最近は投資に関する情報もアクセスしやすくなり、誰もが気軽に投資できる環境が整ってきました。
経済誌やWEBコラムでは、株主優待がもらえる株や高配当株の特集が組まれています。
投資初心者が購入しやすい企業の株などの情報はたくさん出回るようになりました。
他方、配当金は企業の利益の一部を受け取る行為であり、投資家にとっては収入に該当するものの、デメリットも存在します。
この記事では、配当金を受け取ることと再投資に回すことのメリット・デメリットについて紹介します。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分にとっての最適な投資戦略を考えていきましょう。
目次
安定した資産形成を行うための基礎知識
基本的に、資産形成は個人の属性やライフスタイル、目指すべき老後などによってやり方が異なります。
しかし、多くの人が資産形成をしていく中で、今ある資産を増やし、将来に備えたいものです。
資産を増やすためには、まずどのような資産形成が自分に合っていて、配当金を受け取ることがどういうことなのか?を理解する必要があります。
関連記事→配当金生活月10万円を実現するために準備すること、おすすめの銘柄6選を紹介!
なぜ資産形成で株式投資が推奨されるのか?
基本的に、資産形成にはいくつかの種類があります。資産形成の具体的な事例は以下の通りです。
・預貯金(定期預金などを含む)
・保険(学資保険・生命保険など)
・国債・海外債券投資
・国内外の株式投資
・不動産投資
資産形成=株式投資ではありませんが、昨今は株式投資など投資が推奨されています。なぜかといえば、現状の社会環境において投資をするメリットが大きいためです。
昨今、インフレや円安が進んでいます。インフレはモノの価値が上がることを
したがって、単に円を保有しているだけでは、その価値が目減りしてしまう可能性があります。目減りを避けるためには、投資をして長期的に資産を増やしていくことが有効です。
ぜひ活用したい複利効果について
投資をすれば、必ずしも資産を増やせるとは限りません。
しかし、30年間に金融商品を保有して利益を享受し続けた場合、ほぼトータルリターンはプラスになるという結果が出ています。(参考:投資信託協会 第3回長期投資のメリットとは)
なぜ長期的にリターンを得られるかといえば、複利効果が得られるためです。
複利効果とは、投資元本と運用で得た収益を合わせて投資することで、利益が利益を生み、利益が大きくなる効果のことを指します。
複利の対義語は単利です。単利は、運用で得た収益を毎回受け取り、投資元本だけをそのまま運用する方法になります。
例えば、元本が1,000万円、利回り3%で5年間運用すると仮定します。
単利の場合、毎年30万円ずつ利益を受け取ります。つまり、1年目に1,000万円運用して30万円を受け取り、2年目も1,000万円運用して30万円を受け取り、これを5年間続けるということです。
つまり、トータルリターンは元本1,000万円と受取利益150万円(30万円×5年)になり、合計は1,150万円です。
一方、複利の場合は、毎年の利益を元本に加えて運用します。
1年目は単利運用同様、1,000万円運用して30万円を受け取りますが、2年目は1,030万円を運用して30.9万円のリターンを得ます。
これを繰り返し、5年運用した場合の元本と利益の合計は1,159万円になります。
単利よりも9万円多く資産を増やせます。
配当金を受け取るのは是か否か
以上のことから、資産を増やしていきたいならば、投資で得られた利益は運用元本にプラスして長期的に運用していく方が有利であることが分かります。
それゆえ、株式投資で得た配当金という利益を、再投資に回すことで資産の増加を加速させることができるというわけです。
反対に配当金を受け取るということは、その分運用に回す資金が少なくなることを意味するので、資産効率を下げる行為ともいえます。
配当金を受け取るのは個人の自由ですが、資産運用の観点からいえば、資産を増やしたい場合は複利の力を味方にするのが良いでしょう。
配当金を再投資するメリット・デメリット
配当金を再投資に回すことには、メリット・デメリット両方あります。以下に詳しく説明していきます。
メリット:長期的に複利効果の恩恵を得られる
やはり、配当金の再投資の最大のメリットは複利効果を享受できる点です。
運用元本が雪だるま式に増えていくことで、資産の増加が見込めます。
しかも、長期的に投資すればするほど、複利効果が高まるのでいつの間にか大きな利益が享受できます。
子どもの大学進学費用や老後資金といったまとまった金額を用意するのに最適です。
デメリット①:配当金の再投資では資金効率が悪い
配当金は企業の利益の一部です。
