
三井物産は、日本の5大商社(三菱商事、住友商事、伊藤忠商事、丸紅)のひとつで、金属や天然ガスなどの資源分野に強い企業です。
本記事では、三井物産株式会社(東証プライム:8031)の配当金額やいつもらえるか、配当利回り、配当性向について解説します。
約20年以上欠かさず配当金が支払われており、2025年3月期は前期より15円増配され、年間100円の配当金が予定されています。
しかし、株価が2024年5月から約27%減少しており、配当目的で三井物産の株を狙っている方のなかには、今後の株の値下がりに不安を感じている方もいるでしょう。
記事の後半では、三井物産の株価が下がっている理由や、今後の株価予想についても解説しているので、銘柄選びの参考にしてみてください。
なお、三井物産の株はNISAの成長投資枠でも購入でき、非課税運用が可能です。
目次
三井物産の配当金はいくら|5期連続でプラスに推移
2025年3月期(2024年4月1日〜2025年3月31日)の三井物産の配当金は、1株あたり年間100円(予定)です。
三井物産の株価は3,058円※なので、100株の購入には305,800円が必要です。過去10期分の配当金の推移を、以下の表にまとめました。※2025年1月24日の終値
(1株あたり)
事業年度 | 中間配当 | 期末配当 | 年間合計額 |
2025年3月期 | 50円 | 50円 | 100円 |
2024年3月期 | 42.5円 | 42.5円 | 85円 |
2023年3月期 | 32.5円 | 37.5円 | 70円 |
2022年3月期 | 22.5円 | 30円 | 52.5円 |
2021年3月期 | 20円 | 22.5円 | 42.5円 |
2020年3月期 | 20円 | 20円 | 40円 |
2019年3月期 | 20円 | 20円 | 40円 |
2018年3月期 | 15円 | 20円 | 35円 |
2017年3月期 | 12.5円 | 15円 | 27.5円 |
2016年3月期 | 16円 | 16円 | 32円 |
参照元:三井物産株式会社|株主還元
三井物産は、19年以上連続で配当金を出し続けている企業です。配当額は徐々に高くなっており、2025年3月期の配当金は10年前の3倍以上となっています。
今期も予定どおり配当金が支払われれば、2021年3月期から5期連続の増配となります。
2025年3月期に三井物産の株を100株持っていれば、受け取れる配当金は年間10,000円です。ただ、配当所得として20.315%の税金が差し引かれるため、証券口座に振り込まれる金額は7,968円となります。
【税引後に受け取れる配当金】(100円×100株)×(1−20.315%)=7,968.5円
配当金にかかる税金や節税方法は、こちらの「配当金に税金はかからない?節税のコツや新NISAで非課税で受け取る方法を解説」記事で解説しています。
三井物産の配当金はいつもらえる|権利確定日は9月と3月
三井物産から配当金を受け取れる回数は、中間と期末の合計2回です。配当金が支払われる時期と株主権利確定日を、以下の表にまとめました。
項目 | 中間配当 | 期末配当 |
株主権利確定日 | 9月30日 | 3月31日 |
支払い開始日 | 12月頃 | 5月〜6月頃 |
三井物産の配当金を受け取るには、株主名簿への登録が必要です。
反映に時間がかかるので、2026年3月期の期末配当を受け取るために、基準日の2営業日前(2025年9月26日15時30分)までに株を買いましょう。
三井物産の配当利回りと配当性向
三井物産の配当利回りは3.26%(2024年3月期予想)で、配当性向は24.09%(2023年3月期実績)です。直近5期分の推移は、以下の表を参考にしてみてください。
事業年度 | 配当利回り | 配当性向 |
2025年3月期 | 3.26%(予想) | ー |
2024年3月期 | 3.13% | 24.09% |
2023年3月期 | 4.05% | 19.39% |
2022年3月期 | 3.99% | 18.69% |
2021年3月期 | 4.64% | 42.65% |
参照元:みんかぶ|三井物産 (8031)
三井物産の配当利回りは、3〜4%で推移しています。日経平均やプライム全銘柄の平均配当利回りは「1.8〜2.2%」なので、三井物産株の配当利回りは平均より高いです。
三井物産は、2024年3月期から2026年3月期までの3年間で「累計の基礎営業キャッシュ・フローに対する株主還元の割合は、目標としていた37%程度を上回る40%超を見込みます」※と述べています。
そのため、今後も株価の上昇や増配などで、株主に利益を回す可能性が高いでしょう。
また、以下の表では、2025年の三井物産の配当利回りと配当性向を、競合他社と比較しました。
会社名 | 配当利回り(2024年3月期予想) | 配当性向(2023年3月期実績) |
三井物産(8031) | 3.26% | 24.09% |
三菱商事(8058) | 4.02% | 30.42% |
住友商事(8053) | 3.91% | 39.57% |
伊藤忠商事(8001) | 2.80% | 28.93% |
丸紅(8002) | 3.93% | 30.39% |
参照元:みんかぶ
日本の5大商社と呼ばれる企業と比較しても、三井物産の配当利回りは競合に劣らない数値です。
配当性向と配当利回りは、企業を評価するときに使う指標です。
配当利回りとは
購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けられるかを示す指標です。計算式は次のようになります。
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100
配当性向とは?
