
インテル(Intel)は、PCに必要なCPU(計算や処理を担う装置)を開発しているアメリカの半導体メーカーです。
AIやEV車などの発展に伴い、半導体市場が好調となったことで「インテル株を配当目的で持つのはどうなのか?」と考える方もいるのではないでしょうか。
結論、2024年9月の支払いを最後にインテルは配当を停止しています。
本記事では、インテルの配当が停止した理由と投資リスクについて解説します。企業の強みや配当再開の可能性についても紹介しているので、インテルが自分の投資先に合うかどうかの参考にしてみてください。
目次
インテル(Intel)は配当を停止している|2024年第4四半期以降

2024年第4四半期以降、インテル(Intel)は配当の支払いを停止しています。過去の配当履歴を、以下の表にまとめました。
(1株あたり:米ドル)
| 事業年度 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 年間合計額 |
| 2025年12月期 | ー | ー | ー | 未定 | 未定 |
| 2024年12月期 | 0.12 | 0.12 | 0.12 | ー | 0.36 |
| 2023年12月期 | 0.36 | 0.12 | 0.12 | 0.12 | 0.72 |
| 2022年12月期 | 0.36 | 0.36 | 0.36 | 0.36 | 1.44 |
| 2021年12月期 | 0.35 | 0.35 | 0.35 | 0.35 | 1.4 |
| 2020年12月期 | 0.33 | 0.33 | 0.33 | 0.33 | 1.32 |
2022年までは増配を続けていましたが、2023年12月期第1四半期に大幅な減配を実施。2024年第3四半期を最後に、インテルは配当を停止している状態です。つまり現時点において、インテル株では配当益を狙えません。
インテル(Intel)が配当停止となった2つの理由

インテル(Intel)が配当を停止したおもな理由は、以下の2つです。
企業の経営方針を理解し、インテル株購入の参考にしてみてください。
悪化した業績を回復させるため
直近数年間において、インテルは業績が悪化しています。
純利益において、2024年3月期から6四半期連続で赤字を記録しており、直近約3年間でも多くの決算期で赤字を計上。
慢性的な赤字となった事業を立て直すために、インテルは一時的に配当を停止しました。
また、15%の人員や営業費用の削減により、100億ドルのコストカットを目指すと発表しており、業績が回復するまでインテルの配当金は復活しないでしょう。
参照元:ロイター|インテル、15%人員削減と配当停止発表 株価一時20%安
事業拡大に巨額投資が必要なため
インテルが配当を停止したもうひとつの理由は、事業拡大に向けて資金を確保するためです。とくに、インテルが手がける「半導体事業」は最先端技術であり、開発や製造には多くの資金が必要となります。
業績不振が続く状況のなか、インテルが配当と事業投資を両立するのは極めて厳しいでしょう。そこで、配当に回していた原資を「台湾積体電路製造(TSMC)に奪われたシェアを取り戻すための資金」として活用。
事業拡大によってシェアが回復すれば、インテルの業績は安定し、株価の上昇や配当の再開が期待できます。
インテル(Intel)とは|アメリカの大手半導体メーカー

| 項目 | 内容 |
| 名称 | Intel Corporation |
| 設立 | 1968年 |
| 本社 | アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サンタクララ |
| 代表者 | Lip-Bu Tan(リップブー・タン) |
| 事業分野 | ・AI・半導体受託生産・PC向けプロセッサ(Coreシリーズ)・サーバー向けCPU(Xeonシリーズ) |
インテル(Intel)は、アメリカを代表する半導体メーカーです。
主力製品はPC向けプロセッサ「Coreシリーズ」と、サーバー向けCPU「Xeonシリーズ」で、これらの製品で長年トップシェアを維持してきました。
また、5Gによる高速通信ネットワーク技術や、現場でのデータ処理をスムーズにする機器(エッジコンピューティング)の開発・販売をしています。
近年はAMDやエヌビディア(NVIDIA)といった競合の台頭により、AI事業や他社の半導体製造を請け負う事業(ファウンドリ)にも注力しています。
インテル(Intel)に投資する4つのメリット・強み

