最近は、本業以外に副業をしたり、投資をしたりする人が増えてきています。
これから子どもにお金がかかる世帯だと、教育費や老後資金など将来の備えに向けて資産形成したいという希望もあるでしょう。
今はNISAやiDeCoといった非課税優遇制度も充実しており、その用途に応じて資産運用を始めている人も増えています。
世帯であれば夫婦で資産形成するのが定石ですが、自由度の高さからまずはNISA制度を検討してみると良いでしょう。
この記事では、NISAの基礎知識や夫婦でNISAを始めることのメリット、老後資金などを貯めるためにはiDeCoが推奨されますが、なぜNISAが投資初心者に良いのか?についてiDeCoとの違いを踏まえて説明します。
夫婦ともに資産形成することのメリットを理解し、堅実な資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。
目次
新NISAの基礎知識
新NISAとは?
新NISAは、2024年1月からスタートした日本国民の資産形成をサポートするための制度です。
新NISAは、長期・積立・分散投資に適した金融商品に投資対象が限定されるつみたて投資枠と汎用性の高い成長投資枠の二段構えとなった制度です。
日本国内に居住する18歳以上の人であれば、誰でも1人1口座開設可能です。
したがって、夫婦それぞれでNISA口座を保有することができます。
新規投資金額は毎年つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円を上限としており、生涯投資枠が1人あたり1,800万円です。非課税期間は無期限となり、口座を保有する限り非課税で運用ができます。
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新NISAのメリット
新NISAのメリットは以下のようなものがあります。
・生涯にわたって非課税で運用できる
金融商品から利益が得られた場合、通常20.315%の税金がかかります。
しかし、NISA口座で運用している限りは非課税なので、税金が引かれずに運用益が手元に残ります。
・低コスト・低予算で始められる
新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠に分かれています。
このうち、つみたてNISAの性格を受け継いだつみたて投資枠は、購入できる金融商品は購入時手数料が無料の投資信託になっています。金融庁の基準をクリアした投資信託は信託報酬などのランニングコストも低コストのものが揃っています。
また、投資信託はネット証券などで100円から買い付けられるようになっています。したがって、無理のない範囲から投資を始め、慣れてから金額を増やしていくことができます。
・いつでもやめられる
新NISAは、口座管理手数料がかかりません。したがって、口座開設は無料ですし、いつでも投資をやめることができます。
換金も自分のタイミングで自由にできるので、必要に応じて資金を手元に戻せるのも新NISAの大きなメリットです。
従来のNISA制度では金融商品売却した場合、口座枠は消滅してしまいましたが、新しいNISA制度では簿価方式で口座枠の再利用が可能です。
新NISAのデメリット
新NISAのデメリットには以下のようなものがあります。
・新NISAの金融商品は元本保証ではない
新NISAでは、専用のNISA口座を開設し、投資信託や株式などを購入・運用していきます。
投資信託・株式という金融商品の特徴上、投資をした後に株価が下がり投資元本が目減りしてしまう可能性があります。
その点では、今すぐになくなっては困るようなお金で新NISAを始めるのはおすすめできません。
・投資金額の上限があり、1円も超えることができない
新NISAは、年間つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円、生涯投資枠1,800万円の投資上限額があります。
例えば、つみたて投資枠部分で説明すると、1年間で120万円丸々新規買付をすることもできれば、100円だけ投資することもできます。60万円や100万円までと120万円以内であればいくらでも大丈夫なのですが、120万円よりも1円でも超える分を購入することができません。
投資信託ならキリのよい金額を購入することができますが、株式ではできないので注意が必要です。
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新NISAを利用する際の注意点
これから投資を始めたい人はぜひ活用すべき新NISAですが、利用上の注意点がいくつかあります。
・つみたて投資枠と成長投資枠で購入できる商品が異なる
まず、新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠の2つで構成されるので、それぞれの投資枠に合わせて投資戦略を立てる必要があります。まずつみたて投資枠は購入できる商品が限定されているので、投資初心者はつみたて投資枠からの活用を検討すると良いでしょう。
・再利用枠が活用できるのは翌年以降
NISA口座内で保有する金融商品を売却した場合、簿価方式で口座枠を再利用できるようになります。これは、10万円の投資信託を持っていて、20万円に値上がってから売却した場合、口座枠として復活するのは10万円ということです。
