
個別株と比較して、ETF(Exchange Traded Fund:上場投資信託)は低コストかつリスク分散に優れた投資商品とも言われています。
しかし、インターネットで「手数料負け」という言葉を知り、ETF投資でなかなか資産が増えない現状に不安を感じる方もいるのではないでしょうか。実際にETFでも、売買の回数や投資額、取引方法などによっては手数料の影響を強く受けるケースもあります。
本記事では、ETF取引で発生する手数料の仕組みを整理し、手数料負けしやすい運用パターンを紹介します。もちろん、手数料負けしないためのコツも解説しているので、最小限の運用コストで資産形成を進めるための参考にしてみてください。
目次
ETF取引の手数料負けとは|コストが利益を上回った状態

手数料負けとは、投資で発生した利益よりも「運用手数料」が上回っている状態です。
たとえ株価上昇で利益が出ていても、支払う手数料が多いとなかなか運用成績が伸びません。
短期間で何度も売買したり、信託報酬が高いETFを保有したりすると、余計な運用コストがたびたび発生します。経験上、個人投資家の方には頻繁に売買をする方が多い印象です。
近年は米国ETFを中心に手数料の引き下げが進んでいますが、運用コストをまったく気にせずETFを運用し続けると、手数料負けで利益を減らすことになるでしょう。
ETF取引で発生する3つの手数料

ETF取引で発生するおもな手数料は、以下の3つです。
| 手数料の種類 | 内容 | 金額の目安 |
| 売買手数料 | ETFの購入・売却時にかかる | 無料~数百円程度(ネット証券で約定代金が10万以下の場合) |
| 信託報酬 | ETFを保有している間、毎日かかる | 年0.1〜2%程度 |
| 為替手数料 | ETFなどを買う際の円↔︎ドル交換 | 1ドルあたり0〜25銭程度 |
発生するタイミングや運用への影響が異なるため、それぞれ詳しく解説します。
売買手数料|購入・売却時にかかる
売買手数料とは、株式やETFを購入・売却するときに発生する手数料です。
購入額に対する割合(%)で手数料が決まる証券会社が多いですが、なかには最低手数料(固定)が設定されているケースもあります。
売買ごとに発生するため、何度も取引を繰り返すと手数料による負担が大きいです。ただ、近年はネット証券を中心に手数料の引き下げが進み、無料で売買できる商品も増えています。
信託報酬|保有中に毎日かかる
信託報酬とは、投資信託の運用・管理を証券会社に任せるための手数料です。
ETFの運用中は毎日自動で差し引かれており、その差額が基準価額に反映されます。信託報酬の目安としては、年0.1〜2%程度が一般的です。
保有している限りいつまでも発生し続けるため、信託報酬の高い商品を運用していると、手数料負けを引き起こす可能性があります。
為替手数料|海外ETFの売買でかかる
為替手数料は、円と外貨を交換するときに発生する手数料です。円からドルへの交換、ドルから円への交換の両方で発生します。
証券会社や交換先の通貨によって金額は異なりますが、1ドルあたり「0.25〜0.5円程度」が一般的です。
とくに、最近人気の海外ETFの売買では為替手数料が発生するため、なにも考えずに取引を繰り返すと手数料が膨らむ可能性があります。
ETF取引で手数料負けしやすい4つのパターン

ETF取引で手数料負けを引き起こすケースとして、以下の4パターンが挙げられます。
自分の運用スタイルが上記に当てはまっていないか見直してみてください。
少額での売買を繰り返している
証券会社によっては、売買手数料に「最低手数料(固定)」を定めている場合があります。
取引ごとに一律の手数料が発生するため、少額でのETF売買を繰り返していると手数料が膨らみやすいです。
たとえば、中銀証券の手数料は「約定代金の1.2650%」ですが、少額取引で手数料が2,750円に満たなければ「一律2,750円」となります。
参照元:中銀証券|手数料について
このように最低手数料が設定されている証券会社では、ETFの短期トレードで少額取引を繰り返すとかえって利益を減らすことになるかもしれません。
手数料が高い証券会社を使っている
証券会社の手数料が高いことも、手数料負けを起こす原因のひとつです。
事実として、ネット証券と比べて、銀行や対面型の証券会社は手数料が高い傾向にあります。
たとえば、SBI証券では「売買手数料なし」といったETFを扱っていますが、銀行や対面型証券では売買時に数百円〜数千円の手数料が発生するケースがほとんどです。
手数料が高めに設定されている証券会社を使い続けると、ETFの運用コストで手数料負けしやすいでしょう。
信託報酬が高いETFを持ち続けている
信託報酬が高いETFを持ち続けていると、手数料負けを引き起こす可能性があります。毎日差し引かれる手数料のため、保有期間が長いほど多くのコストが発生するからです。
内容がほぼ同じでも、信託報酬が高いETFを選ぶと気づかないうちに利益が削られてしまいます。
海外ETF取引で何度も為替手数料を払っている
海外ETFを取引する場合、為替手数料で手数料負けを引き起こす可能性があります。円と外貨を交換するたびに手数料が発生するからです。
日本株ETFの取引と比較して、米国株などの取引では余計なコストが発生することを理解しておきましょう。
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ETF取引で手数料負けしないための5つのコツ

