
株式会社ダイドーリミテッド(東証スタンダード:3205)は不動産賃貸事業や小売事業、衣料品の製造・販売などを行っている企業です。
本記事では、ダイドーリミテッドの配当金額や配当時期、配当性向、配当利回りについて解説します。
近年の業績は不安定ですが、2025年3月期の配当金は前年の50倍(1株あたり年間2円→100円)にアップしています。
ダイドーリミテッドの株はNISAの成長投資枠でも購入できるので、非課税での運用も可能です。
目次
ダイドーリミテッドの配当金はいくら|1株あたり年間100円
2026年3月期の予想として、ダイドーリミテッドの配当金は1株あたり年間100円です。100株(単位株)あたり年間10,000円がもらえます。
100株分の配当金を受け取るためには、99,600円※の投資額が必要です。※2025年6月12日の終値(1株=996円)で計算
過去5年分の配当金の推移を以下の表にまとめました。
(1株あたり)
事業年度 | 中間配当 | 期末配当 | 年間合計額 |
2026年3月期 | ー | 100円(予想) | 100円(予想) |
2025年3月期 | ー | 100円 | 100円 |
2024年3月期 | ー | 2円 | 2円 |
2023年3月期 | ー | 2円 | 2円 |
2022年3月期 | ー | ー | ー |
配当金には20.315%の税金が発生するので、100株を持っている株主が実際に受け取れる金額は7,968円です。
【税引後に受け取れる配当金】(100円×100株)×(1−20.315%)=7,968.5円
配当金の税金や節税方法については、こちらの「配当金に税金はかからない?節税のコツや新NISAで非課税で受け取る方法を解説」の記事を参考にしてみてください。
ダイドーリミテッドの配当金はいつもらえる|6月下旬頃
ダイドーリミテッドの配当金は、年1回のみ支払われます。
2026年3月期配当金の株主確定月と支払い開始時期を、以下の表にまとめました。
項目 | 期末配当 |
株主確定日 | 2026年3月31日(火) |
支払い開始時期 | 2026年6月下旬頃 |
ダイドーリミテッドの配当金を受け取るには、株主名簿への登録が必要です。
反映に時間がかかるので、2026年3月期の配当を受け取るために、基準日の2営業日前(2026年3月27日(金)15時30分)までに株を買いましょう。
ダイドーリミテッドの配当利回りと配当性向
2026年3月期の予想では、ダイドーリミテッドの配当利回りは10.41%、配当性向は398.5%です。
直近5年分の推移については、以下の表をご覧ください。
事業年度 | 配当利回り | 配当性向 |
2026年3月期(予想) | 10.03% | 398.5% |
2025年3月期 | 11.43% | -109.1% |
2024年3月期 | 0.53% | 19.6% |
2023年3月期 | 1.04% | 1.0% |
2022年3月期 | ー | ー |
2025年3月期の大幅な増配により、配当利回りは10%を超えています。
しかし、ダイドーリミテッドは配当金の原資となる「純利益」が不十分なため、配当利回りが安定していません。
また、配当性向は2025年にマイナス109.1%、2026年に398.5%と増減が激しいです。それぞれの理由は、以下のとおりです。
- 2025年:純利益が赤字にも関わらず、大幅な増配を実施したため
- 2026年:純利益は黒字の予想だが、支払う配当金額が高すぎると予想されるため
企業の業績や財務状況によっては、急な減配となる可能性があるでしょう。配当性向と配当利回りは、企業を評価するときに使う指標です。
配当利回りとは?
購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けられるかを示す指標です。計算式は次のようになります。
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100
配当性向とは?
