スイングトレードは「数日〜数週間」で株式を売買し、短期的に利益を狙う投資戦略です。
NISAの成長投資枠ではスイングトレードができるので、利益から税金が引かれず、効率的に資産を増やせる可能性があります。
しかし、初めて短期売買に挑戦するときは、NISAがスイングトレードに向いている制度なのか疑問に思うこともあるでしょう。
そこで本記事では、NISAでスイングトレードを活用するメリットについて解説します。
記事後半では、NISA制度をフル活用したスイングトレード戦略についても紹介しています。
この記事を読めば、NISAの成長投資枠でスイングトレードに挑戦でき、積立よりもスピーディーに資産を作れるでしょう。
目次
新NISAの成長投資枠はスイングトレードに不向き
スイングトレードとは、数日から数週間の短期間で株式を売買し、積立よりスピーディーに利益を狙う投資方法です。
スイングトレードは株価の上昇下降の波(スイング)を利用してトレードを行います。通常、数日から2~3週間程度株を保有します。1日に何度もトレードをするデイトレードほど神経質にならず、かつ長期投資よりも早く利益を得られる可能性があります。
新NISAの成長投資枠はこのスイングトレードが可能です。しかし、NISAは長期投資を目的とした制度なので、スイングトレードに不向きと言われています。
また、NISAの成長投資枠には「240万円」の年間投資上限額が決められているので、利益を増やすための頻繁な売買ができません。
スイングトレードで大きな利益を出し続けたいときは、投資上限額のない「特定口座」を利用すると良いでしょう。
しかし、初めて株の短期売買をする方にとって、非課税で運用できるNISAは、スイングトレードに挑戦しやすい制度だと言えます。
成長投資枠内で少額ずつスイングトレードに挑戦し、慣れてきたタイミングで「特定口座」を利用すると良いかもしれません。
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新NISAがスイングトレードに向かない3つの理由
新NISAがスイングトレードに不向きな制度だと言われる理由は、主に以下の3つです。
- 損益通算ができない
- 大きな利益を狙いにくい
- すぐ投資上限額に達しやすい
それぞれ見ていきましょう。
損益通算ができない
NISAで生じた損失はほかの所得と「損益通算」ができないので、スイングトレードで損失が出ると、税制上のメリットを受けられない可能性があります。
損益通算とは、投資で生じた損失をほかの所得から差し引くことで、納税額を安くする仕組みです。
たとえば、年間600万円の事業所得があるフリーランスが、NISA以外の「特定口座」で100万円の損失を出したとき、損益通算によって課税所得が500万円に減ります。
しかしNISAでは損益通算ができないため、スイングトレードで損失が出ても課税所得を減らせず、納税額も減らせません。
短期売買は積立より損失リスクが高いので、損益通算ができないNISAでスイングトレードをすると、特定口座で取引するよりも納税額が大きくなる可能性があります。
大きな利益を狙いにくい
新NISAで買える商品は「長期投資向けの商品」に絞られているため、成長投資枠を使ったスイングトレードでは、大きな利益を狙いにくいです。
具体的にNISAで買える商品は、以下のように決められています。
- つみたて投資枠:長期投資に適した投資信託のみ
- 成長投資枠:上場株式、投資信託、ETF(上場投資信託)など
NISAで取引できる商品は、安定性を重視した商品に限定されています。また「上場廃止予定の株」や「レバレッジ取引が可能な商品」など、リスクの高い銘柄はNISAで取引できません。
ハイリターンを狙った投資ができないので、NISAではスイングトレードで大きな利益を狙いにくいでしょう。
すぐ投資上限額に達しやすい
すぐに投資上限額に達しやすいことも、NISAがスイングトレードに不向きな理由のひとつです。
たとえば週に1回のペースで10万円ずつ投資すると、約半年で「240万円の枠」を使い切ります。
上限額に達すれば、利益が出そうなタイミングがあったとしても、買い増しができません。
柔軟に売り買いを繰り返せないので、NISAはスイングトレードに不向きだと言われています。
スイングトレードとデイトレードの違いは取引期間の長さ
スイングトレードとデイトレードの違いは、取引期間の長さです。
