
商船三井は、世界最大規模の「ドライバルク船(ばら積み船)」で輸送サービス事業を行なっている企業です。
コロナ禍による輸送事業ニーズの高まりで業績が伸びており、2025年3月期の配当金は、前年より36%の増配が見込まれています。
また、直近2〜3年間で株価が右肩上がりとなっているので、商船三井の株主になって利益を狙いたいと考える方もいるでしょう。
本記事では、株式会社商船三井(9104:東証プライム)の配当金額や配当時期、配当性向、配当利回りについて解説します。
商船三井の株はNISAの成長投資枠でも買えるので、非課税での運用も可能です。
目次
商船三井の配当金はいくら|前年比36%増配
商船三井の2025年3月期(2024年4月1日〜2025年3月31日)の配当金は、1株あたり年間300円(予想)です。支払い回数は、中間(9月30日)と期末(3月31日)の年2回に分かれています。
2024年3月期の年間配当は1株あたり220円だったので、2025年期は前年比約36%の増配が見込まれています。過去5年度分の配当金の推移を、以下の表にまとめました。
事業年度 | 中間配当 | 期末配当 | 年間合計額 |
2025年3月期 | 180円 | 120円(予想) | 300円(予想) |
2024年3月期 | 110円 | 110円 | 220円 |
2023年3月期 | 300円 | 260円 | 560円 |
2022年3月期 | 100円 | 300円 | 400円 |
2021年3月期 | 5円 | 45円 | 50円 |
2020年3月期 | 10円 | 12円 | 22円 |
1株あたりの年間配当金は、2022年に前年の8倍となる400円に急増し、2023年には560円を記録。2024年3月期は220円に減少したものの、引き続き3桁台で高水準の配当金を維持しています。
2025年3月期の配当金が予想どおり300円であれば、今期に受け取れる配当金額は、単元株(100株)あたり年間30,000円です。
商船三井の配当情報は、決算後45日以内に公表される「決算短信」で確認できます。2025年度の期末配当は、2025年5月中旬に決まる可能性が高いので、株主になったら公式サイトに記載される資料をご確認ください。
商船三井の配当金が高い理由
商船三井の配当金が高くなった理由は、コロナ禍をきっかけに、多くの企業が船を使って荷物を運ぶようになったからです。
コロナ禍では多くの人が家で過ごすようになり、インターネットで物を買う機会が増えました。結果、世界中で荷物を運ぶ船の需要が高まり、船舶業界の業績がアップしたと言われています。
実際に、2021年3月期の配当金は50円でしたが、2022年3月期には400円、2023年3月期には560円に増配。2024年期には減配しているものの、2025年期の予想配当利回りは5.87%と、東証プライム市場の平均配当利回り1.99%の約3倍の高水準を維持しています。
さらに、商船三井は150円の配当の下限を保証する「下限配当」も導入したので、商船三井の株を持っていれば、今後も安定的に配当金で利益が狙えるかもしれません。
配当金にかかる税金|手取り
商船三井の株を課税口座(一般・特定)で買っていると、配当金を受け取るときに20.315%の税金が発生します。税率の内訳は、以下のとおりです。
- 住民税(5%)
- 所得税、復興所得税(15.315%)
2025年3月期の商船三井の配当金は、100株あたり年間30,000円(見込み)なので、税引後に受け取れる配当金額は、23,905円です。
【計算式】(100株×300円)×(1−20.315%)=23,905円
楽天証券では、NISAの成長投資枠で商船三井の株を買えます。30,000円の配当金から税金を抜かれたくないときは、楽天証券を利用してみてください。
商船三井の配当利回りと配当性向
商船三井の配当利回りは5.87%(2025年期予想)で、配当性向は30.4%(2024年期実績)です。
過去5年分の配当利回りと配当性向の推移を、以下の表にまとめました。
事業年度 | 配当利回り | 配当性向 |
2025年3月期 | 5.87%(予想) | ー |
2024年3月期 | 4.77% | 30.4% |
2023年3月期 | 16.92% | 25.4% |
2022年3月期 | 11.7% | 20.3% |
2021年3月期 | 3.87% | 19.9% |
2020年3月期 | 3.72% | 23.8% |