税金を差し引いた企業の純粋な利益である当期純利益のうち、配当に回される額を表した割合です。計算式は次のようになります。
配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100
目安となる数値や詳しい計算方法については、こちらの「配当利回りと配当性向とは?違いや計算式、目安となる数値を解説」記事で解説しています。
配当がなぜ高いのか|新体制による株主還元の強化
ダイドーリミテッドの配当が高いのは、2024年に経営陣が変わり、株主還元を重視する方針に変わったからです。
実際に、ダイドーリミテッドが新たに掲げている株主還元策の一部として、以下が公表されています。
- 自己株式取得の実施:最大50億円程度
- 1株あたり100円への大幅増配:2025年3月期〜2027年3月期(3年間)
新体制になって「株主価値の最大化」への動きが見られたことで、2027年3月期までは高配当を狙う投資家から注目されている状況です。
参照元:株式会社ダイドーリミテッド|株主還元に関する方針及び配当予想の修正(増配)に関するお知らせ、株式会社ダイドーリミテッド|2025年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
競合他社との比較
2025年3月期において、ダイドーリミテッドの配当利回りと配当性向を競合他社と比較しました。
会社名 | 配当利回り | 配当性向 |
ダイドーリミテッド(3205) | 11.43% | -109.1% |
ユナイテッドアローズ(7606) | 2.87% | 40.61% |
オンワードホールディングス(8016) | 4.59% | 41.44% |
ワールド(3612) | 3.74% | 25.06% |
参照元:みんかぶ
2025年3月期の増配の影響により、ダイドーリミテッドの配当利回りは一時的に高くなっています。
また、配当性向についても前期がマイナス、今期が大幅なプラスと増減が激しいため、現状の高い配当金を維持できるかはわかりません。
他社との比較だけでなく、今後のダイドーリミテッドの業績や配当方針について情報を集めながら、最終的な投資判断をすべきでしょう。
ダイドーリミテッドの株主優待|クーポン、優待品
ダイドーリミテッドは、株主優待を実施しています。2025年3月期に実施された優待内容は、以下のとおりです。
3月末時点での保有株数 | 優待内容 |
100株以上、500株未満 | ・ECサイトで使えるクーポン(20%割引) |
500株以上、1,000株未満 | ・ECサイトで使えるクーポン(20%割引) ・3,600円相当の優待品 |
1,000株以上 | ・ECサイトで使えるクーポン(20%割引) ・12,000円相当の優待品 |
参照元:ダイドーリミテッド|株主優待制度
過去には、アパレルブランド「ニューヨーカー」のポーチやスマホショルダー、タオルなどの優待品が贈られました。
老舗アパレルブランドの商品をお得に入手したい方は、3月末日までにダイドーリミテッドの株を100株以上保有しておきましょう。
ダイドーリミテッドの業績|2025年3月期の純利益は赤字
ダイドーリミテッドの業績を以下の表にまとめました。
(単位:百万円)
決算情報 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
2026年3月期(予想) | 28,440 | 100 | -80 | 680 |
2025年3月期 | 28,609 | -64 | -233 | -2,483 |
2024年3月期 | 28,697 | -442 | -336 | 291 |
2023年3月期 | 28,218 | -481 | -378 | 6,757 |
2022年3月期 | 24,609 | -1,771 | -1,615 | -3,544 |
直近4年間の売上高は安定していますが、営業利益と経常利益は赤字が続いています。
しかし、営業利益の赤字額は年々減っており、2026年3月期には黒字になる見込みです。
業績回復の背景には、2024年1月に小田原の商業施設「ダイナシティ」の新館オープンによる不動産賃貸事業での利益が挙げられます。
また、2025年3月期の純利益が大幅赤字となったのは、イタリア子会社「ポンテトルト」の価値が下がったことによる会計処理が影響しています。
2026年3月期は赤字の中国事業を売却し、国内で「ダイナシティ」の集客に力を入れて収益を改善させる見込みです。
ダイドーリミテッドの事業内容
ダイドーリミテッドは以下2つの分野で事業を展開しています。
- 衣料事業
- 不動産賃貸事業
それぞれ紹介します。
衣料事業
衣料事業はダイドーリミテッドのメイン事業で、日本・中国・イタリアに子会社を構えて運営しています。
「ニューヨーカー」や「ブルックスブラザーズ」といった老舗ブランドを中心に、品質にこだわった衣料品を提供。また、アウトドアやスポーツなど、用途にあわせた繊維素材の製造・販売を行っています。
不動産賃貸事業
不動産賃貸事業とは、不動産(土地や建物など)を第三者に貸し出して収入を得る事業のことです。
ダイドーリミテッドは、複合商業施設「ダイナシティ(神奈川県小田原市)」の運営や管理、不動産企画開発を行っています。
大型ショッピングセンターとして、ダイナシティには買い物やレジャーといった楽しみが詰まっています。
ダイドーリミテッドと競合他社の業績比較
ダイドーリミテッドの業績を競合他社と比較してみましょう。2025年3月期において、競合アパレルメーカー3社の業績を加えた表を作成しました。
(百万円)
