
三菱商事株式会社(8058:東証プライム)はエネルギーや金属資源、食品産業など、合計8グループ体制でビジネスを展開する総合商社です。
本記事では、三菱商事の配当金額や配当時期、配当性向、配当利回りについて解説します。近年の業績は右肩上がりで、2025年3月期の配当金は1株あたり30円の増配の100円となりました。
三菱商事の株はNISAの成長投資枠でも購入できるので、非課税での運用も可能です。
目次
三菱商事の配当金はいくら
2025年3月期における三菱商事の配当金は、1株あたり年間100円です。
つまり、100株(単元株)あたりで、年間10,000円の配当金となります。また、2026年3月期の配当は1株あたり年間110円を見込んでいます。
この配当をもらうために必要な投資額は268,700円です。(2025年5月1日終値で計算)
三菱商事の配当金は、2019年度から9期連続で値上がりしています。2026年も予測どおりだと10期連続の増配となります。
過去5年間の配当金の推移を、以下の表にまとめました。
年度 | 中間配当 | 期末配当 | 年間合計額 |
2026年3月期(予想) | 55円 | 55円 | 110円 |
2025年3月期 | 50円 | 50円 | 100円 |
2024年3月期 | 35円 | 35円 | 70円 |
2023年3月期 | 26円 | 34円 | 60円 |
2022年3月期 | 24円 | 26円 | 50円 |
参考:三菱商事|配当情報
配当金額は、年度終了後の6月に開催される「定時株主総会」で決定されます。三菱商事の株主になったら、毎年6月の総会をチェックしましょう。
配当金にかかる税金|手取り
配当金には、20.315%の税金が発生します。税率の内訳は、以下のとおりです。
- 住民税(5%)
- 所得税、復興所得税(15.315%)
三菱商事の2025年度3月期の配当金は、1株あたり年間100円なので、単元株100株当たり10,000円(税引き前)の配当金ですが、税金が引かれた後の受け取り配当金額は、7,968円です。
【計算式】(100株×100円)×(1−20.315%)=7,968円
ただ、NISAの成長投資枠で運用すれば、税金は引かれません。SBI証券ではNISA口座で三菱商事の株を運用できるので、10,000円の配当金をそのまま受け取りたいときは利用を検討してみましょう。
SBI証券でNISAを始める方法は、「SBI証券のつみたてNISAの始めかた!スマホアプリやお得な設定方法を解説記事」で解説しています。
三菱商事の配当利回りと配当性向
三菱商事の配当利回り(2025年度3月期)は3.65%、配当性向は42.4%です。これまでの配当利回りと配当性向については、以下の表を参考にしてみてください。
年度 | 配当利回り | 配当性向 |
2026年3月期(予想) | 3.75% | 58.9% |
2025年3月期 | 3.65% | 42.4% |
2024年3月期 | 2.94% | 30.42% |
2023年3月期 | 4.13% | 22.23% |
2022年3月期 | 4.31% | 23.61% |
2021年3月期 | 5.30% | 114.65% |
参考:みんかぶ
直近5年間の配当利回りは、約3〜5%で推移しています。また、三菱商事の配当利回りと配当性向を競合他社と比較した結果を、以下の表にまとめました。
会社名 | 配当利回り | 配当性向 |
三菱商事(8058) | 3.65% | 30.42% |
三井物産(8031) | 3.02% | 11.93% |
伊藤忠商事(8001) | 2.72% | 32.48% |
住友商事(8053) | 3.66% | 28.03% |
三菱商事の2024年度の配当利回りは、住友商事に次ぐ成績が予想されています。さらに、2024年度の配当性向は30.42%であり、成績としては競合他社に負けていません。三菱商事の株を持っていれば、配当は他社の株より大きな利益が狙える可能性があります。
三菱商事の配当金はいつもらえる
三菱商事の配当時期は、中間と期末の2回に分かれています。それぞれの権利確定日は、以下のとおりです。
項目 | 中間配当 | 期末配当 |
権利確定日 | 9月30日 | 3月31日 |
支払い開始時期 | 12月ごろ | 6月ごろ |
一般的な入金日は、上記の権利獲得日から2〜3ヵ月後です。三菱商事では6月に開催される株主総会で、配当金の最終金額が決定したのちに支払われます。
また、配当金を受け取る権利を得るためには、企業の株主名簿に掲載される必要があります。株の購入から名簿の反映までに時間がかかるので、権利獲得日の2営業日前には株を所有しておきましょう。
三菱商事の業績
三菱商事(8058)は、2025年3月期に連結純利益9,507億円(前年比1.4%減)を達成し、厳しい事業環境下でも底堅い収益力を維持しています。同社は世界中に展開する事業基盤を通じて、資源・非資源分野において多角的なビジネスを展開しており、2026年3月期は円高やLNG価格下落の影響により連結純利益7,000億円(前年比26.4%減)を見込んでいますが、年間配当は110円(前年比10円増)への増配を計画しています。
