
JFEホールディングス株式会社(東証プライム:5411)は鉄鋼、エンジニアリング、商社、造船の4つの事業を展開する企業です。
本記事では、JFEホールティングスの配当金額や配当時期、配当性向、配当利回りについて解説します。
近年の業績は減少傾向ですが、2025年3月期の配当金については前期と同額(1株あたり年間100円)を維持しています。
JFEホールディングスの株はNISAの成長投資枠で購入できるので、非課税での運用も可能です。
目次
JFEの配当金はいくら|2026年3月期は20円減配予想
2026年3月期のJFEの配当金は、1株あたり年間80円の予想です。100株(単元株)あたり年間8,000円がもらえる見込みです。
配当金額は前期(2025年3月期)と比べて1株あたり20円減少する見込みです。
過去5年分の配当金の推移を表にまとめました。
(1株あたり)
事業年度 | 中間配当 | 期末配当 | 年間合計額 |
2026年3月期(予想) | 未定 | 未定 | 80円 |
2025年3月期 | 50円 | 50円 | 100円 |
2024年3月期 | 50円 | 50円 | 100円 |
2023年3月期 | 50円 | 30円 | 80円 |
2022年3月期 | 60円 | 80円 | 140円 |
参照元:JFEJFEホールディングス株式会社|2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
100株での配当金を受けとるには、167,900円※の投資額が必要です。※2025年5月20日の終値(1株=1,679円)で計算
配当金には20.315%の税金が発生するので、2026年3月期に100株を持っている株主が受け取る金額は6,374円です。
【税引後に受け取れる配当金】(80円×100株)×(1−20.315%)=6,374.8円
配当金の税金や節税方法については、こちらの「配当金に税金はかからない?節税のコツや新NISAで非課税で受けとる方法を解説」の記事を参考にしてみてください。
JFEの配当金はいつもらえる|12月頃と翌6月頃
JFEの配当金は、中間と期末の合計2回にわけて支払われます。
配当金の権利確定日と支払い開始時期を下表にまとめました。
項目 | 中間配当 | 期末配当 |
権利確定日 | 9月30日 | 3月31日 |
支払い開始時期 | 12月ごろ | 6月ごろ |
参照元:JFEホールディングス株式会社|株式基本情報、JFEホールディングス株式会社|株主・投資家情報
JFEの配当金を受けとるには、株主名簿への登録が必要です。
反映に時間がかかるので、2026年3月期の中間配当を受けとるためには、基準日の2営業日前(2025年9月26日15時30分)までに株を買いましょう。
ただし、証券会社によって買付日が異なるケースがあるため、できるだけ早めに注文を完了させるのが確実です。
JFEの配当利回りと配当性向
2026年3月期の予想では、JFEの配当利回りは4.7%、配当性向は67.8%です。直近5年分の推移については、以下の表をご覧ください。
事業年度 | 配当利回り | 配当性向 |
2026年3月期 | 4.70%(予想) | 67.8%(予想) |
2025年3月期 | 4.97% | 69.23% |
2024年3月期 | 4.70% | 30.92% |
2023年3月期 | 5.19% | 28.50% |
2022年3月期 | 9.12% | 27.98% |
参照元:JFEホールディングス株式会社|2025年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)、みんかぶ|JFEホールディングス (5411)
2022年以降、JFEの配当利回りは4.7%以上をキープしており、高配当株としても人気が高まっています。
JFEの配当金はなぜ高いのか|株主還元を優先する方針
JFEの配当金が高い理由は、企業が積極的に株主還元をする方針だからです。
実際に「JFEグループ長期ビジョン」では、2028年3月期までの配当方針として以下の2点を公表しています。
- 配当性向は30%程度
- 配当金の下限は1株あたり年間80円
参照元:JFEホールディングス株式会社|JFE グループ長期ビジョン「JFE ビジョン 2035」 および第 8 次中期経営計画について
2025年3月期は予定どおり「1株あたり年間100円」の配当金が支払われています。そのため、2028年度3月期までは1株あたり80円以上の配当が期待できるでしょう。
ただし、2025年3月期の純利益は前期より半減(約53%減)しており、2026年3月期の配当予想では前期より20円少ない年間80円となっています。