ただし、再利用できるのは翌年以降になるので、すぐに口座枠を活用できるわけではないことは心にとめておきましょう。
新NISAとiDeCoの違い
NISA制度同様、非課税優遇制度として知られるものとしてiDeCoが挙げられます。
「NISAとiDeCoのどちらをやるのが良いのか?」と迷っている人に向けて、iDeCoと比較して新しいNISAが魅力的な点についてご紹介します。
iDeCo制度の基礎知識
iDeCoは個人型確定拠出年金と呼ばれるもので、年金の一種です。
個人で掛金を設定でき、どのような働き方をしているかによって掛金の上限が決まっています。
掛金は65歳まで拠出することができ、つみたてNISA同様運用期間中非課税で金融商品を運用できます。
運用益を非課税で保有できるだけでなく、掛金は全額所得控除の対象になるところも魅力です。
公的年金制度なので、国民年金や厚生年金で不足するような老後資金を補うために利用するのが適しています。
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iDeCoより新NISAがおすすめの理由
iDeCoは非課税優遇制度としてNISAと似ている部分があります。
しかし、資産形成層で特に投資初心者の人にiDeCoよりも新NISAがおすすめできる理由はいくつかあります。
例えば、NISAで購入した金融商品はいつでも換金できますが、iDeCoは原則60歳まで引き出すことができません。
また、NISA口座を解約するのに口座手数料等がかからないのに対し、iDeCoは掛金の拠出を停止することまではできても、口座手数料などが継続的にかかります。
60歳まで引き出せないので、その分ランニングコストを支払い続けることになります。
コストの面や管理の面からも新しいNISAは自由度が高いので、万人におすすめできる制度となっています。
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新NISAを夫婦で利用する際の投資戦略
NISA口座は一人1口座保有できるので、夫婦であればそれぞれ口座開設するのがおすすめです。
夫婦2人であれば、世帯では2口座保有でき、生涯投資枠も最大3,600万円活用できるためです。
ただし、投資上限などの条件もある制度なので、夫婦で利用する場合は投資方針などをあらかじめ決めておくと良いでしょう。
お互いにどのように利用するかを決める
まず、口座は生涯投資枠1,800万円×2名義となるので、夫の分と妻の分でどのようにNISA口座を利用するかを最初に決めておくのがおすすめです。
どちらも上限の1,800万円を最大限使うのが老後資金などを用意するのには最適ですが、子育て世代は老後の前にお金がかかるシチュエーションが発生します。
早い人だと年間360万円×5年間で口座枠を使い切ってしまいますが、ライフステージやライフスタイルに合わせて柔軟に活用していきます。
投資枠が大きい分、さまざまな活用方法が考えられるので、新NISAを始める前に投資の目的等をはっきりさせておくと夫婦間で揉めるといったことを避けられます。
例えば、夫はマイホームのための頭金のために利用し、妻は子どもの教育費のために利用するといった形です。
新NISAの活用方法は人それぞれなので、夫婦でよく相談して決めたいところですね。
別の金融商品を保有することでリスクヘッジにもなる
夫婦で別口座を保有するという意味では、分散投資ができる点も魅力です。
別々の金融商品を保有することで、一つの金融商品がうまくいかなくても別の金融商品が好調でトータルで安定した運用ができるというリスクヘッジが可能になります。
片方は安定したインデックス投信で、もう一人は少しアクティブな投信に投資するといったチャレンジがしやすいです。
ライフスタイルに合わせて投資方針は変えられる
子育て世帯は、夫婦共働きが難しくなる場合があります。
働き続けるとしても、特に女性は正社員からパートタイマーになったり、その逆もありえます。
NISAの良いところは、投資に回せるお金が十分にない時でも口座管理費用もかからず、無理のない範囲で活用できる点です。
それゆえ、ライフスタイルが変わった時に投資方針も変えられます。
夫婦であれば、夫の収入から妻のつみたてNISAへ投資することも可能です。
ただ、夫から妻に渡されるお金となると、年間110万円を超えた場合に贈与税がかかる可能性があるので注意しましょう。
まとめ
NISA制度は、国民の資産形成をサポートするために作られたという経緯もあり、これから投資を始めたい人にはぜひ活用してほしい制度となっています。
新NISAにはデメリットもありますが、低コスト・低予算で投資が始められるなどメリットも多いです。
1人1口座活用できるので、夫婦それぞれで口座開設するのがおすすめです。
iDeCoなどと比べても、子育て世帯など向きの自由度が高い制度なのが新NISAの最大の特徴といえるでしょう。
ただし、生涯投資枠が大きいので、自分のライフステージなどを考慮し、計画的に活用していく道を事前に検討しておくと夫婦で楽しく資産形成を始められるはずです。
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