
2024年から新NISAが始まりました。SNSでもトレンドに上がるほど話題になっています。
新NISAの成長投資枠の銘柄はどの銘柄を買えばいいのでしょう?日本株だけでも3,900銘柄の中から選ぶ必要があります。年間240万円の枠があります。
買って放置しても資産が増える銘柄を買えればベストとお考えの方も多いのではないでしょうか。
そんな方は「PBR1倍以下で配当利回り4%以上の銘柄」を候補の一つとして、考えてもいいかもしれません。
この記事では、下記のPBRの活用法を具体的にご紹介していきます。
・最近注目の株の評価方法「PBR(株価純資産倍率)」の活用法について
・PBRとは何か?
・なぜPBR1倍が注目されるのか?
・銘柄を選ぶPBRの具体的な使い方
・PBR1倍割れかつ高配当利回りで注目銘柄
・新NISA成長投資枠でPBRが1倍割れの銘柄を買うのはおすすめ?
・PBR1倍割れ銘柄の注意事項
よくお読みいただき資産形成にお役立ていただければ幸いです。
目次
PBRとは
PBRとは「Price Book-value Ratio」の略で日本語では「株価純資産倍率」と呼ばれます。
株価が1株当たり純資産の何倍まで買われているかを見る投資尺度です。PBRは株価/1株当たり純資産で表せます。
PBRの分母である1株あたり純資産はBPS(Book-value Per Share)と呼ばれ、資産から負債を引いた純資産を1株あたりに換算して算出されます。1株あたり純資産は純資産/発行済み株式総数で表されます。
純資産は、株主の持ち分であり、資産を全部売って、負債を返して残った分、残余財産分配分を指します。
PBRは、発行済み株式総数が増えれば上昇し、企業の純資産が増えれば、下落し、株価が上がれば上昇するという関係にあります。これではわかりにくいので単純な例で説明します。
Aさんは100万円の自己資本(株の発行)で事業をスタートしたとします。
現金100万円がスタートです。一年後、この100万円を元手にして商売し、20万円の利益が残りました。つまり、純資産は120万円に増えました。これは、株主の持ち分(つまり、株主の所有分)です。こうやって、株主の持ち分は増えていきます。
純資産は、100万円から120万円に増え、元々の資本100万円と利益20万円を足した120万円が自己資本、つまり純資産になります。株は1株発行し変わらなければ、1株純資産は100万円から120万円に増えています。
株価は、この自己資本120万円に将来増えていくであろう価値を加えて決まっていきます。
つまり、株価が評価が高ければ、純資産の120万円を上回り、評価が低ければ120万円を下回って評価されます。
今すぐ解散するなら120万円の価値です。
株は、上場すると、市場で売り買いできる状態になりますので、価値が上がったり下がったりするようになるわけですが、実態よりも市場評価が低い株と高い株が出てきます。
つまり、PBRは、現在の株価が企業の資産価値(解散価値)に対して割高か割安かを判断する目安として利用されます。
PBRの数値は、低いほうが割安で1倍割れは割安と判断されます。
この1株120万円の価値があるものが株の売り買いで値段が上下していくのです。100万円に評価されて株価が100万円で売り買いされればPBR0.8倍で取り引きされており、割安。
120万円であれば1倍、150万円であればPBR1.25倍で評価が高く取り引きされているということになります。
PBRの構成要素の発行済み株式数は自己株式の消却などで減っていき、純資産は利益が積み上がれば積み上がるほど、増えていきます。
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PBR=1倍が株価の底値の目安ですか?
今は、日本株は3,800銘柄あるうち、1,800銘柄以上がPBR1倍割れの対象となっているため、あまりあてにはなりません。
PBR1倍割れが底値の目安にはならないということです。長い間、1倍割れを続けてしまっている銘柄も沢山あります。
何故、PBR1倍割れが注目されるのか?
