
老後に向けた資産運用のために、新NISAで投資を始めた方は多いでしょう。
投資信託への投資を決めていざ購入という場面で、「分配金コースの選択」がいきなり求められます。
投資に慣れていないと、分配金コースは「再投資型」と「受取型」のどっちにすべきか判断が難しいです。
結論として、20年以上の長期目線での運用を検討しているときは、再投資型を選びましょう。
本記事では、投資信託の分配金コースについて解説します。
目的別におすすめのコースを紹介しているので、この記事を読めば、自分の投資戦略にあった分配金コースを選べるようになるでしょう。
お金に不安のない老後を実現できるようになれば幸いです。
目次
新NISAの分配金とは
分配金とは、投資信託の運用で得られた会社収益の一部を、決算時に投資家(購入者)へ支払うお金のことです。
「普通分配金」と「特別分配金」の2種類があり、それぞれ以下のような違いがあります。
種類 | 概要 | 課税の有無 |
普通分配金 | 運用で生じた利益から支払われる分配金 | 課税 |
特別分配金 (元本払戻金) | 投資信託の購入にかかった元本から支払われる分配金 | 非課税 |
特別分配金は、自分が投資した金額の一部が返還されているだけなので、分配された金額だけ投資信託の価格も下がります。
また、配当金も企業の利益から支払われるものですが、分配金とは「支払い元」が異なります。
- 分配金:投資信託を運用している銀行や証券会社から支払われる
- 配当金:株式を発行している会社から支払われる
数は少ないですが、新NISAで買える商品のなかにも分配金がもらえる投資信託があるので、受け取ったタイミングで分配金の種類を確認しておきましょう。
新NISAの2つの分配金コース
新NISAの投資信託でもらえる分配金は、再投資型と受取型の2つのコースから選べます。
それぞれの概要は、以下のとおりです。
分配金コース | 概要 | メリット | デメリット |
再投資型 | 運営会社から支払われる分配金で、同じ投資信託を買い増す | ・複利効果で効率よく資産を増やせる ・再投資では購入手数料がかからない | ・NISAの投資枠が自動で消費される ・現金で受け取れないので、利益が出ている実感が湧きにくい |
受取型 | 運営会社から支払われる分配金を現金で受け取る | ・利益を投資以外に回せる ・ほかの商品に投資できる | ・再投資型より複利効果が小さい ・投資信託の純資産総額が減って、値下がりにつながる可能性がある |
それぞれ詳しく解説します。
再投資型とは
分配金の再投資型とは、運営会社から支払われる分配金を使って、同じ投資信託を買い増す運用方法です。
毎月の積立に加え、再投資した分の投資信託が増えていくので、複利効果により雪だるま式に利益が増えていきます。
また、分配金で同じ投資信託に再投資する場合、原則として「購入時手数料」がかかりません。
分配金を現金で受け取ってから再投資するよりコストを抑えられるので、効率よく資産を増やせます。
再投資型のデメリットは、NISAの投資枠が自動で消費される点です。
投資枠を超えた部分は「課税口座」で再投資されるケースが多いので、場合によっては非課税メリットを受けられないかもしれません。
楽天証券やSBI証券なら、優先的にNISA口座内で再投資されます。非課税枠を最大限利用してNISAを始めたい方は下記記事を参考にしてみてください。
楽天証券のつみたてNISAの始め方!お得に活用する5つのコツを紹介
SBI証券のつみたてNISAの始めかた!スマホアプリやお得な設定方法を解説
受取型とは
分配金の受取型とは、運営会社から支払われる分配金を現金で受け取る方法です。
普通分配金の場合、税金(20.315%)を差し引いた金額が証券口座の「預り金」として入金されます。
ボーナスのように定期的に現金を受け取れるので、趣味や旅行など、投資以外の場面で利益を活用できます。
また、受け取った現金はほかの商品への投資にも活用できるので、株式や不動産などの投資にも挑戦できるでしょう。
受取型のデメリットは、再投資型より複利効果が小さい点です。再投資型の方が運用する投資信託の数が多くなるので、受取型を選択すると資産運用の効率が悪くなります。
新NISAの分配金を受け取るおすすめの方法
新NISAでは、分配金の使い道を投資の目的によって使い分けましょう。
目的別のおすすめ分配金コースは、それぞれ以下のとおりです。
- 効率よく資産を増やしたい → 再投資型を選ぶ
- 定期的に現金を受け取りたい → 受取型を選ぶ
自分の目的にあったコースを選べば、理想の投資スタイルで資産運用を続けられるでしょう。
効率よく資産を増やしたいなら再投資型を選ぶ
NISAで効率よく資産を増やしたいときは、再投資型を選びましょう。複利の効果で、雪だるま式に資産が増えていくからです。
そもそも「複利」とは、投資によって発生した利益(利息)に対しても、さらに利息がつく運用方法です。
たとえば、10万円を年利5%で運用した場合、総利益と利息は以下のように増えていきます。
運用年数 | 総利益 | 利息 |
1年後 | 105,000円 | 5,000円 |
2年後 | 110,250円 | 10,250円 |
3年後 | 115,763円 | 15,763円 |
4年後 | 121,551円 | 21,551円 |
5年後 | 127,628円 | 27,628円 |
投資信託を長期的に「再投資型」で運用すれば、複利効果も徐々に高まります。効率よく資産を増やしていけば、資金に余裕を持った状態で老後を迎えられるでしょう。
複利効果についてはこちらの記事では、「株式投資で効率よく複利効果を得るには?複利と単利の違いなどについても解説」で解説しています。
