
2026年1月14日、日経平均株価が54,341円で大引け、過去最高値を更新しました。
近年の株式市場は大変好調に推移しています。
NISAで投資信託を積立している方のなかには、利益が出ているうちに売却した方がいいのではと考える方もいるでしょう。
事実、投資信託は長期運用によって利益を最大化できますが、最終的には目的に応じて売却するタイミングを見極める必要があります。
本記事では、投資信託の売り時となる目安を4パターン紹介します。
売却時の注意点も解説しているので、投資信託で必要資金を確保するための参考にしてみてください。
目次
投資信託の売り時は何パーセントなのか|長期運用がおすすめ

投資信託は、基本的に15〜20年以上の長期積立運用で利益を狙う金融商品です。
そのため、短期的な利益確定を繰り返すと複利効果を活かせず、本来得られるはずの利益を大幅に減らす可能性があります。
ただ、ライフイベントや目標達成時などの必要なタイミングで迷わず売却するためには、自分なりの基準を決めておくことも重要です。
「何パーセント上がったら売る」といったルールを決めておけば、感情に流されず冷静な判断ができます。
あくまで長期運用で利益を狙う姿勢でありつつ、次の章で解説している具体的な売り時の目安を参考にしながら自分なりのルールを決めてみてください。
>>投資信託はこまめに売買すべきではない?売却タイミングや運用方法を解説
投資信託の売り時となる4つの目安

投資信託の売り時となる目安として、以下の4つのケースが挙げられます。
上記を正しく理解できれば、投資信託の急な値動き時にも冷静な対応ができるでしょう。
目標金額に到達した場合|パーセントより金額で判断
価格の変動幅に関係なく、設定した目標金額に到達したときは投資信託の売却を検討しましょう。
資産運用は老後資金やライフイベントに向けた資金確保が目的であり、必要なタイミングで現金化できなければ意味がないからです。
たとえば、住宅購入の頭金700万円を目標とする場合、達成時点で売却すれば確実に資金を確保できます。
明確なゴールを設定しておくことで、必要以上にリスクを取らない計画的な運用が可能です。
ライフイベントで資金が必要な場合|理想は2〜8%程度の利益
ライフイベントで資金が必要になった場合、利益率にかかわらず必要な金額だけ売却するのが基本です。
それでも一つの基準として、2〜8%程度の利益が発生したタイミングで必要資金に到達していれば、投資信託の売却を検討すると良いでしょう。
金融庁の資料によると、株式や債券への分散投資を20年以上継続すれば、年率2〜8%程度のリターンが期待できる※とも言われています。
※参照元:金融庁|早わかり
必要資金に達したタイミングで売却することを念頭におきつつ、2〜8%の利益率を目標に運用を続けるのがおすすめです。
予想外に大きく値上がりした場合|20〜30%以上で一部利確を検討
投資信託の長期運用で見込まれる平均リターンは、年率3〜10%程度です。
しかし、特定のテーマや市場の過熱により、短期間で20〜30%以上の利益が出ることがあります。
実際に、資産1億円を達成した投資家の中には「20%の利益が出たら一部売却」というルールで成功している例もあります。
市場の過熱は一時的であることが多く、調整局面で値下がりするリスクがあるため、利益が出ている間に一部を売却するのも有効な戦略です。
ただし、全額売却するのではなく、一部を残して運用を継続することでさらなる上昇を期待でき、リスク分散にもなるでしょう。
暴落時に損切りが必要な場合|3〜15%程度の損失
株価の暴落で損切りが必要なときは、迷わず売却して損失を最小限に抑えましょう。
ただ、損切りラインの決め方は「個人の資産状況」や「リスク許容度」などから判断するため、具体的な数値は人それぞれ異なります。
詳しくは以下の記事で解説していますが、目安として3〜15%程度の損失が生じたタイミングで損切りを検討するのがおすすめです。
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株の損切りはしない方が良いのかをパターン別に解説!メリット・デメリット、ルールの決め方とは
投資信託の売り時を決める5つの判断基準

