
本記事では、本田技研工業株式会社(東証プライム:7267、以下ホンダ)の配当金額や配当時期、配当性向、配当利回りについて解説します。
ホンダは、自動車やバイク、機械・エンジン用品などで幅広く事業を展開している企業です。
2026年3月期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の配当金は年間70円の予想で、1株あたり年間2円の増配(前期比)が見込まれています。
ホンダの株はNISAの成長投資枠でも購入できるので、非課税での運用も可能です。
目次
ホンダの配当金はいくら|年間2円の増配予定

2026年3月期の予想において、ホンダの配当金は1株あたり年間70円です。
100株あたり年間7,000円がもらえます。100株分の配当金を受け取るためには、152,000円※の投資額が必要です。(※2025年12月7日の終値で計算)
過去5年分の配当金の推移を、以下の表にまとめました。
(1株あたり)
| 事業年度 | 中間配当 | 期末配当 | 年間合計額 |
| 2026年3月期(予想) | 35円 | 35円 | 70円 |
| 2025年3月期 | 34円 | 34円 | 68円 |
| 2024年3月期 | 29円 | 39円 | ー※ |
| 2023年3月期 | 20円※ | 20円※ | 40円※ |
| 2022年3月期 | 18.33円※ | 21.67円※ | 40円※ |
参照元:ホンダ|株主還元
※2023年10月1日の株式分割(1株→3株)を考慮した数値。2024年3月期の合計額は正確な計算ができないため未記載
配当金には20.315%の税金が発生するので、100株を持っている株主に支払われる金額は5,577円です。
【税引後に受け取れる配当金】
(70円×100株)×(1−20.315%)=5,577.95円
配当金の税金や節税方法については、こちらの「配当金に税金はかからない?節税のコツや新NISAで非課税で受け取る方法を解説」の記事を参考にしてみてください。
ホンダの配当金はいつもらえる|12月上旬と翌年6月上旬

ホンダの配当金は、中間と期末の合計2回にわけて支払われます。配当金が支払われる時期と株主確定日を、以下の表にまとめました。
| 項目 | 中間配当 | 期末配当 |
| 配当確定日 | 9月30日 | 3月31日 |
| 支払い時期 | 12月上旬頃 | 6月上旬頃 |
ホンダの配当金を受け取るには、株主名簿への登録が必要です。
2026年の配当を受け取るために、基準日の2営業日前までに株を買いましょう。
ただし、証券会社によって買付日が異なるケースがあるため、できるだけ早めに注文を完了させるのがおすすめです。
ホンダの配当利回りと配当性向

2026年3月期において、ホンダの配当利回りは4.49%、配当性向は111.4%の予想です。
直近5年分の推移については、以下の表をご覧ください。
| 事業年度 | 配当利回り | 配当性向 |
| 2026年3月期 | 4.49%(予想) | 111.4%(予想) |
| 2025年3月期 | 4.37% | 38.0% |
| 2024年3月期 | 4.45% | 30.1% |
| 2023年3月期 | 3.58% | 31.2% |
| 2022年3月期 | 3.53% | 29.2% |
参照元:みんかぶ|ホンダ(7267)
日経平均やプライム市場の平均配当利回り(約2%)と比べると、ホンダの配当利回りは高いです。
連結配当性向は30%を目標としていますが、2026年3月期の予想では111.4%と急上昇。
配当性向が急変した理由は、EV(電気自動車)の損失引当(見込み損失額の計上)と関税の影響により、2026年第1四半期の営業利益率が前年比49.6%減となったからです。
ホンダは安定した配当水準を維持する方針なので、利益が減っても配当金は減らさないことで、2026年3月期の配当性向が急上昇する見込みとなりました。
ホンダの配当利回りが高い理由|利益の安定&配当維持の方針
ホンダの配当利回りは4年連続で3%を超えており、高水準を維持しています。
配当利回りが高い理由は、利益が安定しているために配当資金を確保しやすいからです。
ホンダはさまざまな分野で事業を展開しており、直近5年間の純利益は大幅に下落することなく、利益を出し続けています。
利益が出ていれば配当金として還元するための資金に余裕があるので、安定して配当金での株主還元を実施できるのです。
競合他社との比較
以下の表では、前年度(2025年3月期)のホンダの配当利回りと配当性向を、競合他社と比較しました。
(2025年3月期の実績)
| 会社名 | 配当利回り | 配当性向 |
| ホンダ(7267) | 4.37% | 38.0% |
| トヨタ自動車(7203) | 3.06% | 25.3% |
| 日産自動車(7201) | ー | ー |
| マツダ(7261) | 4.41% | 30.38% |
参照元:みんかぶ
上記4社で比較すると、ホンダの配当利回りはマツダに次ぐ2位でした。配当性向は4社中トップであり、株主還元に対して積極的であることがわかります。
また、2026年3月期は利益が減少する見込みですが、配当額を維持もしくは増加する方針のため、配当利回りも配当性向も前年度より高い予想です。
配当性向と配当利回りは、企業を評価するときに使う指標です。
配当利回り
購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けられるかを示す指標です。計算式は次のようになります。
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100
配当性向
税金を差し引いた企業の純粋な利益である当期純利益のうち、配当に回される額を表した割合です。計算式は次のようになります。
配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100
目安となる数値や詳しい計算方法については、こちらの記事で解説しています。
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配当利回りと配当性向とは?違いや計算式、目安となる数値を解説
ホンダの株主優待|見学会や説明会への招待

