)を比べると、日本製鉄は規模の経済性を活かした収益力で競合をリードしています。また、日本製鉄は国内だけでなく、15カ国以上に拠点を持つ世界的な企業です。
世界中でのシェアと事業規模の大きさにより、2023年の粗鋼生産量は4,366万トンを記録し、世界4位にランクイン。JFEホールディングスは自動車向け電磁鋼板で技術優位性を築きつつある。神戸製鋼所はアルミニウム事業の強化で差別化を図っているが、鉄鋼部門の収益性改善が課題となっています。
日本製鉄の株主優待
日本製鉄の株主は、以下の2つの株主優待を受けられます。
- 見学会・説明会の招待
- 文化・スポーツ観戦の招待
それぞれ見ていきましょう。
見学会・説明会の招待
日本製鉄の株主になると、以下のような見学会・説明会に招待されます。
項目 | 内容 | 回数(時期) | 保有株式数 |
工場見学会 | 製鉄所の見学 | 年2回 ・3~4月頃 ・10~11月頃 | 1,000株以上 (3月末、9月末において) |
経営概況説明会 | 大阪、もう1都市(名古屋、福岡、札幌)で開催される説明会への参加 | 年1回 ・9月頃 | 1,000株以上 (3月末において) |
参照元:日本製鉄|株主優待
どちらも抽選であるうえに、状況によっては開催されないケースもあります。日本製鉄の事業や活動内容を知れるので、株主になって機会があれば参加してみてください。
文化・スポーツ観戦の招待
日本製鉄の株を5,000株以上持っていると、演奏会やスポーツ観戦に招待されます。詳細は、以下のとおりです。
項目 | 内容 | 回数と時期 | 保有株式数 |
紀尾井ホール演奏会 | 紀尾井ホール室内管弦楽団の定期演奏会などの招待 ※日本製鉄紀尾井ホールは、2025年8月~2026年12月まで リニューアル工事を予定しており、同工事に伴う休館期間中は、招待はなし | 年2回 ・4~9月頃 ・10~3月頃 | 5,000株以上 (3月末、9月末において) |
鹿島アントラーズ観戦 | 鹿島アントラーズのJ1リーグ戦ホームゲームの観戦の招待 | 年2回 | 5,000株以上 |
参照元:日本製鉄|株主優待
ただし、上記はどちらも抽選です。状況によって開催されないケースもありますが、機会があれば参加してみてください。
日本製鉄の株価
日本製鉄の株価は、2,948円(2025年5月22日終値)です。以下のチャートでは、直近10年間の株価の推移を示しています。
約10年前、日本製鉄の株は3,000円前後で取引されていましたが、2020年4月にコロナの影響で1,000円を割り込みました。
しかし、その後は製鉄需要の高まりやカーボンニュートラル技術への期待などの影響でV字回復し、2024年3月8日には3,847円の最高値を記録しましたが、2026年は米国トランプ大統領の関税政策などで2026年3月期の事業利益見通しを前期比で大幅減益予想をだしているので、直近は低調な株価で推移しています。
日本製鉄は短期的な業績悪化が避けられない状況にあるものの、中長期視点では「脱炭素技術の先行開発による競争優位性の確立」や「USスチール買収成否に伴うシナジー効果」、「インド市場での生産拡張に伴う収益基盤の多角化」などが株価の下支え要因になると考えられます。配当減により配当重視の投資家の期待は後退しましたが、2026年度以降の業績回復を見据えたバリュー投資の対象として注目する銘柄です

また、日本製鉄と競合他社の株の値動きについては、以下の表を参考にしてみてください。
会社名 | 現在の価格 | 年初来高値 | 年初来安値 |
日本製鉄(5401) | 2,948円 (以下2025/5/22終値) | 3,522円 (2025/3/19) | 2,650円 (2025/4/7) |
JFEホールディングス(5411) | 1645.5円 | 2,15円 (2025/3/19) | 1,556円 (2025/4/7) |
神戸製鉄所(5406) | 1623円 | 1,906円 (2025/3/19) | 1,446円 (2025/4/7) |
参照元:Yahoo!ファイナンス|日本株
日本製鉄の自己株式取得
2024年度において、日本製鉄は自己株式取得を実施しておらず、直近数年間でも報告はありません。
ただし、単元株未満の株については、株主から希望があった場合に買取を行っています。2023年度に行われた自己株式の買取については、以下の表を参考にしてみてください。
区分 | 株式数(株) | 価額の総額(円) |
当事業年度における取得自己株式 | 22,472 | 73,875,848 |
当期間における取得自己株式 | 3,025 | 10,512,212 |
引用:IR BANK|日本製鉄株式会社(E01225)有価証券報告書
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まとめ
本記事では、日本製鉄の配当金について解説しました。
日本製鉄の2024年度の配当金は、1株あたり年間160円が予定されています。100株あたり年間16,000円が支払われますが、実際に振り込まれる金額は税引後の12,749円です。
金額は前年度と同じですが、4年連続で配当利回りが4%を超えているので、いまでも日本製鉄の株は「高配当株」として注目されています。
株主確定日は毎年「9月末」と「3月末」で、それから2〜3ヶ月後に証券口座に支払われる予定です。
2023年の日本製鉄の粗鋼生産量は、世界4位にランクインしており、国内の競合他社と比べても純利益はトップクラスです。
また、1年後に株が値上がりすると予想するアナリストも多いので、日本製鉄の株を持っていれば、配当金でも売買でも利益が狙えるかもしれません。
銘柄選びの参考になれば幸いです。
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