
イーライリリー(Eli Lilly)は、肥満症や糖尿病治療薬を開発・製造する米国の製薬企業です。
糖尿病・肥満症治療薬のマンジャロとゼップバウンドが急成長。
2015年以降は12年連続の増配を達成しており、1971年の配当開始以来、減配は一度もありません。
本記事では、イーライリリーの配当実績や競合比較、今後の成長性とリスクを分かりやすく解説します。
目次
イーライリリー(Eli Lilly)の配当金

イーライリリー(Eli Lilly)の配当金について、以下の4点を解説します。
配当の現状を把握したうえで、自分の投資スタイルに合う銘柄かどうかを判断しましょう。
日本円でいくら?|1株あたり年間約930円
2025年12月期において、イーライリリーの配当金は1株あたり年間6.00ドル(約930円※)でした。※(1ドル=155円)で計算
直近5年間の配当金の推移は、下表のとおりです。
(1株あたり・単位:USドル)
| 事業年度 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 年間合計額 |
| 2026年12月期 | 1.73 | 1.73 | 1.73 | 未定 | 未定 |
| 2025年12月期 | 1.50 | 1.50 | 1.50 | 1.50 | 6.00 |
| 2024年12月期 | 1.30 | 1.30 | 1.30 | 1.30 | 5.20 |
| 2023年12月期 | 1.13 | 1.13 | 1.13 | 1.13 | 4.52 |
| 2022年12月期 | 0.98 | 0.98 | 0.98 | 0.98 | 3.92 |
参照元:Investing.com|イーライリリー・アンド・カンパニー株式配当
2026年3月時点で、イーライリリーは12年連続の増配を達成しています。
いつもらえる?|3月・6月・9月・12月の年4回
イーライリリーの配当金は、3月・6月・9月・12月の年4回に分けて受け取れます。2025年12月期における権利落ち日と支払日の実績は、以下のとおりです。
| 権利落ち日 | 支払日 |
| 2025年2月14日 | 2025年3月10日 |
| 2025年5月16日 | 2025年6月10日 |
| 2025年8月15日 | 2025年9月10日 |
| 2025年11月14日 | 2025年12月10日 |
参照元:Investing.com|イーライリリー・アンド・カンパニー株式配当
配当金を受け取るには、権利落ち日までに株式を保有する必要があります。証券会社によっては注文反映に時間がかかる場合があるため、余裕を持って購入しておきましょう。
配当利回りと配当性向
2025年12月期において、イーライリリーの配当利回りは0.59〜0.88%、配当性向は21.66%です。過去の推移については、以下の表をご覧ください。
| 事業年度 | 配当利回り | 配当性向 |
| 2025年12月期 | 0.59~0.88% | 21.66% |
| 2024年12月期 | 0.56~0.70% | 不明 |
| 2023年12月期 | 0.74~1.29% | 不明 |
| 2022年12月期 | 1.11~1.66% | 不明 |
| 2021年12月期 | 1.29~1.76% | 不明 |
参照元:Investing.com|イーライリリー・アンド・カンパニー株式配当(2026年8月19日時点の情報)
イーライリリーは増配を続けていますが、配当利回りは低下傾向にあります。増配ペースを大きく上回る株価の上昇が原因です。
背景にあるのは、肥満症・糖尿病治療薬「マンジャロ(Mounjaro)」と「ゼップバウンド(Zepbound)」の爆発的なヒットです。2025年12月期は、上記の2製品だけで全体売上の約56%を占めています。
配当性向は21.66%と低水準で、利益に対して配当に回す割合に余裕があります。12年連続増配の実績とあわせて、長期での増配継続を期待しやすい銘柄だといえるでしょう。
競合他社との比較|ジョンソン・エンド・ジョンソン、ファイザー、ノボノルディスク
イーライリリーの配当利回りと配当性向を、大手ヘルスケア企業3社と比較しました。
(2026年8月16日時点)
| 企業 | 配当利回り | 配当性向(直近12か月) |
| イーライリリー(LLY) | 0.56% | 21.66% |
| ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ) | 2.06% | 59.99% |
| ファイザー(PFE) | 6.42% | 225.77% |
| ノボノルディスク(NVO) | 2.79% | 44.64% |
参照元:Investing.com|イーライリリー・アンド・カンパニー株式配当、Investing.com|ジョンソン・エンド・ジョンソン株式配当、Investing.com|ファイザー株式配当、Investing.com|ノボノルディスク株式配当
イーライリリーの配当利回り・配当性向は、ともに4社のなかで最も低い水準です。背景としては、株主還元より研究開発への投資に優先させていることが挙げられます。
一方、1株あたりの配当金額と5年間の増配ペースは以下のとおりです。
| 企業 | 配当金額(ドル) | 5年間成長率(%) |
| イーライリリー(LLY) | 1.73 | +15.23 |
| ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ) | 1.34 | +5.08 |
| ファイザー(PFE) | 0.43 | +2.24 |
| ノボノルディスク(NVO) | 0.407362 | +20.14 |
参照元:Investing.com|イーライリリー・アンド・カンパニー株式配当、Investing.com|ジョンソン・エンド・ジョンソン株式配当、Investing.com|ファイザー株式配当、Investing.com|ノボノルディスク株式配当
1株あたりの配当金額はイーライリリーが4社のなかで最も高く、5年間の増配ペースもノボノルディスクに次ぐ水準です。配当性向は21.66%と低く、増配余地が大きい状態です。業績の拡大が続けば、今後も増配が期待しやすい構造だといえます。
配当金の税金や節税方法については、こちらの「配当金に税金はかからない?節税のコツや新NISAで非課税で受け取る方法を解説」の記事、配当利回り・配当性向の目安については「配当利回りと配当性向とは?違いや計算式、目安となる数値を解説」の記事もあわせてご覧ください。
イーライリリー(Eli Lilly)の事業内容|糖尿病・肥満治療薬で急成長するアメリカの製薬企業