どちらも短期間で利益を狙う戦略ですが、取引期間の違いからそれぞれ特徴が異なります。以下の表では、両者の特徴を比較しました。
特徴 | スイングトレード | デイトレード |
取引期間 | 数日〜数週間 | 1日以内 |
分析頻度 | 1日2〜3回程度 | 頻繁(数分〜数時間ごと) |
分析の焦点 | 中期的な値動き | 短期的な値動き |
利益の出し方 | 大きな値動きを狙う | 小さな値動きを積み重ねる |
取引頻度 | 少ない | 多い |
デイトレードは、短期的な値動きを活用して「1日単位」で利益を狙うので、常にチャートを分析する必要があります。
一方で取引期間が長めのスイングトレードは、チャート分析や取引頻度が少なくても利益が狙えるので、仕事や家事で忙しくても挑戦しやすいです。
しかし、成長投資枠を活用する場合、どちらの手法も取引頻度が多くなりやすいので、すぐに投資上限額に達しやすいです。
スイングトレードやデイトレードに挑戦するときは、NISA口座以外の「特定口座」を利用すれば、より大きな利益を狙えるでしょう。
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新NISAでスイングトレードをする5つのメリット
新NISAはスイングトレードに不向きと言われていますが、これから個別株取引に挑戦する方にとっては、活用するメリットがあります。
NISAでスイングトレードをする主なメリットは、以下の5つです。
- 非課税で取引できる
- 少額でも短期間で利益を狙える
- 投資枠を来年以降に再利用できる
- 長期投資より資産を柔軟に運用できる
- チャートの確認頻度が少なくても利益を狙える
メリットを知っておけば、自分がスイングトレードをすべきか判断でき、積立よりスピーディーに資産を作れるでしょう。
非課税で取引できる
本来、株式投資の利益は「譲渡所得」として、20.315%の税金がかかります。
たとえば、特定口座を使ったスイングトレードで50万円の利益が出れば、差し引かれる税金は約10万円です。
しかしNISAを活用すれば、発生した利益に税金がかかりません。
スイングトレードで発生したすべての利益が資産になるので、特定口座を使った取引より資産を増やせます。
少額でも短期間で利益を狙える
NISAでスイングトレードをすれば、積立投資よりも短期間で利益を狙えます。値動きに合わせて柔軟に取引できるからです。
以下の表では、想定される利益をスイングトレードと積立投資で比較してみました。
投資方法 | 初年度の投資額 | 年後の想定利益 |
スイングトレード | 240万円(10万円×24回) | 7.2万円(各取引3%の利益) |
積立 | 240万円(20万円×12ヶ月) | 約3万円(年利3%)※ |
※参考:金融庁|つみたてシミュレーター
どちらも3%の利益ですが、スイングトレードは取引のたびに利益を出せるので、想定利益は積立の「約2倍」です。
240万円の成長投資枠をフル活用すれば、積立より短期間で多くの利益が出るかもしれません。
投資枠を来年以降に再利用できる
NISAのメリットとして、投資枠を来年以降に再利用できることが挙げられます。
投資枠の再利用(簿価残高方式)とは、商品を売ったとき、売った分の投資枠が来年以降に復活するルールです。
たとえば今年買った100万円分の株をすべて売れば、来年以降に100万円分の投資枠が追加され、再びスイングトレードができます。
しかし買った商品を売っても、来年の投資上限額は240万円です。
100万円分の株を売っても、来年の投資上限額が「340万円」にはならないので、年単位でコツコツと利益を狙うときに活用しましょう。
長期投資より資産を柔軟に運用できる
スイングトレードは、短期間に繰り返し取引を完了させる投資方法です。
定額で買い続ける長期投資よりも、資産を柔軟に運用できるメリットがあります。
商品が値上がりしたタイミングですぐに売れば、その利益で次の取引をしたり、急な出費に対応したりできます。
資産を柔軟に運用できることは、スイングトレードの強みだと言えるでしょう。
チャートの確認頻度が少なくても利益を狙える
スイングトレードはデイトレードより長い期間で取引するため、チャートを確認する頻度が少ないです。
たとえば通勤中や昼休み、帰宅後など、1日に数回程度チャートを確認するだけでも、取引の判断ができます。
仕事や家事で忙しい方でも、スイングトレードなら無理なく利益を狙えます。
新NISAでスイングトレードをする5ステップ
