
ルネサスエレクトロニクス株式会社(東証プライム:6723)は、世界30ヵ国以上で事業を展開している日本の半導体メーカーです。
本記事では、ルネサスの配当金額や配当時期、配当性向、配当利回りについて解説します。
15年以上も配当金なしの状態が続いていましたが、2023年12月期から期末配当を実施。1株あたり年間28円の配当金が2年連続で支払われたことで、2025年12月期の配当にも期待が高まっています。
ルネサスの株はNISAの成長投資枠でも購入できるので、非課税での運用も可能です。
目次
ルネサスの配当金はいくら|1株あたり年間28円で復活
2024年12月期のルネサスの配当金は、1株当たり年間28円でした。100株持っていれば、年間2,800円の配当金がもらえます。
100株分の配当金を受け取るためには、196,000円の投資額が必要です。※2025年6月12日の終値(1株=1,960円)で計算
過去5年分の配当金の推移を、以下の表にまとめました。
(1株あたり)
事業年度 | 中間配当 | 期末配当 | 年間合計額 |
2025年12月期 | 未定 | 未定 | 未定 |
2024年12月期 | ー | 28円 | 28円 |
2023年12月期 | ー | 28円 | 28円 |
2022年12月期 | ー | ー | ー |
2021年12月期 | ー | ー | ー |
参照元:ルネサス|決算短信
配当金には20.315%の税金が発生するので、実際に受け取れる金額は2,231円(100株あたり)です。
【税引後に受け取れる配当金】(28円×100株)×(1−20.315%)=2,231.18円
配当金の税金や節税方法については、こちらの「配当金に税金はかからない?節税のコツや新NISAで非課税で受け取る方法を解説」の記事を参考にしてみてください。
ルネサスの配当金はいつもらえる|3月31日
ルネサスは年2回の配当を目指していますが、直近2年間の支払いは年1回のみ(期末)です。配当金の権利確定日と支払い開始時期を、以下の表にまとめました。
年間配当 | |
権利付最終日 | 2025年12月26日(金) |
権利確定日 | 2025年12月31日(水) |
支払開始予定日 | 2026年3月下旬 |
配当金を受け取るには、権利確定日の2営業日前(権利付最終日)までに売買を完了しておく必要があるので、注意しましょう。実際に配当が振り込まれるまで3か月程度かかります。ルネサスの配当金を受け取るには、株主名簿への登録が必要です。
ルネサスの配当利回りと配当性向
2024年12月期において、ルネサスの配当利回りは1.13%、配当性向は22.9%でした。
直近5年分の推移については、以下の表をご覧ください。
事業年度 | 配当利回り | 配当性向 |
2025年12月期 | 未定 | 未定 |
2024年12月期 | 1.13% | 22.9% |
2023年12月期 | 1.30% | 14.8% |
2022年12月期 | ー | ー |
2021年12月期 | ー | ー |
参照元:ルネサス|決算短信、みんかぶ|ルネサスエレクトロニクス (6723)
ルネサスは15年以上も配当なしの状態でしたが、業績アップに伴って2023年12月期に配当金が復活。配当利回りと配当性向はまだ低い状態ですが、2年連続で配当金を出しています。
ただし、目安となる配当性向の数値が発表されていないため、安定して配当金を得られるかどうかはわかりません。
また、2024年12月期の純利益は前年より下がっているため、今期のルネサスで配当益を狙うときは四半期ごとの決算情報を見ながら検討するのがおすすめです。
配当性向と配当利回りは、企業を評価するときに使う指標です。
配当利回り
購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けられるかを示す指標です。計算式は次のようになります。
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100
配当性向
税金を差し引いた企業の純粋な利益である当期純利益のうち、配当に回される額を表した割合です。計算式は次のようになります。
配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100
目安となる数値や詳しい計算方法については、こちらの「配当利回りと配当性向とは?違いや計算式、目安となる数値を解説」記事で解説しています。
なぜ配当が少ないのか|自社への成長投資を優先