ホンダは株主優待を実施しています。
100株以上の保有期間に応じて、以下の見学会や説明会への招待を受けられます。
【2026年3月期の株主優待】
| 優待内容 | 保有継続年数 | ||
| 1年未満 | 1年以上、3年未満 | 3年以上 | |
| HondaJet体験会 | ー | ー | 〇 |
| 工場見学会 | ー | ー | 〇 |
| マリン試乗会 | ー | ー | 〇 |
| モビリティリゾートもてぎ体験会 | ー | ー | 〇 |
| セーフティスクール体験会 | ー | 〇 | 〇 |
| レース観戦 | ー | 〇 | 〇 |
| Enjoy Hondaご招待 | ー | 〇 | 〇 |
| ラグビー観戦 | 〇 | 〇 | 〇 |
| カーシェア割引クーポン | 〇 | 〇 | 〇 |
参照元:ホンダ|株主優待
上記はすべて応募制であり、抽選によって参加の有無が決まります。
内容や実施時期は年度ごとに異なるため、詳細はこちらのホームページをご覧ください。
ホンダの業績

直近5年分のホンダの業績を、以下の表にまとめました。
(単位:百万円)
| 決算情報 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
| 2025年3月期 | 21,688,767 | 1,213,486 | 1,317,640 | 835,837 |
| 2024年3月期 | 20,428,802 | 1,381,977 | 1,642,384 | 1,107,174 |
| 2023年3月期 | 16,907,725 | 780,769 | 879,565 | 651,416 |
| 2022年3月期 | 14,552,696 | 871,232 | 1,070,190 | 707,067 |
| 2021年3月期 | 13,170,519 | 660,208 | 914,053 | 657,425 |
参照元:ホンダ|決算短信
直近5年間で見ると、ホンダの売上高は右肩上がりです。
また、2024年3月期には「コスト低減」や「販売単価上昇」などの企業努力に円安効果が加わり、純利益は過去最高の約1兆1,071億円に達しました。
しかし、2025年3月期には以下のような費用が増加したことで、純利益は前期比24.5%マイナスとなっています。
- 研究開発費
- 販売実績に応じた報奨金
- 四輪事業における製品保証費用見積もり費
それでも、売上高や利益はともに安定しているため、今後もホンダの業績アップに期待が持てそうです。
ホンダの事業内容

ホンダが事業を展開しているおもな分野は、以下のとおりです。
- 四輪(クルマ)事業
- 二輪(バイク)事業
- パワープロダクツ事業(機械、エンジン用品など)
- 金融サービス事業
- その他事業
それぞれ紹介します。
四輪(クルマ)事業
ホンダがメインとしている四輪事業では、世界中で幅広い車種を展開しています。
おもな自動車の種類は、以下のとおりです。
- コンパクトカー(FIT)
- SUV(VEZEL/ZR-V/WR-V)
- 燃料電池車(CR-V e:FCEV)
- 電気自動車(N-VAN e:/N-ONE e:)
- 軽自動車(N-VAN/N-BOX/N-WAGNなど)
- ミニバン(ODYSSEY/STEP WAGN/FREED)
- スポーツ・セダン(ACCORD/CIVIC/PRELUDEなど)
直近では電気自動車に力を入れており、2040年までの目標として「電動化車両(EV/FCV)の販売比率100%」を掲げています。
二輪(バイク)事業
二輪事業では、おもに以下の製品・サービスを提供しています。
- バイク
- 電動バイク
- バイク向けコネクテッドアプリ
- 交換式バッテリーのシェアリングサービス
二輪事業はほかの自動車メーカとの差別化ポイントであり、ホンダが強みとしている分野です。
世界で年間約2,000万台を販売するトップメーカーとして、グローバルに展開しています。
パワープロダクツ事業|機械・エンジン用品など
パワープロダクツ事業では、暮らしを支える多様な機器を開発・販売しています。
代表的な製品として、以下が挙げられます。
- 発電機
- 芝刈機
- 耕うん機
- 水ポンプ
- 汎用エンジン(さまざまな機械で使えるエンジン)
近年は電動化・自律化技術の導入を進め、自動車や農業、工業分野で幅広く活躍する企業を目指しています。
金融サービス事業
ホンダグループ内の「株式会社ホンダファイナンス」では、金融サービス事業を進めています。
おもなサービス内容は、以下のとおりです。
- クレジット:自動車やバイクを購入する際の分割払い
- カーリース:自動車を一定期間、毎月定額で借りる
- 設備・デモカーリース:事業用の設備機器や試乗車(デモカー)をリースする
- 融資:ホンダの販売会社に対して、事業運営に必要な資金を貸し出す
多くの顧客がホンダの製品を利用できるように、金融サービスにも力を入れています。
その他事業
ホンダは以下のような分野でも、事業を展開しています。
- マリン(船)
- 水素(燃料電池)
- 航空(飛行機用エンジン)
- 新領域(ロボット/宇宙/新モビリティなど)
- モビリティサービス(カーシェア/サブスクなど)
自動車やバイクだけでなく、さまざまな分野でサービスを提供している「技術の応用力」がホンダの強みと言えるでしょう。
ホンダと競合他社の業績比較

