ROEとROAはどちらが重要なのか?違いや目安を正しく理解しよう

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個別株投資を始めると、ROEやROAといった財務指標を学ぶ機会が増えます。

どちらも企業の収益効率を測る指標として頻繁に登場しますが、なかには「結局どちらを優先すべきなのか?」と判断に迷う方もいるでしょう。

各指標の意味を知っていても使い分けの基準が曖昧なままでは、分析が中途半端になりがちです。

本記事では、ROEとROAの違いと使い分けの基準を整理し、業種や投資スタイルに応じた活用方法を解説します。株式投資で利益を狙うための参考にしてみてください。

【結論】ROEとROAはどちらが重要なのか 

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ROEとROAは、どちらか一方が重要というわけではありません。両方を組み合わせて使うことで、企業の実態を正確に把握できます。

ROEは株主目線での投資効率、ROAは負債も含めた企業全体の資産効率を示しており、そもそも見ている角度が異なります。

片方だけでは見えない部分を、もう片方が補う関係性です。ただし、目的や状況によってどちらをより重視すべきかが変わるので、詳しく見ていきましょう。

それぞれの概要を理解したいときは、こちらの「ROEとは|株主資本での利益効率を示す指標」と「ROAとは|総資産での利益効率を示す指標」から読んでみてください。

ROEが重要となるタイミング 

株主還元や資本の効率性を重視する場合には、ROEをより重点的にチェックするのがおすすめです。

ROEは「自己資本をどれだけ効率的に運用して利益を上げたか」を示す指標であり、その数値は投資家へのリターンに直結します。

とくに、配当や自社株買いの原資は「利益」なので、自己資本に対してどれだけ効率よく利益を生み出しているかを示すROEの推移が、株主還元の判断材料になります。

高配当株を探すときや、複数の銘柄を比較選定するときは、まずROEに注目することから始めてみてください。

ROAが重要となるタイミング 

企業の「総合的な稼ぐ力」や「財務の健全性」を評価したいときには、ROAを優先的に見るべきです。

ROAは「負債を含めた総資産に対して、どれだけの利益を生み出したか」を示す指標であり、借入による水増しを受けにくいため、企業本来の収益効率を測るのに適しています。

とくに、ROAが低い企業は借入金に依存して利益を出している可能性があるため、財務リスクを見落とさないためにもROAの確認が欠かせません。

倒産リスクを避け、中長期的な安定成長を見守りたい投資スタイルなら、まずROAで資産効率の良さを確認するのがおすすめです。

ROEとは|株主資本での利益効率を示す指標 

ROEとは|株主資本での利益効率を示す指標のイメージ

ROE(Return on Equity)は、株主が出資したお金に対して企業がどれだけ利益を生み出しているかを示す指標です。「自己資本利益率」とも呼ばれています。

ROEが高い企業は「少ない資本で大きな利益を上げている」と評価され、株価も上昇しやすい傾向にあります。

ROEの計算式 

ROEの計算式は、以下のとおりです。

 ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
※当期純利益:1年間の最終的な利益
※自己資本:株主から集めた資金や内部留保の合計

計算式からわかるのは、企業が「元手資金」に対してどれだけの「成果」を出したかという点です。

たとえば、自己資本が100億円の企業が10億円の純利益を出した場合、ROEは10%になります。ROEの数値が高いほど、より効率よく利益を上げていることを示します。

ROEの目安

一般的に、ROEの目安は8〜10%と言われています。

2014年に経済産業省が公表した「伊藤レポート」によると、日本企業は「最低でも8%以上のROEを達成すべき」※と提言されました。
※参照元:経済産業省|伊藤レポート

ROEの水準別の評価の目安は、以下のとおりです。

ROEの水準評価の目安
10%以上優良企業の水準
8〜10%標準的な水準(伊藤レポートの最低ライン)
8%未満改善が求められる水準

ただし、ROEは業種によって平均値が異なるため、同業他社との比較や過去の推移をあわせて確認しましょう。

ROAとは|総資産での利益効率を示す指標

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ROA(Return on Assets)は、企業が持つすべての資産に対して、どれだけの利益を上げているかを示す指標です。「総資産利益率」とも呼ばれています。