同社は「中期経営戦略2024」のもとで循環型成長モデルを推進し、既存事業の収益力強化と並行して、EX戦略・DX戦略・未来創造を軸とした産業横断型の事業開発に取り組んでいます。営業キャッシュフロー9,000億円規模の維持を背景に、不透明な市場環境下でも安定した株主還元と成長投資のバランスを追求する方針です。
2026年3月期の見通し
純利益予想は7,000億円と前年より26.4%の大幅減少を見込んでいます。理由は下記の通りです。
- 円高の影響
・1ドル=145円を想定(前年は約153円)※円高になると海外事業の利益が目減りします
・1円の変動で約40億円の影響があるため、8円の円高で約320億円のマイナス - LNG(天然ガス)価格の下落
エネルギー価格が下がると、関連事業の収益も減少 - 特別な利益の反動
前年にあった炭鉱売却などの一時的な利益がなくなる
過去5年間の業績を、以下の表にまとめています。
(単位:百万円)
決算情報 | 収益(売上高) | 経常利益 | 純利益 |
2025年3月期 | 18,617,601 (△4.9) | 1,393,425 (2.3%) | 950,709 (△1.4) |
2023年3月期 | 19,567,601 (△9.3) | 1,362,59 | 964,034 (△18.4) |
2022年3月期 | 21,571,973 | 1,680,631 | 1,180,694 |
2021年3月期 | 17,264,828 | 1,293,116 | 937,529 |
2020年3月期 | 12,884,521 | 253,527 | 172,550 |
参考:三菱商事株式会社|IR
2023年度の決算情報から、三菱商事は「資源の価格高騰やコロナ禍などの影響を除いても、自社の稼ぐ力は伸びている」と考察しています。
三菱商事の事業内容
三菱商事は合計8つのグループに分かれて、国内外で事業を展開しています。それぞれ説明します。
地球環境エネルギーグループ
地球環境エネルギーグループでは、安定したエネルギー供給を目的とした事業を行っています。天然ガス/LNG、石油、LPG事業などに取り組んでおり、目指す社会は「カーボンニュートラル」の実現です。
マテリアルソリューショングループ
日本の素材産業の活性化を目的とした事業を展開しているグループが、マテリアルソリューショングループです。セメントやコンクリート、鉄鋼製品の製造、半導体事業などを中心に活動しています。
金属資源グループ
金属資源グループは、工業用の石炭や銅などの金属資源に関する事業を行っています。主な目的は、低コストで世界最高水準の金属資源を生み出すことです。
社会インフラグループ
社会インフラ グループは、国内外での都市開発・運営、不動産開発・運用、デジタル社会を支えるデータセンターとしての役割を持つグループです。「街を創り、社会を創り、未来を創る」というグループミッションを掲げ、主に、船や宇宙航空機、産業機械、エネルギーインフラなどの事業に取り組んでいます。
モビリティグループ
国内での自動車製造や販売だけでなく、海外での生産や販売、アフターセールスなど、自動車関連の事業を世界的に行っているのがモビリティグループです。また、電気自動車や蓄電池などを普及させ、カーボンニュートラル社会や持続可能な省エネルギー社会の実現に向けても、活動の幅を広げています。
食品産業グループ
食品産業グループでは、食料や生鮮品、生活消費財などの「食」に関わる事業を行っています。おいしさと健康に資する食事を持続させるために、最先端技術やイノベーションを有効活用しながら活動しています。
S.L.Cグループ
お客様のニーズを第一に考え、コンビニやスーパー、ネットショッピングなど、日常生活に密着したサービス提供を目指すグループです。金融サービスやデジタル技術、物流ネットワークなどのビジネス向けサービスも展開しています。これらの事業を上手く組み合わせながら、便利で豊かな暮らしの実現を目指しています。
電力ソリューショングループ
太陽光や風力などの再生可能エネルギーを「つくる」、天気によって変動する電力を蓄電池などで「整える」、安定した電気を家庭や企業に「届ける」といったコンセプトで事業を展開しているグループです。環境にやさしい水素エネルギーの開発を進めており、地球温暖化対策や脱炭素化に貢献する新しいエネルギー社会を目指しています。
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三菱商事の競合他社との業績比較
三菱商事と競合他社の業績を比較してみましょう。前年度(2023年度)の業績について、詳細を以下の表にまとめました。
(単位:百万円)
会社名 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
三菱商事(8058) | 19,567,601 | – | 1,362,594 | 964,034 |
