
川崎汽船株式会社(東証プライム:9107)は、日本郵船や商船三井と並ぶ海運大手3社のひとつです。事業内容は、海上運送業、陸上運送業、航空運送業、海陸空通し運送業、港湾運送業等となっています。
本記事では、川崎汽船の配当金額や配当時期・配当性向・配当利回りについて解説します。
具体的には、ドライバルク(ばら積み船、原材料輸送)、エネルギー資源(LNG船、油槽船、海洋資源開発)、製品物流(自動車船、コンテナ船、近海内航、物流)の3つが主な事業です。
本社は東京にあり、「”K”Line」の企業ブランドを掲げており、株式は東証プライム市場(9107)に上場されています。
同社のサイトに掲載されている利益配分に関する基本方針では、「当社は最適資本構成とキャッシュアロケーションを意識し、企業価値向上に必要な投資及び財務の健全性を確保のうえ、キャッシュフローも踏まえて積極的に自己株式取得を含めた株主還元を進めることで中長期的な株主利益の向上を図ることを基本方針としています。」とあり、積極的に自己株式を取得することで株価対策にも力を入れています。
目次
川崎汽船の配当金はいくら
川崎汽船の2025年3月期の期末配当金は50円、中間配当金は50円を併せると、年間配当金は1株当たり100円でした。そのため、単元株の100株当たりの年間配当金は10,000円(税引き前)となります。
1株当たり配当金の推移は次のとおりです。
(単位:円)
中間配当 | 期末配当 | 合計 | |
2026年3月期(予測) | 60 | 60 | 120 |
2025年3月期 | 50 | 50 | 100 |
2024年3月期 | 100 | 150 | 83.33(調整後) |
2023年3月期 | 300 | 300 | 133.33円(調整後) |
2022年3月期 | 0 | 600 | 66.66(調整後) |
(注)川崎汽船が2024年2月2日に公表している「株式分割及び株式分割に伴う定款の一部変更に関するお知らせ」では、2024年3月31日を基準日・4月1日を効力発生日として普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行います。表中、2025年3月期(予想)の配当金については、2024年4月1日付の株式分割の影響を考慮して、当該株式分割後の株式数を基準としています。
企業の配当金の予想は、決算投信等に記載され必要により修正されているので、配当が気になる場合はチェックしておきましょう。
参考:川崎汽船 決算短信 | IRライブラリ | 株主・投資家情報 |
配当金にかかる税金
川崎汽船に限らず、配当金には所得税が課税されます。税率は20.315%です。内訳は所得税と復興特別所得税が15.315%、住民税が5%となっています。
川崎汽船の期末配当金は100株(単元株)当たりの配当金は10,000円(税引き前)です。税引き後の支払金額は年間で7,969円です。
【税引後に受け取れる配当金】((100円×100株) ×(1-20.315%))となります。
川崎汽船の配当金はいつもらえる
川崎汽船の配当時期は、年2回で6月末と12月上旬です。事業年度は、4月1日から翌年の3月31日までであり、期末の配当金は6月に行われる株主総会の議決を経て支払われます。
中間と期末の配当を受ける権利が確定するのは下記のとおりです。
中間配当 | 期末配当 | |
権利付最終日 | 2025年9月26日 | 2026年3月27日 |
権利確定日 | 2025年9月30日 | 2026年3月31日 |
支払開始予定日 | 2025年11月下旬 | 2026年6月下旬 |
配当金を受け取るには、権利確定日の2営業日前(権利付最終日)までに売買を完了しておく必要があるので、注意しましょう。実際に配当が振り込まれるまで3か月程度かかります。
川崎汽船の配当利回りと配当性向は
川崎汽船の2025年3月期の配当利回りは4.63%、配当性向は21.73%です。
これまでの配当性向は次のとおりです。
配当性向 | 配当利回り | |
2026年3月期(予想) | 75.8% | 5.58% |
2025年3月期 | 21.73% | 4.63% |
2024年3月期 | 58.94% | 5.00% |
2023年3月期 | 15.6% | 14.22% |
2022年3月期 | 8.71% | 11.23% |
近年、配当性向が上昇していることが分かります。また、競合他社との配当利回りの比較は次のようになっています。
川崎汽船 | 日本郵船 | 商船三井 | |
予想配当(1株当たり) | 100円 | 235円 | 150円 |
予想配当利回り | 4.63% | 6.65% | 7.11% |
競合他社とも比較しても遜色ありません。
企業が1年間で得た利益からどれだけを配当金として株主に還元しているかは、配当性向や配当利回りを見ると分かります。配当金額から企業を評価する指標として活用可能です。
配当利回りと配当性向の考え方と計算方法を説明します。
配当利回りは、購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けられるかを示す指標です。計算式は次のようになります。
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100
配当性向は、税金を差し引いた企業の純粋な利益である当期純利益のうち、配当に回される額を表した割合です。計算式は次のようになります。
配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100
川崎汽船の業績
川崎汽船の業績を確認しましょう。
(単位:百万円)
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