コロナ禍により船で荷物を運ぶ需要が高まり、商船三井の業績がアップ。結果、2022年3月期と2023年3月期の配当利回りは10%を超えの急成長となりました。
2024年期には4.77%に下がっていますが、コロナ禍前の利回り3.7〜3.9%よりも高い水準を維持している状態です。
また、商船三井は株主への還元を強化するために、配当性向を25%から30%に引き上げると発表しています。商船三井の株主になれば、業績に合わせて安定的な配当金が受け取れるでしょう。
競合他社との比較
2025年3月期の商船三井の配当利回りと配当性向を、競合他社と比較してみましょう。結果は、以下の表のとおりです。
会社名 | 配当利回り(2025年3月期予想) | 配当性向(2024年3月期実績) |
商船三井(9104) | 5.87% | 30.4% |
日本郵船(9101) | 5.33% | 29.9% |
川崎汽船(9107) | 4.84% | 57.37% |
参考:みんかぶ
上記3社は、日本の海運業界で業績がトップクラスの企業です。
2025年期の予想配当利回りは、商船三井の5.87%が1位。2024年期の配当利回りは、川崎汽船の5%に次ぐ2位(4.77%)を記録しています。
商船三井の株を持っていれば、競合他社より利益が狙えるかもしれません。
商船三井の配当金はいつもらえる
商船三井の配当金が支払われる時期と権利確定日を、以下の表にまとめました。
項目 | 中間配当 | 期末配当 |
権利確定日 | 9月30日 | 3月31日 |
受け取り時期 | 11〜12月頃 | 5〜6月頃 |
商船三井の期末決算は3月31日です。配当金額は決算から45日以内に発行される決算短信に記載されるので、2025年5月中旬までには配当額が確定するでしょう。
商船三井から配当金をもらうには、企業の株主名簿に掲載される必要があります。株を買ってから名簿に反映されるまで時間がかかるので、株主になれる最終購入日は「基準日の2営業日前」です。
2025年3月期の期末配当(3月31日)をもらうためには、2025年3月27日(木)の15時30分までに商船三井の株を買いましょう。
商船三井の業績
商船三井の事業年度は、4月1日から翌年3月31日です。過去5年分の業績は、以下の表をご覧ください。
(単位:百万円)
決算情報 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
2025年3月期 (2024年9月末時点) | 900,628 | 89,185 | 249,028 | 246,697 |
2024年3月期 | 1,627,912 | 103,132 | 258,986 | 261,651 |
2023年3月期 | 1,611,984 | 108,709 | 811,589 | 796,060 |
2022年3月期 | 1,269,310 | 55,005 | 721,779 | 708,819 |
2021年3月期 | 991,426 | -5,303 | 133,604 | 90,052 |
2020年3月期 | 1,155,404 | 23,779 | 55,090 | 32,623 |
商船三井の純利益は、2021年3月期まで1,000億円を下回っていました。しかし、コロナ禍により海運業界の需要が高まり、2022年3月期と2023年3月期には純利益が7,000億円を突破しました。
コロナの5類移行によって世界の物流が落ち着いたため、2024年期には2,616億円に下がっていますが、2025年期は上期(4〜9月)だけで前年期に並ぶ成績となっています。
また、商船三井は2025年3月期の中間決算で、4つある事業のうち3つで利益が増えると予想しています。2025年3月期も、業績アップが期待できそうです。
商船三井の事業内容
商船三井のおもな事業内容は、以下のとおりです。
- ドライバルク事業
- エネルギー事業
- 製品輸送事業
- ウェルビーイングライフ事業
- その他の事業
それぞれ見ていきましょう。
ドライバルク事業
ドライバルク事業は、大きな貨物船で資源を運ぶ部門です。
商船三井のドライバルク船(ばら積み船)サービスは世界最大規模で、鉄鉱石や石炭、穀物、セメントなど、生活に必要な物資を世界中から運んでいます。
荷物の種類に合わせた船の使い分けだけでなく、天然ガス燃料で移動できる船の開発も進めており、環境に配慮した輸送サービスの提供を目指しています。
エネルギー事業
エネルギー事業では、石油や天然ガスを世界中に運んでいます。石油タンカーやLNG(液化天然ガス)船で、世界中の発電所や工場などにエネルギー資源を届けています。