三井物産(8031) | 14,662,620 | – | 1,135,231 | 900,342 |
伊藤忠商事(8001) | 14,724,234 | 683,915 | 1,155,059 | 880,251 |
住友商事(8053) | 7,292,084 | – | 695,567 | 561,859 |
参考:みんかぶ
売上高と経常利益は、競合他社を上回る成績となっています。 純利益は、三井物産に次ぐ利益を達成。競合他社と比較した結果、三菱商事の業績は業界トップクラスだと言えるでしょう。
三菱商事の株主優待
三菱商事には株主優待がありません。その分、企業の運営に力を入れられるので、株価の上昇や配当金の増額によって、株主に利益を還元しています。
三菱商事の株価
現在の三菱商事の株価は、2,914円(2025年5月22日終値)です。過去10年の株価の推移については、以下のチャートを参考にしてみてください。
出典:Yahoo!ファイナンス|三菱商事(株)【8058】:株価チャート
三菱商事の株価を直近10年間で見ると、年々上昇しているのがわかります。2024年は3,000円台で推移していましたが、直近は株価が一時的に低下しています。
2026年3月期の大幅減益見通しにもかかわらず、増配を維持する方針は、同社の財務基盤の強さと株主重視の姿勢をあらわしています。もともと高配当で人気の高い株ですが、今後の四半期の業績に注目していきたい銘柄です。

また、以下の表では、三菱商事と競合他社の株の値動きをまとめています。株選びに迷ったときは、他社の株価と比べながら判断してみてください。
会社名 | 現在価格 | 年初来高値 | 年初来安値 |
三菱商事(8058) | 2,914円 (以下2025/5/22終値) | 2,960円(2025/5/19) | 2,257円(2025/4/7) |
三井物産(8031) | 2,937円 | 3,351円(25/01/06) | 2,366円(25/04/07) |
伊藤忠商事(8001) | 7,444円 | 7,914円(25/01/06) | 5,873円(25/04/07) |
住友商事(8053) | 3,681円 | 3,785円(25/05/13) | 2,786円(25/04/07) |
参考:Yahoo!ファイナンス|日本株
三菱商事の自己株式取得
三菱商事は2024年9月1日〜2024年9月17日の期間において、自社の普通株式を市場買付したと発表しています。詳細は以下のとおりです。
- 取得価額の総額:50,000,912,900円
- 取得した株式の総数:17,334,600株
- 取得方法:東京証券取引所における市場買付
取得期間 | 取得金額 |
2025年5月7日~2026年3月31日(市場買付) | 7,700億円(取得総額から公開買付実行額を除いた金額) |
2025年4月4日~2025年5月2日(公開買付) | 2,300億円(上限) |
三菱商事からは、自己株式の取得や消却についての目的は公表されていません。一般的には、市場の株数を減らすことで株の値下がりを抑える、買収リスクを抑えるなどの目的で行われています。
三菱商事などの個別株への投資は簡単と思っていたけれど実際に難しかった。とくに売る時に迷ってしまって売れないことが多いという方が多くいらっしゃいます。利益を確保するのは大事ですが時には損切も必要になり、これができないと株で資産形成は難しくなります。しかし自分ではできないという方には、投資顧問の利用をおすすめします。当サイトを運営するライジングブル投資顧問は、株の「売買サポート」を行っております。ライジングブルの売買サポートサービスは、3ヶ月9,000円で買い推奨だけではなく、売却、銘柄入替するところまで、リスク管理をしながらサポートします。
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・これから株をはじめる方
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まとめ
三菱商事の2024年度の配当金は、1株あたり年間100円(見込み)です。予定されている期末配当(1株あたり50円)が実現すれば5年連続での増配となり、前年度より30円アップを達成します。
単元株(100株)の配当金額は年間10,000円ですが、配当金には税金がかかるので、実際の入金額は7,968円となります。
配当金の権利獲得日は、9月末(中間)と3月末(期末)です。配当金の支払い時期は、権利獲得日から2〜3ヶ月後で、三菱商事の配当金額は毎年6月に行われる総会で決定します。
三菱商事には株主優待がありません。それでも、業界トップクラスの業績を上げているうえに、株価も直近10年間で右肩上がりとなっています。
三菱商事の株を保有していれば、今後も配当金の増配や株の値上がりで利益が得られるかもしれないので、銘柄選びの参考にしてみてください。
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