VDCとは?長期的な資産運用に最適な生活必需品セクターETFを解説

生活必需品セクターETFへの投資のイメージ

VDC(Vanguard Consumer Staples ETF)は生活必需品メーカーなどにまとめて投資できるETFです。生活必需品銘柄は、ディフェンシブ銘柄とも呼ばれ、景気に左右されず安定した値動きをするのが特徴です。

セクターETFは、金融や不動産、ヘルスケアなどさまざまな分野ごとに投資ができるのがメリット。景気変動の影響を受けやすいものや、安全資産などセクターごとに特徴があります。相場状況によって買うものを変えたり、組み合わせたりすることで効果を発揮します。

今回は、VDCの値動きやリターン、組入銘柄などを紹介し、メリット・デメリットも解説します。

VDCとあわせて生活必需品セクターの特徴も理解して長期的な資産形成に役立てていただければと思います。

VDCとは?株価推移や配当利回りを確認

生活必需品セクターETFのイメージ

VDCは、世界最大級の資産運用会社バンガード社が発売するETFです。正式名称は、バンガード・コンシューマー・ステーブルスETF(生活必需品セクターETF)。米国の生活必需品関連企業に幅広く投資するETFです。

生活必需品セクターETFとは

生活必需品セクターETFは、食料品や洗剤、たばこなど生活に欠かせない商品を製造や販売する会社を中心に構成されたETFのことをいいます。

生活に必要な商品を中心とした銘柄を集めているため、景気が悪くなっても影響は比較的少なく、ディフェンシブETFとも呼ばれます。長期的にみても値動きが安定しているため、長期的な資産形成をするのに向いたETFといえるでしょう。

景気変動が激しいETFと組み合わせるこで、自身のポートフォリオのリスクを下げるといった効果も期待できます。

VDC特徴と上位銘柄や組入割合

VDCは、MSCI USインベスタブル・マーケット生活必需品25/50インデックスに連動する投資成果を目指して設計されています。MSCIとは、「モルガン・スタンレー・キャピタルキャピタル・インターナショナル社」の頭文字のことで、MSCIが公表しているMSCI指数は、多くの投資信託やETFのベンチマークとして採用されています。

VDCの上位銘柄や、組入割合を確認していきましょう。

【VDC上位組入企業】

順位企業名組入比率
1P&G12.27%
2コストコ10.06%
3ウォルマート7.97%
4コカコーラ7.62%
5ペプシコ7.18%
6フィリップモリス4.62%
7モンデリーズ3.61%
8アルトリア・グループ2.90%
9コルゲート2.71%
10ターゲット2.70%

※2024年6月バンガードHPより

ほとんど聞いたことのある企業だと思います。コストコやウォルマート、ターゲットなどのディスカウントストアやコーラ、ペプシコ、モンデリーズなどの食品系の企業などが上位に含まれています。

続いて、組入業種の割合もみていきましょう。

【VDC組入業種比率】

順位セクター組入比率
1小売業23.40%
2家庭用品19.30%
3飲料18.70%
4加工食品14.70%
5たばこ7.80%
6パーソナルケア商品4.10%
7食品小売3.00%
8食品ディストリビュータ2.80%
9農業・サービス2.60%
10ワイン醸造業者2.40%

※2024年6月 バンガードHP より

ディスカウントストアを中心とした小売業や洗剤などの家庭用品、飲料などの構成比が高く、生活に欠かせない商品を取り扱う企業の構成が高いことがわかります。

インフレ時にも強く、景気変動に左右されにくいのが特徴です。

VDCのチャートやリターン・配当を確認

VDCの値動きやリターン・配当など確認しましょう

【VDC週足チャート】

 

 コロナショック時に一時下げていますが、その後上下はあるものの安定的に伸びているのがわかります。

 

【VDCのトータルリターンの推移と配当利回り】

ティッカー1年トータルリターン3年トータルリターン5年トータルリターン直近配当利回り
VDC11.29%6.11%9.61% 1.66%

※2024年6月Bloombergより

1年、3年、5年とみてもマイナスはなく、安定した利回りです。IT関連などで非常に伸びているセクターもありますが、VDCの場合は、大きく伸びなくても下落に強く、安定的なリターンが得られるETFといえるでしょう。

配当利回りについても1.66%は、悪くない実績です。

VDCに投資するメリットは?

