
日産自動車株式会社(東証プライム:7201)は、自動運転や電気自動車(EV)などの「先進技術」に力を入れている日本の自動車メーカーです。
世界的にEV車の需要が下がっている影響で、業界全体でも4年ぶりにEVの国内販売台数が減少しています。
結果、2025年3月期(2024年4月1日〜2025年3月31日)の日産の配当金は、中間配当なし、期末配当は未定といった状態です。
そこで本記事では、今後の日産自動車の配当金や株主優待、株価について解説します。
日産自動車の株はNISAの成長投資枠でも買えるので、非課税での運用も可能です。
目次
日産自動車の配当金はいくら|未定
2025年3月期の第3四半期決算(2025年2月)時点で、日産自動車の配当金は未定です。過去10年度分の配当金の推移を、以下の表にまとめました。
(1株あたり)
事業年度 | 中間配当 | 期末配当 | 年間合計額 |
2025年3月期 | – | 未定 | 未定 |
2024年3月期 | 5円 | 15円 | 20円 |
2023年3月期 | – | 10円 | 10円 |
2022年3月期 | – | 5円 | 5円 |
2021年3月期 | – | – | – |
2020年3月期 | 10円 | – | 10円 |
2019年3月期 | 28.5円 | 28.5円 | 57円 |
2018年3月期 | 26.5円 | 26.5円 | 53円 |
2017年3月期 | 24円 | 24円 | 48円 |
2016年3月期 | 21円 | 21円 | 42円 |
2015年3月期 | 16.5円 | 16.5円 | 33円 |
2022年3月期と2023年3月期には、期末配当のみが支払われています。
しかし、期末配当の詳細は決算後の株主総会(毎年6月)で決まる予定です。そのため、2025年3月期の権利確定日までに、期末配当を狙った「日産自動車株への投資」を判断するのは難しいでしょう。
日産自動車の株価は445.9円なので、100株を買うためには44,590円※が必要です。※2025年2月7日の終値で計算
前期(2024年3月期)の配当金は年間20円だったので、100株を持っていれば2,000円の配当金がもらえました。ただし、配当所得として20.315%の税金が差し引かれるので、実際に支払われた金額は1,593円です。
【税引後に受け取れる配当金】(20円×100株)×(1−20.315%)=1,593.7円
配当金にかかる税金や節税方法は、こちらの「配当金に税金はかからない?節税のコツや新NISAで非課税で受け取る方法を解説」記事で解説しています。
日産自動車の配当金はいつもらえる
日産自動車の配当金が支払われるタイミングは、中間と期末の年2回です。権利確定日と支払い時期を、以下の表にまとめました。
項目 | 中間配当 | 期末配当 |
権利確定日 | 9月30日 | 3月31日 |
支払い時期 | 11〜12月頃 | 5〜6月頃 |
日産自動車の配当金は、株主名簿に登録されている株主に支払われます。
2025年3月期において、日産自動車の配当金は未定です。それでも、今後の配当金や株主優待を受けたいときは、基準日の2営業日前までに株を買いましょう。
日産自動車の配当利回りと配当性向|未定
前期(2024年3月期)の日産自動車の配当利回りは3.46%で、配当性向は18.1%です。
2025年3月期は期末配当が未定なので、数値を記載していません。直近5年分の利回りと配当性向を、以下の表にまとめました。
事業年度 | 配当利回り | 配当性向 |
2025年3月期 | ー | ー |
2024年3月期 | 3.46% | 18.1% |
2023年3月期 | 2.0% | 17.64% |
2022年3月期 | 0.87% | 9.07% |
2021年3月期 | ー | ー |
直近5年間の配当金が安定していないので、日産自動車の配当利回りや配当性向にも幅がある状態です。
日産自動車は「配当金を増やして、株主総還元率※を30%以上に維持すること」を方針としています。しかし、業績の悪化や配当金なしの状況を見ると、今期は高い利回りを期待できないでしょう。
※株主総還元率とは、企業が株主に還元する利益の割合を示す指標
【計算式】
総還元性向=(配当金の総額+自己株式取得の総額)÷純利益×100
以下の表では、2024年3月期の日産自動車の配当利回りと配当性向を、競合他社と比較しました。
会社名 | 配当利回り | 配当性向 |
日産自動車(7201) | 3.46% | 18.10% |
トヨタ自動車(7203) | 2.88% | 20.49% |
ホンダ(7267) | 4.45% | 30.10% |
マツダ(7261) | 3.96% | 18.20% |
参照元:みんかぶ
前期の数値で見ると、日産自動車の配当利回りは競合他社に劣っていません。
しかし、競合の3社はすべて2025年3月期の中間配当が出ており、期末配当も予想金額が示されています。日産自動車と競合他社の株を比較するときは、配当金やこちらの章で解説している業績などを参考にすれば、より客観的な投資判断ができるでしょう。
配当性向と配当利回りは、企業を評価するときに使う指標です。
配当利回りとは
