
マルハニチロ(1333 東証プライム)は、水産業界の大手企業で、漁業や養殖・水産物の輸出入のほか、冷凍食品や化成品などの製造加工・流通事業などを展開しています。来期を含め5期連続増配予定で、上げ幅は1株当たり15円アップの100円の予定です。
本記事では、マルハニチロの配当金額や配当時期・配当性向・配当利回りについて解説します。
目次
マルハニチロの配当金はいくら
マルハニチロ株の購入単位である単元株数は100株なので、2024年3月期に単元株で受け取れた配当金額は、年間で8,500円です。来期と過去4年間の配当金の推移を示すと次のようにとなります。
中間配当金 | 期末配当金 | 年間配当金 | |
81期 2025年3月期 | 50円(予想) | 50円(予想) | 100円(予想) |
80期 2024年3月期 | 35円 | 50円 | 85円 |
79期 2023年3月期 | 65円 | ― | 65円 |
78期 2022年3月期 | 55円 | ― | 55円 |
77期 2021年3月期 | 40円 | ― | 40円 |
配当金にかかる税金
配当を受け取る際には、あらかじめ税金が引かれる源泉聴取が原則です。マルハニチロの2024年3月期の配当金は1株当たり85円だったので、単元株100株当たりでは、税引後で6,773円が支払金額となります。
(85円×100株)×(1-20.315%)= 6,773円
配当金には所得税と住民税などが課税されます。税率は20.315%です。内訳は所得税と復興特別所得税が15.315%、住民税が5%となっています。
ただし、NISA(少額非課税制度)で非課税の扱いを受けている場合には、税金が差し引かれないので8,500円が受取額です。なお、非課税となるのは国内の株式や投資信託に限られます。米国株や米国ETFは非課税とならない点に注意しましょう。
マルハニチロの配当金はいつもらえる
マルハニチロ株の配当がもらえるのは、12月下旬と6月下旬です。まず権利確定日と支払開始日との関係は、次のようになります。
中間配当 | 期末配当 | |
権利付最終日 | 2024/9/26 | 2025/3/27 |
権利確定日 | 2024/9/30 | 2025/3/31 |
支払開始予定日 | 2024年12月下旬 | 2025年6月下旬 |
マルハニチロの権利確定日は9月末と3月末なので、期末配当金は3月末を基準日とし支払は6月下旬頃に、中間配当金は9月末を基準日として12月下旬頃に支払われます。
配当金を受け取るには、権利付最終日(権利確定日の2営業日前)までに買い注文を約定(注文を成立)させておくことが必要です。
また、マルハニチロの事業年度は毎年4月から翌年3月までです。配当は、株主総会の決議により決定されます。
実際に投資家の口座に配当が振り込まれるには、約3か月かかるので注意しましょう。
通常購入できる単元株は100株となっているため、1単元株で受け取れる配当金額は、所得税や住民税等20.315%が差し引かれた税引後の金額で、6,773円です(計算式は前述)。
なお、NISAで購入した場合は、税引前金額の8,500円を受け取れます。
マルハニチロの配当利回りと配当性向は
マルハニチロの配当利回りと配当性向を解説します。
2024年3月期の配当利回りは3.20%、配当性向は20.55%です。配当性向と配当利回り推移をまとめると次のようになります。
配当利回り | 配当性向 | |
2024年3月期 | 3.20% | 20.55% |
2023年3月期 | 2.68% | 17.87% |
2022年3月期 | 2.21% | 17.12% |
2021年3月期 | 1.72% | 36.58% |
マルハニチロの株主優待
マルハニチロに株主優待はありません。過去に実施されていた時期がありましたが、2022年3月期をもって株主優待制度を廃止しています。
株主優待はありませんが、公式サイトによれば、株主への利益還元を経営の重要課題として位置付け、企業価値の向上に取り組んでいくとしています。配当と株価の上昇に期待しましょう。
マルハニチロの業績
マルハニチロの2024年3月期決算説明会資料によると、売上高は、食材流通セグメントで好調な販売と価格改定効果により増収しました。
一方で、営業利益は加工食品セグメント・食材流通セグメントが好調に推移しましたが、水産資源セグメントにおける減益分を補えず減益となっています。
過去5期の売上高や営業利益・経常利益・純利益の推移は次のとおりです。
(単位:百万円)
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | |
2024年3月期 | 1,030,674 | 26,534 | 31,106 | 20,853 |
2023年3月期 | 1,020,456 | 29,575 | 33,500 | 18,596 |
2022年3月期 | 866,702 | 23,819 | 27,596 | 16,898 |
2021年3月期 | 809,050 | 16,172 | 18,093 | 5,753 |