自己資本だけでなく、銀行からの借入金などの負債も含めた「総資産」を分母にする点が、ROEとの大きな違いです。

ROAが高い企業は、保有する資産を無駄なく活用して利益を出せていると評価されます。

ROAの計算式

ROAの計算式は、以下のとおりです。

ROA(%)= 当期純利益 ÷ 総資産 × 100
※当期純利益:1年間の最終的な利益
※総資産:貸借対照表(バランスシート)の左側に表示される資産の合計

たとえば、総資産が200億円で純利益が10億円なら、ROAは5%です。ROAの数値が高いほど、資産をより効率よく活用して利益を上げていることを示します。

ROEとROAの間には密接な関係があり、以下の関係式が成り立ちます。

 ROE = ROA × 財務レバレッジ(総資産 ÷ 自己資本)

この式は、ROAを向上させるか、あるいは財務レバレッジ(借金)を高めることで、ROEが上昇することを示しています。

ROAの目安

一般的に、優良水準とみなされるROAの目安は、5%以上と言われています。ただし、ROAは業種によって大きく異なるため、異業種間での比較には適していません。

業種別のROA目安を、以下の表にまとめました。

業種ROAの目安
IT・情報通信業平均6〜10%
製造業平均3〜5%
卸売・小売業平均4〜6%
不動産業平均1〜3%
電気・ガス業平均1〜2%

在庫を持たないサービス業やソフト開発業は、ROAが10%を超えることも珍しくありません。しかし、巨額の設備投資が必要な鉄道や電力、鉄鋼業などは2〜3%でも堅実な経営と評価されます。

ROAも業種によって平均値が異なるため、同業他社との比較や過去の推移をあわせて確認すべきです。

ROEとROAの違い 

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ROEとROAのおもな違いは、負債を考慮するかどうかです。

ROAは「負債を含めた総資産」を分母にするのに対し、ROEは「自己資本のみ」で計算します。

それぞれの特徴と使い分けを、以下の表にまとめました。

比較項目ROE(自己資本利益率)ROA(総資産利益率)
主な視点株主目線(投資効率)経営者・全体目線(資産効率)
分母自己資本(株主資本)総資産(自己資本+負債)
負債の影響受けやすい受けにくい
重要性投資収益性や配当余力の判断経営の効率性や財務健全性の判断
注意点借金が多いと数値が高く見える業種によって資産規模が異なるため異業種比較に不向き

ROEは借入金の影響を受けやすく、自己資本が少ない(=借入が多い)企業ほど数値が高く見える傾向があります。

一方、ROAは借入の影響を受けにくいため、ROEだけでは見えない企業の実態を確認する指標として機能します。

そのため、リターン効率を重視するならROE、経営の実態を把握するならROAが適しているでしょう。

両者を組み合わせることで、成長性と財務の安全性の両面から企業を評価できます。

企業のROE・ROAが改善すると株価はどうなる?

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ROEやROAが改善すると、市場から「稼ぐ力が強まった」と評価され、株価にポジティブな影響を与えやすいです。

ただし、なぜ改善されたのかを把握しないと、借入増加や資産売却による一時的な改善に惑わされるリスクがあります。本章では、ROEとROAによって株価が上がる理由をそれぞれ解説します。