税金を差し引いた企業の純粋な利益である当期純利益のうち、配当に回される額を表した割合です。計算式は次のようになります。
配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100
目安となる数値や詳しい計算方法については、こちらの「配当利回りと配当性向とは?違いや計算式、目安となる数値を解説」記事で解説しています。
三井物産の株主優待
三井物産は、株主優待を実施していません。
その分、事業を成長させるための自己投資ができるので、今後も増配や株の値上がりを目指して、株主に高い利益を還元できるように努めています。
三井物産の業績
2025年3月期(2024年4月1日〜2025年3月31日)を含む、過去5年分の業績を以下の表にまとめました。
(単位:百万円)
決算情報 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
2025年3月期 | 7,331,817 | ー | 534,249 | 411,787 |
2024年3月期 | 13,324,942 | ー | 1,302,393 | 1,063,684 |
2023年3月期 | 14,306,402 | ー | 1,395,295 | 1,130,630 |
2022年3月期 | 11,757,559 | ー | 1,164,480 | 914,722 |
2021年3月期 | 8,010,235 | ー | 450,202 | 335,458 |
参照元:三井物産株式会社|2025年3月期 | 決算短信・決算情報
三井物産は、直近5年間で徐々に業績を伸ばしている企業です。
2021年3月期の純利益は、約3,354億円でした。その後、鉄鉱石などの価格上昇で資源分野の業績が伸び、2022年3月期の純利益は前期比約2.7倍の9,147億円を記録。過去最高額の収益を達成しました。
しかし、今期の純利益は、前期を下回る約9,200億円と予想されています。それでも、2024年5月時点の事業計画より200億円※高い業績になると予想されているので、今期の業績も好調だと言えるでしょう。
また、配当金による利益還元にも力を入れており、2024年から2026年の3年間は「累進配当(配当金の維持または増配)」が導入されます。そのため、三井物産の株を持っていれば、今後も安定的に高い配当金がもらえる可能性が高いです。
三井物産の事業内容
三井物産が行っている事業は、以下の7つの分野にわかれています。
- 金属資源セグメント
- エネルギーセグメント
- 機械・インフラセグメント
- 化学品セグメント
- 鉄鋼製品セグメント
- 生活産業セグメント
- 次世代・機能推進セグメント
それぞれ見ていきましょう。
金属資源セグメント
金属資源セグメントは、鉄鉱石や原料炭、アルミなどの金属資源の開発・加工・販売を行っている分野です。
日本だけでなく、世界最大手の鉄鉱石会社ヴァーレ(ブラジル)への出資や、リオ・ティント(オーストラリア)との鉄鉱石事業など、世界各地に資源を供給する事業を行っています。
エネルギーセグメント
天然ガスやLNG(液化天然ガス)、石油などを取引しており、エネルギー資源の安定した供給を目指している事業です。
カーボンニュートラル社会の実現に向け、太陽光発電や電気自動車、蓄電池などのクリーンエネルギー事業も展開しています。
機械・インフラセグメント
機械・インフラセグメントは、発電所やガス、水道、鉄道などの生活インフラを提供している分野です。
船舶や航空機、宇宙関連設備なども手がけており、生活に必要なサービスを幅広く提供しています。
化学品セグメント
化学品セグメントでは、化学品の原料から最終的にできあがった製品までを幅広く取り扱っています。
住宅資材や農業資材、健康に関わる製品などの製造・販売を行っています。
鉄鋼製品セグメント
製鋼から加工、部品製造、メンテナンスまで、鉄鋼製品に関する事業を広く行っている分野が、鉄鋼製品セグメントです。
自動車の部品や風力発電設備向けの部品も製造しており、グローバルに供給できる体制を整えています。
生活産業セグメント
生活産業セグメントは、食品や衣類、医療などの「暮らし」に密着している分野です。
商品開発から製造・流通まで、消費者ニーズの変化に応えられるサービスを提供しています。
次世代・機能推進セグメント
ICT(情報通信技術)や金融、不動産などの分野で、未来を見据えた事業開発を行っている事業です。
デジタル技術を活用した事業改革(DX)にも積極的に取り組んでおり、その成果は三井物産グループ全体で活用されています。
三井物産と競合他社の業績比較
三井物産と競合他社の業績を比較してみましょう。前期(2023年3月期)の業績は、以下のとおりです。
会社名 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
三井物産(8031) | 13,324,942 | ー | 1,302,393 | 1,063,684 |
三菱商事(8058) | 19,567,601 | ー | 1,362,594 | 964,034 |
住友商事(8053) | 6,910,302 | ー | 527,646 | 386,352 |
伊藤忠商事(8001) | 14,029,910 | 702,900 | 1,095,707 | 801,770 |
丸紅(8002) | 7,250,515 | 276,321 | 567,136 | 471,412 |
参照元:みんかぶ
日本の5大商社のなかでも、三井物産は高い業績をあげている企業です。