インテル(Intel)の強みと投資するメリットは、おもに以下の4つです。
これらの強みからインテル株の成長性を判断し、投資すべきか冷静に見極めましょう。
世界的な半導体メーカーとしてのブランド力がある
インテルは世界で初めてマイクロプロセッサの開発に成功した企業です。
2016年にはPC向けCPU市場で約90%のシェアを獲得しており、世界的な半導体メーカーとしての実績と信頼性があります。
直近数年間で競合他社の追い上げもありましたが、2025年度のCPU市場シェア率は未だに約60%※を占めています。
インテルの半導体メーカーとしてのブランド力は、今後も期待できるポイントのひとつです。
※参照元:CPU Market Share|PassMark CPU Benchmarks
米国政府から補助金支援を受けている
2025年8月、インテルと米国政府は約89億ドルの投資支援で合意しました。事実上、米国政府から補助金支援を受ける形です。
政府から支援を受けることで、インテルは設備投資や研究開発に必要な資金を確保できます。結果、事業が回復すれば、株価の上昇や配当の再開が期待できるでしょう。
次世代技術(Intel 18A)による巻き返しの可能性がある
インテルは、最新半導体製造技術「Intel 18A」を開発中です。
従来の製品(インテル3)と比べ、Intel 18Aは性能が最大15%、チップ密度が最大30%も向上すると言われており、スピーディーかつ小さいチップとなります。
新たな半導体技術が評価されれば、TSMCやエヌビディア(NVIDIA)からシェア率を取り戻せるかもしれません。
配当再開の可能性がある|配当と株価上場のダブルリターン
2026年2月現在、インテルは配当を停止中です。しかし、将来の状況によっては配当が再開される可能性があります。
実際にインテルは、配当停止の理由を「キャッシュフロー改善のため」としており、「改善されれば新たな配当の方針を打ち出す」と表明。
過去30年以上にわたって配当を実施してきた実績もあるため、業績が回復すれば株価上昇と配当再開でダブルリターンを狙える可能性があります。
インテル(Intel)に投資する3つのデメリット

インテル(Intel)に投資するデメリットとして、以下の3つが挙げられます。
「半導体」というトレンドに流されて損をしないためにも、インテル株のデメリットを理解したうえで投資判断をしましょう。
AI半導体市場で大きく出遅れている
PC市場でトップシェアを維持しているインテルですが、AI半導体市場では競合他社に遅れをとっています。
とくに、AIブームのきっかけとなった「ChatGPT」に使用されたGPUの開発元がエヌビディア(NVIDIA)で、当時のAI半導体市場を独占しました。
また、インテルが巻き返しのために力を入れているファウンドリ事業もTSMCにシェアを奪われており、未だに生成AIブームの恩恵を受けられていません。
インテルは次世代技術(Intel 18A)で巻き返しを狙っていますが、成功しなければ業績と株価が回復せずに損失が生じる可能性があります。
関連記事
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赤字状態が続いている|2024年3月期決算から6四半期連続
直近数年間のインテルは、業績が悪化しています。インテルの業績は、以下の表を参考にしてみてください。
(単位:百万ドル)
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 当期純利益 |
| 2025年12月期(予想) | 13,395 | 27 | -300 |
| 2025年9月期 | 13,653 | 858 | 4,063 |
| 2025年6月期 | 12,859 | -1,286 | -2,918 |
| 2025年3月期 | 12,667 | -145 | -821 |
| 2024年12月期 | 14,260 | 469 | -126 |
| 2024年9月期 | 13,284 | -3,435 | -16,639 |
| 2024年6月期 | 12,833 | -1,021 | -1,610 |
| 2024年3月期 | 12,724 | -721 | -381 |
| 2023年12月期 | 15,406 | 1,443 | 2,669 |
参照元:日本経済新聞|業務・財務情報 インテル[INTC/Intel]
純利益においては、2024年3月期から6四半期連続での赤字を記録しており、直近約3年間でも多くの決算期で赤字を計上しています。政府の補助や次世代技術の開発などで改善を目指していますが、回復する保証はありません。
それでも、2025年9月期決算は7四半期ぶりに黒字に転じているため、四半期ごとの決算情報をチェックしながらインテルへの投資判断をしましょう。
株価が大きく下落している|2025年4月に過去最低水準を記録
2021年をピークに、インテルの株価は大きく下落していましたが、直近は回復傾向にあります。直近10年間のインテルの株価は、以下のチャートを参考にしてみてください。

