
「投資信託をこまめに売買すればもっと利益が出るのでは?」と考える人も多いでしょう。トランプ関税の影響で株価が下がり、こまめな売買に魅力を感じる人も増えています。
結論として、投資信託をこまめに売買するのはおすすめできません。取引頻度が増えることで手数料が多く発生し、利益が少なくなる可能性があるからです。
本記事では、投資信託がこまめな売買に向いていない理由やおすすめの運用方法について解説します。本記事を読めば、自分に合った投資信託の運用方法を理解でき、長期的に利益を狙えるようになるでしょう。
投資信託の基本を知りたい方は↓の記事をご覧ください
投資初心者向け!損をしないための投資信託 入門ガイド
目次
投資信託はこまめに売買すべきでない【結論】
結論から言うと、投資信託はこまめに売買すべきではありません。
頻繁に売却を繰り返すことで複利効果が弱まったり、手数料で利益が削られたりするからです。そもそも投資信託は、一般的に長期運用で利益を狙うための商品です。
実際に、NISAのつみたて投資枠で買える商品は、長期運用に向いている「投資信託」に限られます。また、安定的な資産運用をするための戦略として、金融庁も長期運用を推奨しています。
こまめな売買はリターンを下げる可能性があるため、投資信託は長期目線で運用するのがおすすめです。
新NISAと短期トレードの相性については、こちらの「新NISAはスイングトレードに不向き?活用のメリットと3つの戦略を紹介」記事で詳しく解説しています。
投資信託をこまめに売買すべきでない5つの理由
投資信託をこまめに売買すべきでないおもな理由は、以下の5つです。
- 複利効果が得られない
- 購入単価が高くなりやすい
- 手数料で利益が減りやすい
- リアルタイムの価格で取引できない
- 値動きが小さく狙える利益が少ない
デメリットを知ることで、初心者でも投資信託で利益を狙えるようになるでしょう。
複利効果が得られない
投資信託をこまめに売買すると、複利効果が得られません。
複利効果とは、運用で得た利益を元本に加えて再び運用することで、さらに利益がつく運用方法のことです。たとえば、100万円を年5%で運用すると、1年後に105万円(利益5万円)になります。
さらに、翌年に105万円を5%で運用すれば、翌々年は資産が110.25万円(利益5.25万円)※となり、利益が徐々に増える仕組みです。
複利運用では時間の経過とともに元本が増えていくため、投資信託は長期運用で本来の効果を発揮します。一方で、こまめに売って利益を確定すると元本が増えず、利回りが減少するでしょう。
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株式投資で効率よく複利効果を得るには?複利と単利の違いなどについても解説
購入単価が高くなりやすい
投資信託をこまめに売買すると、購入単価が高くなる可能性があります。ドルコスト平均法のメリットを受けられず、感情に流されて高値掴みをするリスクがあるからです。
ドルコスト平均法とは、毎月一定金額で株や投資信託を買い続ける運用方法です。
毎月同じ金額で投資すると価格が高いときには少なく、安いときには多く買えるため、平均購入単価を抑えられます。
しかし、投資信託を頻繁に売買すると、価格が高いときに買ってしまったり、値下がり時に焦って低価格で売ってしまったりしやすいです。
結果、平均購入単価が高くなってしまう可能性があります。
手数料で利益が減りやすい
投資信託をこまめに売買すると、何度も手数料が発生して利益が減りやすいです。たとえば、投資信託の売買や運用時にかかる手数料として以下が挙げられます。
- 購入時手数料:投資信託の購入時に販売会社へ支払う手数料
- 信託財産留保額:投資信託を解約(売却)する際に発生する手数料
- 信託報酬:投資信託の保有期間中、保有額に応じて日々支払う手数料
投資信託の売買を繰り返すと、購入時手数料や信託財産留保額が何度も発生します。長期で保有していた方が手数料を抑えられる可能性があるため、効率よく資産を増やせるでしょう。
リアルタイムの価格で取引できない
投資信託の価格は、約定日(取引が成立する日)の基準価額で決まります。リアルタイム価格で取引できないので、投資信託は売買のタイミングをコントロールできません。
