
バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)は、保険を中心にエネルギー・鉄道・製造など幅広い事業を展開するアメリカの投資持株会社です。
ウォーレン・バフェット氏がCEOを務めていたことで世界的に知られていますが、配当については1967年以来、一度も実施していません。
本記事では、バークシャー・ハサウェイが配当を出さない理由を解説したうえで、投資するメリットとリスクを説明します。
配当なしでも投資する価値があるかどうかの判断材料にしてみてください。
目次
バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)株は配当金なし

2026年6月時点において、バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)は配当を実施していません。
1967年に一度だけ配当を実施しましたが、それ以降は無配当が続いており、今後も配当が実施される予定はありません。
バークシャー・ハサウェイ株で利益を狙うには、売買差益(キャピタルゲイン)を目的とした長期保有が基本となります。
なお、バークシャー・ハサウェイのB株は1株491.28ドル(約78,604円※)と高額なため、投資の際はまとまった資金が必要な点を理解しておきましょう。(※1ドル=160円で計算)
バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)が配当なしとしている3つの理由

バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)が配当を実施しない理由として、以下の3つが挙げられます。
企業の運営方針を理解し、投資の判断材料にしてみてください。
利益を成長投資に回しているから
バークシャー・ハサウェイが配当を出さないのは、自社の成長に利益を優先的に使っているからです。実際に、2025年12月期には以下のような成長投資を実施しています。
| 投資項目 | 投資金額(百万USドル) | 投資内容 |
| 設備投資 | 20,927 | 既存事業(鉄道、エネルギーなど)の維持・拡大 |
| 株式購入 | 16,923 | 上場株式ポートフォリオへの新規・追加購入 |
| 企業買収 | 1,074 | ベル・ラボラトリーズ、オキシケムの買収など |
| 合計 | 38,918 |
参照元:BERKSHIRE HATHAWAY INC.|Annual & Interim Reports 2025
2024年12月期において、バークシャー・ハサウェイの純利益は約889億9,500万ドルです。上記の表と照らし合わせると、前期の利益の約43.7%を成長投資に回している計算になります。
バークシャー・ハサウェイは自社への成長投資によって企業価値を高め、株価上昇で株主に利益を還元する方針です。
配当を出すより再投資した方が税金面で有利だから
バークシャー・ハサウェイは「配当を出すより再投資した方が投資家の資産効率が高まる」と考えています。
株主が配当金を受け取ると約20%の税金が差し引かれるため、再投資できる資金が少なくなります。一方、企業が配当を出さずに利益を再投資し続ければ、投資家は株を売却するまで課税されません。
「課税を先送りにする効果」によって多くの元本で利益を生み続けられるため、長期的に見て株主の手元に残る資産が大きくなりやすくなる仕組みです。
バフェット自身が配当に否定的な考えを持っているから
バークシャー・ハサウェイのCEOを長年務めたウォーレン・バフェット氏は、配当に否定的な考えを持っていました。過去には「現金を手にしたいなら、配当を受け取るより必要なときに必要な分だけ株を売却するべき」と供述。
1967年に一度だけ配当を実施して以降、配当より再投資の方が投資家の資産形成に有利だという考えを一貫して持っています。
「利益を再投資して投資額以上の市場価値を生み出せるなら配当は出さない」というバフェット氏の哲学により、バークシャーは50年以上も無配当のままです。
バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)とは|バフェットが率いるアメリカの投資持株会社

| 項目 | 内容 |
| 名称 | Berkshire Hathaway Inc |
| 本社 | アメリカ合衆国 ネブラスカ州オマハ |
| 代表者 | Gregory E.Abel(グレッグ・アベル) |
| 事業分野 | ・保険、再保険:保険会社の支払いリスクを分散 ・エネルギー:電気・ガスを中心に、再生可能エネルギーにも積極的に投資 ・貨物鉄道輸送:北米最大級の貨物鉄道輸送システムを運営 ・製造:工業、建築、消費者向け製品を中心に多岐にわたる商品を製造 ・サービス・小売:旅行サービス、自動車販売、家具小売など |
参照元:Yahoo!ファイナンス|バークシャー・ハサウェイ、Berkshire Hathaway Inc. Strategic Audit
バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)は、「投資の神様」と呼ばれているウォーレン・バフェット氏が長年CEOを務めた持株会社です。
保険事業で得た資金を元手に企業の買収や株式取得を行いながら、エネルギー・製造・鉄道など幅広い事業を展開しています。
投資先はアップルやコカ・コーラなどの米国企業を中心に、日本の総合商社株も多く保有しています。2026年1月にはグレッグ・アベル氏がCEOに就任し、バフェット氏からの事業承継が進行中です。
バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)に投資する5つのメリット・強み

バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)に投資する強みとして、以下の5つが挙げられます。
- 自社株買いでの株主還元を再開している|約2年ぶり
- ウォーレン・バフェット氏の後継者体制が整いつつある
- 長期的に株価が右肩上がりに成長している|直近10年で約3.5倍
- 複数の事業で安定収益を確保している|保険・鉄道・エネルギー
- 優良銘柄への投資で資産を増やしている|アップル・コカコーラなど
バークシャーの強みを知ることで、配当なしでも長期保有すべきかどうかを自分の基準で判断できるようになります。
自社株買いでの株主還元を再開している|約2年ぶり
2026年3月、バークシャー・ハサウェイは約2年ぶりに自社株買いを再開しました。
バークシャーが定める自社株買いの基準は「株式の内在価値※が市場価格を上回ると判断したときのみ実施する」です。(※内在価値:企業の資産や将来の利益をもとに算出した株式の本来の価値)つまり、今回の自社株買い再開は、経営陣が「現在の株価は割安だ」と判断したことを意味します。
自社株買いにより流通する株式数が減ると1株あたりの価値が高まるため、株価上昇が期待できるタイミングと言えるでしょう。
参照元:ロイター|バークシャー、自社株買い再開 アベル新CEOも個人で取得
ウォーレン・バフェット氏の後継者体制が整いつつある
バークシャー・ハサウェイは長年、ウォーレン・バフェット氏がCEOとして経営を率いてきましたが、2025年にグレッグ・アベル氏へとバトンが渡されました。
アベル氏は就任後の株主総会で「賢明な投資を行う」と約束。バフェット氏の「忍耐」という投資哲学を引き継ぎ、投資を「永遠に保有したい」と表明しています。
バフェット氏自身も「グレッグは私がしてきた全てのことに加え、それ以上のことをしている」とアベル氏を高く評価しています。投資の神様が認めた後継者体制は、長期保有を前提とする投資家にとって安心できる要素のひとつです。
参照元:ロイター|バークシャー、バフェット氏退任後初の総会 アベル氏「賢明な投資」約束
長期的に株価が右肩上がりに成長している|直近10年で約3.5倍
直近10年で見ると、バークシャー・ハサウェイの株価は右肩上がりに成長しています。以下のチャートは、直近10年のバークシャー・ハサウェイの株価推移です。

2017年に米国の法人税引き下げで純利益が拡大し、株価は上昇しました。しかし、2020年には新型コロナウイルスの影響により、航空需要が事実上ストップ。
傘下会社の業績悪化の影響を受け、5か月間で最大23%の暴落を記録しましたが、年内には元の水準まで回復しています。その後も株価は上昇を続け、2022年4月には当時の最高値を更新。10年前と比べると、約3.5倍に成長しています。
同時期にFRBが金利引き上げを示唆し一時的に下落しましたが、その後は安定した上昇が続き、2026年6月現在も最高値水準を維持しています。
複数の事業で安定収益を確保している|保険・鉄道・エネルギー
バークシャー・ハサウェイは保険・鉄道・エネルギーをはじめ、製造・小売・食品卸売など7つの事業セグメントを持ち、幅広い分野から収益を得ています。2025年12月期における各セグメントの実績は、以下のとおりです。
(単位:百万USドル)
| 売上高 | 経常利益 | |
| Insurance | 104,212 | 24,721 |
| BNSF | 23,533 | 7,175 |
| BHE | 26,297 | 2,342 |
| Manufacturing | 78,487 | 12,571 |
| Service and Retailing | 42,647 | 4,039 |
| McLane | 50,998 | 676 |
| Pilot | 42,198 | 190 |
| 合計 | 368,372 | 51,714 |
参照元:BERKSHIRE HATHAWAY INC.|Annual & Interim Reports 2025
全セグメントで利益を確保しており、特定の業界の不振が企業全体に直結しにくい構造です。1つの事業が不調でも他事業が補える体制により、長期投資における安定性を確保しています。
複数の異なる業界で収益を上げる構造は、1銘柄でも一定の分散効果が得られるのが強みです。
優良銘柄への投資で資産を増やしている|アップル・コカコーラなど
バークシャー・ハサウェイは、優良株式への投資でも資産を増やしています。2025年12月31日時点における、バークシャー・ハサウェイ保有の主要米国株(一部)を下表にまとめました。
(単位:百万USドル)
| 投資先 | 保有比率(%) | 取得原価 | 時価 | 2025年受取配当金 |
| アップル | 1.6 | 6,255 | 61,962 | 280 |
| AMEX | 22.1 | 1,287 | 56,088 | 479 |
| コカ・コーラ | 9.3 | 1,299 | 27,964 | 816 |
| ムーディーズ | 13.9 | 248 | 12,603 | 93 |
| 合計 | 9,089 | 158,617 | 1,668 |
参照元:BERKSHIRE HATHAWAY INC. SHAREHOLDER LETTERS 2025
保有株式の価値は約17倍に成長し、2025年だけでも約16.6億ドルの配当金を獲得。米国株だけでなく、日本の5大商社(三菱・伊藤忠・三井・丸紅・住友)にも投資しており、含み益と配当の両方を得ています。
こうして積み上げた配当や売却益は、さらなる事業投資や買収資金として再投資され、資産拡大の循環を生み出しています。
バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)に投資する4つのデメリット

バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)への投資には、以下の4つのデメリットがあります。
強みだけでなくリスクも把握した上で、自分の投資スタイルに合うか判断しましょう。
バフェット引退後の運営方針が不透明
2025年にバフェット氏が第一線から退き、グレッグ・アベル氏が経営を引き継ぎました。
アベル氏はこれまでの運営方針を継続すると表明していますが、バフェット氏が長年築いてきた実績が今後も続く保証はありません。
後継者体制への評価は、まだ実績が積み上がっていない段階です。
バークシャー・ハサウェイに投資する場合、アベル氏の投資判断や業績の推移を定期的にチェックしながら保有し続けるべきかを判断しましょう。
成長株ほどの大きなリターンを狙いにくい
バークシャー・ハサウェイへの投資では、成長株のような短期間で株価が急騰する爆発的なリターンは期待しにくいでしょう。
成熟した事業(鉄道/保険/エネルギーなど)が収益の柱であるため、ハイテク企業のような数年で株価が数十倍になる急成長は見込みにくい構造だからです。
バークシャー株は短期的な大幅上昇よりも、長期保有による着実な資産成長を重視する投資家に向いた銘柄だと言えます。
株価が高く1株あたりの購入コストが大きい
バークシャー・ハサウェイ株は株価が高く、購入コストが大きいです。以下の表では、主要な米国株と価格を比較してみました。
| 銘柄 | 株価(USドル)※1 | 日本円コスト(円)※2 |
| バークシャー・ハサウェイ(BRK-B) | 491.28 | 78,604 |
| エヌビディア(NVDA) | 204.65 | 32,744 |
| マイクロソフト(MSFT) | 378.91 | 60,625 |
| アップル(AAPL) | 295.95 | 47,352 |
| Amazon(AMZN) | 237.50 | 38,000 |
※1)株価は2026年6月17日時点の価格 ※2)1ドル=160円で計算、1円未満切り上げ
参照元:Yahoo!ファイナンス
表を見るとおり、バークシャー株の購入コストが突出して高いことがわかります。しかし、配当もなく短期での大きなリターンも期待しにくいものの、直近10年で約3.5倍と安定した株価成長を続けてきたのは事実です。
そのため、バークシャー株は長期的な成長を見込んで購入することを前提に、投資すべきかどうかを検討すべきでしょう。
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特定の大型株への依存度が高くリスクが集中しやすい
バークシャー・ハサウェイの投資ポートフォリオは、少数の企業に集中投資するスタイルを長年続けています。実際に、2025年12月31日時点で上位5銘柄が全体の65%を占めています。
特定株への依存度が高いと、ある大型株が暴落したときにバークシャー株も連動して下落する可能性が高いです。
分散投資の観点で言えば、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオはリスクが集中しているとも言えるでしょう。
まとめ

バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)は1967年以降、配当を実施していません。
グレッグ・アベル新CEOもバフェット氏の経営方針を引き継ぐとしており、今後も無配当が続く見通しです。
配当がない分、バークシャー株への投資は長期保有による株価上昇を狙うスタイルが基本となります。
事実として、直近10年で約3.5倍の株価成長実績があり、複数事業による安定収益と優良銘柄への投資により、長期的な企業価値の向上を支えています。
一方、1株あたりの購入コストが高いうえに、短期での大きなリターンを期待しにくい点は理解しておくべきです。
本記事で紹介したメリット・デメリットを踏まえ、ご自身の銘柄選びの参考にしてみてください。
【ご注意事項】
本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがあります。配当金は企業の業績によって減額・廃止になる場合があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。記載のデータは2026年6月17日時点のものです。最新情報は各企業のIR資料等でご確認ください。



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