ホンダと競合他社の業績を比較してみましょう。前年度(2025年3月期)の業績は、以下のとおりです。
(百万円)
| 会社名 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
| ホンダ(7267) | 21,688,767 | 1,213,486 | 1,317,640 | 835,837 |
| トヨタ自動車(7203) | 48,036,704 | 4,795,586 | 6,414,590 | 4,765,086 |
| 日産自動車(7201) | 12,633,214 | 69,798 | 210,168 | -670,898 |
| マツダ(7261) | 5,018,893 | 186,125 | 188,996 | 114,079 |
参照元:みんかぶ
上記3社のなかで、ホンダの業績はトヨタに次ぐ2位でした。上記4社の強みは、それぞれ以下のように異なります。
- ホンダ:二輪車の生産台数が世界トップクラス(累計5億台)
- トヨタ:自動車の販売台数が世界トップ(2024年まで5年連続)
- 日産:電気自動車(EV)の販売台数は国内トップ(2024年実績)
- マツダ:燃費性能に優れた「クリーンディーゼル車」に特化
ホンダは四輪事業だけでなく、競合の少ない「二輪事業」での収益力の高さが他社との差別化ポイントと言えるでしょう。
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ホンダの株価

ホンダの株価は、1,520円(2025年12月7日終値)です。以下のチャートでは、直近10年間の株価の推移を示しています。

出典:Yahoo!ファイナンス|本田技研工業株式会社(7267)
2016年頃からの数年間、ホンダの株は1,000円前後で取引されていました。しかし、2020年に流行した新型コロナウイルスの影響もあって販売台数が減り、純利益が前期比マイナス25%に減少。
ホンダの株価も700円台まで下落しました。
その後は徐々に株価が回復し、2024年3月期には主力市場の北米やハイブリッド社の販売を伸ばしたことで、売上・利益ともに過去最高益を達成。
結果、株価は2024年3月22日に上場最高値の1,921円を記録しています。
2025年10月現在、ホンダの株価は1,500円程度で推移しています。

ホンダの2026年3月期の純利益は前年比64.1%減の3000億円と予想されており、従来の4200億円からさらに下方修正されています
業績面で厳しい状況にありますが、高い配当利回り(現在約4.5%)や二輪事業の堅調さ、多角化事業の成長性など、長期的な魅力もあります。リスクを理解した上で、慎重に投資判断を行いましょう。
また、ホンダと競合他社の株の値動きについては、以下の表を参考にしてみてください。
| 会社名 | 現在の価格 | 年初来高値 | 年初来安値 |
| ホンダ(7267) | 1,520円 (2025/12/7終値) | 1,730円 (2025/9/5) | 1,156円 (2025/4/7) |
| トヨタ自動車(7203) | 3,032円 (2025/12/7終値) | 3,127円 (2025/1/7) | 2,226円 (2025/4/7) |
| 日産自動車(7201) | 370.6円 (2025/12/7終値) | 488円 (2025/1/7) | 299円 (2025/7/10) |
| マツダ(7261) | 1,122円 (2025/12/7終値) | 1,184円 | 723円 |
参照元:Yahoo!ファイナンス|日本株
ホンダの自己株式取得|実施あり

2026年3月期において、ホンダは自己株式取得を実施しています。直近の実施情報は以下のとおりです。
- 対象:普通株式
- 取得総数:22,943,700株
- 取得価額:38,565,665,858円
- 取得期間:2025年9月1日~2025年9月10日
参照元:本田技研工業株式会社|自己株式の取得結果および取得終了に関するお知らせ
ホンダは過去に何度も自己株式取得を実施しているので、今後も株主還元の一環として実施する可能性があります。
まとめ

本記事では、ホンダの配当金について解説しました。
ホンダの2026年3月期の配当金は、1株あたり年間70円の予定です。
100株あたり年間7,000円が支払われますが、実際に振り込まれる金額は税引後の5,577円です。
ホンダの業績は高水準をキープしており、配当に回せる資金が充実しているために、高配当を実現できています。
実際に、配当利回りは4年連続で3%を超えており、今期は4%を超えるとの予想です。
また、見学会や説明会などの株主優待を受けられる場合もあるため、自動車や工場、ホンダの事業に興味がある方は魅力に感じるでしょう。
直近5年間での年間配当金は、右肩上がりですのでホンダは今後も株主への利益還元を継続する可能性が高いです。
銘柄選びの参考にしてみてください。


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