
長年、老後2000万円問題が取り沙汰されているところ、低賃金化が進んでいて将来への不安が募る一方です。女性にとっては以前は当たり前のようにできていた結婚や出産も経済的な面から諦めなければならない可能性も高くなってきました。結婚や出産を検討していない女性であっても、推し活などの趣味にお金がかかりますよね。
そのようななか、最近ではNISAを始める人が増えていて、株式投資へのハードルはこれまでよりも低くなっています。しかしながら依然として株式投資に対するネガティブなイメージは強い傾向にあります。正しい知識を持っていれば株式投資は怖いものではありません。今回は女性が株式投資を学ぶためのポイントを解説します。
きちんと勉強をしていれば株式投資は怖いものではない
結論から言いますと、正しい知識を身につけていれば基本的に株式投資は怖いものではありません。普段から経済ニュースをチェックしたり、お金の勉強をきちんとしていれば誤った選択はしないでしょう。
しかしながら、お金に関する知識がなく「これが儲かる!」といった広告やインフルエンサーの言葉に釣られてしまうと、憂き目を見てしまいます。株式投資の勉強をしていれば100%儲かる話はないことが分かるので騙されにくくなります。
なぜ「株式投資は怖いもの」と言われているのか?
いまだに「株式投資=怖いもの」と言われている理由としては、メディアの影響が大きいでしょう。メディアでは「暗号資産(ビットコイン)で大損をした」だとか「●●の株が急落した」などと視聴者や読者にコンテンツが届くよう誇張表現をしています。そのため、キャッチーでネガティブなニュースのほうが話題にのぼりやすく、株式投資の悪い側面がクローズアップしてしまうのです。
また、「株式投資=怖いもの」とされている背景のもうひとつの理由としては、日本では古くからお金が汚いものと考えられていて、いまだにそのような先入観を持つ人が多いことも挙げられます。そのために日本ではお金持ちに対して悪いイメージが抱かれがちなのです。苦労して稼ぐことが美徳である国民性ゆえ、株式投資も「楽して儲ける」イメージが付きまとってあまり良い印象ではないのでしょう。
しかし、その一方でアメリカは富裕層が寄付や慈善活動をするなど、お金持ちに対して嫌悪感を抱く国民が少ない土壌となっています。お金を得ることは悪いことではないといった風潮があるために、GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftといった巨大テック企業)のような世界規模の企業が多く生まれたほか、国民も株式投資に積極的です。
株を持っているだけでもお得
経済ニュースをチェックしていると、1日のうちでも大きな変化があります。それゆえ不安定で利益を得にくいと考えがちですが、長期的に見ると世界経済は成長していて、それに伴って株価も上昇しています。
その代表例としてアメリカの代表的な株価指数に連動した投資信託であるS&P500は、20世紀前半から導入されており、年々右肩上がりで成長しています。この例からもわかる通り、戦争、感染症拡大などの世界を揺るがすビッグサプライズがあると技術革新のきっかけになり、結果的に経済が成長するのです。
そのため、世界経済は年々成長しているので、基本的な法則としては株を持ち続けているだけでも利益を得られます。ただそこで大切なのは、1日や1ヶ月、1年単位のチャートに一喜一憂せず、長期的な視野で株式投資を考えることです。
株式投資はNISAで少額から始めよう
株式投資は正しい知識を持って行えば危ないものではなく、自身の資産形成の大きな味方となる存在です。そのなかでもおすすめしたいのがNISAです。NISAとは少額からの長期・積立・分散投資を支援する国の制度のことです。
NISA制度ではつみたてNISAと一般NISAを選ぶことができ、つみたてNISAでは年に40万円までの投資信託の購入が最長20年間非課税となります。また、一般NISAでは年に120万円までの投資信託や株式の購入が最長5年間非課税となります。通常の株式投資では利益や配当金(企業が株主に分配する利益)に対しておよそ20%の税金がかかりますが、NISA制度ではこれらが非課税です。また、NISA制度は2024年に制度改正されることになり、現行よりも多くの金額で株式を購入でき、なおかつ無期限にわたって非課税で保有できるようになりました。(非課税枠は1800万円を限度)
NISAは少額から始めることができます。まずは気になる株式や投資信託を少額で買ってみて様子を見て買い増ししながら運用することをおすすめします。
NISAについてもう少し深く知りたい方におすすめの記事 株式投資 NISA(ニーサ)を成功させるには?
