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最近は、資産形成や資産運用をする人が増えてきました。投資人口が増えるにつれて、投資情報も充実してきており、投資初心者でも投資を始めやすい環境が整っています。
そんな中、投資対象となる金融商品もさまざまなタイプが登場してきています。投資信託やETFの中でも、よりアクティブな金融商品が注目されています。
多くの投資家の注目を集める金融商品の一つとして、インバース型やダブルインバース型ETFという金融商品があります。特にダブルインバース型ETFは、その商品の特徴ゆえに正しく理解していないと危険であると言われることがあり、注意が必要です。
この記事では、ダブルインバース型ETFの基礎知識からそのメリット・デメリット、一般的にどのように保有すべきかなどについて解説していきます。
目次
ダブルインバース型ETFの基礎知識
まず、ダブルインバース型ETFという金融商品について説明します。通常の投資信託やETFとは異なるタイプなので、その特徴をしっかりと理解しましょう。
ダブルインバース型ETFの特徴
ダブルインバース型ETFのダブルインバースは、ダブル(2倍)とインバース(逆の・反対の)という意味があります。
日経平均株価といった株式指数とは反対の動きになるETFのことを、インバース型ETFといいます。したがって、ダブルインバースETFといえば、インバース型のさらに2倍の反対の動きになるETFを指します。
例えば、日経平均株価を基準とするダブルインバース型のETFといえば、日経平均株価が1%下落した場合、逆に2%の利益が生じるETFということです。
レバレッジ型ETFとの違い
インバース型と似たような言葉としてレバレッジ型という言葉があります。
レバレッジ型ETFは、インバース型ETFと異なり、日経平均株価といった株価指数に連動するように設計されたETFを指します。
例えば日経平均株価を基準とするダブルレバレッジ型のETFといえば、日経平均株価が1%上昇した場合、2%の利益が生じるETFということです。
レバレッジ型ETFは「ブル型ETF」、インバース型ETFは「ベア型ETF」と呼ばれることもあります。
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ダブルインバース型ETFのメリット
ダブルインバース型ETFは、インデックス型ETFや投資信託といった金融商品に比べるとマイナーな金融商品です。
それゆえ、あまり商品紹介などがなされていませんが、ダブルインバース型ETFにはメリットがあります。以下に詳しくダブルインバース型ETFのメリットについて解説していきます。
大きなリターンを得られる可能性がある
通常のETFは株価指数に連動するなど等倍で連動するものがほとんどです。それゆえ株価指数の上昇以上のリターンは基本見込めません。
その点、ダブルインバース型ETFは、2倍の値動きがあるため通常のインバース型よりも大きなリターンを得られる可能性があります。
株価市場の流れをつかむことができれば、複数の金融商品などを保有しなくても効率よく資産を増やすことができます。
相場の下落時に利益が得られる
多くの投資信託やETFは指数連動のインデックス型ETFが大半を占めます。
それに対して、マイナーなダブルインバース型ETFは、株価指数とは反対の値動きをします。つまり、株価が大きく下落するような相場環境の時に利益が得られる金融商品となっています。
しかも、2倍のレバレッジがかかっているため、下落時に大きなリターンが得られるメリットがあります。
また、現物株や指数連動の投資信託などの金融商品のリスクヘッジとして保有することも可能です。
他の金融商品で損失を抱えることになっても、ダブルインバース型ETFによって損失を相殺したりすることができるのは大きなメリットといえるでしょう。
通常の口座で取引ができる
通常、レバレッジをかけた商品取引をしたい場合、信用口座を開設して取引をする必要があります。ネット証券などで気軽に信用口座も開設できるようになりましたが、口座が複数になると管理が面倒になったりします。
信用口座を利用するために、証拠金などの入金も必要となります。その点、特定口座など通常の口座ですぐに取引できる、他の金融商品同様に管理できる点などは手間いらずです。
レバレッジをかけた取引をしたいけれど、信用口座を開設したくない人などにダブルインバース型ETFは向いているといえます。
ダブルインバース型ETFへのデメリット
ダブルインバース型ETFは、通常のETFに比べて数が少なく情報が少ないです。それゆえ、ネガティブな情報も目立つところがあります。また、その商品の特性上いくつかのデメリットがあります。
デメリットをきちんと理解しておかないと大きな損失を抱える可能性があるので、しっかりと理解しておきましょう。
手数料などのコストがかかる