会社名 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
ダイドーリミテッド(3205) | 28,609 (-0.3%) | -64(ー) | -233(ー) | -2,483(ー) |
ユナイテッドアローズ(7606) | 150,910 (+12.4%) | 7,984 (+18.5%) | 8,539 (+14.1%) | 4,282 (-12.2%) |
オンワードホールディングス(8016) | 208,393 (+9.9%) | 10,153 (-9.8%) | 10,084 (-0.4%) | 8,516 (+28.8%) |
ワールド(3612)※1 | 225,658 | 16,796 | 15,506 | 11,105 |
各利益の()内の数字は前年同期比の増減を示す
※1)決算時期の変更により、前期との正確な比較ができないため不記載
参照元:みんかぶ
上記4社のなかで、ダイドーリミテッドの売上高は最下位であり、競合他社より事業規模が小さいです。
また、ほかの企業は黒字を維持していますが、ダイドーリミテッドの業績は安定していません。
それでも「営業利益の赤字縮小」や「配当方針の強化」「2026年3月期の黒字予想」など、ダイドーリミテッドへの期待値は年々高まっています。
株式投資で失敗しないために、四半期ごとに発表される業績や企業の方針をチェックしながら投資判断をしましょう。
ダイドーリミテッドの株価
ダイドーリミテッドの株価は、996円(2025年6月12日終値)です。以下のチャートでは、直近10年間の株価の推移を示しています。
出典:Yahoo!ファイナンス|(株)ダイドーリミテッド【3205】
ダイドーリミテッドの株価は、2018年まで400〜500円程度で取引されていました。その後は徐々に値下がりし、2022年9月には130円台にまで下落してしまいます。
しかし、2023年以降の株価は右肩上がりで、2025年2月には過去最高額の1,200円台を記録しました。株価が急騰したおもな理由として、以下の3つの要素が挙げられます。
- 2024年3月期の大幅な増配(前年度の50倍)
- 増配後の配当金を「3年間」も維持すると発表
- 2025年3月期の「営業利益」の赤字が大幅に縮小(前年度より約93%減)
ただし、増配と業績アップの影響で一時的に株価が高騰している可能性もあります。
株式投資で失敗しないためにも、ダイドーリミテッドへの投資は必ず余剰資金で挑戦しましょう。
ダイドーリミテッドは、2026年3月期の年間配当を1株あたり100円の予想で、これに基づく配当利回りは約9.61%です。これは、投資家にとって魅力的な水準であり、特に高配当株を求める投資家にとって注目されるポイントです。しかし、業績の不安定さや海外事業の苦戦が懸念材料となるため、投資を検討する際にはリスクを十分に考慮する必要があります。特に、2026年の業績改善が実現するかどうかが、今後の株価や配当の持続可能性に大きく影響するので注目です。

また、ダイドーリミテッドと競合他社の株の値動きについては、以下の表を参考にしてみてください。
会社名 | 現在の価格 | 年初来高値 | 年初来安値 |
ダイドーリミテッド(3205) | 996円 (以降2025年6月12日終値) | 1,243円 (2025年2月19日) | 676円 (2025年年4月7日) |
ユナイテッドアローズ(7606) | 2,054円 | 2,789円 (2025年1月8日) | 1,982円 (2025年4月7日) |
オンワードホールディングス(8016) | 579円 | 633円 (2025年1月30日) | 492円 (2025年4月7日) |
ワールド(3612) | 2,553円 | 2,766円 (2025年3月18日) | 2,297円 (2025年2月28日) |
参照元:Yahoo!ファイナンス|日本株(2025年6月15日時点の情報)
ダイドーリミテッドの自己株式取得|約4年に1回
ダイドーリミテッドは、自己株式取得(自社株買い)を実施しています。直近3回分の取得情報を以下の表にまとめました。
取得日時 | 取得株式数 | 取得価額の総額 |
2023年8月25日 | 4,100,000株 | 1,176,700,000円 |
2018年11月13日 | 1,500,000株 | 552,000,000円 |
2014年12月2日 | 273,000株 | 137,046,000円 |
参照元:ダイドーリミテッド|IRニュース
自社株買いで株の流通量が減ると、1株あたりの価値が高まって株価が上がりやすくなる仕組みです。
直近では約4年に1回のペースで実施されているため、今後も定期的に自己株式取得を実施する可能性があります。
ダイドーリミテッドの株主になったら、情報をこまめにチェックしましょう。
まとめ
本記事では、ダイドーリミテッドの配当金について解説しました。
2026年3月期において、ダイドーリミテッドの配当金は1株あたり年間100円の見込みです。100株持っていれば、税引後の7,968円が支払われます。
ダイドーリミテッドは経営陣が変わったタイミングで配当方針を変え、1年で50倍以上も増配しました。
しかし、現状では純利益が安定していないため、将来的に高い配当金を維持できるかはわかりません。
それでも、株主優待が充実しているうえに、2027年3月期までは現状の配当金を維持する見込みです。
四半期ごとの決算情報をチェックしながら、投資を検討してみてください。
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