2024年12月期のルネサスの配当利回りは、日経平均やプライム市場全銘柄の平均配当利回り(約2.5%)より低いです。
ルネサスの配当金が少ないおもな理由は、自社への成長投資を優先しているからです。
実際に、ルネサスは新たな製品や技術の開発に向けて、機械を導入するための資金確保に力を入れています。
結果、直近数年間の業績は伸びており、約15年ぶりに配当金が復活しました。
グループ内で資金を確保できれば株主還元も手厚くなる可能性があるので、今後の業績が伸び続ければ安定した配当益が狙えるかもしれません。
競合他社との比較
以下の表では、ルネサスの配当利回りと配当性向を、競合他社と比較しました。
(2024年12月期)
会社名 | 配当利回り | 配当性向 |
ルネサスエレクトロニクス(6723) | 1.13% | 22.9% |
ソニーグループ(6758) | 0.68%※ | 10.59%※ |
ローム(6963) | 2.80%※ | -38.52%※ |
参照元:みんかぶ
※2025年3月決算の数値を記載
2024年12月期において、ルネサスの配当利回りはソニーより高いです。
しかし、まだ市場の平均配当利回り(2%前後)より低いうえに、配当性向の目安も発表されていません。
ルネサスに投資するときは、競合他社や株式市場全体の利回りや業績と比較し、余剰資金で挑戦するのが無難でしょう。
ルネサスの株主優待|なし
ルネサスは株主優待を実施していません。
自社の成長に向けた資金確保の時期なので、短期的に配当や株主優待を狙っている方には不向きでしょう。
株主優待が受けられるおすすめ銘柄については、こちらの「【お得な株主優待】初心者でも購入しやすい人気銘柄5選」記事で解説しています。
ルネサスの業績
2024年12月期(2024年1月1日〜2024年12月31日)を含む、過去5年分の業績を以下の表にまとめました。
(単位:百万円)
決算情報 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
2024年12月期 | 1,348,479 | 222,977 | 263,833 | 219,084 |
2023年12月期 | 1,469,415 | 390,766 | 422,173 | 337,086 |
2022年12月期 | 1,500,853 | 424,170 | 362,299 | 256,632 |
2021年12月期 | 993,908 | 173,827 | 142,718 | 119,536 |
2020年12月期 | 715,673 | 65,142 | 65,216 | 45,626 |
参照元:ルネサス|決算短信
2024年12月期において、ルネサスの売上高は前期より8.2%減少しています。
おもな理由としては、工場の稼働率が減ったり研究費が増えたりしたことで、産業・インフラ・IoT分野での売上が悪化したからです。
結果、純利益も前期比35%減となり、業績悪化の年となりました。それでも、2021年12月期に業績が大幅アップして以降、ルネサスは高水準の純利益を維持し続けています。
自社への成長投資を続けている企業なので、将来的に株価や配当金の上昇といった成長がみられるかもしれません。
ルネサスの事業内容
ルネサスのおもな事業内容は、以下の4分野です。
- 自動車
- 産業
- インフラ
- IoT
それぞれ紹介します。
自動車事業
ルネサスは、自動車関連の部品を製造しています。自動車事業で手がけている分野は、以下のとおりです。
- 車両制御システム
- 先進運転支援システム(カメラ、自動運転)
- 電気自動車、ハイブリッド車
- インフォテインメントシステム
2024年12月期の自動車事業の売上高は7,028億円と、前期より6.4%増加しています。
産業
産業は、工場や機械の開発に必要な「電子部品」を提供している分野です。
スマート家電(ロボット掃除機、音声認識家電)やガーデニング用の工具(コードレスドリル、チェーンソー)など、さまざまな産業用機器を手がけています。
2024年12月期の産業・インフラ・IoT事業の売上高は6,368億円で、前期より1,626億円減少しました。
インフラ
スムーズなインターネット環境を実現するため、インフラ事業では電子部品の技術開発に力を入れています。
「Memory」や「クラウドエンタープライズ」と呼ばれる分野でルネサスの半導体技術が活用され、高速通信や安定したデータ処理を支えています。
IoT