イーライリリー(Eli Lilly)は人間用医薬品の開発・製造・販売を一貫して手がける製薬企業です。以下の4つの領域に注力しています。
それぞれ解説します。
心代謝疾患
イーライリリーの主力領域となるのが、糖尿病・肥満症・腎臓病などの心代謝疾患向け医薬品です。
世界で初めてインスリンの大量生産を実現した同社は、血糖をコントロールするインクレチン薬で高い評価を得ています。
なかでも、2型糖尿病・肥満症薬のマンジャロとゼップバウンドのニーズが特に高く、2025年12月期はこの2製品だけで全体売上の半分以上を占めました。
2026年4月には、経口投与が可能な新薬オルフォルグリプロン(製品名:Foundayo)がFDA承認を取得し、同月から販売を開始しています。
がん
イーライリリーはがん治療薬の開発・製造を手がけています。代表的な治療薬は、以下のとおりです。
- ベージニオ(Verzenio):乳がん
- ジャイパーカ(Jaypirca):白血病、リンパ腫など
- サイラムザ(Cyramza):胃がん・大腸がん・肝臓がんなど
外科手術での対応が難しい症例にも使用されており、高齢者向け治療薬として高い評価を得ています。
免疫
自己免疫疾患を対象とした治療薬の開発・製造も手がけています。
リウマチ、アトピー性皮膚炎に効果があるオルミエント(Olumiant)は、新型コロナウイルス感染症治療にも応用されました。炎症を抑制する治療薬を通じて、免疫疾患に悩む方の日常生活改善に貢献しています。
神経科学
神経疾患や疾患に伴うしびれ・痛み向けの治療薬も展開しています。
アルツハイマー病による認知症の進行を抑えるケサンラ(Kisunla)、片頭痛発作の発症を抑制するエムガルティ(Emgality)が代表的な薬です。
認知機能の維持と身体的な苦痛の軽減を通じて、患者と家族の負担軽減に取り組んでいます。
イーライリリー(Eli Lilly)への投資メリットと5つの強み