近年は海上で発電所のような役割を果たす特殊な船も運営しており、洋上風力発電の建設にも携わるなど、新しいエネルギー分野にも挑戦中です。安全な輸送のため、最新の船を導入し、乗組員の教育にも力を入れています。
製品輸送事業
製品輸送事業は、工業製品や日用品を世界中に届けるサービスを行っている部門です。おもに、以下のサービスを提供しています。
- コンテナ船:国際規格の大きなコンテナで世界中に荷物を運ぶ
- 自動車船:乗用車や建設機械などを、専用の大型船で世界各地へ輸送する
- 物流サービス:輸出入の手続きから配送まで、ニーズに合わせて一括で対応する
- ターミナル:港でコンテナの積み降ろしを管理し、スムーズに陸上輸送ができるようにする
2018年からは日本の海運大手3社で立ち上げた「ONE」というグループ会社で、効率的な輸送を実現しています。
ウェルビーイングライフ事業
ウェルビーイングライフ事業は、海運以外の事業で人々の豊かな暮らしを支えています。おもなサービス内容は、以下の3つです。
- クルーズ事業:上質な船旅とおもてなしを提供する
- フェリー事業:気軽な船旅から国内物流まで幅広く展開する
- 不動産事業:オフィスビルの運営を中心に、快適な街づくりを推進する
観光客向けのフェリーやクルーズ船、トラック輸送の環境負荷を減らす物流サービスを展開しています。
その他の事業
商船三井は140年の海運業で培った経験を活かし、以下のようなサービスを展開しています。
- タグボート:巨大な貨物船が狭い港を安全に出入りできるよう、小回りの利く専用船で誘導する
- 海事コンサルティング:船の運航管理や港の整備など、海運に関する専門的なアドバイスをする
- 人材サービス:世界中で活躍する船員の採用や教育システムを活用し、外国人の人材を支援する
さらに、海上保険や船舶金融、ビジネス向けITシステム開発、旅行代理店の運営など、海運業から広がるサービスも手掛けています。
商船三井と競合他社の業績比較
商船三井と競合他社の業績を比較します。前年度(2024年3月期)の業績を、以下の表にまとめました。
(単位:百万円)
会社名 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
商船三井(9104) | 1,627,912 | 103,132 | 258,986 | 261,651 |
日本郵船(9101) | 2,387,240 | 174,679 | 261,341 | 228,603 |
川崎汽船(9107) | 962,300 | 84,763 | 135,796 | 104,776 |
参考:みんかぶ
上記3社は2022年から2023年3月期にかけて、コロナ禍による需要の拡大で業績を大きく伸ばした企業です。
2024年3月期の実績を見ると、商船三井は純利益2,616億円でトップ。売上高、営業利益、経常利益は日本郵船に次ぐ2位となっています。
さらに、2025年3月期は、上期(4〜9月)だけで前年並みの純利益を達成。今後も増益が見込まれているので、商船三井の株を持っていればほかの企業の株より大きな利益を狙えるかもしれません。
川崎汽船の配当金や業績については、「川崎汽船(9107)の配当金と配当時期は? 気になる株主還元を解説」記事で詳しく解説しています。
商船三井の株主優待
商船三井には、株主優待があります。優待内容は、以下の3種類です。
- カタログギフト|年1回
- フェリー優待|年1回
- クルーズ優待|年2回
それぞれ詳細をみていきましょう。
カタログギフト|年1回
商船三井の株主になると、日本各地の名産品から選べるカタログギフトがもらえます。詳細は、以下のとおりです。
項目 | 概要 |
対象商品 | 日本の名産品から選べるカタログギフト(3,000円相当) |
贈呈時期 | 6月下旬 |
必要株数(継続保有期間)※ | 300株以上(2年以上) |
※毎年3月末日に株主名簿に記載されている株主が対象
カタログギフトの詳細は、こちらの公式サイトでも確認できます。
フェリー優待|年1回
商船三井の株主優待では、自社が運航している国内船「さんふらわあ」の乗船割引券がもらえます。詳細は、以下の表をご覧ください。
項目 | 概要 |
対象の船 | ・にっぽん丸 ・MITSUI OCEAN FUJI |
有効期限 | ・3月期分:7月1日~翌年6月30日(1年間) |
割引率 | ・1枚:10%割引(30日以上の利用は3%割引) ・2枚:20%割引(30日以上の利用は6%割引) |