持っている投資信託が値下がりしたタイミングで「損切りしたい」と思っても、翌日の基準価額で約定されれば損失が大きくなる可能性があります。
個別株やETFとは違ってすぐに取引できない点は、投資信託がこまめな売買に向かない理由のひとつと言えるでしょう。
値動きが小さく狙える利益が少ない
株やETFと比べて、投資信託は値動きが小さい傾向にあるため、短期売買で狙える利益は少ないでしょう。そもそも投資信託は、複数の資産や銘柄に分散して運用される商品です。
一部の銘柄の値動きが大きくても、ほかの銘柄で損益を打ち消すため、全体の変動幅が小さくなります。
短期売買で大きな利益を狙うときは、値動きの大きい個別株やETFなどに投資するのがおすすめです。
投資信託を売却検討するタイミングと注意点
「投資信託はこまめに売買すべきでない」と説明してきましたが、人生には予期せぬ出来事があり、やむを得ず投資信託を売却しなければならない状況も生じます。
そのような投資信託の売却を検討するタイミングと考慮すべき注意点を解説します。
【投資信託の売却を検討するタイミング】
- ライフイベントで現金が必要になったとき
- 持っている投資信託が割高になったとき
- ポートフォリオの最適化を行うとき
- ほかに魅力的な投資信託を見つけたとき
- 株や債券など、ほかの投資先に資金を回したいとき
- 投資環境の変化や税制改正などが行われたとき
考慮すべき注意点
1. 必要資金の確保と売却タイミングの最適化
投資信託を売却する主な理由は1つとして、ライフイベントなどで現金が必要になったケースです。この場合、以下の点を検討しましょう。
- 必要最小限の売却: 資金需要を正確に把握し、必要最低限の額だけを売却する
- 段階的な売却: 一度に大量売却すると市場変動の悪影響を受けやすいため、可能なら複数回に分けて売却する
- 市場環境の考慮: 著しい下落局面での売却は避け、可能であれば基準価額が回復する時期まで待機する
2. ポートフォリオ最適化のための売却
長期投資が原則ですが、資産配分の最適化に必要な売却は検討するべきです。
- リバランスのための売却: 資産クラス間の配分比率が当初の計画から大きく乖離した場合、一部売却によりリスク水準を適正化
- パフォーマンス悪化ファンドの入れ替え: 長期的に市場平均を下回り続けるファンドは、より効率的な商品への入れ替えを検討
- 手数料効率化: 信託報酬が高いファンドから低コストインデックスへの切り替えによる長期的なコスト削減

これらの売却判断は感情的に判断するのではなく、データに基づいた冷静な分析の結果として行うべきです。市場のノイズに惑わされず、長期的な投資方針に沿った調整をすることが重要です。
3. 税制度変更など投資環境への対応
投資環境の変化や税制改正が行われた場合などに、必要に応じて売却を検討することも大切です。
- 非課税枠の有効活用: 課税口座で保有している商品をNISA口座に移管するための一時的な売却
- 損益通算の活用: 他の金融商品で発生した損失と相殺するための計画的な売却(ただし、NISAでは損益通算ができないことに注意)
- 税制改正への対応: 将来的な増税が予想される場合の前倒し売却検討
長期目線で運用を続けつつ、資金が必要なときは自分の運用方針に合っているかを軸に売却を判断しましょう。
投資信託で効率よく利益を狙う3つの運用方法
投資信託で効率よく利益を狙う3つの運用方法は、以下のとおりです。
- 出口戦略をはっきりと決めておく
- 株やETFの短期トレードと併用する
- 定期的にポートフォリオを見直す|年1回程度
上記3つを意識することで、長期保有による複利効果を活かしながら、無駄のない資産運用を実現できます。
出口戦略をはっきりと決めておく
投資信託で利益を狙うには、あらかじめ出口戦略(やめどき)を決めておきましょう。
ゴールを決めずに保有し続けると、値下がり時に焦って売却したり、利益確定のチャンスを逃したりする可能性があります。
たとえば、以下のような基準を事前に設定するのがおすすめです。
- 年1回のリバランスで売却
- 目標金額の1,000万円に達したら売却