イーライリリー(Eli Lilly)に投資するおもなメリットと強みは、以下の5つです。
- 12年連続で増配を続けている
- 肥満・糖尿病の治療薬で市場を牽引している|インクレチン薬
- 株価が右肩上がりに上昇している|インクレチン薬の爆発的ヒット
- 充実したパイプライン(新薬候補)で収益拡大が期待できる
- 増産投資により生産体制を強化している|新工場に270億ドル超の投資
自分の投資スタイルに合うかどうかの判断材料にしてみてください。
12年連続で増配を続けている
2015年12月期以降、イーライリリーは12年連続で増配を続けています。また、2009年から2014年は増配せず配当を維持した時期がありましたが、1971年の配当開始以来、減配は一度もありません。(参照元:Investing.com|イーライリリー・アンド・カンパニー株式配当)
半世紀以上にわたって減配せず株主還元を続けてきた実績は、配当収入を重視する投資家にとって評価しやすいポイントです。
肥満・糖尿病の治療薬で市場を牽引している|インクレチン薬
イーライリリーは主力製品のマンジャロとゼップバウンドで、肥満・糖尿病治療薬市場を牽引しています。2025年12月期の売上高を下表にまとめました。
(単位:百万ドル)
| 企業名 | 2025年12月期 | 2024年12月期 | 伸び率 |
| マンジャロ | 22,965 | 11,540 | +99% |
| ゼップバウンド | 13,542 | 4,926 | +175% |
マンジャロは前期比+99%、ゼップバウンドは+175%と急拡大しています。
肥満・糖尿病治療に使われるインクレチン薬(血糖値をコントロールする薬)は、イーライリリーとノボノルディスクで世界市場の大半を占めている状況です。
世界最大の医薬品市場であるアメリカでは、イーライリリーがノボノルディスクよりも高いシェアを誇り、両社の競争でリードしています。
株価が右肩上がりに上昇している|インクレチン薬の爆発的ヒット
近年、イーライリリーの株価は右肩上がりに上昇しています。以下のチャートで、直近10年間での推移を確認してみましょう。

参照元:Yahoo!ファイナンス|イーライ・リリー【LLY】:株価チャート
株価上昇のおもな背景は、以下のとおりです。
- 2022年のマンジャロ、2023年のゼップバウンド発売による売上の急増
- インクレチン薬市場でのシェア拡大
- 2025年に入り供給不足が解消され、業績がさらに拡大
一方、2024年後半は製品の供給不足や米国のインフレ抑制法(IRA)による薬価引き下げへの懸念から株価の動きが鈍る場面もありました。
2025年以降は供給が安定し、株価は最高値水準まで回復しています。
充実したパイプライン(新薬候補)で収益拡大が期待できる
マンジャロやゼップバウンド(糖尿病・肥満症治療薬)に続く成長ドライバーとして、イーライリリーは新たに承認された治療薬と複数の有望な新薬候補を抱えています。
おもなパイプラインは、以下のとおりです。
| 製品名 | 領域 | 効果・特徴 |
| オルフォルグリプロン(Orforglipron) | 肥満・糖尿病 | 経口薬として開発中注射不要で患者層の拡大が期待される |
| ケサンラ(Kisunla) | アルツハイマー病 | 2024年にFDA承認取得・販売開始 |
参照元:イーライリリー・アンド・カンパニー|臨床開発パイプライン
主力2製品に続く収益の柱として、これらの新薬が今後の業績にどう貢献するかが注目されます。
増産投資により生産体制を強化している|新工場に270億ドル超の投資
マンジャロ・ゼップバウンドの需要急増に対応するため、イーライリリーは生産体制の強化を急ピッチで進めています。
2025年2月にはアメリカ国内の新工場建設に270億ドルの投資を発表し、2026年3月には日本の工場にも200億円を投資しています。近年の設備投資額の推移を下表にまとめました。
| 事業年度 | 設備投資額(百万ドル) | 前年比 |
| 2021年12月期 | 1,309.8 | -5.6% |
| 2022年12月期 | 1,854.3 | +41.6% |
| 2023年12月期 | 3,447.6 | +85.9% |
| 2024年12月期 | 5,057.8 | +46.7% |
| 2025年12月期 | 7,841.0 | +55.0% |
2021年から2025年にかけて設備投資額は約6倍に拡大しており、増産に力を入れています。2024年後半に起きた供給不足が解消されれば、業績拡大の勢いがさらに加速するかもしれません。
イーライリリー(Eli Lilly)に投資する3つのデメリット

