投資信託で損ばかりしている理由は?対処法や予防法、銘柄選びのポイントを解説

投資信託のイメージ

投資信託を買ったのになかなか利益が出ず、損失が続いていると不安に感じやすいです。

「なぜ損ばかりしているのか分からない」や「どうすれば状況を改善できるのか」といった疑問を抱えている投資家もいるでしょう。

しかし、投資信託で「損をしている」と感じる原因は、一時的な値動きに感情的になっているだけかもしれません。

本記事では、投資信託で損ばかりしてしまう理由を解説し、適切な対処法や予防策を紹介します。

長期投資で安定した資産形成を目指したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

投資信託で損ばかりの状況が続く4つの理由

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投資信託で損失が続いてしまうおもな理由は、以下の4つです。

それぞれ詳しく解説します。

短期間で売買を繰り返している

 

投資信託を短期間で売買していると、損する可能性が高いです。一時的な値下がりに焦って売却すると、損失を確定させてしまうからです。

そもそも投資信託の基準価額は株式市場に連動して日々変動するため、短期的な値下がりは避けられません。

たとえば「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」のような人気商品でも、一時的に大きく下落することもあります。

購入時より値下がりしたタイミングで売ってしまうと、その後の回復による利益を逃してしまいます。

投資信託を売買するタイミングについては、こちらの「投資信託はこまめに売買すべきではない?売却タイミングや運用方法を解説」記事で解説しているので、参考にしてみてください。

手数料が高い投資信託を運用している

手数料の高い投資信託を選んでいることも、損失が続く原因のひとつです。投資信託の運用にかかるおもな手数料を、以下に列挙しました。

  • 購入時手数料:購入時にかかる費用(0〜3%程度)
  • 信託財産留保額:売却時にかかる費用(0〜0.5%程度)
  • 信託報酬:投資信託の運用を任せるための費用(年0.1〜2%程度)

売買時に手数料がかからない商品は多いですが、信託報酬は投資信託を保有している期間中ずっと発生し続けます。

なかなか利益が出ないときは、信託報酬が適正水準かどうか確認してみましょう。

ハイリスクな投資信託を運用している

 

値動きの激しい投資信託は、短期間で大きな損失を抱えるリスクが高いです。とくに、以下のような商品はハイリスクな投資信託だと言えます。

投資信託の種類概要リスク
アクティブファンド特定の指数を上回る成績を目指す運用コストが高いうえに、期待通りの成果が出にくい
テーマ型ファンド>特定の業界やテーマに集中投資するブームが終了すると、大幅に下落する可能性が高い
為替ヘッジなしファンド外国資産の為替変動をそのまま受ける円高のときに損失が大きくなりやすい
新興国株式ファンド成長性の高い新興国(中国、インドなど)の株式に投資する政治や経済などの情勢によって値動きが激しい

短期的な利益を狙う商品には、損失リスクがつきものであることを理解しましょう。

分配金を再投資せずに受け取っている

分配金を再投資しないと「複利の効果」が得られず、なかなか利益を狙えません。また、分配金には運用利益だけでなく、元本の払い戻し部分(特別分配金)が含まれている可能性があります。

分配金として払い戻されると投資信託の基準価額も下がるため、元本が目減りしやすいです。

「なかなか利益が出ない…」と感じているときは、分配金の再投資を検討してみてください。

投資信託における利益の再投資については、こちらの「新NISAの再投資型とは?受取型とどっちを選ぶべきかを解説」記事でも解説しています。

投資信託で損ばかりしているときの5つの対処法

投資信託で損ばかりしているときの5つの対処法

投資信託で損失が続いているときには、以下の5つの対処法があります。

状況によって適切な対処法が異なるので、投資信託で損をしないための参考にしてみてください。

放置する【おすすめ】

 

