NTTの配当パフォーマンスを評価!安定配当の背景にある事業モデルの強みとは?

NTTの配当や業績についてのイメージ

NTT(9432)は、通信業界の大手企業で、地域通信事業のほかにグルーバル・ソリューション事業やオフィスビルの運営や再生可能エネルギー発電所の改発など多角的な事業などを展開しています。来期を含め14期連続増配予定で、配当額は14年で4.3倍に増加、2025年3月期は前期比0.1円増の予定です。

本記事では、NTTの配当金額や配当時期・配当性向・配当利回りについて解説します。また、NTTの株主になるメリットやNTTは投資初心者向けの個別株として紹介される理由などについても説明していきます。

NTTの配当金はいくら

NTTの配当金等についてのイメージ

NTT(9432)とは、日本電信電話の略称です。NTTはさまざまな事業を展開していながらも、大きな成長性は期待できないといえるのが特徴です。しかし、多くの投資家が保有しているのは、配当金等株主にとっての利益が大きいためです。

魅力あるNTTの配当金や株主優待の内容について解説します。

NTTの配当金に関する基本情報

NTTの購入単位である単元株数100株の2024年3月期に受け取れた配当金額は、年間で510円です。

2024年度の年間配当額は、14期連続での増配となる1株当たり年間5.2円(対前年度+0.1円)を予定しています。

来期と過去4年間の配当金の推移を示すと次のようになります。

最低単元株は100株で、最低取得金額は18,750円(株価は1株187.5円で計算)です。

事業年度中間配当期末配当年間配当金
2025年3月期2.6円5.2円(予想)
2024年3月期2.5円2.6円5.1円
2023年3月期(分割前)60円60円4.8円(分割調整)
2022年3月期55円60円4.6円(〃
2021年3月期50円55円4.2円(〃
2020年3月期95円47.50円3.8円(〃

参照元:NTT 株主還元(配当・自己株式取得)

NTTの配当金はいつもらえる

NTT株の配当は、中間と期末の2回に分けて支払われます。原則、12月と6月です。

まず権利確定日と支払開始日との関係は、次のようになります。

中間配当期末配当
権利付最終日2024年9月26日2025年3月27日
権利確定日2024年9月30日2025年3月31日
支払開始予定日2024年11月29日2025年6月下旬

NTTの権利確定日は9月末と3月末なので、期末配当金は3月末を基準日とし支払は6月下旬頃に、中間配当金は9月末を基準日として12月下旬頃に支払われます。

配当金を受け取るには、権利付最終日(権利確定日の2営業日前)までに買い注文を約定(注文を成立)させておくことが必要です。また、NTTの事業年度は毎年4月から翌年3月までです。配当は、株主総会の決議により決定されます。

実際に投資家の口座に配当が振り込まれるには、3か月程度かかるので注意しましょう。

通常購入できる単元株は100株となっているため、1単元株で受け取れる配当金額は、所得税や住民税等20.315%が差し引かれた税引後の金額で、498円です。((5.1円×100株)×(1-20.315%)= 498円)

なお、NISAで購入した場合は、税引前金額の510円を受け取れます。

NTTの配当利回りと配当性向は

NTTの配当利回りと配当性向を解説します。

2024年3月期の配当利回りは2.83%、配当性向は33.8%です。配当性向と配当利回り推移をまとめると次のようになります。

NTTは配当政策も安定的な傾向があります。NTTは配当について、「中期経営戦略においても継続的な増配の実施を基本的な考えとしており、業績動向、財務状況及び配当性向等を総合的に勘案し、配当の充実を図ること」としており、継続的な増配を基本的な考え方としています。

現在、配当利回りは約3%で推移しており、事業の盤石さを考慮すると、減配や無配りスクも少ないことが予想されます。

年間配当の推移も堅調で、長期間増配が続いています。2024年度の年間配当額は14期連続での増配予定となっています。2003年の配当金額と比較して金額自体も10倍以上に拡大しています。

つまり、NTTは高配当株でありかつ増配株でもあるわけです。含み益や配当金が非課税となる新NISAでの保有についても相性が良いことが分かります。

配当利回り配当性向
2024年3月期2.83%33.8%
2023年3月期3.03%34.5%
2022年3月期3.24%34.9%
2021年3月期3.69%42.3%
2020年3月期3.69%41.1%
2019年3月期3.83%40.9%

