米国株のデイトレは禁止?誤解される3つの理由と利益を狙うコツ

米国株のデイトレは禁止?誤解される3つの理由と利益を狙うコツのイメージ

米国株投資の短期トレードで利益を狙っている方のなかには、インターネットで「米国株のデイトレードは禁止されている」という情報を目にして不安を感じる方もいるでしょう。

結論、米国株のデイトレードは禁止されておらず、日本人でも米国株の短期売買で利益を狙えます。

それでも、米国株のデイトレードには日本株よりも注意点が多いため、ルールを知らずに挑戦すると思わぬ損失につながる可能性が高いです。

本記事では、米国株が「デイトレ禁止」だと誤解される理由を紹介し、ルールに従って効率よく利益を狙うためのコツを解説します。

米国株投資でより効率よく資産を増やすための参考にしてみてください。

【結論】米国株のデイトレは禁止されていない

米国株のデイトレは禁止されていないというイメージ

米国株のデイトレードは日本でも禁止されておらず、違法行為でもありません。同じ銘柄であっても、1日のうちに「買う→売る」という一通りの取引ができます。

ただし、日本の証券会社における「差金決済」というルールが複雑なので、米国株はデイトレードができないと誤解されることが多いです。

差金決済については、こちらの章で詳しく解説しています。

米国株が「デイトレ禁止」と誤解されている3つの理由

米国株が「デイトレ禁止」と誤解されている理由のイメージ

「米国株のデイトレは禁止だ」と誤解されている理由は、おもに以下の3つです。

米国株取引の仕組みを知ることで、ルールに従って安全な取引ができるようになります。

差金決済に該当する可能性があるから

米国株の売買方法によっては、日本で禁止されている「差金決済」に該当する場合があります。

差金決済とは、株券の実際の受け渡しをせず、売買の差額だけで決済する取引方法です。

たとえば、以下のようなケースが差金決済に該当します。

  1. A株を10万円で購入
  2. 同日に、A株を売却
  3. 同日に、A株を再度購入

米国株は買付から受渡まで2営業日かかるため、1回目の売却代金が入金される前に2回目の買付をすることになるため、差金決済に該当します。つまり、国内の証券会社で現物取引をおこなう場合、同日中に「売った代金で同じ株を買い直す」ことはできません。

同一資金を使い回せないという制限により、米国株は「1日に何度も取引できない」という誤解を生んだ可能性があります。

PDTルールの対象だと誤解されているから

「PDT(パターンデイトレーダー)ルール」とは、信用取引口座の残高が25,000ドル(約400万円)未満の場合、5営業日以内に4回以上のデイトレードを禁止するルールです。

本ルールは、投資初心者の損失が広がらないための安全措置として、米国証券取引所が定めています。

PDTルールは日本人にとって馴染みのない規制なので、結果的に「資金が400万円ないと米国株のデイトレードはできない」という誤解につながった可能性があります。

日本の証券会社経由でのトレードは効率が悪いから

日本の証券会社経由で米国株をデイトレードする場合、日本株のデイトレードより効率が悪いと言われています。

取引で発生する手数料が高額であったり、株価情報や取引ツールの使い勝手が悪かったりと不利な部分が多いからです。実際には、米国株のデイトレードは可能です。

それでも、日本人には向いていないと考える投資家が多いため、結果的に「やってはいけない」「禁止されている」という消極的な言葉が残った可能性があります。

米国株のデイトレで利益を狙う5つのコツ

米国株のデイトレで利益を狙う5つのコツ

米国株のデイトレで利益を狙うコツは、以下の5つです。

米国株投資で老後やライフイベントに向けた資産形成をするための参考にしてみてください。

流動性の高い銘柄を狙う

買いたいときに購入できて売りたいときにすぐ売却できるような、流動性の高い銘柄を選んだ方がデイトレードで利益を狙いやすいです。

たとえば、テスラ(Tesla)エヌビディア(NVIDIA)などの大型ハイテク株は頻繁に取引されているため、理想のタイミングで売買が成立しやすいでしょう。

逆に、取引量が少ない銘柄は希望どおりの価格で約定できない可能性が高く、利益確定や損切りのタイミングを逃す可能性があります。そのため、まずは取引量の多い有名な米国株から挑戦するのがおすすめです。

複数銘柄に分けて売買する

複数の米国株をデイトレードすることで、差金決済を避けながらリスク分散ができます。

同じ銘柄を「買う→売る→買う」と繰り返すと差金決済に該当しますが、A株を売った後にB株やC株を買えば問題ありません。

複数の銘柄を売買することで、単一銘柄に絞らなくても利益を狙えます。

また、複数銘柄に投資すれば、特定の銘柄で発生した損失をほかの銘柄の利益でカバーできる可能性があります。

低リスクで利益を狙いたい場合は、デイトレードでも複数銘柄の運用を検討しましょう。

トレード前にトレンドを調べる

短期トレードで利益を狙うなら、トレード前に市場トレンドを調べる必要があります。

なかでも、市場全体の流れや企業の将来性を把握するための「ファンダメンタルズ分析」を徹底すれば、初心者からでもデイトレードで利益を狙えるでしょう。

経済指標の発表や決算内容などを把握することで、株の値動きに自分なりの根拠を持って取引できるようになるからです。

米国株に関する情報については、BloombergやYahooファイナンスなどのメディアを参考にしながら収集してみてください。

関連記事
株初心者向け、ファンダメンタルズ分析とは?どうやって株価の予測に役立てるのかをわかりやすく解説

値幅制限がないことを意識した資金管理を行う

米国株には、日本株のような「値幅制限(ストップ高/ストップ安)」の仕組みがありません。

日本株より値動きが大きくなりやすいので、リスク管理を徹底しましょう。

たとえば「予想より10%下がったら」や「1株100ドルを割ったら」という損切りラインを事前に決めておけば、損失を最小限に抑えられます。

損切りラインの決め方については、こちらの「株の損切りはしない方が良いのかをパターン別に解説!メリット・デメリット、ルールの決め方とは」記事で詳しく解説しています。