たとえ含み損が出ていても、基本的には放置しましょう。投資信託はあくまで長期目線で利益を狙うものだからです。

実際に、国内外の株式や債券に20年間積立投資を続けると、元本割れしにくい※というデータも出ています。

老後やライフイベントに向けて長期的に運用するなら、一時的な損失に惑わされずに保有し続けるのがおすすめです。

投資信託を放置する戦略は、こちらの「投資信託がマイナスのときは放置すべき?持ち続けるコツや放置リスク、売却パターンを解説」記事で詳しく解説しています。

損切りする

自分の許容範囲を超えた含み損が生じているときは、早めの損切りを検討しましょう。損失額を最小限に抑えられるからです。損切りのパターンとして、以下のようなケースが挙げられます。

  • 投資元本の30%(10万円投資なら3万円)を超えた含み損が発生したとき
  • 購入から1年以上が経過しても回復する見込みがないとき
  • 投資信託の運用方針や投資先に問題が生じたとき

なかなか決断しにくいですが、損失を確定させるともっと期待値の高い投資先に挑戦できるようになり、長期で資産を増やせる可能性があります。

損切りについては、こちらの「【塩漬け株に悩む方】株の損切りができない本当の理由と損切りラインの見極めポイントを実例をまじえて解説」記事を参考にしてみてください。

買い増しする

 

価格が低いタイミングで買い増しすると、値上がり時に多くの利益が見込めます。そのため、基準価額が下がっているときに追加購入するのも戦略のひとつです。ただし、買い増しを検討する際は、以下の点を必ず確認してください。

  • 投資先が将来性のある分野であること
  • 家計に影響しない余剰資金で投資していること
  • 一つの投資信託に資金を集中させすぎないこと

買い増しは「安く買う」チャンスですが、資金に余裕がない状態での追加投資は、かえって損失を拡大させるリスクがあります。

少額投資に切り替える

投資信託で損ばかりの状態が続いているときは、少額投資に切り替えるのも有効です。

「長期運用なら利益が出やすい」といったデータはあるものの、必ずしも利益が出るとは限りません。

含み損を抱えたまま投資を続けていると、精神的なストレスも大きくなりやすいです。

結果、冷静な判断ができなくなり、損失が拡大する可能性があります。

楽天証券やSBI証券などのネット証券では100円から投資信託を購入できるので、損が続いているときは投資額を減らし、気持ちに余裕を持てるようにしましょう。

ポートフォリオを見直す

 

保有している投資信託のバランスを見直すことで、損失を軽減できる可能性があります。

特定の商品や地域に偏って投資していると、市場の値動きに影響されやすいです。

そのため、以下のようなポイントをチェックしながらポートフォリオを見直しましょう。

  • 保有商品の重複:同じような投資先の商品を複数保有していないか
  • 資産配分の調整:投資先の分野や地域などが偏りすぎていないか
  • 運用コスト:信託報酬が高すぎる商品がないか

損失の有無に関わらず、年に1回程度はポートフォリオを見直すことで、長期的に資産を増やせるようになるでしょう。

投資信託で損しないための対策

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投資信託で損しないためのおもな対策として、以下が挙げられます。

  • 自分のリスク許容度を理解する
  • 余剰資金内で少額ずつ運用する
  • 長期目線で運用する(10年以上)
  • 定期的にリバランスする(年1回程度)
  • 投資に関する勉強を続けながら実践する

とくに重要なのは、自分がリスク許容度を超えた投資をしないことです。生活に影響しない範囲での投資に留めることで、ストレスなく長期運用を続けられます。

投資で失敗しないために、正しい知識を身につけながら実践を続けていきましょう。

投資信託を選ぶときに見るべき3つのポイント

投資信託を選ぶときに見るべき3つのポイントのイメージ

損ばかりの状況が続かないよう、投資信託選びでは以下の3つを意識しましょう。

それぞれ詳しく解説します。

運用コストが低いか

運用コストの低い投資信託を保有すれば、最終的なリターンを最大化できます。投資信託で発生するおもな手数料と目安となる水準を、以下の表にまとめました。

手数料発生タイミングおすすめ目安
購入時手数料購入時0%(ノーロード)を選ぶ
信託報酬保有期間中インデックスファンド:0.1%以下
アクティブファンド:2.5%以下
信託財産留保額売却時0%(多くの優良ファンド)