ダブルインバース型ETFは、株価指数に逆連動するように設計された金融商品です。反対の値動きを維持するために先物取引などを活用してファンドマネージャーが運用を行います。
運用の難易度も高く、通常のETFよりも複雑な取引が必要となるため、購入手数料や信託報酬などの取引コストが高くなってしまいます。それゆえ、2倍の値動きで大きなリターンを得られないと運用しているだけで損失が出てしまう可能性があります。
価格変動リスクが高い
ダブルインバース型ETFは、値動きが通常よりも2倍反対に動くことになるため、基準となる株価指数が1%下落すれば、2%の利益ですが、3%下落すれば6%の利益となります。
言い換えれば、基準となる株価指数が1%上昇すれば、2%の損失ですし、3%上昇すれば6%の損失を被ることになります。
相場環境が好調であればあるほど、ダブルインバース型ETFでは損失を出し続けることになります。また、2倍の値動きとなるので、保有資産として大きな割合を占めるほどに価格変動リスクが高くなります。
相場が大きく動いた時にそれだけ下落と上昇を経験することになるので、値動きに慣れていない投資初心者には不向きな金融商品といえます。
長期で保有すると利益が少なくなる
一般的に株価指数の値動きが上下に動き、それを繰り返すことになるとマイナスの方向に差が生じることになり、期間が長くなればなるほどその差は大きくなっていきます。
簡単にいえば、複利効果が期待できず、長期でもてばもつほど損失が拡大していく可能性が高いということです。
また、通常のETFであれば分配金が出るものもありますが、ダブルインバース型ETFでは分配金が出ないので長期保有には向いていないといえます。
選べる商品が少ない
基本的にさまざまな株価指数に対してダブルインバース型ETFを設計することは可能です。ただし、運用する資産運用会社も投資家から支持される商品を提案する必要があり、マイナーなダブルインバース型ETFは多くの投資家が保有するタイプの金融商品ではありません。
したがって、上級レベルの投資家が利用するものとなっており、その商品ラインナップも限定的です。
代表的なダブルインバース型ETFは、日経平均やTOPIXに連動するものであり、豊富な商品ラインナップから投資対象を選びたい人には向いていません。
ダブルインバース型ETFの活用方法
ダブルインバース型ETFは特殊な金融商品です。上手にその特性を活かして、自分の資産運用に役立てていきましょう。
事前に下落が見込める時期に保有する
ダブルインバース型ETFは、相場下落時にリターンが期待できる金融商品です。それゆえ、事前に下落が見込めるタイミングで短期的にトレードするのが向いています。
連休中などで相場が動いておらず、相場が開始した際に下落する可能性が高い時に保有を検討すると良いでしょう。
〇〇ショックのリスクヘッジに
ダブルインバース型ETFは、株価下落時のリスクヘッジになるという利点があります。それゆえ、リーマンショックやコロナショックといった〇〇ショックとよばれる時期に保有するのが向いています。
こうした時期は、多くの金融商品が相場の下落の影響を受けるので、資産が目減りする投資家が多い時期です。下落が一時的である反面、相場状況に連動する金融商品を保有していれば損失を出すことになります。
そんな時に保有する金融商品を売却せずに、ダブルインバース型ETFを追加で保有することでリスクヘッジとなります。
相場下落時に損失を最低限に抑えたり、利益を出していけるという点で、スポット的に保有するのに向いている商品といえます。
レバレッジ型と併用する
ダブルインバース型ETFは株価指数などに対して2倍に逆連動しますが、反対に変動率が2倍となるレバレッジ型ETFも存在しています。
相場が上昇すると思う場合は、この変動率2倍のレバレッジ型ETFを購入し、相場が下落すると思う場合にはダブルインバース型ETFを購入してバランスをとるという投資方法があります。
それぞれ2倍の値動きをするため、ボラティリティが高い取引になりますが、株価の価格変動が大きい時など大きなリターンが期待できます。
ただし、投資家としての判断を間違うと大きな損失になるため、あまり固執せずに確実に相場の動きが分かる場合にのみ行うべき上級者向けの投資法といえます。
まとめ
ダブルインバース型ETFは、基準とする株価指数に対して2倍の逆連動をする金融商品です。
2倍の値動きになるため、株価下落時などに大きなリターンを期待できる反面、取引コストが高いなどのデメリットがあります。
商品の特性上、長期投資には向いておらず、短期的な取引に向いている商品です。
投資初心者向けではありませんが、相場の下落時にリスクヘッジとして活用できる点から、タイミングをみて利用すると損失を最低限に抑え、利益を出せる可能性があります。
ダブルインバース型ETFを活用する場合は、その商品の特徴をしっかり理解してから購入を検討すると良いでしょう。
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