業績が回復しなければ配当方針を変える可能性があるため、株主になったらJFEの決算短信や公式サイトで最新情報をチェックしてみてください。
競合他社との比較|日本製鉄と神戸製鉄所
2025年3月期のJFEの配当利回りと配当性向を、競合他社と比較しました。
会社名 | 配当利回り | 配当性向 |
JFEホールディングス(5411) | 4.97% | 69.23% |
日本製鉄(5401) | 4.91% | 45.59% |
神戸製鋼所(5406) | 5.64% | 32.82% |
参照元:みんかぶ
JFEの配当利回りは競合他社と同じ水準です。一方で、JFEの配当性向は競合よりもやや高めですが、2024年3月期までは競合と同水準でした。配当性向と配当利回りは、企業を評価するときに使う指標です。
配当利回り
購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けられるかを示す指標です。計算式は次のようになります。
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100
配当性向
税金を差し引いた企業の純粋な利益である当期純利益のうち、配当に回される額を表した割合です。計算式は次のようになります。
配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100
目安となる数値や詳しい計算方法については、こちらの「配当利回りと配当性向とは?違いや計算式、目安となる数値を解説」記事で解説しています。
JFEの株主優待|工場見学会への招待
JFEは株主優待を実施しています。
優待内容は、全国6か所にある製鉄工場の見学会です。
工場見学に興味がある方は、こちらの公式サイトから工場見学会のアーカイブ動画をチェックしてみてください。
JFEの業績
2026年3月期の見通しは?
JFEホールディングスは、2026年3月期(2025年4月1日~2026年3月31日)の連結事業利益が1,400億円になる見込みだと発表しました。これは、前の期と比べて47億円の増益になります。
ただし、「棚卸資産評価差影響」といった一時的な要因を除いた、会社の実力ベースの利益では、2,000億円を予想しており、これは前の期と比べて363億円の減益となります。
- 世界的に鉄鋼需要の改善が見込めない
- 国内向け事業は改善が見込みにくい(人件費や製作コストの上昇)
- 世界向け事業でも改善が見込みにくい(アメリカ関税政策や為替の影響)
アメリカの貿易政策や、中国の鉄鋼製品の供給過剰、円高など、事業を取り巻く環境は厳しいと見ています。JFEが力を入れている製鉄業界において、2026年は業績が伸びにくい年になるかもしれません。
過去5年分の業績を以下の表にまとめました。
決算情報 | 売上高 | 事業利益 | 経常利益 | 純利益 |
2025年3月期 | 4,859,647 | 135,339 | 144,315 | 91,867 |
2024年3月期 | 5,174,632 | 298,224 | 268,386 | 197,421 |
2023年3月期 | 5,268,794 | 235,841 | 210,282 | 162,621 |
2022年3月期 | 4,365,145 | 416,466 | 388,535 | 288,058 |
2021年3月期 | 3,227,285 | △12,911 | △4,930 | △21,868 |
参照元:JFEホールディングス株式会社|IR資料室
2021年3月期、JFEは新型コロナウイルスの影響で需要が落ち込み、赤字を記録しました。
しかし、翌年は行動規制の緩和により鉄鋼業の需要が回復し、純利益で2,880億円の利益を達成しています。
以降は約1,600〜2,000億円の純利益を維持していましたが、2025年3月期は為替やアメリカの関税政策などの影響により、前年より約53%も利益が減少しました。
JFEの事業内容
JFEグループは、おもに以下の4つの分野で事業を展開しています。
それぞれ紹介します。
鉄鋼事業
JFEスチール株式会社が担う鉄鋼事業は、JFEグループのメイン事業です。
原料から製品の生産までを一貫して行っており、製鉄においては世界トップクラスの生産規模を誇ります。
最先端の技術を活用し、できるだけ環境負荷を減らす取り組みにも力を入れています。
エンジニアリング事業
エンジニアリング事業は、JFEエンジニアリング株式会社が担うインフラ事業です。
エネルギー輸送やライフラインの整備を通じて、循環型社会の実現に向けたシステムや設備を開発しています。