購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けられるかを示す指標です。計算式は次のようになります。
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100
配当性向とは
税金を差し引いた企業の純粋な利益である当期純利益のうち、配当に回される額を表した割合です。計算式は次のようになります。
配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100
目安となる数値や詳しい計算方法については、こちらの「配当利回りと配当性向とは?違いや計算式、目安となる数値を解説」記事で解説しています。
日産自動車の株主優待|紹介特典でカタログギフト
日産自動車の株主は、紹介特典制度を利用できます。
株主の紹介で日産の新車を購入すると、株主と紹介を受けた方はそれぞれ「5,000円相当のデジタルカタログギフト」がもらえます。詳細は以下のとおりです。
- 対象:100株以上を保有する株主(新車の注文前に保有していることが条件)
- 新車の注文日:2024年4月1日〜2025年3月31日
- 申請期限:2025年5月31日
- 特記事項:株主自身が購入した場合、10,000円分のカタログギフト
カタログギフト内の商品は、5,000円以内であれば何品でも注文が可能です。不足分はクレジットカード払いに対応しているので、優待制度を無駄なく活用できます。
参照元:日産自動車|株主様紹介特典制度
日産自動車の業績|落ち込んでいる理由と投資判断
2025年3月期(2024年4月1日〜2024年9月末時点)を含む、過去5年分の業績を以下の表にまとめました。
(単位:百万円)
決算情報 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
2025年3月期 | 5,984,221 | 32,908 | 116,057 | 19,223 |
2024年3月期 | 12,685,716 | 568,718 | 702,161 | 426,649 |
2023年3月期 | 10,596,695 | 377,109 | 515,443 | 221,900 |
2022年3月期 | 8,424,585 | 247,307 | 306,117 | 215,533 |
2021年3月期 | 7,862,572 | -150,651 | -221,230 | -448,697 |
財務・業績ハイライト | 投資家の皆さまへ | 日産自動車企業情報サイト
2025年3月期の日産自動車は、業績が不調です。中間決算(4〜9月)時点の純利益は約192億円で、前年同期より94%少ない収益となりました。
おもな理由としては、売り上げの多くを占める「アメリカ」と「中国」で販売が不振だったことが挙げられています。加えて、為替変動や原材料の値上がり、在庫調整にかかる費用などが影響した結果、業績の悪化につながったようです。
また、日産自動車の販売台数は年々下がっており、2023年度の販売台数は2018年度より200万台以上減っています。
今後の業績回復に向けて、日産自動車は「世界で生産能力を20%削減し、9,000人の人員削減を行う」と公表しました。日産自動車の株を買おうか迷っているときは、決算情報を四半期ごとに決算内容を確認し、業績の回復状況を見ながら判断しましょう。
日産自動車の事業内容
日産自動車の事業内容は、自動車の製造と販売です。おもに、以下の3分野の会社と提携して、サービスを提供しています。
- 車両会社
- 部品会社
- 金融会社
それぞれ紹介します。
車両会社
日産は3つの車両会社と提携して、自動車の製造や販売を行っています。従来の乗用車だけでなく、以下のような先進技術を活用した車両を製造しています。
- 100%電気自動車:アリア、リーフ、サクラなど
- プロパイロット:高速道路での自動運転をアシストする技術
- e-POWER:電気によるモーター駆動でスムーズかつ静かな走行
- キャラバンを活用した特装車:救急車、消防車、幼児通園専用車など
2023年度には、EV車の国内販売台数で「日産サクラ」が2年連続1位※を記録しており、その技術力は国内外でも高く評価されています。(※2024年4月、日産調べ)
部品会社
部品会社では、おもに日産が製造する自動車のエンジンやトランスミッション(動力装置)を製造しています。
とくに、電気自動車に使われる「パワートレイン」と呼ばれる装置は、仕組みが非常に複雑です。
そのため、日産のe-POWERを実現するためには、部品会社にも高い技術力が求められています。
金融会社
日産が提携している金融会社が行っているおもなサービス内容は、以下のとおりです。
- 日産カード(クレジットカード)
- オートクレジット(自動車ローン)
- カーリース(指定した期間のみの支払い)
- 日産カーライフ保険プラン(自動車保険)
だれもが日産の自動車を利用できるように、購入から乗り換えまでの充実したサポートを提供しています。
日産自動車と競合他社の業績比較
日産自動車と競合他社の業績を比較してみましょう。前期(2024年3月期)の業績は、以下のとおりです。
(百万円)