ROE改善で株価が上がる理由

ROEの改善は、株主資本に対してより多くの利益を生み出せるようになったことを示します。

結果、企業の投資的魅力が高まり、株価が上昇しやすくなります。企業がROEを向上させる方法は、大きく2つです。

  • 当期純利益を拡大させる
  • 自己資本(純資産)を圧縮する

利益を増やすにはコスト削減や売上拡大、自己資本を圧縮するには自社株買いや増配が代表的な手段です。

上記のような企業努力が市場で評価されれば、株価の上昇につながります。

ROA改善で株価が上がる理由

ROAの改善は、企業が全資産をより効率よく活用できるようになったことを示します。

つまり、企業が「財務リスクが低く、利益の持続性が期待できる」と評価され、株価が上昇しやすくなるのです。

企業がROAを向上させる方法として、以下の2つが挙げられます。

  • 当期純利益を拡大させる
  • 総資産を圧縮する

利益を増やすにはコスト削減や売上拡大、総資産を圧縮するには不採算事業の整理や遊休資産の売却が代表的な手段です。

こうした動きは企業の「本質的な稼ぐ力が高まったサイン」として市場に評価され、中長期の株価上昇につながりやすくなります。

ROE・ROAを分析するときの3つの注意点

ROE・ROAを分析するときの3つの注意点のイメージ

銘柄分析でROEとROAを見るときは、以下の3点を理解しておきましょう。

見かけの数値に惑わされないように背景まで読み解く習慣をつけることで、自分なりの銘柄分析の基準を確立できます。

高ければ良い・低ければ悪いとは限らない 

ROEとROAは「数値が高いから良い、低いから悪い」と単純に判断できる指標ではありません。

高すぎる数値にはリスクが潜んでいることがあり、逆に低い数値が将来の飛躍に向けた準備期間である可能性もあります。

各指標が示す背景を、下表にまとめました。

指標状態数値の背景
ROE高い・借入が多く財務リスクが高い可能性
・一時的な資産売却による押し上げ
 低い・自己資本が厚く財務健全性が高い
・成長投資のために内部留保を積み上げている
ROA高い・設備が少ない業種の特性(IT・サービス業など)
・資産を効率よく活用できている
 低い・業種特性による構造的な低さ
・先行投資中で将来の収益拡大が見込める

「なぜその数値なのか」という背景を考えることで、見かけの数値に騙されない銘柄選びができるようになります。

一時的な要因で数値が変動する場合がある

ROEやROAは、一時的な要因で大きく変動することがあります。

たとえば、大型投資のタイミングで借入が増えると数値が一時的に下がり、資産売却による特別利益が発生した年は逆に跳ね上がる可能性が高いです。

分析の際には1年分のデータだけで判断せず、最低でも3期(3年分)以上の推移を確認しましょう。

また、単年で急激な変動があった場合は、決算短信で特別損益の有無を確認するのも有効です。

数値の目安は企業規模や業種別に異なる 

ROEとROAの目安は、業種や企業規模によって異なります。

ROEの目安」と「ROAの目安」の章で紹介した数値はあくまで参考値であり、同業他社との比較は欠かせません。

東京証券取引所「2024年3月期決算短信集計」の経営指標データをもとに、業種別の目安を下表にまとめました。

業種ROE目安(参考)ROA目安(参考)
情報通信業10%超7〜8%程度
製造業8〜9%程度5%程度
小売業8〜9%程度4%程度
不動産業・電力構造上低め2〜3%程度

参照元:東京証券取引所|2024年3月期決算短信集計

一律の基準で「良い・悪い」を判断するのではなく、同業種・同規模の企業と比較しながら指標を正しく活用しましょう。

まとめ 

ROEとROAのまとめ

ROEとROAは、どちらか一方が重要というわけではありません。

両方を組み合わせて使うことで、企業の実態を正確に把握できるものです。

ROEは株主目線での投資効率を示し、銘柄選びや資本効率の評価に向いています。

ROAは負債も含めた企業全体の資産効率を示し、財務の健全性や本業の収益力の確認に役立ちます。

目安としてROEは8〜10%、ROAは5%以上が参考値ですが、業種によって大きく異なるため同業他社との比較が前提です。

まずは気になっている銘柄のROEとROAを並べ、それぞれを比較することから始めてみてください。

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