
本記事では、ピジョン株式会社(東証プライム:7956)の配当金額や配当時期、配当性向、配当利回りについて解説します。
ピジョンは、子育てや介護に関する商品の販売・支援サービスを提供している企業です。
1年ごとの業績に波はあるものの、直近5年間の純利益はおおむね横ばいで推移しています。
2025年12月期(2025年1月1日〜2025年12月31日)の配当金は1株あたり年間76円が予定されており、4年連続で同じ金額が維持される見込みです。
ピジョンの株はNISAの成長投資枠でも購入できるので、非課税での運用も可能です。
目次
ピジョンの配当金はいくら|4年連続で年間76円を維持する見込み
2025年12月期の予想において、ピジョンの配当金は1株あたり年間76円です。単元株の100株を保有していれば、年間7,600円がもらえます。
事業年度 | 中間配当 | 期末配当 | 年間合計額 |
2025年12月期(予想) | 38円 | 38円 | 76円 |
2024年12月期 | 38円 | 38円 | 76円 |
2023年12月期 | 38円 | 38円 | 76円 |
2022年12月期 | 38円 | 38円 | 76円 |
2021年12月期 | 37円 | 37円 | 74円 |
参照元:ピジョン|決算短信
100株分の配当金を受け取るためには、185,200円※の投資額が必要です。※2025年8月22日の終値(1株=1,852円)で計算
配当金には20.315%の税金が発生するので、100株を持っている株主が実際に受け取れる金額は6,056円です。
【税引後に受け取れる配当金】(76円×100株)×(1−20.315%)=6,056.06円
配当金の税金や節税方法については、こちらの「配当金に税金はかからない?節税のコツや新NISAで非課税で受け取る方法を解説」の記事を参考にしてみてください。
ピジョンの配当金はいつもらえる|9月頃と翌年3月頃
ピジョンの配当金は、中間と期末の合計2回にわけて支払われます。ピジョンの配当金が支払われる時期と株主確定日を、以下の表にまとめました。
中間配当 | 期末配当 | |
権利付最終日 | 2025年6月26日 | 2025年12月日 |
権利確定日 | 2025年6月30日 | 2025年12月30日 |
支払開始予定日 | 2025年9月8日 | 2026年3月 |
ピジョンの配当金を受け取るには、株主名簿への登録が必要です。反映に時間がかかるので、次の配当金を受け取りたいときは必ず基準日の2営業日前までに株を買いましょう。
ただし、証券会社によって買付日が異なるケースがあるため、できるだけ早めに注文を完了させてください。
ピジョンの配当利回りと配当性向
2025年12月期の予想において、ピジョンの配当利回りは4.21%、配当性向は108.4%です。
直近5年分の推移については、以下の表をご覧ください。
事業年度 | 配当利回り | 配当性向 |
2025年12月期(予想) | 4.21% | 108.4% |
2024年12月期 | 4.97% | 108.7% |
2023年12月期 | 4.01% | 122.6% |
2022年12月期 | 3.67% | 106.1% |
2021年12月期 | 2.21% | 100.9% |
参照元:みんかぶ|ピジョン (7956)、ピジョン株式会社|配当について
直近5年間の推移を見ると、ピジョンの配当利回りは4%を超えており、高配当株に分類される水準です。
ただし、配当性向は100%を超え続けています。
配当性向の目安は20~50%と言われているため、ピジョンの配当性向は高すぎるとも考えられるでしょう。
純利益を超えて配当金を出し続けていると、将来的に減配される可能性があります。
配当性向が高すぎる理由|純利益が減ったタイミングでの増配
ピジョンの配当性向が高すぎる理由は、当期純利益が減少したタイミングで配当金を引き上げたからです。
2021年12月期、純利益が前年(2020年12月期)から約2億円も減少したものの、1株あたりの配当金額を年間2円も増やしました。詳細は以下の表をご覧ください。
事業年度 | 当期純利益 (百万円) | 配当金 (通期) | 配当性向 |
2025年12月期(予想) | 8,400 | 76円 | 108.4% |
2024年12月期 | 8,371 | 76円 | 108.57% |
2023年12月期 | 7,423 | 76円 | 122.6% |
2022年12月期 | 8,581 | 76円 | 100.6% |
2021年12月期 | 8,785 | 74円 | 100.9% |
2020年12月期 | 10,643 | 72円 | 81.0% |
参照元:みんかぶ|ピジョン (7956)
2025年12月期は、ピジョンが掲げる第8次中期経営計画(2023年12月期〜2025年12月期)の最終年です。
次期の経営計画で株主への還元方針が見直されれば、配当金額が変更される可能性があります。
ピジョンに投資するときは過去の配当利回りだけでなく、業績や財務状況、今後の経営計画を見ながら将来性を判断しましょう。