2023年3月、東京証券取引所はプライム、スタンダード市場に上場する企業約3,300社に対し、通知文を出しました。資本コストや株価を意識した経営の実現を要請する通知文です。
その中で、特にPBRが長期にわたり1倍を下回る企業に対し改善策が強く要請されました。企業の中には取り組みを始める動きも見え始めています。
東証が改善案を要請するほど、上場企業に対して株価を意識する経営を促していることは今までにあまりなかったことで、注目されます。
そのため、長年日本株は低迷を続けている間、企業の利益は積み重なり、純資産が拡大しています。
更に、自社株買いで自社株を獲得後、消却するなどにより、発行済み株式総数は減り、その割に株価は上昇していないから、PBRは低迷しているのです。
1990年代のバブル崩壊以降、企業によっては、年々実態はよくなっていきましたが、発行済み株式数も減り、株価が低迷している銘柄が数多く存在しているのが、今の日本株の現状です。
そのため、外国人投資家にとって魅力ある投資対象として映ってきています。
PBR1倍割れを意識して、改善を図っていくことを表明する企業は、今後、株価水準がPBR1倍割れ解消に向かい、水準訂正に向かう可能性があり注目して良いと考えます。
PBR1倍の水準の本当の意味とは
1株当たり純資産は、企業の帳簿上の解散価値といえます。つまり、PBR=1倍は、株価と解散価値が同じ水準と判断されます。
ただ、企業決算は解散を前提として作られておらず、継続経営していく前提で作られているため、解散価値を表してはいません。
例えば、資産の中には大きな含み益を含む土地や株などの資産が含まれていますが、帳簿上の価格は含み益を含んでいません。古い企業ほど、安い値段で購入した土地や株などの資産を含むケースが多々あります。
そのため、老舗企業は実質的なPBRはもっと低い企業も多くあります。
このような企業は、企業価値に対して株価が安すぎることから買収でねらわれる可能性も高いといえます。
逆に、成長著しい新興企業は、豊富な資産をまだ持っておらず、資産が盤石といえない企業もたくさんあります。
新興企業は、解散価値よりも高成長が見込まれるため、高く評価される傾向にあり、老舗企業は低成長から解散価値よりも低く評価される傾向にあります。
ただ、これも一概には言えないところが難しいところでもあります。
ライバル会社や同じ業種、セクターの企業などと比較するほうが適切といえます。
間違いなく言えるのは、PBRが高いから投資対象から外すと乱暴に判断すると、成長著しい企業が外れてしまう可能性は非常に高まります。また、PBRが低いから良いという判断を下すと、老舗の低成長企業ばかりを選んでしまう可能性が高まってしまいます。
こう言ったことからPBR単独での判断基準で株の売買をすることは止めた方が良いです。
PBR1倍割れの銘柄数と現状に至る経緯
PBR1倍割れは2023年12月21日現在、3,800銘柄中1,808銘柄です。
1990年代のバブル崩壊以降、何故、低迷を続けてきたのでしょう。それは日本株の特有の体質にあります。以前は銀行や生命保険、といった金融機関が様々な企業の株主になって、株を持ち合っていました。
ところがバブルが崩壊し、金融機関も大きな打撃を受け、不良債権処理のために数多くのその持ち合い株を売ってきました。
その株の中で高成長企業を、外国人投資家が金融機関に代わって購入していったのです。株主は金融機関中心から外国人投資家に変化していきました。こういった企業は株価に反映され上昇していったのです。
一方、多くの建設株や地方銀行株などは低PBRで放置されているが現状です。また、不良資産を含んでいる銘柄や低成長企業もあるので注意が必要です。PBR1倍割れだから買いとはとてもいえない状況です。
【PBR1倍割れ企業の抜粋】
位 | 名称・コード・市場 | 取引値 | 決算年月 | 1株純資産 | PBR |
---|---|---|---|---|---|
1 | (株)じもとホールディングス 7161 | 534 | 2023/03 | (連)4,462.91 | (連)0.12 |
2 | (株)南日本銀行 8554 | 673 | 2023/03 | (連)0.13 | (連)0.18 |
3 | (株)宮崎太陽銀行 8560 | 1,226 | 2023/03 | (連)7,915.55 | (連)0.15 |