企業は売上高から経費などを差し引き、税金などを引いた利益から設備投資などを出します。
配当金はそれらの必要な金額を差し引いた中から出されるものです。その上、配当金を受け取る際に20.315%の税金がかかります。
配当金という現金化を経ることで、何度も税金がかかり、資金効率が悪くなります。
米国の証券会社等では、DRIP(ドリップ)と呼ばれる、株式やETFから出た配当金・分配金をそのまま自動で再投資してくれるサービスがありますが、日本の証券会社ではそういったサービスは実施されていません。
できれば、配当金として受け取るよりもそのまま再投資できる方が資金効率は良いことは覚えておきましょう。
デメリット②:再投資してしまうと手元に入ってこない
当然のことですが、運用で得た利益を再投資に回してしまうと手元に現金が入ってきません。
資産運用する資金を増やすことができても、自分の収入の一部として好きなことに使ったりできないことをマイナスに思う人は多いでしょう。
資産運用は将来に備えるためなど大事なことですが、今の楽しみを犠牲にせず、配当金を有意義に使いたい人にとっては、配当金として受け取る方が良い面もあります。
投資初心者向けの再投資戦略
配当金を再投資に回すことはメリットとデメリットがあります。
それゆえ、配当金は再投資にする方が良いという声は大きいですが、投資初心者は用途別にしっかりと考えて投資戦略を考えていきましょう。
引き出す予定がなければ再投資がおすすめ
まず、配当金を特に受け取る必要がない場合は、再投資するのが良いでしょう。
証券口座で配当金を受け取り、そのまま自分が投資したい株式などに投資していきます。
配当金を受け取ってからすぐに投資しても良いですし、一旦現金化しているので時間をかけて銘柄選びをしても良いでしょう。
再投資をしてしまえば、自分の余剰資金をどうしよう?と悩む必要もありません。あとは、時間をかけて投資をしていくだけで、複利効果の恩恵を存分に受けられます。
まさに老後資金などの長期的に用意すべき資金のために実施するのがおすすめです。
再投資なら株式よりも投資信託も選択肢の一つ
配当金で再投資の弱点として、資金効率が悪いことを挙げました。その弱点を補うためにおすすめしたいのが、投資信託への投資です。
投資信託も利益を分配金という形で受け取るものですが、投資信託の中には分配金を受け取らず、そのまま再投資に回せるものもあります。
再投資型の投資信託であれば、利益を引き出すことなく、そのまま再投資に回せるので税金などが引かれません。
現在はiDeCoやNISAなど非課税優遇制度も充実しているので、節税をしながら資産を増やせる機会が多くあります。
配当金を投資するよりも資金効率が良くなるので、手軽に複利効果を享受したい場合は資産の一部を再投資型の投資信託に入れておくのも良いでしょう。
使いたいことがあれば配当金を受け取るのもアリ
資産運用の効率化を図る上では、得られた利益をなるべく資産運用に回すのがセオリーです。しかし、配当金は個人の収入となるので、本業にプラスαで受け取りたいという人もいるでしょう。
副業的に投資をするという人もいて、高配当の株式への人気は高いです。
また、投資信託や株式から得られた利益をそのまま再投資していくサイクルが確立すると、なかなか自分では必要な時に取り崩すのが難しいという声もあります。
その点、配当金を受け取る形にしておけば、定期的に利益を受け取れます。
投資の出口戦略として、資産の一部を配当金で受け取れるようにしておくのも良いでしょう。
いずれにせよ、投資で得た利益は家族で旅行に行く資金にしたいといった投資目的があれば、配当金で受け取るのも選択肢の一つです。
自分の投資目的に合わせて、配当金を再投資するかどうかは考えると良いでしょう。
まとめ
一般的に、「配当金は再投資するのが良い」と言われています。
なぜならば、資産運用で得た利益を再投資に回すことで複利効果を最大に活かして資産形成ができるためです。
複利効果を活かせるのが長期的な運用利益の再投資のメリットですが、配当金として受け取ってしまうと税金などが課せられる分、リターンが小さくなってしまいます。
使う目的があるならば、再投資せずに配当金は受け取れる形にしておくのがおすすめです。
資産をどのように配分するかは個人投資家の裁量にかかっています。
老後資金など将来的に必要な資金は再投資で用意し、今を楽しむためや取り崩し戦略の一環として配当金を受け取ること等を検討してみても良いでしょう。
配当金を受け取ること自体は善でも悪でもありません。
自分にとって配当金をどうしたいか?をしっかり考えて、自分の投資の方向性を考えていきましょう。
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