
「保有している株の会社が突然倒産したらどうなるの」「すぐさま価値がゼロになるの」と不安を感じる方は少なくないでしょう。
倒産が発表されると株価は急落しますが、翌日に即ゼロになるわけではありません。
証券取引所から整理銘柄に指定されてから上場廃止日まで、一定期間は市場で売買できる場合があります。
本記事では、保有している株式の会社が倒産した場合の重要なポイントや、倒産予兆がある株の取り扱い方など詳しく解説します。
できるだけ大きな損失を避けたい方は最後まで読んでみてください。
目次
倒産した会社の株式はどうなるの?

倒産した会社の株式は、基本的に価値がゼロになります。ここでは投資先の倒産に備えて、株主が知っておくべき5つの内容を解説します。
それぞれ見ていきましょう。
株価が下落し価値がゼロになる可能性がある
倒産手続きがはじまると、株価は急激に下落する傾向があります。会社が清算されて法人格が消滅すると、株式の裏付けとなる企業価値が失われるためです。
整理銘柄に指定されると売却希望者が殺到し、買い手がつかない状態に陥ることがあります。
その際はJPXの判断で値幅制限の下限が撤廃され、株価が限りなくゼロに近い水準まで下落します。
なお、会社更生法や民事再生法による再建を目指す場合でも、既存株主の株式は無価値になるケースがほとんどです。
実際に、民事再生手続きを経た株式会社オルツでは、2026年に既存の全発行済株式が無償で消却されました。(参考元:株式会社オルツ|100%減資等の実施に関するお知らせ)
上場廃止までは売買できる場合がある
倒産が発表されると「整理銘柄」に指定されます。その後上場廃止日まで原則として約1ヵ月間、市場での売買ができます。
整理銘柄の指定状況はJPX(日本取引所グループ)の「監理・整理銘柄一覧」で確認しましょう。
ただし、破産手続きの進行状況によっては上場廃止日が前倒しになる場合もあります。早めに上場廃止予定日を把握しておきましょう。
上場廃止後は証券取引所で売買できなくなる
上場廃止日を迎えた時点で、株式の市場売買は終了します。上場廃止後に売却したい場合は、自身で買い手を探す相対取引(あいたいとりひき)がおもな手段となります。
ただし、倒産後に無価値に近づいた株式の買い手を見つけるのは、現実的には困難でしょう。
株主が会社の借金を返済する必要はない
会社が倒産しても、株主が会社の借金を肩代わりする義務はありません。
会社法第104条※では、株主の責任は保有する株式の引受価額を限度とすると定められています。つまり、出資した金額以上の損失を負う義務はありません。ただし、出資した金額が戻ってこない可能性がある点は理解しておきましょう。
※参照元:e-Gov法令検索|会社法第104条(株主の責任)
残余財産を受け取れる可能性は低い
倒産時に株主が残余財産を受け取れるケースは、ほとんどありません。倒産した会社の資産は、まず債権者(金融機関や取引先など)への返済に優先的に充てられます。
すべての負債を弁済した後に残った財産が「残余財産」として、株主に分配される仕組みです。
しかし、倒産する会社の多くは負債が資産を上回る債務超過の状態にあります。債権者への返済だけで資産が尽きてしまい、株主まで財産が回らないケースがほとんどです。
倒産しそうな株は売るべき?持ち続けるべきか?について
ここでは、倒産しそうな株の対応において押さえておきたい5つのポイントを解説します。
倒産リスクが高まった株をそのまま放置するのは避けたいところです。直前になって焦らないように、事前に把握しておきましょう。
基本的には早めの売却を検討する
「損を確定させたくない」心理から売却を先延ばしにしてしまう方がいます。しかし倒産リスクが高まった株の場合、判断を遅らせると選択肢が狭まります。
倒産の発表は事前告知なしにおこなわれるケースが多く、発表後には株価が急落して希望の価格で売れない状況に陥りやすいです。上場廃止後は市場での売却が事実上できなくなるため、早めの売却判断が重要です。
上場廃止前に売却できるか確認する