とくに、信託報酬は保有期間中に発生し続ける費用なので、できる限り低いものを選びましょう。

運用実績は長いか|3〜5年以上

投資信託を選ぶときは、3〜5年以上の運用実績がある商品を選びましょう。

たとえば、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は2018年から運用が始まっており、価格が右肩上がりに成長しています。

運用実績の浅い商品と比べ、長期間で安定した運用を続けている投資信託なら将来的な値上がりに期待しやすいです。

複数の地域やセクターに分散投資しているか

複数の地域やセクターに分散投資している投資信託を選べば、損失リスクを最小限に抑えられます。

投資先が偏っていると、市場の暴落時に大きな損失を受けやすいからです。

分散投資のおもな種類を、いくつか列挙しました。

  • 地域分散:日本やアメリカ、ヨーロッパなどの複数地域への投資
  • 資産クラス分散:株式や債券、REIT(不動産投資信託)などへの投資
  • セクター分散:テクノロジーやヘルスケア、金融などの複数業種への投資

全世界株式ファンドやバランスファンドなど、すでに分散投資されている商品を選ぶと管理しやすいでしょう。

投資信託の損失に関するよくある質問

株式投資と投資信託それぞれに向いている人のイメージ

投資信託の損失に関するよくある質問に回答します。

それぞれ見ていきましょう。

損しにくいおすすめの投資信託は?

損失リスクを抑えたい方は「長期・積立・分散投資」に適した以下のような商品を運用するのがおすすめです。

商品名特徴おすすめポイント
eMAXIS Slim 全世界株式世界約50か国に分散投資1本で世界中の株式に投資できる
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)米国の主要500社に投資長期的な成長が期待できる
eMAXIS Slim 先進国債券世界各国の公社債に投資株式より値動きが安定している

これらの商品は新NISAの対象商品であり、初心者でも安心して長期投資を始められます。ただし、上記の商品でも元本割れリスクはつきものなので、必ず余剰資金で購入しましょう。

関連記事
月1万円でつみたてNISAを始めるなら?オールカントリ― vs S&P500どっち?

投資信託の元本割れで損する確率は?

 

投資信託の元本割れに関する具体的なデータはありません。ただし、国内外の株式・債券への分散投資に関するデータを参考にできます。

金融庁の資料によると、過去の実績に基づいた元本割れの確率は以下のとおりです。

  • 5年間の積立運用:10〜15%程度
  • 20年間の積立運用:0%(過去に一度もなし)

※参照元:金融庁|教えて虫とり先生(第3回)

ただし、これらはあくまで過去の実績であり、将来の運用成果を保証するものではありません。それでも長期・積立・分散投資を継続することで、元本割れのリスクを大幅に減らせます。

投資信託で生じた損失は損益通算できる?

投資信託で生じた損失は、特定口座や一般口座内でほかの金融商品と損益通算できます。

また、その年で相殺しきれない損失は、翌年以降3年間にわたって繰り越し(繰越控除)が可能です。

ただし、NISA口座ではそもそも税金が発生しないため、損失が生じても損益通算の対象外となります。

損益通算や繰越控除は、こちらの「NISAでは損益通算や繰越控除ができない!損失が出た時の対処法を解説」記事を参考にしてみてください。

まとめ

投資信託で損ばかりしている理由のまとめ

投資信託で損ばかりの状況が続く理由として、短期間での売買や手数料の高い商品の運用、ハイリスク銘柄への投資などが挙げられます。

しかし、正しい運用方法を知っておけば、投資信託は長期で利益を狙うための有効な投資先です。

とくに以下のポイントを意識することで、損失リスクを大幅に軽減できるでしょう。

  • 自分のリスク許容度を理解する
  • 余剰資金内で少額ずつ運用する
  • 長期目線で運用する(10年以上)
  • 定期的にリバランスする(年1回程度)
  • 投資に関する勉強を続けながら実践する

投資信託で損しないためにも、投資に関する勉強を続けながら、少額での運用に挑戦してみてください。

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