VDCに投資するメリットのイメージ

VDCに投資するメリットとしては、以下の点が考えられます。

  • 景気に左右されにくい
  • 経費率が低く、配当は比較的高い
  • 分散投資できる

それぞれ確認していきましょう。

景気に左右されにくい

VDCの特徴でも紹介しましたが、生活必需品セクターETFは、景気に左右されにくいといったメリットがあります。

景気が悪くなり、全体的に株価が下がっても、日々生活に欠かせないものを扱うディスカウントストアや食品メーカーについては、需要が減少しにくい特徴があります。

長期で買い持ちする場合、景気変動の影響は避けられませんが、その中でも安定した値動きをするETFといって良いでしょう。

経費率が低く、配当は比較的高い

VDCの経費率は、0.1%。100万円を1年間運用しても経費は1,000円程度です。長期的に運用する場合は、この経費の差が資産形成に大きく影響します。

また、配当利回りは、1.66%と高配当ETFなどと比べると低いものの安定した利回りとなっています。こちらも長期的に運用する場合は、大きなメリットとなるでしょう。

分散投資できる

VDCは、2024年6月現在で、103の銘柄で構成されています。

P&Gやコストコなど上位企業の影響は大きいものの、103の企業に分散されているため、一部の企業の業績が悪かったとしても、その他の企業でカバーすることも可能です。

銘柄の見直しもされるため、生活必需品関連への幅広い投資ができるのです。

 

VDCに投資するデメリットは?

VDCに投資するデメリットのイメージ

安定した値動きが特徴のVDCですが、いくつかデメリットもあります。

  • 少額投資できない
  • 為替変動の影響を受ける

それぞれ確認していきます。

少額投資できない

現在のVDCの価格は、約207ドル。1ドル155円で計算すると1株あたり31,000円ほどになります。毎月少額から積み立てたい方にとっては、厳しい価格かもしれません。

ETFは、基本1株単位での買い付けとなり価格が変動するため、毎月固定で10,000円の買い付けといった方法をとることはできません。その場合は、投資信託も選択肢の一つです。

経費率が若干高かったり、配当金が自動で再投資されたりなどの違いはあるものの、設定しておけば毎月一定の金額で投資ができる投資信託も検討してみると良いでしょう。

為替変動の影響を受ける

VDCは、米国の資産運用会社バンガード社が運用するETFですので、ドル建てで運用されています。そのため、ドル/円の為替変動による影響を受けてしまいます。現在は160円に迫る円安となっているため、ドル建ての運用はメリットが多い状況ですが、円高に振れると大きく値下がりする可能性も。

株価が上昇しても、円高になることで目減りしてしまいますので注意が必要です。

為替のレートは上がるときもあれば下がるときもありますので、一度にまとめて買わずに定期的に買い付けをすることで、為替の影響を分散させるようにしましょう。

 

VDCとほかのETFを比較

VDCとほかのETFを比較のイメージ

生活必需品セクターのETFについては、バンガード以外にも資産運用会社大手が販売しています。それぞれの値動きや、リターンを比較してみましょう。

比較するETFは以下となります。

  • 【KXI】Iシェアーズ グローバル生活必需品ETF
  • 【XLP】生活必需品セレクト・セクターSPDRファンド

【KXI】iシェアーズ グローバル生活必需品ETF

世界最大級の資産運用会社ブラックロックが販売する、iシェアーズシリーズの生活必需品セクターETFです。S&Pグローバル1200生活必需品セクター・キャップト・インデックスに連動する利回りを目指しています。