投資信託の売り時を決めるための判断基準として、以下の5つを参考にしましょう。
具体的な売却ルールを決めておけば、急な値動きが生じたときでも迷わず売却して必要資金を確保できるようになるはずです。
投資目的から逆算する
自分の投資目的から逆算して売却時期を決めることで、より計画的な運用ができます。具体的には、以下の3つを明確にしましょう。
- 何のために:老後資金、教育資金、住宅購入など
- いつまでに:10年後、20年後、子どもの大学進学時など
- いくら必要か:100万円、500万円、2,000万円など
たとえば「15年後に子どもの大学資金で500万円が必要」なら、毎月の積立額と想定利回りから到達時期の逆算が可能です。
定期的に金融庁のシミュレーターで進捗を確認しながら運用することで、目標達成が難しい場合は早めに軌道を修正でき、計画通り進んでいれば安心して運用を継続できます。
リスク許容度を把握する
投資信託の売り時を決めるために、自身のリスク許容度を把握しておきましょう。リスク許容度とは、どの程度の損失までなら精神的に耐えられるかの基準です。
「10%下落したら不安で眠れない」や「30%下落しても冷静でいられる」といった自分の感情的な限界を知ることは、長期運用で利益を狙ううえで欠かせません。
自分が無理なく運用を続けられる範囲を把握し、それを超えそうな場合は売却を検討してみてください。
類似ファンドと比較する
保有するファンドと似た指数に連動する他ファンドとの比較は、売却や乗り換えの判断材料になります。
値動きが似ていても、手数料や運用方針の違いで長期リターンに大きな差が生まれるからです。
| 比較項目 | 内容例 | 運用成績への影響 |
| 手数料(信託報酬) | 年0.1%〜1%以上と幅がある | 低いほど利益が残る |
| 運用方法 | アクティブ型 or インデックス型 | インデックス型の方が安定しやすい |
| 投資対象 | 全世界 or 先進国 or 新興国 | 分散範囲が広いほどリスクが低い |
手数料は長期運用で大きな差を生む要素です。たとえば、年0.1%と0.5%の差でも、20年運用すれば数十万円の差になります。
もし銀行で高コストファンドを保有しているなら、手数料の低いネット証券での運用に変えるだけでも見込める利益は大きくなるでしょう。
市場環境を確認する|PBR・PER
感情に左右されない投資判断をするため、市場全体の割高・割安を示す指標をチェックしながら売り時を見極めましょう。
市場の過熱度を測る代表的な指標として、PBR(株価純資産倍率)とPER(株価収益率)があります。
| 指標 | 意味 | 判断の目安 |
| PBR | 株価が企業の資産価値の何倍か | 1倍以下は割安、2倍以上は割高傾向 |
| PER | 株価が利益の何倍か | 15倍以下は割安、25倍以上は割高傾向 |
たとえば、保有する投資信託が投資している市場のPERが過去平均より大幅に高い場合、市場が過熱している可能性があります。
上記のタイミングで一部を売却し、割安な市場に投資するファンドに乗り換えるのもひとつの戦略です。
ただし、これらの指標は絶対的な売り時を示すものではないため、参考にしながら少額ずつ売却して経験を積んでいきましょう。
関連記事
買うべき株を見極める!PBRを使った5つの手法とは?
投資している分野の業績やトレンドを把握する
投資信託の売り時を判断するためには、投資先の業績や分野のトレンドをチェックしましょう。
業績や世間からの注目は、株価に影響しやすいからです。業績やトレンドは、以下の情報源で確認できます。
- 企業情報:決算短信、有価証券報告書
- メディア:日本経済新聞、ロイターなど
- 投資情報サイト:みんかぶ、株探、モーニングスターなど
- 公的データ:経済産業省の業界動向レポート、業界団体の統計資料
成長が続く分野に投資するファンドなら保有し続ける、衰退が見込まれる分野なら売却や他ファンドへの乗り換えを検討する。
このように業績とトレンドを把握することで、下落前に利益を確定でき、より成長が期待できる分野へ資金をシフトできます。
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株初心者向け、ファンダメンタルズ分析とは?どうやって株価の予測に役立てるのかをわかりやすく解説
投資信託を売却する際の3つの注意点