配当利回りと配当性向の考え方と計算方法を説明します。

配当利回り

配当利回りは、購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けられるかを示す指標です。計算式は次のようになります。

配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100

配当性向

配当性向は、税金を差し引いた企業の純粋な利益である当期純利益のうち、配当に回される額を表した割合です。計算式は次のようになります。

配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100

 

NTTの業績

NTT株の概要についてイメージ

NTTの事業年度は、4月1日から翌年3月末日です。過去4期の売上高や営業利益・経常利益・登記利益の推移は次のとおりです。

(単位:百万円)

売上高営業利益経常利益当期利益
2024年3月期13,374,5691,922,9101,980,4571,279,521
2023年3月期13,136,1941,828,9861,817,6791,213,116
2022年3月期12,156,4471,768,5931,795,5251,181,083
2021年3月期11,943,9661,671,3911,652,575916,181

NTTは安定した成長を続けており、特に収益性の改善が顕著です。売上高の緩やかな成長に対して、各種利益指標が着実に向上している点は、コスト管理の効率化や収益構造の改善が進んでいることを示唆しています。特に当期利益の大幅な増加は、財務体質の強化につながっていると考えられます。

 

NTTの事業内容

NTTという企業について説明します。日本に住んでいればNTTを知らない人はほとんどいませんが、実際の事業内容や将来性などについても言及します。

NTTとは?

NTT(9432)とは、日本電信電話の略称です。NTTは、日本電信電話公社の民営化に伴い、1985年に誕生した株式会社です。

上場後2年で株価は2倍になり、バブルの絶頂の1989年には時価増額世界1位にもなっている企業です。現在は、日本で第4位の時価総額を誇ります。(2024年2月現在)

現在、総括持株会社NTTを中核として、連結子会社などを含めた企業全体をNTTグループと総称して呼んでいます。

NTTの事業内容

NTTの事業内容は多岐にわたりますが、主に以下の4つの事業を展開しています。

・総合ICT事業

携帯電話事業や国内電気通信事業における県間通信サービスなどが該当。国際通信事業・ソリューション事業・システム開発事業およびそれに関連する事業を含む。携帯電話サービスやドコモ光などが代表例。

・地域通信事業

国内電気通信事業における県内通信サービスの提供およびそれに附帯する事業などが該当。フレッツ光やコラボ光が代表例。

・グルーバル・ソリューション事業

コンサルティング、システム・ソフトウェア開発、ネットワークシステム、クラウド、グローバルデータセンターおよびそれに関連する事業などが該当。市場の変化に対応したデジタル化の提案などをNTTデータなどの事業会社を通じて世に提供しています。

・その他(不動産・エネルギー等)

オフィスビルの運営や再生可能エネルギー発電所の改発などを手掛ける事業が該当。NTTといえば、通信サービスがメインですが、それ以外にも付随するさまざまな事業を手掛けていることが分かります。

NTTの将来性

NTTに投資する点で多くの人が気になるのはNTTの将来性でしょう。

現状、業績は堅調に推移していますが、NTTドコモや固定電話などのビジネスは国内市場がかなり成熟しています。したがって、主要な事業については大きな成長性は期待できないといえるでしょう。

国内事業が成熟しているということは、海外展開などで業績の伸び代があるのではないか?と思う人もいるかもしれません。

しかし、NTTはかつて海外企業の買収で巨額の損失を計上していたりします。

現状、海外売上比率は全体の2割程度にとどまっており、今後も急成長することはひとまずないとみられています。

NTTの株主優待

NTTの株主になると、長期保有特典として株主優待も受け取れます。保有期間に応じてdポイントが進呈されます。

dポイントは、コンビニや飲食店などで使用できるので、使い勝手が良い優待といえるでしょう。

以下がNTTの株主優待内容となります。

・2年~3年未満:dポイント1,500ポイント分
・5年~6年未満:dポイント3,000ポイント分

注意点としては、毎年進呈するものではないことと、同一の株主番号で得られる最大のポイント数は4,500ポイントであることです。

配当が高水準であること、株主優待を実施していることなどを考慮すると、企業としてNTTは株主還元に積極的であることがよく分かります。

株主になると多くの恩恵を受けられるのがNTTの良さといえます。

NTTの株価

現在のNTTの株価は等に関する基本情報は以下の通りです。

 