女性に投資をおすすめする理由
体力や気力の面において女性よりも男性のほうが丈夫な分、女性には株式投資をおすすめします。というのも、現代女性のライフスタイルは昔に比べると多種多様ですが、どのような人生を歩むにせよお金が必要です。
女性にこそ投資をおすすめする理由としては、
1.ライフステージの変化に強い
2.積立投資を行うことで難しい知識がなくても資産形成できる
といった2点が挙げられます。
ライフステージの変化に強い
現代女性のライフスタイルは昔に比べると多種多様になりました。従来では結婚して専業主婦になることがオーソドックスでしたが、近年では生涯未婚率の上昇や出生数の低下のように必ずしも結婚や出産を選ぶわけではなくなっているのが現状です。結婚や出産をせずに生涯趣味や仕事に邁進する女性もこれから増えてくるでしょう。その一方で結婚や出産を経験している女性であっても、その多くは共働きです。女性が自身でお金を稼げるようになったために昔に比べて離婚が容易になりました。
このように女性のライフスタイルが多種多様になり、これまでの女性の人生よりも不安定になりがちで、お金への不安がつきまといます。また、女性の身体は複雑なために歳を重ねるにつれて若い頃のようにがむしゃらに働けなくなります。若い頃より一定額を積み立てて株式投資をしていると、いざという時に自分でなくお金に働いてもらえます。
株式投資においてお金に働いてもらうということは、お金がお金を生み出すといった意味です。積み立てたお金が利益を得て、またさらにそのお金が利益を得るということで、これを「複利」といいます。複利とは人類最大の発明ともアインシュタインが言うほど素晴らしい仕組みなのです。
難しい知識がなくても資産形成できる
NISAで投資信託を使った株式投資を行うのであれば、人気の投資信託を購入してほったらかしで運用すれば問題ないでしょう。必要なのは株式投資や経済に関する最低限の知識です。どのようにそれらの知識を勉強するかは後ほど解説します。
株式投資は頭のいい人がする難しいものと考えがちです。確かにチャートを読んだり経済の仕組みに興味が持てないとなかなか理解しづらいかと思いますが、専門書が読めるほどの詳しい知識を持たずとも単純な知識さえ頭に入れておけば問題ないでしょう。かえって知識があるほうが頭でっかちになりミスをしてしまうのが株式投資というものです。
まずはNISAで投資信託を使った投資にチャレンジしつつ、ニュースや書籍を読みながら株式投資の勉強をして大まかな仕組みを理解したあと、株式での運用を始めることを筆者はおすすめします。
株式投資の勉強におすすめのツール
株式投資の勉強におすすめのツールを紹介します。主なツールとして初心者にとって取り組みやすい順番として、証券会社のコラム、テレ東BIZ、投資シュミレーションアプリ、日本経済新聞、書籍・雑誌です。順番を追ってみていきましょう。
証券会社のコラム 取り組みやすさ:★★★★★
日々証券会社のオウンドメディアにて投資に関する情報が更新されています。有名どころでは楽天証券の「トウシル」、日興証券の「日興フロッギー」、マネックス証券の「マネクリ」があります。それらのメディアではアナリストの解説記事のほか、経済専門家の記事が掲載されています。執筆陣は長年株式市場において活躍してきたプロが多いため、おおよそ正確な投資情報を得ることができます。また、ほぼ無料で公開されているため、株式投資の勉強を始めやすい教材といえます。
テレ東BIZ 取り組みやすさ:★★★★☆
「テレ東BIZ」とは、テレビ東京で放送されている経済番組を月額550円で視聴できるアプリです。主な番組として「モーサテ」ことモーニングサテライトや、日経プラス9、「WBS」ことワールドビジネスサテライトがあります。WBSではその日の重要な経済ニュースが、モーサテでは主に為替情報が、日経プラス9では日本経済新聞の記事の深掘りがテーマとなっています。
初心者におすすめしたいのはWBSで1日の重要な経済ニュースが分かりやすく解説されているのが特徴です。毎日視聴することで着実に株式投資の知識がついてくるでしょう。慣れてきて時間があればモーサテや日経プラス9も共に視聴すると、より一層株式投資だけでなく経済や世界情勢の知識がつくはずです。
投資シュミレーションアプリ 取り組みやすさ:★★★☆☆