投資信託を売却するときの注意点として、以下の3つが挙げられます。
上記を理解することで、想定外の損失を防いで計画的に利益を確保できます。
税金と手数料を考慮して売却する
投資信託を売却して得られる現金は、税金や手数料で目減りすることを理解しましょう。以下の表では、投資信託を売却する際に差し引かれるお金をまとめました。
| 項目 | 差し引かれる金額 |
| 税金 | 利益の20.315%(NISA口座は非課税) |
| 売却手数料 | 証券会社が設定(多くのネット証券は無料) |
| 信託財産留保額 | 売却金額の0.1〜0.3%程度(無料の銘柄も多い) |
たとえば、100万円の利益が出た場合、NISA口座以外では約20万円が税金として差し引かれ、最終的な手取りは約80万円です。
必要な現金を確保するには、これらの差し引き分を計算して売却金額を決めましょう。
手数料については商品の「目論見書」で確認できるので、事前に有無を確認するのがおすすめです。
クローズド期間中は売却できない
クローズド期間とは、証券口座で投資信託を売却できない期間のことです。
なかには数ヶ月〜1年程度のクローズド期間が定められている投資信託もあり、期間中は投資家本人の死亡や災害による被害などの限られたケース以外は解約できません。
理想のタイミングで売却できるよう、事前に目論見書でクローズド期間が定められているかどうかを確認しておきましょう。
一気に売却せず段階的に利益を確定させる
投資信託を売却するときは一度に全額を売却せず、段階的に利益を確定しましょう。
必要な金額だけ売却し、残りは運用を継続することで、その後も値上がり益を狙えます。
たとえば、500万円の資産のうち300万円が必要なら、残り200万円は運用し続けることで、さらに数十万円の利益を狙える可能性があります。
必要資金の取り崩し方については、こちらの「新NISAで活用できる5つの出口戦略!取り崩し金額のシミュレーションを紹介」記事を参考にしてみてください。
投資信託の売り時に関するよくある質問

投資信託の売り時に関するよくある質問に回答します。
それぞれ見ていきましょう。
投資信託はこまめに売買しても良い?
投資信託のこまめな売買はおすすめしません。頻繁に売買すると複利効果が弱まるうえに、手数料や税金で利益が削られてしまうからです。
投資信託は長期運用で資産を増やす金融商品であり、金融庁も長期保有を推奨しています。
短期的な売買で利益を狙いたい場合は、個別株の方が適しているでしょう。
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投資信託を利確して買い直すメリットは?
結論として、投資信託を利確して買い直すメリットはほとんどありません。
売却時に約20%の税金(NISA以外)がかかるうえに、買い直すタイミングで価格が上昇していれば損をする可能性が高いためです。
一方で、利確して現金化すること自体には、以下のようなメリットがあります。
- 利益を確定でき、将来の下落リスクを回避できる
- ライフイベントや急な出費に対応できる
- 株式以外の資産(債券、不動産など)に分散投資できる
利益を確定したいならわざわざ買い直さず、現金として確保するか、ほかの有望な銘柄に挑戦する方が合理的だと言えます。
投資信託を利益分だけ解約して売ることは可能?
投資信託の利益分だけ売却することは可能です。ただし、売却には以下のデメリットがあります。
- 売却益に約20%の税金がかかる(NISA以外)
- 複利効果が弱まり、資産の増加ペースが鈍る可能性がある
- ファンドによっては「信託財産留保額」などの手数料がかかる
投資信託は長期運用で利益を最大化する商品であるため、すぐに現金が必要な場合を除き、売却せず運用し続けるのがおすすめです。
まとめ

基本的に、投資信託は長期運用で利益を狙うための金融商品です。
短期的な値動きで判断するのではなく、ライフイベントや目標達成など必要なタイミングで売却して現金を確保することで、計画的に資産を活用できます。
それでも売却タイミングに迷ったときは、以下の基準を参考にしながら売り時を決めると良いでしょう。
- 投資目的から逆算する
- リスク許容度を把握する
- 類似ファンドと比較する
- 市場環境を確認する
- 投資している分野の業績やトレンドを把握する
自分にとって最適な売り時を把握したうえで投資信託を運用すれば、感情的な判断を避け、着実に資産を増やせるはずです。


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