- 結婚、住宅購入など投資目的の時期が来たら売却
売り時と買い時のラインを明確にすれば、感情に左右されずに運用を続けられます。
新NISAの出口戦略については、こちらの「新NISAで活用できる5つの出口戦略!取り崩し金額のシミュレーションを紹介」記事で詳しく解説しています。
株やETFの短期トレードと併用する
投資信託でコツコツ資産を育てつつ、値動きの大きい個別株やETFなどの短期トレードを組み合わせれば効率よく利益を狙えるでしょう。
たとえば、相場が大きく動いたとき、株やETFでは短期売買で利益を狙います。
一方で、投資信託は値動きに関係なく常に保有し続けることで、複利効果を活かした運用が可能です。
株やETFの短期トレードと併用する方法は、リスクを抑えながら収益チャンスを広げる、バランスの取れた運用法だといえます。
定期的にポートフォリオを見直す|年1回程度
定期的にポートフォリオを見直して資産をリバランスすれば、投資信託でも効率よく利益を狙える可能性があります。
リバランスとは、現在の自分の資産配分を「当初の資産配分」に戻すことです。
たとえば、国内株ファンドと海外株ファンドを「50:50」の割合で運用し始め、数年後に国内株式が値上がりして「70:30」になったとしましょう。
その際、国内株ファンドの一部を売却して海外株式を買い増しし、元の「50:50」の比率に戻せば、自分のリスク許容度にあった戦略で投資を続けられます。
ただ、投資信託は長期運用が原則であり、何度もポートフォリオを調整するとかえってリターンが減る可能性があります。
何年もほったらかしにならない程度に、年に1回を目安に自分のポートフォリオをチェックしてみてください。
投資信託の短期売買に関するよくある質問
投資信託の短期売買に関するよくある質問に回答します。
投資信託の利益分だけ解約できる?
投資信託は、利益分だけの解約ができません。投資信託は1口単位で元本と利益が一体化しており、利益のみを切り離せないからです。
ただし、金額指定や口数指定での売却は可能です。たとえば、評価額が120万円の投資信託から20万円だけを売却や10口分だけ売却等は可能です。
投資信託を利確して買い直すメリットはある?
投資信託の買い直しには、ほとんどメリットがありません。手数料が何度も発生したり、複利効果が損なわれて利益が減ったりするからです。
一方で、信託財産留保額などの運用コストが高くなったときは、手数料が低い商品に乗り換えた方がいい場合もあります。
それでも目的が明確でなければ、むやみに買い直しをするのは避けましょう。
投資信託をこまめに売買すると税金が余計にかかる?
投資信託をこまめに売買しても、税率(約20%)は変わりません。得られた利益に税率を掛けて税額が決まるため、利益が同じであれば一括売却と分割売却で発生する税金は同じです。
しかし、こまめに投資信託を売却すると、実際には以下のような影響があります。
- 元本が減って複利効果が減少する
- 売買手数料が何度も発生して利益が減る可能性がある
そのため、基本的に投資信託は長期的に運用し続けるのがおすすめです。
投資信託は始めたけれどあまり資産が増えないので個別株投資を検討したいというご相談が多くなっています。個別株はほっておくと損が拡大したりするので投資信託のような投資姿勢では難しいです。
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まとめ
投資信託はこまめな売買に不向きな投資商品です。
何度も投資信託を売却すると複利効果が得にくくなったり、何度も手数料がかかったりするので、多くの場合は資産運用の効率が悪くなります。
投資信託で利益を狙うなら、長期的に運用し続けるのがおすすめです。
そのうえで、もっと効率よく資産を増やしたいなら、以下のような戦略で投資信託を運用してみてください。
- 出口戦略をはっきりと決めておく
- 株やETFの短期トレードと併用する
- 定期的にポートフォリオを見直す|年1回程度
投資信託で長期的に資産を増やせるよう、お金の勉強を続けながら自分にあった戦略で運用を続けましょう。
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