これまでの技術とノウハウを応用し、食品や医療といった新たなフィールドでも事業を展開しています。
商社事業
JFE商事株式会社が担当している商社事業では、鋼材の加工や販売、製鉄原料となる鉄スクラップの提供などを行っています。
また、環境に配慮した化学品や燃料などを取り扱い、米州や中国、アセアン諸国などの世界に向けてサービスを提供しています。
造船事業
JFE株の35%を保有するグループ会社「ジャパンマリンユナイテッド株式会社」は、以下のような造船事業を展開しています。
- 人や製品、資源を運ぶ「商船」の製造
- 護衛艦や巡視船など、警備・監視・救難に活躍する「艦船」の製造
さらに、近年は海上で風力発電をする「洋上風力分野」にも力を注いでいます。
JFEと競合他社の業績比較
JFEと競合他社の業績を比較してみましょう。2025年3月期において、国内大手鉄鋼メーカー3社の業績は以下のとおりです。
(百万円)
会社名 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
JFEホールディングス(5411) | 4,859,647 (-6.1%) | 165,068 (-42.5%) | 144,315< (-46.3%) | 91,867< (-53.5%) |
日本製鉄(5401) | 8,695,526 (-1.9%) | 547,960 (-29.6%) | 524,377 (-31.4%) | 350,227 -36.2%) |
神戸製鋼所(5406) | 2,555,031 (+0.5%) | 158,721 (-15.0%) | 157,192 (-2.3%) | 120,180 (+9.7%) |
※各利益の()内の数字は前年同期比の増減を示す
参照元:みんかぶ
前期と比べて、JFEと日本製鉄の業績は減少しています。日本の鉄鋼業界の業績は、全体的に低迷していると言えるでしょう。
それでも、JFEは配当金の下限(1株あたり年間80円)を公表しており、安定的な株主還元が見込める企業です。
日本製鉄の配当金については、こちらの「日本製鉄の配当金は160円の予定!利回りや業績、株価の予想を解説」記事で解説しているので、銘柄選びの参考にしてみてください。
JFEの株価
JFEの株価は、1,679円(2025年5月20日終値)です。以下のチャートでは、直近10年間の株価の推移を示しています。
出典:Yahoo!ファイナンス|JFEホールディングス(株)【5411】
日本の鉄鋼業は「原料を輸入して製品を輸出する」という流れで事業を行っている企業が多く、為替や世界情勢などの影響を受けやすいです。
2019年末において、JFEの株価は約1,400円でしたが、2020年のコロナショックにより600円台にまで下落しました。
その後は徐々に株価が回復し、2024年3月には2,600円を突破したものの、アメリカの関税政策により再び株価が下落。
2025年5月時点では、1,600円前後で推移しています。
また、JFEと競合他社の株の値動きについては、以下の表を参考にしてみてください。
会社名 | 現在の価格 | 年初来高値 | 年初来安値 |
JFEホールディングス(5411) | 1,679円 (以下2025/5/20終値) | 2,015円 (2025/3/19) | 1,556円(2025/4/7) |
日本製鉄(5401) | 2,856.5円 | 3,522円(2025/3/1) | 2,650円(2025/4/7) |
神戸製鋼所(5406) | 1,626.5円 | 1,906円(2025/3/19) | 1,446円(2025/4/7) |
参照元:Yahoo!ファイナンス|日本株
JFEの自己株式取得|実施なし
2025年3月期において、JFEは自己株式取得を実施していません。
直近数年間でも、JFEは自己株式取得を実施していないようです。
まとめ
本記事では、JFEの配当金について解説しました。
2026年3月期の予想では、JFEの配当金は1株あたり年間80円です。
100株で年間8,000円が支払われる見込みですが、実際に振り込まれる金額は税引後の6,374円です。
前期(2025年3月期)より20円減の見込みですが、配当利回りは4%以上を維持すると予想されているため、今期もJFEは「高配当株」として注目されるでしょう。
株主確定日は毎年「9月末」と「3月末」で、中間配当は6月ごろに支払いが開始される予定です。
「配当性向30%程度の維持」や「下限配当80円」などの配当を優先する企業方針により、今後もJFEの株を持っていれば配当金でも売買でも利益が狙える可能性があります。
銘柄選びの参考になれば幸いです。
コメントComment