本記事では、ANAホールディングス(9202: 東証プライム 以下、ANAと表記)の配当金額や配当時期・配当性向・配当利回りについて解説します。
ANAグループは、航空事業を中心としたエアライングループとして、国内外の航空ネットワークや顧客基盤を活かしながらさまざまな事業を展開しています。持ち株会社であるANAホールディングスが最適な経営資源配分を行うとともに、各事業会社の自律的な経営をサポートし、グループ全体で持続的な企業価値の向上を追求しているのが特徴です。
目次
ANAの配当金はいくら
2024年におけるANAの配当は、1株当たり50円 です。ANA株の購入単位である単元株は100株なので、単元株で受け取れる配当金額は5,000円となります。2024年3月期の配当金は、第3四半期の予想より20円増額した1株50円 となっています。配当金の推移は次のとおりです。
年度 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020 |
1株当たり配当金(円) | 50.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
また、ANA配当は期末配当の年1回が基本です。このため、事業年度途中の中間配当はありません。なお、配当金を決定する機関は、6月に開催される株主総会 です。配当金は、毎年3月31日の株主名簿に記録された株主に支払われます。
過去20年の配当金については、ANAグループ企業情報 公式サイトをご覧ください
配当金にかかる税金
配当金には所得税と住民税などが課税されます。税率は20.315%です。内訳は所得税と復興特別所得税が15.315%、住民税が5%となっています。
ANAの1株当たりの配当金は50円なので、単元株100株当たりでは3,984円が税引後の支払金額となります。
(50円×100株)×(1-20.315%)= 3,984円
なお、NISAで非課税の扱いを受ける場合には、税金が差し引かれないので5,000円が受取額です。非課税となるのは国内の株式や投資信託に限られます。米国株や米国ETFは非課税とならない点に注意しましょう。
ANAの業績
ANAの2024年3月期は、新型コロナウィルス感染症の影響からの正常化により、売上高や営業利益・経常利益とも前年度を上回り、いずれも過去最高となっています。それぞれの推移は次のとおり です。
(単位:百万円)
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
2024年3月期 | 2,055,928 | 207,911 | 207,656 | 157,097 |
2023年3月期 | 1,707,484 | 120,030 | 111,810 | 89,477 |
2022年3月期 | 1,020,324 | -173,127 | -184,935 | -143,628 |
2021年3月期 | 728,683 | -464,774 | -451,355 | -404,624 |
(参考:業績ハイライト)
公式サイトによると、航空業界を取り巻く環境は、ウクライナや中東情勢等の地政学リスクが懸念されるものの、旅客需要は回復を続けています。ANAでは航空事業を中心に売上高は2兆559億円増収となりました。また、営業利益は2,079億円、経常利益は2,076億円となるなどいずれも過去最高益を記録しています。
ANAの事業内容
ANAは航空事業を中心としたグループとして、国内外の航空関連事業や旅行事業・商社事業等を展開しています。事業の概要と最近の動向は次のとおりです。
1.航空事業
新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更されたことや訪日需要や国内のレジャー需要などから、国際線・国内線の旅客ともに好調に推移しています。ANAの発表によると、売上高は前期を大幅に上回り、費用面でコストマネジメントの徹底をしたことから、営業利益は2,079億円と前期と比べて大幅な増益となっています。
2.航空関連事業
航空関連事業では、外国航空会社から旅客の搭乗受付や手荷物搭載等の空港地上支援業務の受託、機内食関連業務等があります。
3.旅行事業
旅行事業では、ANAトラベラーズホテルやダイナミックパッケージ、海外旅行で主力のハワイや韓国・台湾を中心としたアジア方面への個人旅行等の需要を積極的に取り込んでいます。
4.商社事業
商社事業では、今期好調に推移した空港物販店「ANA FESTA」や免税店「ANA DUTY FREE SHOP」・観光土産品卸売「FUJISEY」に加え、食品事業で主力のバナナ取扱高が増加しています。
5.その他
その他の事業として、不動産関連事業や空港設備保守管理事業等があります。
参考:2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
ANAの配当金はいつもらえる
ANAの配当金は6月下旬に支払われます。権利確定日は3月31日で、3営業日前が権利付最終日です。
また、ANAの事業年度は4月1日から翌年の3月31日までで、配当は年1回の期末配当のみです。期末配当金は6月に行われる株主総会の議決を経て支払われます。
配当を受ける権利が確定する日と支払時期をまとめると次のとおりです。
- 期末配当権利確定日 3月31日(支払時期は6月下旬)
- 中間配当なし
株式総会の議決後、実際に配当が振り込まれるまでには約3か月かかります。単位株式数は100株となっているため、1単元株で受け取れる配当金額は、所得税や住民税等20.315%が差し引かれた税引後の金額で、3,984円です。NISAで購入した場合は、税引前金額の5,000円を受け取れます。
ANAの配当利回りと配当性向は