ETFで手数料負けしないためも、以下5つのポイントを理解したうえで取引しましょう。
- 売買手数料が無料の証券会社を選ぶ|ネット証券がおすすめ
- 長期保有を前提にETFを運用する|売買回数を減らす
- 信託報酬が低めなETFを選ぶ|0.5%以下が理想
- 米国株と日本株のETFをバランスよく運用する
- 少額積立なら投資信託を検討する
上記のコツを意識することで、ETF取引の手数料を最小限に抑えられます。
売買手数料が無料の証券会社を選ぶ|ネット証券がおすすめ
SBI証券や楽天証券といったネット証券では、売買手数料が無料のETFを取り扱っています。一方、銀行や対面型の証券会社では、取引時に手数料がかかるケースがほとんどです。
売買手数料が無料、もしくは低めに設定しているネット証券を選ぶことで手数料負けを防ぎやすくなります。
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長期保有を前提にETFを運用する|売買回数を減らす
ETF取引の売買手数料は、利益を削る要素のひとつです。
何度も売り買いを繰り返すのではなく、長期保有を前提にETFを積立運用した方が手数料を抑えられます。
たとえば、S&P500 などの指数に連動するETFは、長期運用で着実に利益を狙いやすい商品です。
NISA制度を活用して毎月決まった金額でETFを買い続けることで、手数料負担を抑えながら資産形成を進められるでしょう。
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信託報酬が低めなETFを選ぶ|0.5%以下が理想
ETFの運用中、信託報酬は毎日発生します。できるだけ信託報酬が低いETFを選んだ方が、運用コストを最小限に抑えられます。
一般的な目安として、信託報酬が年0.1〜2%程度であれば過度なコスト負担にはなりにくいです。
同じ指数に連動するETFなら、信託報酬が低いETFの方が長期的に狙える利益が大きくなるでしょう。
米国株と日本株のETFをバランスよく運用する
米国株ETFだけで運用すると取引のたびに為替手数料が発生し、手数料負けのリスクが高まります。
日本株ETFを併用すれば、為替手数料がかからない取引の割合を増やせます。
たとえば、米国株ETFと日本株ETFを50%ずつ保有すれば、為替手数料が発生する取引も半分です。
為替手数料が高いと感じるときは、米国株ETFと日本株ETFを併用することも手数料負けを防ぐ手段だと言えるでしょう。
少額積立なら投資信託を検討する
毎月の積立額が少ない場合、ETFよりも投資信託の運用を検討しましょう。
ETFは購入のたびに売買手数料が発生する商品が多いからです。
一方、投資信託は積立購入時の手数料が無料のものが充実しており、少額でも最小限のコストで資産形成を進められます。
まだ積立投資の経験が少ない方は、ETFにこだわらず投資信託を選んだ方が手数料負けを防ぎやすいです。
ETF取引の手数料負けに関するよくある質問

ETF取引の手数料負けに関するよくある質問に回答します。
- 楽天証券でのETF取引は手数料負けしやすい?
- SBI証券で米国株ETFを取引すると手数料負けしやすい?
- ETFで毎月どのくらいの利益が出ていないと手数料負けする?
それぞれ見ていきましょう。
楽天証券でのETF取引は手数料負けしやすい?
楽天証券を利用すれば、ETF取引で手数料負けする可能性は低いでしょう。
とくに、国内ETFの「ゼロコース」を利用すれば売買手数料がかかりません。
また、米国ETFの売買手数料は約定代金の0.495%(上限22米ドル)と低水準で、買付手数料ゼロのETFも取り扱っています。
SBI証券で米国株ETFを取引すると手数料負けしやすい?
楽天証券と同様に、SBI証券ならETF取引での手数料負けを防げるでしょう。
米国株ETFの売買手数料は約定代金の0.495%(上限22米ドル)で、買付手数料がかからないETFも複数あります。
また、一部の商品で為替手数料が無料になるものもあるので、SBI証券を利用すればほかの証券会社より多くの利益を狙えるかもしれません。
ETFで毎月どのくらいの利益が出ていないと手数料負けする?
「毎月どのくらいの利益が必要なのか」については、正確に回答できません。
ETFで手数料負けを引き起こす条件が、取引金額や回数、利用する証券会社によって異なるからです。
過去の米国株ETFは「売買手数料」が高めに設定されていたため、手数料負けを引き起こす事例が多くみられました。
現在は売買手数料が低めに改善されているので、こちらの「ETF取引で手数料負けしないための5つのコツ」を参考にしながらETFを運用すれば手数料負けの心配はないでしょう。
まとめ

ETF取引では「売買手数料」「信託報酬」「為替手数料」の3つの手数料が発生します。
高い手数料や繰り返しの売買などで手数料がかさむと、ETF取引でも手数料負けを起こす可能性があります。
ETF取引で手数料を最小限に抑えるためにも、以下のポイントを正しく理解すべきです。
- 売買手数料が無料の証券会社を選ぶ|ネット証券がおすすめ
- 長期保有を前提にETFを運用する|売買回数を減らす
- 信託報酬が低めなETFを選ぶ|0.5%以下が理想
- 米国株と日本株のETFをバランスよく運用する
- 少額積立なら投資信託を検討する
ETFに限らず、投資で利益を狙うときは少しずつ勉強を続け、自身の投資状況を確認しながら無理のない投資スタイルを確立していきましょう。


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