新NISAでは、以下の5ステップでスイングトレードができます。
- NISA口座に入金する
- 成長しそうな株を買う
- 「利益確定」と「損切り」のタイミングを決める
- 2〜3ヶ月以内に必ず売る
- 投資上限額の240万円に達するまで3と4を繰り返す
スイングトレードで利益を狙うには「2〜3ヶ月以内の短期間に必ず売ること」が重要です。
資金の回転率を上げることで、短期的に利益が積み上がるからです。
NISAで短期売買の流れを掴んでおけば、特定口座でもスムーズにスイングトレードができるでしょう。
新NISAでスイングトレードを活用する3つの戦略
新NISAでスイングトレードをフル活用するときは、以下の3つの戦略がおすすめです。
- つみたて投資枠と併用する
- 少額でも非課税枠をフル活用する
- 損切り設定ができる証券会社を利用する
利益に対して税金がかからない「NISA制度」を活用すれば、初心者でもスイングトレードに挑戦しやすいでしょう。
つみたて投資枠と併用する
「つみたて投資枠での積立」と「成長投資枠でのスイングトレード」を併用すれば、安定と成長のバランスが取れた投資ができます。
両者のメリットを活かせるからです。
たとえば投資できる予算が月3万円の場合、つみたて投資枠に2万円、成長投資枠に1万円のように分散させます。
年利回り5%で月2万円を運用し続ければ、20年後には約822万円の資産を確保できるので「スイングトレードに失敗して老後資産がゼロ」といった事態を防げます。
老後資産を確保できていれば、スイングトレードでも損失を恐れず積極的な投資ができるでしょう。
少額でも非課税枠をフル活用する
スイングトレードは売り買いを繰り返すため、すぐに買付上限額に達する可能性があります。
それでもNISA口座で発生した利益には税金がかからないので、スイングトレードをするときは非課税枠の「240万円」を上限まで活用すると良いでしょう。
ただし投資できる金額は、一生涯で1,800万円です。
5年かけても10年かけてもトータルの投資額は同じなので、1年間で無理に240万円を使い切る必要はありません。
損切り設定ができる証券会社を利用する
NISAでスイングトレードをするときは、損切り設定(逆指値注文)ができる証券会社を選びましょう。
急に値下がりしたときでも、自動的に売却されて損失を抑えられるからです。
損切りとは、損失が出ている時点で商品を売って、それ以上損失が広がらないようにする方法です。
たとえば「1,000円で買った株が20%値下がりしたら売る」といった設定ができます。
逆指値注文を利用すれば自動で損切りが行われるので、感情に左右されずに迷わず損切りが可能です。
2024年7月時点で、SBI証券や楽天証券では逆指値注文ができます。
NISAで損切り設定ができる証券会社を選べば、スイングトレードで損失が広がるリスクを最小限に抑えられるでしょう。
スイングトレードで利益を狙うには、成長が見込める商品を買えるかがポイントです。しかし、投資初心者にとって「どの商品を買うべきか」の判断は、なかなか難しいと思います。
そこで投資のプロ「投資顧問」を活用すれば、NISAの成長投資枠でスイングトレードをうまく活用できるかもしれません。
投資顧問は、以下のようなタイミングで投資をサポートします。
- 成長が見込める商品選び
- 商品を買うタイミング
- 利益確定のタイミング
- 損切りのタイミング
金融庁の指導のもとで投資のサポートをしているので、正しい根拠を持って投資に関する助言を行います。
投資顧問について詳しく知りたいときは、こちらの記事をご覧ください。
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まとめ
スイングトレードは、短期間でも利益を狙える投資方法です。
成長投資枠を活用すればスイングトレードができるものの、上限額があることや損益通算ができないことで、NISAには不向きな戦略だとも言われています。
それでもNISAの投資枠を活用すれば、スイングトレードで利益が生じてもまったく税金がかかりません。
これから短期売買に挑戦したい方は、NISAの成長投資枠でスイングトレードの流れを掴んでみると良いでしょう。
損失リスクに備えるため、投資に関する知識を学びつつ、さまざまな方法で資産形成にチャレンジしてみてください。
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