贈呈時期 | 6月下旬、11月下旬(年2回) |
優待枚数 | ・100~1,499株:2枚 ・1,500~2,999株:4枚 ・3,000株以上:6枚 |
必要株数※ | 100株以上 |
(※毎年3月末日、または9月30日に株主名簿に記載されている株主が対象)
参考:公式サイト株主優待情報
商船三井の株価
商船三井の株価は、5,124円(2024年12月5日終値)です。過去10年の株価の推移は、以下のチャートを参考にしてみてください。
2020年まで1,000円以下だった株価は、2021年4月から急上昇。2020年4月と比べると2024年11月の最高値は約10倍に上昇しました。
2024年に入ってからは、5,000円前後で推移しています。今後、株価が上昇するとの声も多くみられており、根拠として以下の要因が挙げられます。
- 大型コンテナでの輸送は需要が高い
- 高水準の配当を維持している
- 船の運賃が高騰している
TradingViewのアナリストは、1年後の株価が最高7,090円になると予想しています。
また、商船三井と競合他社の株の値動きを、以下の表にまとめました。どこの株を買うか迷っているときは、他社の株価と比べると判断しやすいでしょう。
会社名 | 現在価格 | 年初来高値 | 年初来安値 |
商船三井 (9104) | 5,508円 (2024/12/30終値) | 5,559円 (2024/11/18) | 3,992円 (2024/8/5) |
日本郵船 (9101) | 4,900円 (2024/12/30終値) | 5,543円 (2024/10/3) | 3,936円 (2024/4/3) |
川崎汽船 (9107) | 2,060円 (2024/12/30終値) | 2,796円 (2024/7/4) | 1,656円 (2024/8/5) |
商船三井の自己株式取得
商船三井は2024年11月1日〜2025年10月31日までの1年間で、最大3,000万株の自己株式取得を行うと発表しています。直近で公開されている情報は、以下のとおりです。
- 取得価額の総額:23,937,810,000円
- 取得した株式の総数:4,535,400株
- 取得方法:東京証券取引所における市場買付
商船三井は、自社の成長と株主への還元という2つの目的で、自己株式取得を実施しています。買い戻した株式は、将来的に会社を合併するときの資金や社員への報酬として使うほか、株の値上がりや維持を目的とした消却も計画しているようです。
商船三井などの個別株への投資は簡単と思っていたけれど実際に難しかった。とくに売る時に迷ってしまい売り時を逃してしまったという方が多くいらっしゃいます。利益を確保するのは大事ですが時には損切も必要になり、これができないと株で資産形成は難しくなります。しかし自分ではできないという方には、投資顧問の利用をおすすめします。当サイトを運営するライジングブル投資顧問は、株の「売買サポート」を行っております。ライジングブルの売買サポートサービスは、3ヶ月9,000円で買い推奨だけではなく、売却、銘柄入替するところまで、リスク管理をしながらサポートします。
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まとめ
商船三井の2025年3月期の配当金は、1株あたり年間300円(予想)です。期末配当が予想通りの120円(1株あたり)であれば、2024年3月期の年間配当金と比べて36%の増配となります。
単元株(100株)の配当金額は年間30,000円が見込まれており、実際に入金される金額は、税抜き後の23,905円です。配当金の権利確定日は、9月末(中間)と翌年3月末(期末)です。支払い時期は中間で12月、期末は翌年の6月を予定しています。
商船三井には株主優待制度があり、条件を満たした株主には、カタログギフト(3,000円相当)やフェリーの割引券、クルーズ船のサービス券などが贈られます。
また、コロナ禍で海運業界の需要が高まった結果、直近2〜3年間で商船三井の株価は右肩上がりです。2024年の1年間は5,000円台で推移しており、急な値下がりは見られませんでした。
今後も株の値上がりが予想されているので、商船三井の株を持っていれば、インカムゲインとキャピタルゲインのどちらでも利益が狙えるかもしれません。銘柄選びの参考になれば幸いです。
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