2021年頃は65ドル以上で取引されていました。しかし2025年4月には過去最低水準となる17.67ドルを記録。2026年3月1現在45.46ドルと回復基調にあります。
7四半期ぶりの黒字決算で回復の兆しを見せていますが、インテルの業績は安定していないため、今後の株価も不安定な状態が続くでしょう。

インテルはAI需要拡大の追い風があるものの、生産体制の不安定さが最大の弱点です。2026年は「Intel 18A」の量産進捗を四半期ごとに注視し、黒字化の具体化を待つ慎重な姿勢が求められます。配当再開には少なくとも業績安定が必要なため、配当目的の投資に現状は向きません。
インテル(Intel)の株に関するよくある質問

インテル(Intel)株に関するよくある質問に回答します。
それぞれ見ていきましょう。
インテルの配当利回りは?
2025年12月期において、インテルは配当金の支払いがありません。
ただ、過去には配当金が支払われていたので、当時の配当利回りを下表にまとめました。
| 事業年度 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 |
| 2024年12月期 | 1.17% | 1.62% | 2.52% | ー |
| 2023年12月期 | 4.82% | 1.63% | 1.43% | 1.31% |
| 2022年12月期 | 3.02% | 3.14% | 4.00% | 5.33% |
| 2021年12月期 | 2.41% | 2.45% | 2.58% | 2.76% |
| 2020年12月期 | 1.96% | 2.25% | 2.70% | 2.89% |
インテルが配当を再開するのはいつ?
インテルが配当を再開する時期は未定です。
それでも、インテルは長期にわたって配当金を出してきた実績があります。
「財務状況が回復すれば今後の配当について説明する」という前向きな声明もあるので、配当が再開される可能性は十分あるでしょう。
2025年9月からインテルの株価が上昇している理由は?
2025年9月からインテルの株価が上昇している理由として、以下の2点が考えられます。
- 米国政府、ソフトバンク、NVIDIAから出資を受けている
- 今後、アップルやTSMCからも出資が期待されている
とくに、米国政府が大企業の株式を保有するのは珍しいことで、過去に数例しかありません。これは、半導体の国内生産を強化したい米国政府が、インテルを戦略的に重要な企業と位置づけている証拠です。
政府の支援による業績回復への期待から、投資家の信頼が回復し株価が上昇していると考えられます。
参照元:ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース|トランプ米政権、インテルに約89億ドルを投資し、筆頭株主へ(米国)
まとめ

インテル(Intel)は業績悪化に伴い、一時的に配当金を停止中です。現状、配当金で利益を狙えないうえに、株価も下落傾向にあります。
それでも、インテルは以下のような強みを活かしながら、事業の立て直しに力を入れています。
- 世界的な半導体メーカーとしてのブランド力がある
- 米国政府から補助金支援を受けている
- 次世代技術(Intel 18A)による巻き返しの可能性がある
- 配当再開の可能性がある|配当と株価上昇のダブルリターン
配当のない今は投資を避けるべきか、それとも将来の復活を見越して投資すべきか、あなたのリスク許容度に合わせて慎重に判断しましょう。
米国株投資で損をしないためにも、お金や投資に関する勉強を続けながらインテルへの投資を検討してみてください。


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