4 | (株)高知銀行 8416 | 891 | 2023/03 | (連)5,455.89 | (連)0.16 |
5 | (株)大光銀行 8537 | 1,238 | 2023/03 | (連)7,605.73 | (連)0.16 |
6 | (株)東和銀行 8558 | 579 | 2023/03 | (連)2,981.63 | (連)0.19 |
7 | (株)大分銀行 8392 | 2,417 | 2023/03 | (連)12,273.70 | (連)0.20 |
8 | (株)エフテック 7212 | 620 | 2023/03 | (連)2,898.18 | (連)0.21 |
9 | 南海プライウッド(株) 7887 | 5,300 | 2023/03 | (連)24,770.25 | (連)0.27 |
10 | (株)ウッドワン 7898 | 1,016 | 2023/03 | (連)4,823.87 | (連)0.21 |
銘柄を選ぶPBRの具体的な使い方
PBR1倍割れだから買いという判断は全くできません。PBR単独で見ても、あまり意味はありません。ただ、次のような注意事項を守れば使い道は十分あるでしょう。
PBRの同業種比較をする
PBRは業種や業界によって標準的な数値が異なります。例えば、成長が見込まれるIT企業のPBRは高いことが多いです。
一方、経営が安定した低成長の製造業のPBRは低いケースが一般的です。IT企業と鉄鋼企業をPBRで比較してもあまり意味がありません。
そのため、同じ業種や業界の企業と比較することが大事です。
PBR単独での判断は避ける
PBRは1つの指標に過ぎません。
現在、PBRが低い場合でも評価損を抱えた在庫や不動産、株などを抱えているケースもあります。
表面化していない財産が隠れているケースです。この場合はPBRは極端に低くなります。
金利上昇時に大量に債券を抱えている銀行が含み損を抱えるケースなどが当てはまります。不良債権を抱えている場合も同様です。こんな場合は、資産に低PBRの原因が隠れています。
売れないマンションを多く抱えた不動産会社などもこのケースに当てはまります。海外工事中の案件で巨額の赤字工事を抱えているという建設会社もあったりします。
PBRだけでなく、資産状況、業績や将来の見通しを合わせて総合的に評価することが極めて大切です。
時系列で変化を追う
PBRは今だけでなく、時間の経過と共にどのように変化しているかを見ることも大切です。
ずっと長い間低迷してたり、ここ数年で一気に1倍割れになり、下げ続けたり、時系列を追うと、低迷理由のヒントが見つかるでしょう。
計算に用いられるのは帳簿上の数値
PBRの計算には、帳簿上の純資産が用いられます。様々な会計処理が行われています。
繰り返しになりますが、PBRはあくまでも1つの指標としての参考にとどめ、他の指標と組み合わせて参考にすることをおすすめします。
PBR1倍割れかつ高配当利回りで注目銘柄
注目銘柄1 シチズン時計(7762)
0.89倍と低PBRかつ4.6%の高配当利回り銘柄です。しかし、円高は要注意です。ここ数年の好調さは円安メリットが大きかったため、逆に為替変動に注意が必要です。
ちなみに、2024年3月期の下期の為替予定は145円/ドルです。130円台に入ってくると悪影響も表面化してくる可能性がありましょう。(2023年12月20現在)
配当利回り | 4.6% |
PBR | 0.89倍 |
株価 | 841円 |
注目銘柄2 奥村組(1833)
0.93倍と低PBRかつ4.6%の銘柄高配当利回り銘柄ですが、資材価格の高騰などの影響で土木費用の高騰の影響を見ていく必要があります。
配当利回り | 4.98% |
PBR | 0.93倍 |
株価 | 4,415円 |
上記2銘柄は、参考にしていただければと思います。ただ、購入時点の状況と3ヶ月後、半年後、1年後の企業を取り巻く環境は大きく異なっていくのが常です。為替一つとっても、円高が進み、130円/ドルになるかもしれません。
配当は企業にとって、金利のように義務ではなく、企業の経営状況によって、必ず変動して行くものです。長く保有すればするほど、色々な変化にさらされます。
新NISA成長投資枠でPBRが1倍割れの銘柄を買うのはおすすめ?