倒産が発表されたら、まず上場廃止予定日を確認してください。整理銘柄に指定されてから上場廃止日まで原則約1ヵ月間は市場での売買が可能です。
ただし、破産手続きの進行状況によっては上場廃止日が前倒しになる場合もあります。上場廃止予定日はJPXの監理・整理銘柄一覧、または保有している証券会社からのお知らせで確認できます。
倒産リスクの原因を確認する
倒産する会社は、その予兆が決算書に表れるケースが多いです。以下のサインが出ていないか、定期的に確認しておきましょう。
- 債務超過(借金が資産を上回る状態)が続いている
- 自己資本比率が低い水準で推移している
- 営業キャッシュフロー(本業での現金収支)がマイナスで推移している
- 工場閉鎖や人員見直しなどの事業規模の縮小が見られる
- 決算短信や有価証券報告書にGC注記(継続企業の前提に関する注記)がある
企業の発表する決算書は前向きな表現になりがちですが、財務数字そのものは客観的な事実を示しています。直近1期だけでなく、数年分を遡って数字の変化を読み取ることが大切です。
損失確定のために売却する選択肢もある
倒産リスクが高まった株は、損失が拡大する前に売却し損失を確定させるのも選択肢のひとつでしょう。確定申告で税制上のメリットを受けられます。
損失が生じた場合、その年の譲渡益と相殺できる「損益通算」が可能です。相殺しきれない損失は「繰越控除」として、翌年以降3年間にわたって利益から差し引けます。ただし、NISA口座内で生じた損失は、損益通算や繰越控除の対象外となるため注意しましょう。
なお、特定口座で保有していた株が上場廃止後に無価値になった場合も、一定の条件を満たせば損失として計上できる特例があります。
対象となる条件は破産手続き開始や清算結了などです。手続きの詳細は国税庁の「破産等により株式の価値が失われたときの特例」より確認してみてください。
参考元:国税庁|No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除、国税庁|No.1475 破産等により株式の価値が失われたときの特例
反発狙いの買い増しは避ける
倒産発表後の株価反発を狙ったナンピン買い(買い増し)はおすすめしません。発表後の株はマネーゲーム化しやすく、値動きが激しくなる傾向があります。
一時的な反発は、短期間で利益を狙う投資家の動きによるものがほとんどです。
上場廃止が決まった銘柄は最終的に市場で売却できなくなります。買い増しによって損失を拡大させてしまう可能性がある点を理解しておきましょう。
投資企業の倒産によるリスクを最小限にするための対応策

リスクのない投資はありません。リスクがあるからこそ預金以上のリターンが期待できるのですが、投資企業が倒産するなどのリスクはできることなら避けたいものです。投資企業の倒産リスクから資産を守る対応策をご紹介します。
1.事前の予防策:分散投資でリスクを抑える
2.警戒サインを見逃さない:企業の健全性チェック
3.緊急時の対応:株価急落時の判断基準
4.税務上の対応:損失の活用方法
5.心理的なリスク管理:投資継続のための準備
それぞれ見ていきます。
1. 事前の予防策:分散投資でリスクを抑える
大型株(発行されている株式の数量や金額が大きい大企業)よりも小型株の方が倒産リスクは大きいものです。
小型株は、歴史の浅い、規模の小さい企業が多く、今後の飛躍的な成長が期待できる反面、資金力、ブランド力や企業統治なども発展途上のことが多く、経営基盤は不安定です。
そのため、小型株に投資する時には、万一の場合も考慮に入れて、一銘柄に投資する金額を抑えた分散投資でリスク管理をしっかりしましょう。
例えば、ポートフォリオの5%を1社に投資していた場合、その企業が倒産して価値が0になったとしても、全体の95%は守られます。これにより、最悪のケースでも損失を5%に抑えることができます。
また、以下も考慮に入れておいて分散投資を行いましょう。
- 業種の分散(同じ業界に偏らない)
- 地域の分散(国内外の企業に投資)
- 時期の分散(一度に全額を投資せず、徐々に投資)