実際に、2023年3月期に純利益が1兆円を超えている企業は三井物産のみで、24年ぶりに5大商社のなかでトップの業績を記録しています。
また、日本の商社はそれぞれ異なる強みがあるので、特徴を以下にまとめました。
- 三井物産:金属やエネルギーなどの資源分野に強い
- 三菱商事:資源分野と非資源分野を両立してバランスよく事業を行っている
- 住友商事:幅広い分野で事業を展開しており、なかでもメディア事業が特徴的
- 伊藤忠商事:衣類や食品などの非資源分野に強い(消費者向け)
- 丸紅:畜産物や穀物など、加工前の資源分野に強い(生産者向け)
総合商社は、世界情勢やトレンドに応じて業績が変動しやすい分野です。配当金狙いで投資先を決めるときは、競合他社の業績や今後の事業展開についてもチェックしましょう。
「三菱商事」の配当金や業績については、三菱商事の配当金はいつもらえる?30円の増配でいくらになるかを解説 記事で詳細をご確認ください。
三井物産の株価|2024年5月の過去最高値から下落した理由
三井物産の株価は、3,058円(2025年1月24日終値)です。以下のチャートでは、直近10年間の株価の推移を示しています。
2015年頃の三井物産の株は、約700〜800円で取引されていました。その後も、2020年までは1,000円以下で横ばいに推移。
しかし、2021年に入ってから株価が上昇し、2023年には2,000円を突破。2024年5月には過去最高額の4,182円を記録しています。現在は、2024年5月の最高値から約27%減少して、3,000円前後で推移しています。
2024年に株価が下落したおもな理由として、以下の2つの要素が考えられます。
- 2024年7月に行われた「株式分割(2分の1)」で株価が下がった可能性
- 2024年8月に日経平均株価が暴落した「令和のブラックマンデー」に巻き込まれた可能性
それでも、今後の成長性などを考え三井物産の株価を前向きに捉える投資家も多いでしょう。

配当銘柄として考えると約3.5%の安定した配当利回りと増配実績があり、リスクとリターンのバランスが良いです。少額から投資を始めたい人に適しています。
また、三井物産と競合他社の株の値動きについては、以下の表を参考にしてみてください。
会社名 | 現在の価格 | 年初来高値 | 年初来安値 |
三井物産(8031) | 3,058円 (以下2025/1/24終値) | 4,182円 (2024/5/22) | 2,401円 (2024/8/5) |
三菱商事(8058) | 2,469円 | 3,775円 (2024/5/2) | 2,231円 (2024/1/4) |
住友商事(8053) | 3,290円 | 4,433円(2024/5/2) | 2,676円 (2024/8/5) |
伊藤忠商事(8001) | 7,063円 | 8,245円 (2024/7/11) | 5,671円(2024/1/4) |
丸紅(8002) | 2,279.5円 | 3,158円(2024/7/5) | 1,911円 (2024/8/5) |
参照元:Yahoo!ファイナンス|日本株
三井物産の自己株式取得
2025年3月期において、三井物産は自己株式取得を実施しています。詳細は以下のとおりです。
種類 | 普通株式 |
取得総数の上限 | 1億8,000万株(総額4,000億円) |
取得期間 | 2024年5月2日〜2025年2月28日 |
取得方法 | 東京証券取引所における市場売買 |
株式の消却予定 | 取得株式をすべて消却予定 (消却予定日:2024年10月1日、2025年3月5日) |
参照元:三井物産株式会社|「自己株式取得に係る事項の決定及び自己株式消却に係る事項の決定に関するお知らせ」 の一部変更及び自己株式消却に係る事項の決定に関するお知らせ
三井物産は過去に何度も自己株式の「取得」と「消却」を実施しているので、今後も株価の維持・向上のために実施する可能性があります。
三井物産などの個別株への投資は簡単と思っていたけれど実際に難しかった。
とくに売る時にもっと上がるのではと迷ってしまい売り時を逃してしまったという方が多くいらっしゃいます。利益を確保するのは大事ですが時には損切も必要になり、これができないと株で資産形成は難しくなります。
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まとめ
本記事では、三井物産の配当金について解説しました。
2025年3月期の三井物産の配当金は、1株あたり年間100円の予定です。100株あたり年間10,000円が支払われますが、証券口座に支払われる金額は税引後の7,968円です。
今期も予定どおり配当金が支払われれば5期連続での増配となります。配当利回りも3〜4%と、5年以上も高水準をキープしています。
株主確定日は毎年「9月末」と「3月末」で、それから2〜3ヶ月後に証券口座に支払われる予定です。
三井物産の株価は2024年5月に過去最高値を記録しましたが、2025年1月時点では約27%減少し、3,000円前後で推移しています。それでも、1年後に値上がりすると予想するアナリストは多いです。
そのため、三井物産の株に投資すれば、短期的なキャピタルゲインと中長期的なインカムゲインの両面で利益を狙える可能性があります。
ただし、商社株はトレンドによって伸びる企業が異なりやすいので、競合他社の配当金や業績を比較しながら投資先を決めましょう。
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