日経平均株価の基礎を押さえる|日経225とインデックス投資も解説

日経平均株価の基礎を押さえる日経225とインデックス投資イメージ図

株式投資をはじめたら、まず日経平均株価を理解しておきましょう。ニュースやテレビで毎日のように報道されますが、正確な意味を知っている人は少ないかも知れません。インデックス投資との関係も解説するので参考にしてください。

日経平均株価と日経225とは

日経平均株価と日経225とは

日経平均株価とは、日本経済新聞社が東京証券取引所(東証)のプライム市場に上場する銘柄のうちから225銘柄を選定し、その株価の平均をもとに算出した指数のことです。取り扱われる銘柄は、取引の活発さを表す「市場流動性」と「業種間のバランス」から選ばれ、日経平均や日経225とも言われます。日本の株式市場の大まかな値動きが分かる指標のひとつです。

東京証券取引所には従来4つの市場区分がありましたが、2022年4月に次の3つの区分に再編されました。

従来現在
市場第一部プライム市場
市場第二部スタンダード市場
JASDAQグロース市場
マザーズ    

従来の市場第一部は、現在のプライム市場に相当します(全く同じではありません)。なお、日経平均株価は次のような業種間のバランスを考慮し、過去5年の売買実績などを基に毎年4月と10月に見直されます。

  • 技術(医療品・電気機器・自動車)
  • 金融(銀行・証券・保険)
  • 消費(水産・食品・サービス)
  • 運輸・公共(鉄道・陸運・電力・ガス)
  • 資本財・その他(建設・機械・造船・不動産)
  • 素材(鉱業・繊維・化学)

日経平均株価(日経225)の算出方法と影響

日経平均株価の算出方法と影響のイメージ

日経平均株価は、単に225種の株価を平均して求めるのではありません。株式の分割や銘柄の入れ替えを考慮して株価換算係数と除数の調整という特殊な計算を行い、指標の連続性を保つように算出されています。

日経平均株価が影響を受けやすいのは、株式を購入できる最小単位である1単元あたりの株価水準が高い「値がさ株」と呼ばれる銘柄です。この指標は個々の銘柄の平均によって計算されるので、値がさ株が上がれば日経平均株価の上昇率が大きくなります。そのため、日経平均株価の変動は、全ての株価の動向よりもファーストリテイリングのような特定の銘柄の影響を受けやすいのが特徴です。

日経平均株価が上がる要因は

日経平均株価が上がるイメージ

日経平均株価は景気を判断するバロメーターだと思っている人もいるかもしれません。しかし、単純にこの指数が上がれば景気がよい、下がれば景気が悪いとは言えません。景気を表す指標にはそれぞれ特徴があり影響を受けやすい要素があるので、他の指標とあわせて総合的に判断しないと判断を誤る場合があるのです。

日経平均株価は、株価の高い値がさ株の影響が強い特徴があります。日経225に採用されている銘柄の株価を調整した平均なので、株価の大きな銘柄ほど影響力が大きくなります。たとえば、225種のうちほとんどの株価が停滞していても、ファーストリテイリングやソフトバンクグループのような株価の高い銘柄が大きく上がれば、日経平均株価を押し上げることになります。また逆の場合も起こりえます。

このように、日経平均株価は、225銘柄のみならず東京証券取引所全体の値動きを反映しているとは表すとは単純に言い切れません。他の指標にも注意を払う必要があります。

他の指標

他景気を判断するための
指標のイメージ

日経平均株価と同じように報道される国内の指標であるTOPIXや、海外の指標についても押さえておきましょう。複数の指標を見ておくと、今後の株価の動向を判断する材料が増えることになります。

TOPIX

国内の株式市場で、日経平均株価と並んで扱われる指標にTOPIXがあります。TOPIX(東証株価指数)は、東京証券取引所のプライム市場に上場するすべての銘柄を対象に算出されます。株価に上場株式数を乗じた時価総額に、1968年1月4日の時価総額を100として時価総額を指数化します。

またTOPIXは、個別の株価よりも時価総額の大きい銘柄の影響を受けやすい特徴があります。株価全体の動向について判断するには、TOPIXだけでなく日経平均株価など他の指標も使って総合的に判断する必要があります。

ニューヨーク・ダウ

アメリカで利用される株価指数に、ニューヨーク・ダウがあります。これは、ニューヨーク証券取引所やナスダック市場に上場している主な工業株30銘柄を対象に算出する指数です。アップルなど日本でも有名な企業の株式で構成されています。日経平均株価のように株価の平均を調整して計算しますが、構成している銘柄数が少ないので、この指標だけで株価の動向を判断することは難しいです。

NASDAQ100指数

ナスダックは、ハイテク企業やIT企業など新興企業を扱うアメリカの株式市場です。NASDAQ指数には、ナスダック市場に上場されている企業のうち、時価総額上位の約100銘柄を指数化したNASDAQ100指数と、すべての銘柄約3,000を指数化したものNASDAQ総合指数があります。

