
資産形成の王道はインデックスファンドへの長期投資ですが、NISAで積立投資の対象となっているインデックスファンドは、2024年5月23日現在298本もあります。
長期運用において投資信託の手数料の多寡は運用収益に直結します。そのため、投資信託を購入する際には運用コストのチェックは欠かせません。
本記事では、SMTグローバル株式インデックス・オープンはどのようなファンドなのか?これまでの実績や評価、そして手数料が運用成果に与えるインパクトをお伝えします。
目次
SMTグローバル株式インデックス・オープンとは
SMTグローバル株式インデックス・オープンの特徴
SMTグローバル株式インデックス・オープンは、ベンチマークをMSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)とし、日本を除く世界の主要国の株式市場に連動した投資成果を目指すファンドです。運用は三井住友トラスト・アセットマネジメントが行っています。
年2回、毎決算ごとに分配金額を決定し、原則分配金は再投資されて運用されます。
【基本情報】
(基準日2024.4.12)
運用(委託)会社 | 三井住友トラスト・アセットマネジメント |
設定日 | 2008.01.09 |
償還日 | 無期限 |
純資産総額 | 2,167.19億円 |
基準価額 | 42,347円 |
決算日 | 5月10日、11月10日 |
商品分類 | インデックス型 |
ベンチマーク | MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース) |
投資対象地域 | グローバル(日本を除く) |
投資対象資産 | 株式 |
為替ヘッジ | なし |
購入時手数料 | 2.2%(税込み)を上限として販売会社が定める率 |
信託報酬(運用管理費用) | 年率0.55%(税込み) |
信託財産留保額 | 0.05% |
NISA成長投資枠/つみたて投資枠 | 購入可能 |
MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)の地域別構成比
SMTグローバル株式インデックス・オープンがベンチマークとしているMSCIコクサイ・インデックスの投資先は22の国や地域です。地域別構成比は下表の通りです。
(2023年11月末時点)
北米(米国・カナダ) | 78.0% |
>欧州(英国・スイス・スウェーデン・デンマーク・ノルウェー・ドイツ・フランス他) | 18.7% |
アジア・オセアニア(オーストラリア・香港・ニュージーランド・シンガポール) | 3.1% |
中東(イスラエル) | 0.2% |
SMTグローバル株式インデックス・オープンの主な投資先
SMTグローバル株式インデックス・オープンは、約1,200銘柄に投資をしており、組入上位10銘柄は次の通りです。全体の約22%が上位10銘柄の割合です。銘柄はかなり分散されています。
(2024年3月29日時点)
順位 | 銘柄 | 比率 |
1 | MICROSOFT CORP | 4.76% |
2 | APPLE INC | 4.03% |
3 | NVIDIA CORP | 3.57% |
4> | AMAZON COM | 2.69% |
5 | META PLATFORMS INC-CLASS A | 1.73% |
6 | ALPHABET INC-CL A | 1.43% |
7 | ALPHABET INC-CL C | 1.26% |
8 | ELI LILLY & CO | 1.00% |
9 | BROADCOM INC | 0.95% |
10 | JPMORGAN CHASE & CO | 0.92% |
SMTグローバル株式インデックス・オープンの基準価額の推移
下表は、SMTグローバル株式インデックス・オープンの基準価額の推移をベンチマークであるMSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)と比較した数値です。(基準価額は分配金を再投資したとして計算し信託報酬控除後の価額です。)
基準価額の推移はベンチマークを若干下回っているようです。
【期間別騰落率】
期間 | ファンド | ベンチマーク | 差 |
1ヵ月 | 1.29% | 1.34% | ▲0.06% |
3ヵ月 | 10.50% | 10.78% | ▲0.28% |
6ヵ月 | 28.53% | 29.05% | ▲0.52% |
1年 | 40.98% | 42.26% | ▲1.28% |
3年 | 70.35% | 74.44% | ▲4.09% |
設定来 | 332.14% | 397.71% | ▲65.57% |
SMTグローバル株式インデックス・オープンのリターン
下記はSMTグローバル株式インデックス・オープンの過去5年のリターンを示しています。
(2024年4月12日更新)
6ヵ月 | 1年 | 3年 | 5年 | |
リターン(年率) | 46.23 | 40.05 | 19.39 | 18.56 |
直近5年間のリターンは好調だったと言えそうです。なお、2008年のファンド設定来のリターンは、年率平均で9%を超えています。
SMTグローバル株式インデックス・オープンの手数料
通常、投資信託は購入してから売却するまでの間に、購入時手数料、信託報酬(運用管理費用)、信託報酬留保額などの手数料がかかります。
SMTグローバル株式インデックス・オープンの場合、購入時手数料は最大2.2%(金融機関による)、信託報酬が0.55%、信託報酬留保額が0.05%の設定となっています。
昨今、投資信託の手数料は競争原理で引き下げられる傾向となっており、売り買いするときの手数料はかからない場合が多いようです。
SMTグローバル株式インデックス・オープンの場合、購入時手数料はかかりませんが、運用時の信託報酬費用と売却時の信託財産留保額が必要であることから、同種類の他のファンドと比較するとコストはやや高めの印象です。
投資信託の運用効率を上げる方法
投資信託の手数料とは?