IoTとは、家電や車などにインターネットを繋ぎ、自動で操作するための仕組みです。ルネサスは、普段の生活を便利にするための電子部品や技術を提供しています。
ルネサスと競合他社の業績比較
ルネサスと競合他社の業績を比較してみましょう。前期(2024年12月期)の業績は、以下のとおりです。
(百万円)
会社名 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
ルネサスエレクトロニクス(6723) | 1,348,479 | 222,977 | 263,833 | 219,084 |
ソニーグループ(6758)※ | 12,957,064 | 1,407,163 | 1,473,726 | 1,141,600 |
ローム(6963)※ | 448,466 | -40,061 | -29,698 | -50,065 |
参照元:みんかぶ
※2025年3月期における連結決算の数値
上記3社のなかで、ルネサスエレクトロニクスの業績はソニーに次ぐ2位でした。ただし、企業ごとに強みとする分野が異なります。上記3社の強みは、それぞれ以下のとおりです。
- ルネサス:自動車向けのマイクロコンピューター市場で世界トップシェア
- ソニー:ゲームや音楽、映画などのエンタテインメント事業が中心
- ローム:発電機やバッテリーなどの産業機器の製造に特化
ルネサスは自動車分野に強みを持つだけでなく、産業やIoTなどの広い分野で事業を展開しているところが他社との差別化ポイントと言えるでしょう。
ソニーの配当情報については、こちらの「ソニーの配当金は少ない?利回りが低い理由や株主優待、いつもらえるのかを解説」記事で解説しています。
ルネサスの株価
ルネサスの株価は、1,960円(2024年6月12日終値)です。以下のチャートでは、直近10年間の株価の推移を示しています。
出典:Yahoo!ファイナンス|ルネサス【6723】
2015年頃、ルネサスの株は800円前後で取引されていました。
その後、半導体需要の低下や工場の生産停止などの影響を受け、2019年3月25日には500円台にまで株価が下がっています。
それでも、長期にわたって自社成長に注力した結果、2022年には過去最高益を達成し、2024年7月頃に3,000円を突破しました。
しかし、2024年12月期の業績悪化に伴って、再び株価が下落。2025年6月時点では、1,900円前後で取引されています。
リアルタイムの株価を見たいときは、こちらのYahoo!ファイナンスで確認できます。
また、ルネサスと競合他社の株の値動きについては、以下の表を参考にしてみてください。
会社名 | 現在の価格 | 年初来高値 | 年初来安値 |
ルネサスエレクトロニクス(6723) | 1,960円 (以下2025/6/12終値) | 2,750円 (2025/2/20) | 1,320円 (2025/4/7) |
ソニーグループ(6758) | 3,774円 | 4,035円 (2025/5/29) | 2,980円 (2025/4/7) |
ローム(6963) | 1,709円 | 1,746円 (2025/6/11) | 1,069円 (2025/4/9) |
参照元:Yahoo!ファイナンス|日本株
ルネサスの自己株式取得
ルネサスは自己株式取得を実施しています。2023年に公表された自己株式取得の詳細は、以下のとおりです。
- 対象:普通株式
- 取得総数:約4,045万株(上限)
- 取得価額の総額:約500億円(上限)
- 取得期間:2023年2月10日~2023年4月28日
参照元:ルネサス|自己株式の公開買付けの結果及び自己株式の取得終了に関するお知らせ
過去に何度も実施しているので、今後も株主還元の一環として行う可能性があります。
まとめ
本記事では、ルネサスの配当金について解説しました。長年、自社への成長投資を優先し続けてきた結果、約15年ぶりに配当金が復活。
2024年12月期のルネサスの配当金は、1株あたり年間28円となりました。
100株あたり年間2,800円が支払われますが、実際に振り込まれる金額は税引後の2,231円です。
しかし、配当性向の目安が発表されていないうえに、現状では配当利回りも低いです。
それでも、近年の業績は純利益ベースで安定して黒字を維持し続けています。
ルネサス株に投資するときは、四半期ごとの決算短信や企業方針を見ながら投資判断をしましょう。
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