イーライリリー(Eli Lilly)への投資には、以下の3つのリスクがあります。
リスクを正しく理解した上で、イーライリリーが自分の投資目的に合う銘柄かどうかを判断しましょう。
配当利回りが低い|2026年9月予定の配当利回りは約0.57%
イーライリリーの配当利回りは約0.57%(2026年9月予定)と、高配当株の目安となる3〜4%を大きく下回っています。
12年連続で増配を続けているものの、利益の大半を研究開発や設備投資に充てているため配当性向は低く、配当収入を重視する投資家には物足りない水準です。
ただし、業績の拡大に連動して株価は大きく上昇しており、長期での値上がり益を狙う投資家は魅力を感じるでしょう。
期待先行で株価が割高な水準にある
2026年9月現在、イーライリリーの株価は割高な水準にあります。
インクレチン薬のさらなる成長への期待が株価に先行して織り込まれているためです。実際に、直近12カ月(TTM)ベースのPER(株価収益率)は約38倍台で、一般的な目安とされる15倍を上回っています※。
※StockAnalysis.com調べ(2026年9月時点)。PERは日々変動するため目安としてご覧ください。
ライジングブルの見方では、成長期待が先行している分、決算が市場予想をわずかに下回っただけでも売りが加速し、株価が大きく下落するリスクがある状況です。
主力薬(GLP-1製剤)への売上依存度が高い|競合激化・薬価規制リスク
イーライリリーの業績は、特定薬品への依存度が高いです。
2025年12月期は、マンジャロとゼップバウンドの売上だけで全売上の半分以上を占める結果となりました。依存度が高いと、以下のリスクが考えられます。
- 競合他社が同様の薬を安価で発売した場合、シェアを失う可能性がある
- 米国インフレ抑制法(IRA)による薬価引き下げ交渉の対象となり、利益率が圧迫されるリスクがある
- 副作用の懸念や保険適用の制限などで需要が落ち込んだ場合、他製品で売上をカバーしきれない可能性がある
パイプラインに有望な新薬候補を持っているものの、実際に売上に貢献するかは未知数です。主力2製品に頼る構造が続く間は、業績の変動が株価や配当に直結しやすい点を理解しておきましょう。
よくある質問

Q. イーライリリーの配当金はいつ支払われますか?
3月・6月・9月・12月の年4回に分けて支払われます。2025年12月期の実績では、権利落ち日の翌月10日前後(3月10日・6月10日・9月10日・12月10日)に支払われています。
Q. イーライリリーの権利確定日(権利落ち日)はいつですか?
年4回、2月・5月・8月・11月の中旬頃に設定されています。配当を受け取るには、この日までに株式を保有している必要があります。
Q. イーライリリーの配当利回りは高いですか?低いですか?
2025年12月期の配当利回りは0.59〜0.88%で、高配当株の目安となる3〜4%を大きく下回ります。ジョンソン・エンド・ジョンソンやファイザーなど競合ヘルスケア企業と比べても低い水準で、イーライリリーは配当より値上がり益(株価成長)を重視する銘柄といえます。
Q. イーライリリーの株式分割の予定はありますか?
本記事の執筆時点(2026年9月8日)で、株式分割の発表はありません。今後発表があった場合は、株価は分割比率に応じて調整されますが、保有株式の資産価値自体は分割前後で基本的に変わりません。
Q. ジョンソン・エンド・ジョンソンと比べて配当はどうですか?
配当利回り・配当性向のいずれも、イーライリリーはジョンソン・エンド・ジョンソンより低い水準です。ただし1株あたりの配当金額と5年間の増配ペースはイーライリリーの方が高く、増配スピードを重視するなら評価できるポイントです。
まとめ

本記事では、イーライリリーの配当金について解説しました。
2025年12月期の配当金は1株あたり年間6.00ドル(約930円)で、12年連続の増配を達成しました。配当利回りは約0.57〜0.88%と低水準ですが、配当性向は21.66%と低く、業績が伸びれば増配しやすい構造です。
ただ、主力薬のマンジャロ・ゼップバウンドが急成長している一方、特定製品への依存度の高さや株価の割高感はリスクとして理解しておきましょう。
配当収入よりも、増配と株価成長を長期で狙いたい投資家に向いた銘柄だと言えます。銘柄選びの参考になれば幸いです。
【ご注意事項】
本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
株式投資には元本割れのリスクがあります。
配当金は企業の業績によって減額・廃止になる場合があります。
投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
記載のデータは2026年9月8日時点のものです。
最新情報は各企業のIR資料等でご確認ください。



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