投資信託を購入するにあたっては、購入から売却までの間の各場面で次の手数料が発生します。
- 購入するとき「購入手数料」
- 運用中「信託報酬(運用管理費)」
- 売却するとき「信託財産留保額」
その他、売却時に「解約手数料」が必要な場合もあります。
手数料の多寡は、直接、運用収益(リターン)にかかわるため、手数料は安いに越したことはありません。しかし、実は、信託財産留保額は例外で一概に「なし」が良いとも言い切れない費用なのです。
なぜなら購入時手数料や信託報酬、解約手数料は、証券会社や運用会社の儲けとなる費用であるのに対し、信託財産留保額は会社の利益ではないからです。
信託財産留保額を深堀り
投資信託は、複数の投資家から集めた資金をひとつにして株式や債券などで運用しています。しかし、換金自由な投資信託では、途中で投資信託を売却する人がでる都度、運用資産が目減りすることになってしまうため、運用そのものの足を引っ張ることになります。
そこで、投資信託を売却する人が、継続保有している他の人に対して払う迷惑料的な意味合い、言い換えるとペナルティとなる費用が信託財産留保額なのです。
徴収した信託財産留保額は、だれかの儲けになるのではなく、投資信託の純資産総額に加えられ運用されます。
たとえば、SMTグローバル株式インデックス・オープンのような信託報酬が0.05%のファンドの場合、100万円分売却したら、500円が信託財産留保額として徴収され残りが収益になります。
自分が投資信託を売却するときは、信託報酬なんてないほうが良いでしょうが、反対の立場に立てば、信託財産留保額があったほうが良いと考えることもできます。
それでも実際は、信託財産留保額のないファンドが増えています。信託財産留保額を手数料として一括りにして考えると、単純に手数料が安いファンドのほうが人気を集めやすいという事情もあるのでしょう。
いずれにしても、信託財産留保額は他の手数料とは意味合いの違うコストであることを知っておきましょう。
長期・積立・分散投資が重要な理由
投資信託は目先の利益を追うための短期売買ではなく、本来、長期運用により資産形成を行っていくものになります。しかし、長い間には、株価が期待とは逆の方向に進む時期があるでしょう。
積立投資は、損失を軽減させる有効な方法です。
毎月や毎日など定期的に一定額を積み増すことで価格の下落時には多くの口数が購入できますので、時間の分散効果を得られ、価格の下落時はむしろ多くの口数を購入できます。
投資信託はそもそもが様々な地域や資産に分散して投資している商品ですが、資産の分散と言う意味では、値動きの違う複数の投資信託を購入するなど商品の分散の工夫も必要でしょう。
NISAの複利効果と非課税効果で運用効率をさらに高める
NISAの積立投資では、分配金を再投資して運用します。再投資の何がいいかというと、単利ではなく複利で運用されることです。、利息が利息を生むという効果が生じ、運用期間が長いほど雪だるま式に利息が利息を生み効率的な運用が期待されるのです。
また、手数料の多寡が投資信託の運用効率を左右することは前述の通りですが、NISAを利用すれば、本来徴収される税金分も収益となるため、さらに運用効率が高まります。
NISAの積立投資では、年間360万円を上限として、1,800万円分の投資から生じる利益に税金がかかりません。たとえば、毎月5万円を年利5%で20年間積立てた場合、元本1,200万円に対して利益は約855万円になります。(信託報酬他手数料を考慮しない)
NISAでは855万円の全額が運用成果として残りますが、仮に課税されると、約170万円が税金となり、手元に残るのは685万円に目減りしてしまいます。
積立投資では値動きに敏感になりすぎないことが大事
投資信託の基準価額は日々変動を繰り返しています。記憶に新しいところでは、リーマンショックやコロナショックと呼ばれる時期には株価が暴落し、投資信託も基準価額を大幅に下げました。
資産の含み損を抱えると不安になり、損失を食い止めようと売却してしまう人もいますが、15年や20年という長いスパンで過去の実績を見ると株価は回復し上昇しています。
大前提として、投資には元本保証はないため損失が出てしまう可能性はあります。
しかし、時間を味方にできる長期投資ではいずれ回復する見通しが立てられます。資産の目減り局面に遭遇した場合にも、淡々と積立を継続していくことが資産形成の近道になるケースが多いことを覚えておきましょう。
まとめ
SMTグローバル株式インデックス・オープンは日本を除く主要国株式に投資をしている投資信託です。
SMTグローバル株式インデックス・オープンの運用コストは同種のファンドと比較するとやや高めではありますが、設定来のリターンは平均年率9%を超えていますので高いリターンを出していると言えそうです。
資産形成の基本は、長期、積立、分散投資と心得て、値動きに一喜一憂しない心構えが必要です。使い勝手が良くなったNISAを上手く活用しながら効率的な資産形成を行いましょう。
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