S&P500

S&P500はニューヨーク証券取引所とナスダックに上場している500銘柄を選定し指数化した株価指標です。この指標は大型株から新興株まで幅広く網羅されており効率よく分散投資できるので、投資信託などでよく利用されています。

日経平均株価等に連動するインデックス投資

日経平均株価等に連動するインデックス投資のイメージ

日経平均株価は個別株の売買のみに利用するのではなく、投資信託にも活用できます。日経平均株価など特定の株価指標などと連動した投資法を「インデックス投資」と言います。インデックス投資の運用実績は公表されている株価指標と連動します。連動する指標が上昇すると値上がりし、下降すると値下がりします。資産の運用状況が分かりやすく、複雑な投資知識や経験がなくても運用できるのが特徴です。

なお、投資信託にはインデックスファンドに投資するインデックス投資のほかに、アクティブファンドに投資する方法があります。各ファンドの特徴は次のとおりです。

種類運用目標特徴
インデックスファンド株価指標等と同じ成果・初心者でも安心して投資できる
・利益率が高くない
・手数料が安い
アクティブファンド株価指標等を上回る成果・投資のプロが運用する
・高い利益を狙いやすい
・手数料が比較的高い

インデックスファンドへの投資は株価指標等に連動して着実に運用されることに対し、アクティブファンドは投資のプロがより多くの利益を狙うのが特徴です。ただし、アクティブファンドへの投資で株価指標以上の成果をあげることは、必ずしもうまくいくとは限りません。ハイリスクを選択できる上級者向けの投資法と言えるでしょう。次からは、具体的なインデックス投資商品の例を挙げていきます。

eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)

eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)は、日経平均株価に連動して投資成果をめざすインデックスファンドです。このファンドを選ぶだけで、日経平均に選ばれた日本の代表的な企業225社に投資できます。海外株式などを扱うアクティブファンドに比べてリターンは低いですが、身近な企業が選ばれているので親しみやすく業績等をチェックしやすいのが特徴です。投資先はファーストリテイリングやソフトバンクグループ等の大手企業が含まれています。この投資商品と連動する株価指標は日経平均ですが、TOPIXに基づいて運用される商品もあります。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)、アメリカのS&P500指数に投資できるインデックスファンドです。この商品はアメリカの主要企業500社に投資できるため、確実な分散投資として人気があります。アップルやアマゾンなどGAFAとも呼ばれる人気の銘柄が組み込まれていて、確実に運用益を出しています。なお、S&P500を構成する銘柄は定期的に組み替えられているので、長期的に安定した運用にも向いています。

このほか、アメリカだけでなく日本を含む先進国、新興国、全世界の株式に分散投資できる「eMAXIS Slim 全世界株式(いわゆるオルカン)」なども人気のインデックスファンドです。

関連 投資初心者でも安心してはじめられる?人気のインデックス投資を解説

寄与度の上位と下位

寄与度の上位と下位のイメージ

日経平均株価を構成する銘柄を確認しておきましょう。日経平均株価の寄与度とは、ある一定期間の値動きに対して、一つの構成銘柄の値動きがどれくらい影響するかを示したものをいいます。株価の高い銘柄(値がさ株)ほど、日経平均株価への寄与度が大きくなります。

例えば、2023年6月20日の日経平均株価を左右する寄与度の上位と下位の例は、次のとおりです。

寄与度銘柄例
上位  ソフトバンクグループ
ファーストリテイリング
アドバンテスト
三菱商事
三井物産
伊藤忠商事
キヤノン
信越化学工業
丸紅
東京エレクトロン
下位リクルートホールディングス
KDDI
ファナック
東京海上ホールディングス
NTTデータ
ダイキン工業
アステラス製薬
HOYA
エムスリー
第一三共

日経平均株価の推移

日経平均株価の推移のイメージ図

日経平均株価は短期的に値上がりや値下がりをしますが、長期的に見ると緩やかに値上がりする傾向があります。推移は次のとおりです。

寄与度の上位と下位は、調べたい日の株式情報サイトなどで確認できます。

引用元: tradingview.com

例えば5年間の推移で見ると2019年には2万円代だったものが、2023年には3万円台となっています。もう少し長いスパンで見ると、1989年に3万8915円の史上最高値を記録したことを除けば、長期的には株価は確実に上昇しています。最近では約30年ぶりに3万円台を回復しています。

まとめ

今回は、日経平均株価の概要と連動している投資信託など基本的な事項を解説しました。

日経平均株価は、日本経済新聞社が東証プライム市場から選定した225社の株価指標で、業種のバランスと流動性の高さを基準に定期的に入れ替えられています。また日経平均株価は、細かく上下しながらも長期的には緩やかな上昇傾向にあります。

投資初心者には、日経平均株価などの株価指標に連動したインデックスファンドへの投資がおすすめです。アクティブファンドほどの利益は望めませんが、長期で見据えれば確実に運用することができます。この記事が日経平均株価とインデックスファンドの理解に役立てば幸いです。

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