競合他社との比較
2024年12月期において、ピジョンの配当利回りと配当性向を競合他社と比較してみましょう。
(2024年12月期)
会社名 | 配当利回り | 配当性向 |
ピジョン(7956) | 4.97% | 108.57% |
ライオン(4912) | 1.86% | 35.28% |
ユニ・チャーム(8113) | 0.9% | 31.58% |
花王(4452) | 2.36% | 65.53% |
参照元:みんかぶ
ピジョンの配当利回りは競合より高いですが、配当性向も極端に高いです。
現状、利益をすべて配当に回している状態なので、将来的に業績が悪化すれば経営方針を急に変更する可能性があります。
配当性向と配当利回りは、企業を評価するときに使う指標です。
配当利回りは、購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けられるかを示す指標です。計算式は次のようになります。
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100
配当性向は、税金を差し引いた企業の純粋な利益である当期純利益のうち、配当に回される額を表した割合です。計算式は次のようになります。
配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100
目安となる数値や詳しい計算方法については、こちらの「配当利回りと配当性向とは?違いや計算式、目安となる数値を解説」記事で解説しています。
ピジョンの株主優待|なし
ピジョンは株主優待を実施していません。
その分、純利益が減った時期でも配当金の維持・引き上げを継続しており、1株あたり年間70円以上の配当金を出しています。
今後も配当金での株主還元を実施する可能性が高いです。
株主優待を優先したいときは、こちらの「【お得な株主優待】初心者でも購入しやすい人気銘柄5選」記事を参考にしてみてください。
ピジョンの業績
2025年12月期(予想)を含む、直近5年間の業績を下表にまとめました。
(単位:百万円)
決算情報 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
2025年12月期 (予想) | 109,700 | 12,900 | 12,900 | 8,400 |
2024年12月期 | 104,171 | 12,139 | 13,282 | 8,371 |
2023年12月期 | 94,461 | 10,726 | 11,522 | 7,423 |
2022年12月期 | 94,921 | 12,195 | 13,465 | 8,581 |
2021年12月期 | 93,080 | 13,336 | 14,648 | 8,785 |
参照元:ピジョン|決算短信
2021年12月期以降、新型コロナウイルス関連の行動制限が緩和されたことで、外国人観光客の増加。結果、ピジョンの売上高は増加傾向となりました。
純利益について、年度ごとの増減はあるものの、直近5年間で見るとおおむね横ばいです。
しかし、2023年12月期は中国とシンガポール事業の不振に加え、販売促進費(宣伝広告費)を積極的に使用したことで大幅な減益を記録しています。
それでも、2024年12月期は円安の追い風を受けて海外事業が好転し、前年同期比で10%超の増益を達成しました。
2025年12月期も中間期決算の時点で約50%を達成しているため、今期の業績は安定していると考えられます。
ピジョンの事業内容
ピジョンは以下の4分野で事業を展開しています。
それぞれ紹介します。
日本事業
ピジョンは国内でのサービス提供をメイン事業としています。育児用品の製造・販売に力を入れており、哺乳瓶や離乳食などは国内でもシェア率が高いです。
そのため、ピジョンは「育児用品」のイメージが強いですが、介護やヘルスケアに関わる製品・サービスも提供しています。
中国事業
2002年、ピジョンは中国へ本格的に進出しました。価格より安全性を重視する「新富裕層」をターゲットに、以下のような製品の製造・販売をしています。
- 哺乳器・乳首
- トイレタリー
- 高級スキンケア商品など
近年はファミリー層の変化に対応すべく、ネット販売にも注力しています。
シンガポール事業
シンガポール事業では、インドやインドネシアといった出生者数が多い地域をおもな販売対象としています。
インドでは2015年から現地工場で哺乳器・乳首用品の生産を開始しており、生産された製品を日本が輸入するケースもあります。
ランシノ事業
2004年、ピジョンは「ランシノーラボラトリー」をグループに加えました。
ランシノは、乳首ケアクリームや母乳パッド、さく乳器などの「母乳関連商品」を製造・販売しているブランドです。
2016年にランシノ上海が設立されて以降、北米や欧州、中国市場にも事業規模が拡大しています。
Amazonや楽天市場などのECサイトを介せば、日本でも高品質のランシノ商品を購入できます。
ピジョンと競合他社の業績比較