PBRが1倍割れの銘柄を新NISAの成長投資枠で購入するのは、どうでしょう?
PBR1倍割れという基準だけでは、底値圏とはいえません。ただ、配当利回りが高いという条件を加えるとどうでしょうか?つまり、PBR1倍割れかつ配当利回りが4%以上という条件に当てはまる銘柄を新NISAの成長投資枠で購入するという流れです。
非常に単純な銘柄選定基準ですが、安心感を得たい、下がっても気にしないで放っておける、または追加で購入できる方には、一つの選択肢になるでしょう。
ただ、高成長株などはほぼ排除されてしまいます。IT系や成長著しい企業などがこの範疇に含まれることはまずないからです。あくまでも、配当で支えられている安心感と、純資産価値を下回っているという安心感があります。
ただ、市場では低評価の株を購入するという意味合いを含んでいますので、その点は十分にご注意下さい。
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PBR1倍割れ銘柄の注意事項
株は購入後の管理こそ大事
株は買った瞬間から、銘柄ごとに違う様々な動き方をします。その都度、どのように対処すればよいのかが変わってきますので、様々な情報が必要となり、この購入後の管理が株の場合は最も重要と言えます。
PBR1倍割れで銘柄を購入しても、いつまでも芽が出ず、ずるずると下げてしまうことが出てきます。
環境が変わってくるからです。例えば、金利が上昇し債券価格が下がると銀行が保有している債券価格は下落し含み損を抱えてしまいPBRも低迷したりするなどは典型例です。
だからこそ、株は銘柄を購入した後にこそ、必要な情報は多岐にわたって必要になるのです。
配当が変化する銘柄に注意
配当は金利ではありませんので、いろんな状況で変化していきます。特に、減配や無配、減資などは要注意です。これらの発表前には、必ずと言っていいほど、兆候がありますので、早めに銘柄入れ替えなどで対処することが大切です。新NISAの成長投資枠は、売れば、翌年には枠があいていきますので、成果を上げるには売り買いが重要となってきます。
気になる銘柄はいろいろあるけれど、日本や世界の会社の中から、「どの銘柄を購入すれば良いか全くわからない」という方には、投資顧問の利用をおすすめします。当サイトを運営するライジングブル投資顧問は、株の「売買サポート」を行っております。ライジングブルの売買サポートサービスは、3ヶ月9,000円で買い推奨だけではなく、売却、銘柄入替するところまで、リスク管理をしながらサポートします。
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まとめ
新NISAの成長投資枠は1万銘柄以上から選択をする必要があるため、何らかの選定基準があると便利です。
PBR1倍割れ銘柄を投資対象にすることは、一つの選択肢ではありますが、PBR単体で決めることはお勧めできません。
せめて、PBR1倍割れかつ配当利回り4%以上、という二つの条件を満たし、かつ企業内容や将来性を加味すると選定基準の一つとして、意味が出てきましょう。
ただ、大前提として、買ったら終わりで新NISAの成長投資枠が成功するという風には考えない方がよいと思います。
いろんな情勢は月を追って年を重ねるごとに大きく変化していきます。
新NISAの成長投資枠が成功するには、この変化への対応でポートフォリオを変化させていくことが最も重要な成功条件になりましょう。
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