2.警戒サインを見逃さない:企業の健全性チェック
市場全体が上昇している局面でも、株価が継続的に下落している銘柄には注意が必要です。目立ったニュースがなくても、株価が下落し続けるには何か原因があるものです。
倒産の前兆(債務超過、金融機関の融資停止など)などにも注意を払いましょう。不安を感じたら一旦、売却して様子を見ましょう。定期的に以下の指標をチェックし、早めの対応を心がけましょう。
- 自己資本比率の急激な低下
- 営業利益の継続的な赤字
- 有利子負債の急増
- 金融機関の融資態度の変化
- 取引先からの支払い遅延の報道
また、定期的にPBRを確認しましょう。
PBR(株価純資産倍率)という投資指標があります。株価を1株当たりの純資産で割って計算しますが、その会社の資産(残余財産)の何倍の値段で取引されているのかが分かります。
つまり、PBRが1倍以上であれば、その企業が倒産しても株主は投資資金が回収できることを表わしています。この数値が低いほど割安株と言われ、買いの指標にすることが多いのですが、PBRが1倍を下回ってくる株ならば、解散価値以下にしか評価されない何らかの理由がある可能性を考えましょう。
3. 緊急時の対応:株価急落時の判断基準
企業の経営状態が悪化し、株価が急落した場合の対応方針を決めておきましょう。
- 損切りライン(例:取得価格の70%)を事前に設定
- 追加情報の収集(決算短信、適時開示情報のチェック)
- 必要に応じて証券アナリストのレポートを参照
4. 税務上の対応:損失の活用方法
企業が倒産して株価が0になり、損をしてしまった場合、税務上有効活用する方法を理解しておきましょう。
- 確定申告による損失の繰越控除(最大3年間)
- 他の株式投資の利益との相殺
- 特定口座(源泉徴収あり)での自動計算の活用
5. 心理的なリスク管理:投資継続のための準備
投資の失敗は心身にも大きな影響を与えます。許容を超えた失敗はその後に大きな影を残すことになります。そうならないために、以下の心構えを持ちましょう
- 投資可能な金額のみを投資に回す
- 定期的なポートフォリオの見直し
- 投資の成功・失敗の経験を記録し知見として活用
投資には必ずリスクが伴います。倒産は最悪のシナリオの一つですが、それも含めて投資なのです。もし、不幸にもこういった経験をされたら、それを糧に、より賢明な投資家として成長することができると思います。
株式投資は長期的な視点で取り組むことが重要です。一つの企業の倒産で投資自体を諦めるのではなく、リスク管理の重要性を学ぶ機会として捉えましょう。
なお、不安を感じたら、弊社のような投資顧問などの投資アドバイザーに相談することをおすすめします。プロのアドバイスを受けることで、より良い投資判断につながります。
投資は知識と経験を重ねることで、より良い結果につながります。一つの失敗で諦めることなく、着実に成長していきましょう。
会社が倒産する主な要因

値上がりすると思って買った株式でも突然の出来事により状況が急変したり、また、購入時の調査不足で気づかなかったリスクが露呈し、その株式の発行会社が倒産してしまう可能性があります。
会社が倒産してしまう要因として、主に次のようなパターンがあります。
詳しく見ていきましょう。
販売不振による業績悪化
まず、これが倒産の典型的なケースです。社会情勢や環境の変化に応じた競争力のある商品開発ができず、他業態への展開もできないなど、利益が上げられなくなり、経営が行き詰まって倒産に至ります。
また、取引先であった大手企業が業績不振になると厳しい価格交渉を受けたり、取引先大手企業が倒産してそのあおりを受けて倒産に追い込まれる連鎖倒産というパターンもあります。
資金繰りの悪化
自社の支払いと販売した代金回収の期間が合わないと、支払うべき時期に手元の資金(キャッシュフロー)が足りなくなる資金繰りの悪化を引き起こします。
商品は売れており業績が悪くなくても、支払いが遅延したり、手形が不渡りとなったりすれば会社は信用を失い、事実上ビジネスの世界から締め出され、実質的に倒産へ至るのです。黒字倒産ともいわれます。