「株式投資の知識が段々と身についてきたけれども、いきなり始めるのは不安……」と思うのは当然のことです。その際に参考になるのは投資シュミレーションアプリで、実際にお金を使うことなく株式投資を擬似体験できます。「安く買って高く売る」は株式投資の基礎ですが、シュミレーションアプリで大まかにコツを掴んでから本番の株式投資に挑むのが良いでしょう。
また、証券会社によっては1株から株を購入できるサービスもあります。(通常の株式投資では100株単位で購入します)そのサービスでは数百円程度から株式投資を始められます。実際に1株分のお金を出して買ってみることで株式市場のリアルがわかるでしょう。
日本経済新聞 取り組みやすさ:★★☆☆☆
日本経済新聞では毎日の国内外の経済ニュースが掲載されています。社会人になり日本経済新聞をとっていた方も多くいらっしゃるでしょう。ただ、朝刊だけでも文庫2冊分の膨大な情報量であったり、経済用語に慣れていないと読むのが難しいほか、月額6,000円近くもするのでハードルは高いです。あらかじめ経済に関する基礎知識をつけたうえで購読を検討することをおすすめします。また、楽天証券のアプリ「iSPEED」を使うと日経新聞を無料で読めるので、どのような記事が掲載されているのか大まかに確認したい方は一度アプリを使ってみると良いでしょう。
書籍・雑誌 取り組みやすさ:★★☆☆☆
新聞やニュース番組は常に新しい情報を提供していますが、書籍や雑誌では株式投資や経済に関する基礎を学べます。日々のニュースをチェックするなかでさらに深掘りしたいテーマが見つかったら書籍を読んで深く勉強してみましょう。株式投資や経済だけでなく、歴史や政治の奥深いテーマも同時に学ぶことができ、教養が身につくでしょう。
関連記事: 厳選5冊!投資初心者におすすめしたいアナリストが選ぶNISA入門書
株式投資の勉強は身近な切り口からもできる
株式投資の勉強は、日本経済新聞や書籍を読むといったオーソドックスな方法にとどまりません。日常のささいな気づきからでも学びを得ることができます。ここではその一例を紹介します。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
広告やSNSで話題の商品からヒントを得る
今流行しているサービスやモノから株式投資のヒントを得ることができます。例えば最近よく見かける広告や、SNSで話題になっている商品です。広告を出稿したり、SNSで話題になるほど売れているサービスやモノであると言えます。試しにそれらのサービスを一度使ってみて、「このサービス(モノ)は今後成長するかな?」といった視点で考えてみましょう。
自身の仕事の業界からヒントを得る
自身の仕事の業界からも株式投資のヒントを得ることができます。日々仕事をしていれば競合の企業や自身の企業が属する立ち位置がわかります。競合企業を客観視し、どの企業に成長性があるのか考えてみましょう。業界を深く知ることは、株式投資のヒントとなるだけでなく、仕事の成績アップにも繋がります。
社会問題からヒントを得る
現在直面している社会問題からヒントを得て株式投資をするのもおすすめです。投資や経済の勉強をしていればおのずと社会問題がわかるはずです。例えば、今の日本の社会問題としては高齢化やリスキリングが挙げられます。そして、それらの問題を解決するサービスを展開している企業を探してみましょう。
まとめ
株式投資は一見リスキーに思えますが、基礎知識をつければ将来の資産形成の味方となります。若いうちから、長期でコツコツと積み立てていくことが大切です。とりわけライフスタイルが多種多様となった現代女性の資産形成にとって株式投資は欠かせません。
では一体株式投資の勉強は何をすればいいのでしょうか?まず大切なこととして取り組みやすい書籍やインターネットのサイトを読んでみましょう。徐々に学びをステップアップすればいいのです。また、自身の仕事の業界を深掘りするなど、日常の疑問からアプローチするのもおすすめです。
最後に株式投資の勉強も大事ですが、何よりも株式投資にのめりこんで本業を疎かにしてしまったり、投資へお金をつぎ込んで健康を損ねてしまったり、非公式の情報やインフルエンサーの発言に戸惑わないようにすることが大切です。そのためには株式投資の勉強を通して正しい知識を身につけましょう。
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