定期的に現金を受け取りたいなら受取型を選ぶ
定期的に現金を受け取りたいときは、受取型を選択しましょう。具体的には、以下のようなケースで「受取型」を選ぶのがおすすめです。
- 利益を現金で残したい
- 投資信託以外の投資に挑戦したい
- 直近の生活やライフイベントなどでお金を使いたい
投資信託の種類によって、分配金が支払われる時期や回数は異なります。
それでも継続的に現金で収入を得られるので、ちょっと高級な外食や自分の趣味などを楽しみながら、普段の生活の質を高められるかもしれません。
新NISAで分配金コースを選ぶときの3つのポイント
新NISAの分配金コースは、以下の3つのポイントを理解したうえで選びましょう。
- いつでも変更できる
- 選択できない場合もある
- 再投資型は投資枠を消費する
それぞれ解説します。
いつでも変更できる
投資信託の分配金コースは、基本的にいつでも変更できます。たとえば、以下のようなタイミングでは、分配金の使い道を考え直すべきかもしれません。
- 学費や住宅ローンなどで、定期的に収入が欲しいとき(再投資型→受取型に変更)
- 直近で必要な支出が減り、老後に向けた運用に切り替えたいとき(受取型→再投資型に変更)
分配金コースの変更は、証券会社のマイページや店頭で手続きができます。反映は翌営業日以降になる場合があるので、余裕をもって手続きを完了させましょう。
選択できない場合もある
NISAで買える投資信託のなかには、分配金コースを選択できない商品もあります。
- 受取型のみで運用される投資信託
- 再投資型のみで運用される投資信託
- そもそも分配金が発生しない投資信託
(eMAXIS Slim 全世界株式、eMAXIS Slim 米国株式など)
分配金コースの選択肢は、投資信託の購入画面で確認できます。ただし、分配金の有無やコース選択の可否で運用する商品を決めるのは、あまり本質的ではありません。
それでも、2〜3種類に絞ったうえでどれにすべきか迷っているときは、分配金コースを選べる投資信託を選ぶのも戦略のひとつです。
再投資型は投資枠を消費する
分配金コースを再投資型に設定していると、再投資された金額はNISAの投資枠を消費します。そのため、以下の投資上限額を超えた部分は、同じ証券会社の課税口座で運用されます。
- つみたて投資枠:120万円
- 成長投資枠:240万円
投資枠の残高は、証券会社の口座管理画面で確認が可能です。非課税枠内で投資を完結させたいときは、残りの投資可能額を定期的にチェックしましょう。
新NISAの分配金コースを変更する方法
新NISAの分配金コース変更は、証券会社のマイページや店頭で手続きができます。本章では「楽天証券」で分配金コースを変更する手順を紹介します。
手続きの流れは、以下のとおりです。
- 楽天証券にログインし、ホーム画面の「投資信託」をクリックする
- 「その他サービス」をクリックする
- 「分配金コース変更」に進み、コースを変更したい銘柄を選択する
- 変更内容を確認し、取引暗証番号を入力してコース変更を行う
楽天証券の場合、コース変更の手続きを行った「当日」または「翌営業日」に変更内容が反映されます。
手続きが完了したあとに分配金コースが変更されているか、上記の1〜3の手順でチェックしてみてください。
新NISAの再投資型に関するよくある質問
新NISAの分配金コースに関するよくある質問に回答します。
再投資型と受取型のどっちを選ぶべき?
どっちの分配金コースにするか迷っているときは、複利効果が大きく、効率よく資産を増やせる「再投資型」を選ぶのがおすすめです。
ただし、生活やライフイベント、ほかの商品への投資などでお金の使い道が決まっているときは、受取型を選ぶと良いでしょう。
再投資型で上限額を超えるとどうなる?
分配金コースを「再投資型」に設定した場合、NISAの投資上限額を使い切ると、超えた部分は課税口座(一般、特定)で運用されます。
課税口座でも再投資による複利効果は高まるので、受取型よりも高いリターンが期待できます。
非課税枠内のみで運用したいときは、現状でどれくらいの投資枠を使えるか、証券口座の管理画面で確認しましょう。
分配金コースを変更できないときはどうする?
金融機関や投資信託の種類によっては、分配金コースを変更できない場合があります。
また、投資信託の買い付け価格は、注文した当日か翌日に決まるケースが多いです。
まだ買い付け価格が決まっていないタイミングだと、分配金コースの変更ができない場合があります。
変更できないときは、2〜3日ほど経ってから再び手続きをしてみてください。
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まとめ
新NISAで買える投資信託には、運用により得られた収益の一部を「分配金」として受け取れる商品があります。
分配金の使い道は、再投資型と受取型の2パターンです。
新NISAでは投資の目的に応じて、それぞれ以下のように分配金コースを使い分けましょう。
- 効率よく資産を増やしたい → 再投資型を選ぶ
- 定期的に現金を受け取りたい → 受取型を選ぶ
新NISAは、長期運用を前提とした制度です。
分配金の使い道に迷ったときは、複利効果を最大限に高め、効率よく老後資金を作れる「再投資型」の選択をおすすめします。
分配金コースはいつでも変更できるので、運用の目的が変わったときは、証券会社のマイページから変更手続きを行ってみてください。
お金について学びながら自分の投資スタイルを確立していけば、NISAを活用した資産運用により、お金に余裕を持った状態で老後を迎えられるでしょう。
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