ピジョンと競合メーカー3社の2024年12月期の業績を、以下の表にまとめました。
会社名 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
ピジョン (7956) | 104,171 (+10.3%) | 12,139 (+13.2%) | 13,282 (+15.3%) | 8,371 (+12.8%) |
ライオン (4912) | 412,943 (+2.5%) | 28,387 (+38.4%) | 32,249 (+44.1%) | 21,197 (+44.9%) |
ユニ・チャーム(8113) | 988,981 (+5.0%) | 138,463 (+8.2%) | 134,537 (+1.7%) | 81,842 (-4.9%) |
花王 (4452) | 1,628,448 (+6.3%) | 146,644 (+144.3%) | 151,024 (+136.6%) | 107,767 (+145.7%) |
(※カッコ内の数字は前年同時期の業績と比べた際の増減を%表示したもの)
参照元:みんかぶ
2024年12月期において、ピジョンの売上高は伸び率10.3%と4社のなかで最も成長しています。
営業利益率も11.7%と高水準を維持し、効率的な経営ができていると言えるでしょう。
しかし、ピジョンの売上高はほかの3社より低く、花王の約16分の1、ユニ・チャームの約10分の1と、事業規模は競合他社より小さいです。
今後、海外事業の展開が進んでいけば、事業規模が広がって売上高が増加する可能性があります。
ピジョンの株価
ピジョンの株価は、1,852円(2025年8月22日終値)です。以下のチャートでは、直近10年間の株価の推移を示しています。
2015年頃、3,000円程度で取引されていたピジョンの株は、2018年に5,000円前後まで高騰。
しかし、日本や中国で子どもの数が減っていることや、中国の大きな不動産会社が借金で困って中国の景気が悪くなったことで、2023年5月には株価が2,000円を下回りました。
その後も育児関連用品の需要は回復せず、2025年8月時点の株価は1,000円台で推移しています。

高減配リスクと株価の過剰評価に注意が必要です。直近の業績悪化により、配当性向(利益に対する配当の割合)が163%と過剰な水準です。これは利益減少の中で無理な配当支払いを意味しており、将来の減配(配当削減)リスクが高いと考えられます。2026年は緩やかな成長が見込まれますが、事業環境の不確実性を踏まえ、リスク管理を徹底しましょう。
また、ピジョンと競合他社の株の値動きについては、以下の表を参考にしてみてください。
会社名 | 現在の価格 | 年初来高値 | 年初来安値 |
ピジョン (7956) | 1,852円 (2025/8/22終値) | 1,909円 (2025/3/18) | 1,385円 (2025/1/17) |
ライオン (4912) | 1,675円 (2025/8/22終値) | 1,896円 (2025/2/18) | 1,438円 (2025/7/23) |
ユニ・チャーム(8113) | 1,014.5円 (2025/8/22終値) | 1,364円 (2025/4/23) | 956円 (2025/8/6) |
花王(4452) | 6,756円 (2025/8/22終値) | 6,974円 (2025/8/8) | 5,760円 (2025/4/11) |
参照元:Yahoo!ファイナンス|日本株(2025年8月25日時点の情報)
ピジョンの自己株式取得|2005年以降は実施なし
2025年12月期において、ピジョンは自己株式取得を実施していません。
過去(2005年3月)には実施していましたが、最後に実施されてからすでに約20年が経過しています。
<自己株式取得について>
自己株式取得とは、会社が自分の株式を買い戻すことです。自己株式を取得することで市場に出回る株式数が減り、1株あたりの利益が増加します。
株価の上昇が期待されるので、株主への利益還元策として実施する企業もあります。
まとめ
本記事では、ピジョンの配当金について解説しました。
ピジョンの2025年12月期の配当金は、1株あたり年間76円と予想されています。
100株あたり年間7,600円が支払われますが、実際に振り込まれる金額は税引後の6,056円です。
配当金額は前期と同じですが、配当利回りは3年連続での4%超えが予想されており、高配当株としても注目されています。
ただ、配当性向100%超えが続いているため、長期的に高配当が続くかどうかはわかりません。
また、2025年は「第8次中期経営計画」の最終年であり、今期が終わるタイミングで今後の配当方針が見直される可能性があります。
ピジョン株に投資するときは、四半期ごとの決算情報をこまめに確認し、自分のリスク許容度にあった投資先であるかを総合的に判断しましょう。
銘柄選びの参考になれば幸いです。
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