参考:決算短信 / 決算説明資料 / 有価証券報告書 | IR資料室 | IR情報 | 企業情報 | マルハニチロ株式会社
なお、2025年3月期は前期を上回る好調で、経常利益が1,050,000百万円、純利益が22,000百円と予想されています。
マルハニチロの事業内容
マルハニチロの事業内容は次のとおりです。(2025年3月期第1四半期連結会計期間より、4セグメントから3セグメントへ変更)
- 水産資源
- 食材流通事業
- 加工食品事業
これら3つのセグメントの下に複数のユニットがあります。それぞれ概略を説明します。
1.水産資源
水産資源事業は、漁業を国内外で行う漁業ユニットと、国内で主にブリ、カンパチ、マグロの養殖を行う養殖ユニット、北米の豊富な水産資源を活用しながら水産物の加工・販売を展開する北米ユニットから構成されています。
2.食材流通事業
食材流通事業は、国内外で水産物の調達や市場流通の販売ネットワークを持つ水産商事ユニットと、多様な業態に対して水産商材や業務用商材の製造および販売も行う食材流通ユニット、国内外の畜産物と農産物を取り扱う農畜産ユニットから成っています。
3.加工食品事業
加工食品事業は、国内外において家庭用冷凍食品・缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・デザート・調味料・フリーズドライ製品・ペットフード等の製造・販売を行う加工食品ユニット、化成品の製造・販売を行うファインケミカルユニットから構成されています。
なお、事業内容についてさらに詳しく知りたい方は、こちらをお読みください。事業案内 | 企業案内 | 企業情報 | マルハニチロ株式会社
マルハニチロの競合他社との業績比較
マルハニチロと同じく主に水産業を営む企業との業績を比較します。ニチレイ(2871 東証プライム)ニッスイ(1332 東証プライム)極水(1301 東証プライム)との業績比較は次のとおりです。
銘柄(証券コード) | 時価総額(億円) | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 純利益(百万円) |
マルハニチロH(8766) | 1,606 | 1,030,674 | 26,534 | 20,853 |
ニチレイ(2871) | 5,333 | 680,091 | 36,911 | 24,495 |
ニッスイ(8630) | 2,706 | 831,375 | 29,663 | 23,853 |
極洋(8750) | 473 | 261,604 | 8,806 | 5,936 |
マルハニチロは比較した他社に比べ、売上高が大きく上回っていることが分かります。
マルハニチロの株価
マルハニチロの株価は、過去2年間で1千円程度アップしており長期保有に適しています。現在の株価と年初来高値・年初来安値を整理すると次のとおりです。
株価(円 | 日時 | |
現在 | 3,227 | 2024/10/3日終値 |
年初来高値 | 30,48 | 2024/07/22 |
年初来安値 | 2,760 | 2024/08/05 |
株価は2024年10月3日の終値で3,227円となっています。年初来高値は3,408円(2024/07/22)、年初来安値2,760円(2024/08/05)です。マルハニチロの株価について詳しく知りたい場合は、こちらをご覧ください。
マルハニチロの自己株式取得
マルハニチロでは、大きな自己株式取得はありません。なお、2024年3月31日現在にマルハニチロが発行する株式の概要は次のとおりです。
株価(円 | 日時 | |
発行可能株式総数 | 普通株式 | 118,957,000株 |
発行済株式の総数 | 普通株式 | 50,578,837株(自己株式39,612を含む) |
株主数 | 普通株式 | 67,489名 |
次に、所有者別株式数分布状況(普通株式)です
金融機関 | 34.86% |
金融商品取引業者 | 2.44% |
外国法人等 | 18.46% |
その他の法人等 | 19.05% |
個人その他 | 25.20% |
参考までに、所有数別株主数分布状況(普通株式)は、100株以上500株未満が最も多く84.12%となっています。
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まとめ
マルハニチロ株で2024年3月期に受け取れた配当は、1株当たり年間85円です。内訳は、中間配当が35円・期末配当が50円となっています。単元株の100株あたりの配当金額は、税引前で8,500円(税引後6,773円)です。
なお、2025年3月期の年間配当は15円アップの100円で、今期以上の配当が期待されます。
また、配当時期は中間配当が9月、期末配当が3月です(実際の支払時期は12月下旬と6月下旬)。
マルハニチロ株の株主優待はありませんが、2025年3月期も好調な決算が予想されています。四半期ごとの決算短信にも注目しながら、あなたの銘柄選びの参考としてください。
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