
近年、「資産形成」や「投資」といった言葉を見聞きすることが増えてきました。
NISAやiDeCoを活用して堅実な資産形成をしている人も増えている一方、個別株投資で爆益を得た個人投資家も出てきています。
投資を行う目的は人それぞれですが、市場の平均を狙うインデックス投資に比べ、個別株は大きなリターンを得られる可能性があります。
その反面、高リターンの裏には高リスクがつきものです。
大きな利益が得られるからといって、闇雲に個別株を購入してしまっては大きな損失を抱えかねません。
そこで、投資初心者にも分かりやすい、株銘柄の選び方のポイントをご紹介します。
株銘柄の選び方のポイントを知っておけば、いざ株式を購入する時に迷わず判断できるようになります。
目次
応援したい企業の株への投資について
まず、投資初心者におすすめされるのが、「応援したい企業の株銘柄を購入する」といった方法です。
「自分が好きな商品やサービスを提供する株銘柄を購入する」のをおすすめする声もあります。
実際のところ、こうした自分の身近な範囲にある株銘柄を選ぶのは投資家として良いのかどうか?について説明します。
好きな企業の株式を保有するメリット
好きな企業・応援したい企業の株銘柄を保有するメリットは以下の通りです。
・長期保有することができる
・株主優待などで自社商品・サービスを使える
・同じような考えで保有している個人投資家が多い
株式投資は、常に市場環境が良いわけではありません。企業の業績も良い時があれば悪い時があります。
しかし、株式投資では長期的に保有することで利益を最大化できる側面があるため、「応援する」という気持ちや、株主優待などの特典があることで、長期的に保有ができるというメリットがあります。
また、応援したいと思える企業は、同じように応援する気持ちがあって投資をしている個人投資家が株式を保有しているケースが多いです。
長く保有する人が多いので、倒産リスクなどが少ないといった利点も挙げられます。
好きな企業の株式を保有するデメリット
好きな企業の株銘柄を保有するデメリットは以下の通りです。
・冷静な投資判断ができない
・投資するだけ投資して、情報収集をおろそかにしがち
まず、「好きだから」といった理由で株銘柄を保有すると、バイアスがかかってしまいます。
それゆえ、冷静な判断ができずに売るべき時に売れなかったり、利益拡大のチャンスがあっても追加購入できなかったりします。
また、個人投資家であっても、投資をする限り適切な投資判断を行うために情報収集や株式の勉強をする必要があります。
しかし、いつまでも応援したいという気持ちだけで投資をしていると、情報収集をせずいつの間にか大きな損失を抱えてしまうといったデメリットがあります。
「好きだから」「応援したいから」という気持ち自体が悪いわけではありません。
投資を始めるきっかけとしては問題ありませんが、利益をしっかり確保していきたければ気持ちだけで投資するのがよくないというのが分かるでしょう。
配当や株主優待に注目する選び方について
最近は、株主として得られる権利の中でも、企業の利益の一部である配当金や一部の企業で実施している株主優待に注目する人が増えています。
企業の利益の中でも配当金が比較的多く分配する株銘柄のことを高配当株といい、そうした高配当株に投資するのを高配当投資といいます。
また、株主優待を実施する企業に投資することを株主優待投資といいます。
ここでは、高配当株投資や株主優待投資のメリット・デメリットについて詳しく説明します。
高配当株投資のメリット
高配当株投資のメリットは以下の通りです。
・安定した配当金収入を得られる
・業績の良い大企業が多い
・配当金の再投資で資産が増やせる
高配当株投資の魅力は、なんといっても配当金という収入が得られる点です。
受け取った配当金を再投資に回すことで、複利効果で資産を拡大していくこともできます。
また、配当金を多く株主に分配できる=安定した大企業であることが多く、投資初心者でも保有しやすいというのもメリットといえるでしょう。
高配当株投資のデメリット
高配当株投資のデメリットは以下の通りです。
・成長株のような株価の値上がりがない
・減配のリスクがある
・配当金から税金が徴収される
株式投資の利益として、配当金のようなインカムゲインとは別に、株式を売却して得る売却益=キャピタルゲインがあります。
しかし、高配当株は成長株のような株価の値上がりはしにくいので、キャピタルゲインは得にくいというデメリットがあります。
また、配当金は企業の利益の一部なので、企業の業績が悪いと配当金が減ってしまう可能性があります。
配当金は受け取り時に所得とみなされるので20.315%の税金がかかる点も注意が必要です。
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株主優待投資のメリット
株主優待投資のメリットは以下の通りです。
・各企業の商品やサービスなどの優待品を受け取れる