2025年3月期 | 1,047,944 | 102,855 | 308,089 | 305,384 |
2024年3月期 | 962,300 | 84,763 | 135,796 | 104,776 |
2023年3月期 | 942,606 | 78,857 | 690,839 | 694,904 |
2022年3月期 | 756,983 | 17,663 | 657,504 | 642,424 |
2025年3月期の売上高、営業利益、純利益ともの増加しており好調です。しかし、2026年3月期の連結純利益が前期比67%減の1,000億円になる見通しを発表しました。
トランプ米政権の関税政策による荷動き鈍化や自動車船事業での輸送台数の減少を見込むほか、近年の業績をけん引してきたコンテナ船事業でも貨物減少や運賃下落が打撃と予想される。
川崎汽船の事業内容
川崎汽船の決算書類では、事業内容は次の4つに分類されています
- ドライバルク
- エネルギー資源
- 製品物流
- その他
1.ドライバルク
ドライバルク船には、貨物量や寄港地の規模などに応じて多様な船種船型があります。大型船の例では、中国向け鉄鉱石やギニアからのボーキサイト輸送などがあります。中・小型船は、欧州等遠隔地向け石炭鋼材輸送や、北米・中国向け穀物輸送などです。
2. エネルギー資源
エネルギー資源事業には、液化天然ガス輸送船事業や電力事業・油槽船事業・海洋事業などがあります。LNG船や電力炭船、大型原油船、LPG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)などがあげられます。
3. 製品物流
製品物流では、自動車船事業や国内物流港湾事業・内航事業・コンテナ船事業があげられます。世界市場で自動車の半導体や自動車部品の輸送やバイオマス燃料・ロシア炭・新造船などを取り扱っています。
4. その他
その他には、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等があります。
出典:川崎汽船 2024年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
川崎汽船の株主優待
川崎汽船の株主優待はありません。株主が受け取れるのは配当金のみとなります。
川崎汽船の競合他社との業績比較
川崎汽船と同じ海運業で競合する日本郵政(9101)や商船三井(9104)と比較します。
(金額:百万円)
会社名 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
川崎汽船(9107) | 1,047,944 | 102,855 | 308,089 | 305,384 |
日本郵船(9101) | 2,588,700 | 210,820 | 490,866 | 477,707 |
商船三井(9104) | 1,775,470 | 150,851 | 419,703 | 425,492 |
海運業界で川崎汽船は国内3位の売上を誇る企業です。自己資本率(74.6%)は高い数値を示しています。自社株買いによる高い自己資本率が特徴です。
出典:川崎汽船(9107)の株価・業績・比較銘柄 | 会社四季報オンライン
川崎汽船の株価
引用:YAHOOファイナンス川崎汽船(株)【9107】:株価
川崎汽船の株価は、2025年4月以降大幅に下落し、底を打ち現在戻り基調です。年初来高値は2,246.5円(2025/03/05)、年初来安値は1,571.5円(2025/04/07)です。2026年3月期の連結純利益が前期比67%減の1,000億円になる見通しを発表した影響が尾を引いています。
川崎汽船の自己株式取得
川崎汽船は、株価向上に資するとされる自己株式の取得を積極的に行っているのが特徴的です。近年、川崎汽船が自己株式の取得を行った状況は次のとおりになっています。
(億円未満は四捨五入)
取得期間 | 取得方法 | 取得株式数 | 取得総額 |
2024/11/6~2025/2/28 | ⾃⼰株式⽴会外買付取引(ToSTNeT-3)及び株式会社東京証券取引所における 市場買付け | 36,000,000 株 | 753 億円 |
2024/5/8~2024/7/24 | ⾃⼰株式⽴会外買付取引(ToSTNeT-3)及び株式会社東京証券取引所における 市場買付け< | >39,556,000 株 | 909 億円 |
2023/8/3~2023/10/18 | 立会外買付取引(ToSTNeT-3)及び東京証券取引所における市場買付 | 11,676,000 株 | 562 億円 |
2022/11/8~2023/3/24 | 立会外買付取引(ToSTNeT-3)及び東京証券取引所における市場買付 | 35,236,000 株 | 895億円 |
2024年4月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っています。
引用:川崎汽船 株主還元
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まとめ
川崎汽船は海運大手3社の一角で、2025年3月期の配当は50円、年間で100円の配当となりました。受取時期は、中間配当は12月上旬、期末配当は2024年6月末です。
川崎汽船は、配当の他に株主優待は行っていません。株価は、年初来高値は2,590円(2024/03/04)、年初来安値は1,943円(2024/04/03)です。2025年3月期も年間250円の配当を予定していますが、2026年3月期の連結純利益が前期比67%減の1,000億円になる見通しを発表していますので今後の業績に注目です、銘柄選びの参考にしてください。
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