会社名 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
日産自動車 (7201) | 12,685,716 | 568,718 | 702,161 | 426,649 |
トヨタ自動車 (7203) | 45,095,325 | 5,352,934 | 6,965,085 | 4,944,933 |
ホンダ (7267) | 20,428,802 | 1,381,977 | 1,642,384 | 1,107,174 |
マツダ(7261) | 4,827,662 | 250,503 | 320,120 | 207,696 |
参照元:みんかぶ
競合の自動車メーカーのなかで、トヨタとホンダの業績は圧倒的に高いです。
上記の4社で見ると、前期の日産自動車の純利益は、マツダに約2倍の差をつけて3位にランクインしています。しかし、2025年3月期は業績が大きく下がっており、中間決算ではマツダと約1.8倍の差がついて逆転されている状況です。
こちらの章で解説したとおり、今期の日産は業績が悪化しており、配当金の支払いについてもまだ公開されていません。自動車業界への投資を考えているときは、業績や配当金の推移、企業の方針などを競合他社と比較しながら、配当収入が狙える株を見つけましょう。
トヨタとマツダの配当金については、こちらの記事で解説しているので、日産と比較しながら投資先を検討してみてください。
トヨタ自動車の配当金は15円アップ予想!いつもらえるのかや利回りを解説
マツダは過去最高益で特別配当も! 気になる配当金と配当時期を解説
日産自動車の株価
日産自動車の株価は、445.9円(2025年2月7日終値)です。以下のチャートでは、直近10年間の株価の推移を示しています。
出典:Yahoo!ファイナンス|日産自動車(株)【7201】
日産自動車の株は、10年前に1,200〜1,300円台で取引されていました。
しかし、2018年頃から徐々に株価が下がり、2020年には300円台で取引されるようになりました。

日産自動車は経営再建が進めば株価が急騰する可能性がありますが、 株価の変動要因が多く、市場動向や企業ニュースを読み解くスキルが必要で、初心者にはハードルが高い銘柄です。
また配当についても現時点で日産自動車を積極的に推奨するのは難しいです。配当の安定性が乏しく、初心者にとってリスク管理が難しいため、他の高配当株を優先すべきでしょう。
また、日産自動車と競合他社の株の値動きについては、以下の表を参考にしてみてください。
会社名 | 現在の価格 | 年初来高値 | 年初来安値 |
日産自動車(7201) | 445.9円 (以下2025/2/7終値) | 652円 (2024/3/22) | 338円(2024/12/17) |
トヨタ自動車(7203) | 2,824.5円 | 3,891円 (2024/3/27) | 2,183円 (2024/8/5) |
ホンダ(7267) | 1,436.5円 | 1,960円 (2024/3/22) | 1,214円 (2024/12/19) |
マツダ (7261) | 1,034 円 | 1,96円 (24/2/8) | 94円 (2024/12/5) |
参照元:Yahoo!ファイナンス|日本株
日産自動車の自己株式取得
日産自動車は、2025年3月期に自己株式取得を実施しています。直近で実施された自己株式取得の詳細を、以下の表にまとめました。
対象株式 | 当社普通株式 |
取得株式数 | 195,473,600株 |
取得価額 | 79,850,965,600円 |
取得日 | 2024年9月27日 |
取得方法 | 東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による買付け |
特記事項 | 今回の自己株式取得は、フランスの自動車メーカー「ルノーグループ」からの買い戻し |
消却予定 | 取得したすべての株式を消却 (消却日:2024年10月3日) |
参照元:日産自動車株式会社|2024年9月27日 各位会社名 日産自動車株式会社 代表者名 代表執行役社長兼最高経営責任者
日産自動車は、過去にも自己株式の取得と消却を実施しているので、今後も実施する可能性があります。
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まとめ
本記事では、日産自動車の配当金について解説しました。
2025年3月期の日産自動車は、業績が落ち込んでいます。
その結果、第3四半期時点の発表で、日産自動車の配当金は未定です。
それでも、日産自動車には「株主優待制度」があります。株主の紹介で新車を購入した場合、株主と紹介された人はそれぞれ5,000円相当のデジタルギフトがもらえます。
また、業績の回復に向けて「人件費の削減」や「国ごとの生産台数調整」を行う方針です。
利益が増えていけば、日産自動車の配当金も復活する可能性があるでしょう。
日産自動車の株主確定日は、毎年「9月末」と「3月末」です。
株主優待や今期の期末配当、今後の業績など見たうえで、 総合的に日産自動車への投資を判断してください。
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