空売りが可能な銘柄か確認する

米国株式信用取引の場合、空売り※ができる銘柄であるかも、デイトレードで利益を狙うために確認すべきポイントです。

※空売りとは保有していない銘柄を先に売却し、後から売却時より低い金額で買い戻すことで利益を狙う取引方法

空売りできる銘柄は、証券会社が貸株を確保しやすい大型株や取引量の多い銘柄が中心です。

上昇相場だけでなく下落相場でも利益を狙えるため、空売りを活用すれば自分の投資戦略の幅を広げられるでしょう。

ただし、空売りは株価が上昇し続けると損失が無限大になるリスクがあります。現物取引以上に慎重なリスク管理が求められる点は忘れないでください。

米国株のデイトレにおける禁止行為

米国株のデイトレにおける禁止行為のイメージ

米国株のデイトレードにおいて、下表のような不正取引は法律で禁止されています。

禁止行為の名称概要
Layering/Spoofing「買うフリ」や「売るフリ」をして、ほかの投資家を騙す行為
ダミー注文で「需要がある」と市場を騙し、ほかの投資家を不利な価格で取引させる可能性がある
Marking the closeその日の「終値」を意図的につり上げる行為
終値は市場の公正な評価額を示す重要な数字であり、それを自分の都合で不正に操作して、自分の資産を多く見せかける
Wash trade「自分で売って、自分で買う」自作自演の取引
ほかの投資家を「この銘柄は人気があるんだ」と誤解させる
Capping and Pegging将来、決まった価格で買う権利・売る権利で損をしないように、元の株価を無理やり操作する行為
金融商品の価格をごまかすために、その元となる株価の自然な値動きを力ずくで歪めてしまう
インサイダー取引会社の「内部情報」を知っている人が、情報公開前にこっそり売買する行為
情報を持っていない一般の投資家だけが損をする

参照元:マネックス証券|取引におけるご注意事項 | 米国株(アメリカ株)

株取引で上記に該当する行為が認められた場合、証券会社の閉鎖や取引制限といった厳しい措置を受ける可能性があります。

気付かないうちに口座が凍結されないよう、米国株のデイトレードに挑戦するときは上記のルールを正しく理解しておきましょう。

米国株をデイトレする際の3つの注意点

米国株をデイトレする際の3つの注意点のイメージ

米国株でデイトレードに挑戦するときは、以下の3つに注意しましょう。

大きな失敗を避けつつ、長く投資を続けるための参考にしてみてください。

為替変動により損するリスクがある

米国株投資には、為替変動による損失リスクが伴います。

たとえ株価上昇で利益が出ても、円高(例:1ドル150円→148円)が進めば日本円換算での利益が減ったり、損失がでたりする可能性があります。

とくにデイトレードのような短期売買では、わずかな為替変動でも利益が目減りすることもあるでしょう。

手数料負けを防ぐためにも、米国株のデイトレードで発生した利益を米ドルのまま保有して運用する「外貨決済」の活用もおすすめです。

本業のパフォーマンスが下がるリスクがある

とくに会社員トレーダーは、睡眠不足で本業に悪影響を及ぼす可能性があります。

米国市場の取引時間は、日本時間の「深夜〜早朝」であるからです。

夜中からチャート張り付き、気づけば深夜2時、3時になっていることも珍しくありません。

翌朝に仕事を控えている方は、「24時までには必ず手仕舞いする」といったルールを設け、ライフスタイルを崩さない範囲で取り組むことで、長く投資を続けられるでしょう。

値幅制限がないため損失が広がるリスクがある

米国株には日本株のような「ストップ安」という仕組みがありません。

企業の不祥事や期待外れの決算発表があった場合には、株価が底なしに暴落する可能性があります。

急激な変動時に取引を一時停止させる「サーキットブレーカー」という制度はありますが、すべての銘柄に適用されるわけではありません。

一晩で資産の半分を失うといった事態を避けるためにも、はじめは損失がでても許容できる範囲での資金でデイトレードに挑戦しましょう。

まとめ

米国株が「デイトレ禁止」と誤解されている理由のイメージのまとめ

米国株のデイトレードは決して違法行為ではありません。資金配分や銘柄選びを工夫すれば、日本の会社員でも米国株投資で利益を狙えます。

また、以下のようなコツを抑えれば、より米国株投資で利益を狙いやすくなるでしょう。

  • 流動性の高い銘柄を狙う
  • 複数銘柄に分けて売買する
  • トレード前にトレンドを調べる
  • 値幅制限がないことを意識した資金管理を行う
  • 空売りが可能な銘柄か確認する

ただし、短期売買を行うデイトレードには、長期投資以上の損失リスクが伴います。

デイトレードや米国株投資に挑戦するときは、リスク管理を徹底したうえで資金に無理のない範囲でチャレンジしてみてください。

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