・安定株主がいて株価下落の下支えになる
・長期保有等でもらえる優待品がグレードアップしたり、利益も確保できる
株主優待投資の魅力は、なんといっても企業から株主優待を受け取れる点です。
株主優待品は、主に企業の自社商品やサービスですが、中には金券やイベントチケットなどもあって多種多様です。
また、株主優待品をもらうために、優待を出している企業には一定の株主が存在します。
株価が下落する時にそうした株主が株銘柄を保有しているので、株価を下支えしてくれるというメリットがあります。
そして、株主優待品を楽しみに長期的に保有すると長期株主に実施される株主優待を受け取れたり、配当金などが積み上がり、ある程度の利益が確保できるといったメリットもあります。
株主優待投資のデメリット
株主優待投資のデメリットは以下の通りです。
・株主優待が廃止されることがある
・優待につられて株を買ってしまい大損する可能性がある
・保有する株銘柄の管理が大変
株主優待制度は任意で企業が実施するものです。
それゆえ、突然株主優待が廃止されることがあります。
優待廃止の情報が出回ると一気に株価が下がるといった可能性もあるので注意が必要です。
また、優待につられて業績の悪い企業に投資してしまう人もいます。
株主優待の内容だけをみて投資したりしないように気をつけましょう。
株主優待投資を始めると、どんどん株銘柄を購入してしまうので、株数なども増えていきます。
管理が大変になるので、自分なりの管理方法を考える必要もあります。
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企業の業績や価値に注目する選び方について
応援したい企業に投資したり、高配当や株主優待といった株主の特典に注目して投資する方法も悪いことではありません。
ただ、企業のことを適正に評価できないと、投資先の企業の業績が悪くなって含み損を抱えることになったり、最悪の場合倒産してしまい、これまでの投資資金が無駄になってしまう可能性があります。
したがって、企業の価値や業績などを把握してから投資するのがおすすめです。
そのために、理解しておきたい株銘柄の代表的な用語などについてご紹介します。
企業の業績を知るのに知っておきたい用語
まず、企業の業績を知る上で重要なのは、その企業が「どの程度利益を上げられているか」です。
それゆえ、売上高などの数値を過去のものと現在のものを比べることで、その企業が稼げているかどうかを知ることができます。
企業の利益を示す用語として以下のようなものがあります。
売上高
企業がサービスや商品を提供することにより稼いだ、売上金額の総額。ここから経費などを引くことで企業の利益が分かる。
営業利益
売上高から売上原価を差し引いた粗利益からコスト(=販売費および一般管理費)を差し引いた金額。販売費は商品を売るためにかかった費用のこと、一般管理費は、人件費やオフィスの家賃やすいどう光熱費などの費用のこと。基本的に営業利益は、「本業でいくら稼いでいるのか?」を可視化したものと捉えられる。
経常利益
企業が事業全体で経常的に得た利益を表す。営業利益と本業以外の業務で得た利益(営業外利益)を足したもの。企業が恒常的に稼いでいる金額を示す。
こうした企業の利益に着目することで、企業が今どのような状況であるかを知ることができます。『会社四季報』や企業の決算書などをみれば、こうした数値は確認できるので、気になる企業については定期的に調べると良いでしょう。
知っておきたい株価指標
株式投資の場合、企業の価値が実際よりも低く見積もられている時に株銘柄を保有し、適正な評価が株価に反映されると利益を得られます。
そういう意味で、企業の状況を知る上で知っておきたい経済指標がいくつかあります。
代表的なものが、PER(株価収益率)と PBR(株価純資産倍率)です。
PER(株価収益率)
PERは株価が1株当たり利益の何倍まで買われているかを示すもの。
PBR(株価純資産倍率)
株価が1株当たりの自己資本(純資産)の何倍まで買われているかを示すもの。
いずれの指標も数値が高いほど株価は割高、低いほど割安と判断されます。
こうした指標を参考に、投資先を考えてみるのも安定的な資産形成の助けになることでしょう。
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まとめ
投資先を選ぶ際、人は自分の嗜好で決めることがあります。
高配当株銘柄や株主優待銘柄は魅力的ですし、実際に多くの個人投資家によって支えられている企業もあります。
しかし、単にそれだけで投資をしていては、いざという時に冷静な投資判断が下せないことも起こり得ます。
企業の業績や企業価値などにも目を向け、納得のいく選び方をすることで、精神的にも安心して投資ができるのではないでしょうか。
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