また、工場を作ったり機械を増やしたりなど設備投資をした場合、それに使ったお金は将来の利益から回収するため、過大な設備投資も資金繰りの悪化を招きます。
なお、売上に比べて負債が大きすぎる場合も、返済金額が大きくなることから資金繰りの悪化につながります。
スキャンダル、不祥事
実際よりも利益の金額を大きく見せたり、巨額な使い込みや損失を帳簿に載せないなどの会計上の不正(粉飾決算)や、食品会社で大規模な食中毒を発生させるなど、経営の根幹を揺るがすスキャンダルは、大企業であっても倒産に追い込まれることがあります。
倒産した会社の株式はどうなるの?に関するよくある質問
最後に、倒産した会社の株式に関して気になる方に、よくある質問を紹介します。
それぞれ解説します。
株で大損して立ち直れない場合はどうしたらいいですか?
株で大損してつらい場合は、以下のような対処法を試してみてください。
- 現状を受け入れる
- 損切りを検討する
- 株式投資から一旦離れる
- 失敗の原因を書き出して分析する
- 相談窓口に電話して現状を伝える
各対処法の詳しい内容は、こちらの「株の大損で立ち直れない人の特徴とは?対処法や同じ失敗をしないための対策を紹介」で解説しています。大損後の追加投資は損失拡大のリスクがあります。まずは投資から離れて状況を整理しましょう。
株で破産するのはなぜですか?
株式投資で自己破産に至るおもな原因は以下のとおりです。
- 信用取引で自己資金を超えた損失が発生し、追証や借入の返済が不能になった
- 高リスクの個別株に集中投資し、大きな損失を被った
- 借入金やローンで投資資金を調達していた
現物株のみの投資では自己資金以上の損失は生じません。信用取引や借入をともなう投資をおこなう場合は、自己破産に至るリスクがある点を理解しておきましょう。
株式売買を続けていても資産が増えないと感じるなら、買う前だけでなく保有中や売却時の判断も重要です。
株式投資は、銘柄を選んで売買するだけで成果が出るとは限りません。
思いつきで売買を繰り返したり、利益確定や損切りの基準が曖昧なままだと、取引を続けていても思ったように資産形成が進まないことがあります。 そのため、株式売買で資産を増やしたい場合は、銘柄選びだけでなく、買うタイミングや保有継続の判断、売却ルールまで含めて考えることが大切です。
一方で、
「どの銘柄を選べばいいかわからない」
「買った後にいつ売るべきか判断できない」
「売買しているのに、なかなか資産が増えない」
と感じる方も少なくありません。
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まとめ

倒産した会社の株式は、最終的に価値がほぼゼロになります。
残余財産を受け取れる可能性も低いです。株主が会社の借金を返済する義務はありませんが、出資した金額がゼロになるリスクは避けられません。
もし倒産しそうな株を保有しているなら、以下のポイントを見直してみましょう。
- 基本的には早めの売却を検討する
- 上場廃止前に売却できるか確認する
- 倒産リスクの予兆を確認する
- 損失確定のために売却する選択肢もある
- 反発狙いの買い増しは避ける
倒産リスクが高まってからでは、取れる選択肢が急速に狭まります。株式投資に倒産のリスクはつきものです。分散投資を基本に、日頃から企業の業績や最新情報をチェックしておきましょう。
【注意事項】。
※本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
※株式投資には元本割れのリスクがあります。
投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
※記載のデータは2026年6月時点のものです。最新の情報は各証券会社の公式サイトでご確認ください。



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