ANAの配当利回りは1.64%、配当性向は14.92%、権利確定は3月のみです。これまでの配当性向 は次のとおりです。
(単位:円)
事業年度 | 1株当たり配当金 | 配当性向 |
2024 | 50.00 | 14.9 |
2023 | 0.00 | – |
2022 | 0.00 | – |
2021 | 0.00 | – |
2020 | 0.00 | – |
2019 | 75.00 | 22.7 |
2018 | 60.00 | 14.4 |
2017 | 6.00 | 21.3 |
2024年は4年ぶりに配当が復活しています。
ANA VS 日本航空の配当の利回り比較
競合する日本航空(JAL 東証プライム 9201)との配当利回りの比較は次のとおりです。
ANA | JAL | |
1株当たり配当金 | 50.0円 | 75.0円 |
配当利回り | 1.64% | 2.95% |
配当利回りはJALが上回っています。
なお、企業が1年間で得た利益からどれだけを配当金として株主に還元しているかは、配当性向や配当利回りを見ると分かります。配当金額から企業を評価する指標として活用可能です。
配当利回りと配当性向の考え方
配当利回りと配当性向の考え方と計算方法を説明します。
配当利回りは、購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けられるかを示す指標です。計算式は次のようになります。
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100
配当性向は、税金を差し引いた企業の純粋な利益である当期純利益のうち、配当に回される額を表した割合です。計算式は次のようになります。
配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100
ANAの株主優待
ANAの株主優待は国内線の優待搭乗のほか、ANAグループ各社・提携ホテルで利用可能な株主優待等を受けられます。
発行基準日は3月末と9月末時点で100株以上所有していることが条件です。国内線に優先搭乗できる株主優待番号案内書とANAグループ優待券の発送は、それぞれ5月中旬と11月中旬となります。
1. ANA国内線搭乗優待
ANA国内全路線(コードシェアを含む)の片道1区間を、大人と小児(年齢要件は満3歳から11歳)ともに株主優待割引運賃で利用できます。(3月末・9月末)
ANA株主優待割引運賃の適用を受けるための株主優待番号ご案内書
株数 | 枚数 |
100株以上 | 1枚 |
200株以上 | 2枚 |
300株以上 | 3枚 |
400株以上 | 4枚+400株超過分は200株ごとに1枚 |
1,000株以上 | 7枚+1,000株超過分は400株ごとに1枚 |
100,000株以上 | 254枚+100,000株超過分は800株ごとに1枚 |
2.ANAグループ各社・提携ホテル優待
ANAグループ優待券(優待クーポン18枚入り)の冊子を、一人1冊発行します。
主な優待内容は次のとおりです。
- ANAグループ提携ホテル
- 国内・海外パッケージツアー
- 空港内売店での買物
- ゴルフプレー料金の割引
ANAの競合他社との業績比較
ANAの業績を競合するJALと比較してみます。
時価総額(億円) | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 純利益(百万円) | |
ANA(9202) | 14,548 | 2,055,928 | 207,911 | 157,097 |
JAL(9201) | 11,853 | 1,651,890 | 140,932 | 95,534 |
時価総額や売上高、営業利益・純利益のいずれも競合企業のJALを上回っています。
ANAの株価
ANAの業績を競合するJALと、株価について比較してみます。
5/7終値(円) | 年初来高値(円) | 年初来安値(円) | |
ANA(9202) | 3,040 | 3,385(24/02/01) | 2,954(24/04/19) |
JAL(9201) | 2,729 | 2,956(24/03/22) | 2,672(24/03/12) |
ANAは2024年1月以来ほぼ、3千円台をキープしています。
ANAの自己株式取得
ANAに目立った自己株式の取得はありませんが、2023年4月28日持株会向け譲渡制限付株式インセンティブ制度により、社員に付与する目的で自己株式を買い付けたと発表しています。
取得した普通株式293万株の取得価額は84億5305万円で、東京証券取引所の自己株式立会外買付取引「ToSTNeT-3」で取得しました。この結果、自己株式を除いた発行済み株式総数に対する割合は0.6%となります。
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まとめ
ANA(ANAホールディングス)は、全日本空輸などを傘下に持つ持ち株会社で、2024年3月期の配当は年間で50円です。受取時期は期末配当の2024年6月末で、中間配当はありません。
配当の他に株主優待として、3月末と9月末に100株以上所有している株主に対し、ANA国内線の搭乗優待をはじめ、ANAグループ各社・提携ホテルで利用できる株主優待があります。
ANAでは近年、大規模な自己株式の取得はありません。株価は、年初来高値は3,385円(2024/02/01)、年初来安値は2,954(2024/04/19)です。
2023〜2025年度中期経営戦略では、今後も安定的な配当を継続することとしています。ぜひ銘柄選びの参考にしてください。
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