P&Gやコストコなどを含みますが、アメリカだけでなくヨーロッパなどグローバルな企業の銘柄を含むのが特徴です。

【XLP】生活必需品セレクト・セクターSPDRファンド

ステートストリート社が販売する、生活必需品セクターETFです。上位銘柄は、P&Gやコストコ、ウォルマートなどVDCとかなり近い構成となっています。銘柄については、S&P500に含まれる銘柄から選定されています。

VDC・KXI・XLPのチャート・利回りを比較

同じ生活必需品セクターETFのVDC・KXI・XLPのチャートや利回り、経費率などを比較してみましょう。

 

【VDC・KXI・XLP週足チャート】

VDC・KXI・XLP週足チャート

 VDCとXLPについては、構成銘柄が近いこともあり、ほぼ同じ値動きとなっています。XLPについては、若干パフォーマンスが悪い状況でですね。

 

【VDC・KXI・XLPのトータルリターンと経費率を比較】

ティッカー 1年トータルリターン 3年トータルリターン5年トータルリターン

 直近配当利回り

 経費率
VDC11.29%6.11%9.61%1.66%0.10%
KXI 6.82%2.49%6.07%3.69%0.41%
XLP10.07%5.66%8.95%2.83%0.09%

※2024年5月Bloombergより

値動きでみると、VDCが好調ですが、配当についてはKXIが良く、経費率ではXLPと3種類それぞれの特徴があります。配当を重視するのであればKXIを選択するのが良いでしょう。

 

VDCに投資する方法

NISAによる投資のイメージ

最後にVDCに投資する方法を紹介します。

VDCは、2024年に始まったNISA成長投資枠での買い付が可能です。NISAの仕組みやおすすめの証券会社を解説します。

NISA成長投資枠で投資

NISAは、つみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万円の計360万円まで年間に投資でき、最大で1,800万円まで投資に対する利益が非課税となる制度です。毎月定額での積み立てができないETFは、基本的には成長投資枠での投資となります。

VDCの場合は、1株あたり30,000円ほど必要となるため、毎月一定の金額を買い付けるのは難しいかもしれません。しかし可能であれば、まとめての買い付ではなく、分散して買い付けすることをおすすめします。

分散して投資することで、価格の低いときに多く買い、価格が高いときには少なく買うことができます。あわせて、為替の影響も分散することにもつながります。

おすすめの証券会社は

NISAでの投資をするには、証券会社でNISA口座を開設する必要があります。ネット証券会社であれば、パソコンやスマホで口座開設ができ、ネットバンクやカード払いでの買い付が可能です。おすすめのネット証券会社を紹介します。

SBI証券

ネット証券会社では、口座開設数NO.1の証券会社です。取り扱い銘柄も多く、国内株式であれば販売手数料ゼロ、NISAでは海外ETFも一部無料で買い付できるなどメリットがあります。

また、三井住友住友カードで積み立てをするとポイントが貯まるなどと特典も豊富です。

• 楽天証券

普段から楽天ポイントをためている方や楽天モバイルを使っている方であれば、楽天証券がおすすめです。楽天カードでの積み立てや、楽天キャッシュでの積み立てでポイントが貯まり、ポイントでの投資もできます。国内株式販売手数料もゼロ、海外ETFも手数料ゼロのものが多数あります。

まとめ

花王の自己株式取得のイメージ

VDCは、米国大手資産運用会社バンガード社が販売するETFです。特に生活必需品セクターに特化して投資を行うETFで、生活に欠かせない食料品や洗剤などの生活用品、それを販売する小売業などの銘柄が多く含まれています。

生活必需品セクターは、景気にあまり左右されることなく、不況にも強い銘柄が多く含まれているのが特徴です。そのため、大きく伸びることはありませんが、安定的なリターンが見込めます。

値動きが激しいセクターと組み合わせてポートフォリオの組み込むことで、リスクを下げるといった使い方もできETFです。長期的な資産形成を目指して運用を検討してみましょう。

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