NTT株価推移
NTT株価推移(10年) 引用:YAHOOファイナンス

日経平均の配当利回りの平均は1.81%、東証プライム市場に限定しても配当利回り平均は2.13%なので、NTTは配当利回りが高い企業であるといえます。

NTTが投資初心者向けである理由

NTTが投資初心者向けである理由のイメージ

最近、さまざまな媒体で「NTTは投資初心者におすすめ銘柄」として紹介されることが多いです。

実際初めての株式の取引で多くの投資家に購入されているのですが、「投資初心者にとってなぜおすすめなのか?」がきちんと説明されている情報は多くありません。

以下、どのような点でNTT株がおすすめされているのかについて解説していきます。

小口の投資家でも買いやすい

投資初心者の特徴として、多くの場合投資金額が少額であるという点が挙げられます。

「投資に回せるお金が少ない」「あくまでも余剰資金でやりたい」と理由はさまざまですが、投資資金が潤沢でない場合、購入できる株銘柄は限られます。

議決権や株主優待を得る権利のために必要な最低単元株は100株以上に設定している企業が多く、たいてい数十万円かかるのが一般的です。

しかし、NTTは2023年7月1日付で1株を25株に分割しており、100株が1万円台で購入できるようになりました。

2023年2月3日段階で株価は187.5円で予想配当利回りは2.67%となっています。

その点で小口の投資家でも購入しやすいのが大きな魅力です。

株価の変動が大きくない

NTTは、安定的な株銘柄として知られており、現在は100株でも2万円以下の水準なので株価が変動したとしても、その変動によって大きな損失を抱えることが少ないといえます。

投資初心者は、まだ自分のりスク許容度がわからない人も多いため、急に大きな損失を抱えると投資自体をやめてしまう事態になりかねません。

その点、損失が小さいところから慣れていける点で、個別株デビューに向いているといえるのでしょう。

また、NTT株の3分の1以上を政府が保有することを考えると、政府の投げ売り等が実行されない限り大暴落が起こる可能性も少ないといえます。

多くの機関・個人投資家が保有している安心感もあるので、株式投資を始めたばかりの初心者が手始めに購入する株銘柄として推奨されていると考えられます。

安定的で多くの人の注目が集まっている

成長性は期待できないとはいえ、NTTグループの魅力は企業としての安定性です。キャッシュフローの推移をみても、常に黒字で安定した収益が期待できます。

NTTは日本電信電話株式会社等に関する法律(通称:NHK法)によって政府が3分の1以上の株式を保有しなければいけないという規定が適応されています。

会社四季報などをみると、NTTの筆頭株主は財務大臣となっています。常に30%以上の株式を政府が保有しており、その点で株価の暴落が起こりづらいといったメリットがあります。

また、やはりNTTは誰もが知る大企業であるため、多くの人が株式を保有していたり、注目されている点が挙げられます。

企業HPはもちろん、さまざまな媒体で株価情報等にアクセスできるため、情報収集もしやすく、何か起きた場合もすぐにニュースになるため、株価下落などのネガティブなニュースなども投資初心者の耳に届きやすいというメリットがあります。

株式投資において、自分で投資判断をするためには投資家自身が情報収集をして株式の売買やそのタイミングなどを決定していく必要があります。

安定的な収益が見込まれ、倒産リスクも低い点がNTTの魅力といえるでしょう。

 

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まとめ

株で資産が増えていくイメージ

この記事では、NTTの特徴や事業内容、株主になるメリットや投資初心者向けといわれる理由などについて解説してきました。

NTTは成長性が乏しいと言われながらも、盤石な財務基盤から長きにわたって増配を続けている企業です。

株主優待を実施している上、最低単元株の100株を1万円台で購入できることなどから投資初心者でも買いやすい企業の一つです。

ただ注意しなければいけないのは、基本的に個別株は元本保証ではなく、NTTも株価が下落したり、減配・無配のりスクがある点です。

安定性があるとはいえ、政府の財源にするため大型の売り出しがあるという情報が流れた時に株価が下がるなど株価の変動がありました。

NTTはおすすめ銘柄に挙げられることが多いですが、デメリットなどもあるので保有する場合は気を付ける必要があります。

そうした事情を含めてもNTTは、投資初心者向けの銘柄として、多くの個人投資家の注目を集めています。

これから株式投資を始めたい人は、新NISAで保有を検討しても良いかもしれません。

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