
丸紅は、国内商社のなかで業績がトップクラスの企業です。日本の5大商社のなかでも、畜産物や穀物といった「加工前の資源分野」に強みがあり、国内外で幅広く事業を展開しています。
本記事では、丸紅株式会社(東証プライム:8002)の配当金について解説します。
2025年3月期(2024年4月1日〜2025年3月31日)の決算で配当金は、1株あたり95円と決定しました。100株(単元株)持っていれば年間9,500円がもらえます。
4期連続の増配が確定したので、丸紅の株で配当金をもらいながら、安定した収入を確保したいと考える方もいるでしょう。
そこで本記事では、丸紅の業績や株価を踏まえながら、丸紅の株にどんな魅力があるのかについて解説します。
また、丸紅の株はNISAの成長投資枠でも買えるので、非課税での運用も可能です。
目次
丸紅の配当金はいくら|1株95円で4期連続の増配
2025年3月期の丸紅の配当金は、1株あたり年間95円です。100株を持っていれば、年間9,500円の配当金がもらえます。この配当をもらうための投資額は252,700円※です。(※2025年5月1日の終値2,527円で計算)
丸紅の配当金は4期連続で増配しました。また、2026年3月も100円と増配予想です。
過去10年度分の配当金の推移(1株あたり)を、以下の表にまとめました。
事業年度 | 中間配当 | 期末配当 | 年間合計額 |
2026年3月期(予測) | 50円 | 50円 | 100円 |
2025年3月期 | 45円 | 50円 | 95円 |
2024年3月期 | 41.5円 | 43.5円 | 85円 |
2023年3月期 | 37.5円 | 40.5円 | 78円 |
2022年3月期 | 25.5円 | 36.5円 | 62円 |
2021年3月期 | 11円 | 22円 | 33円 |
2020年3月期 | 17.5円 | 17.5円 | 35円 |
2019年3月期 | 17円 | 17円 | 34円 |
2018年3月期 | 12.5円 | 18.5円 | 31円 |
2017年3月期 | 9.5円 | 13.5円 | 23円 |
2016年3月期 | 10.5円 | 10.5円 | 21円 |
2015年3月期 | 13円 | 13.5円 | 26円 |
参照元:丸紅株式会社|株主還元・配当
ただし、配当金には20.315%の税金がかかるため、100株を持っている株主には7,570円が支払われます。
【税引後に受け取れる配当金】 (95円×100株)×(1−20.315%)=7,570.075円
配当金にかかる税金を節税したい方はこちらの「配当金に税金はかからない?節税のコツや新NISAで非課税で受け取る方法を解説」記事をご覧ください。
丸紅の配当金はいつもらえる|支払日は12月頃、6月頃予定
丸紅の配当金は、中間と期末の合計2回にわけて支払われます。丸紅の配当金が支払われる時期と権利確定日は以下のとおりです。
項目 | 中間配当 | 期末配当 |
権利確定日 | 9月30日 | 3月31日 |
支払い時期 | 11月〜12月頃 | 5月〜6月頃 |
参照元:丸紅株式会社|株式情報
丸紅の配当金を受け取るには、権利確定日の2営業日前に株を買う必要があります。2026年3月期の中間配当をもらうには2026年9月26日の15時30分までに丸紅の株を買いましょう。
丸紅の配当利回りと配当性向|利回り3.6%超えをキープ
2025年3月期(2024/4/1〜2025/3/31)において、丸紅の配当利回りは3.95%、配当性向は31.4%でした。直近5年度分の推移は、以下の表で確認してみてください。
事業年度 | 配当利回り | 配当性向 |
2025年3月期 | 3.95% | 31.4% |
2024年3月期 | 3.68% | 30.4% |
2023年3月期 | 5.36% | 24.7% |
2022年3月期 | 6.01% | 25.5% |
2021年3月期 | 5.29% | 26.1% |
参照元:丸紅株式会社|決算短信、みんかぶ|丸紅 (8002)
直近5年間の丸紅の配当性向は、約25〜30%です。事業への投資と配当金による利益還元をバランスよく実施している数値だと言えます。
配当利回りは約3.7〜6.0%で推移しており、日経平均とプライム全銘柄の配当利回りの平均値「約1.9〜2.3%」と比べて、高い水準を維持しています。
また、2026年3月期以降も増配を続ける方針なので、丸紅の株を持っていれば、安定して配当収入を得られる可能性が高いです。
また、以下の表では、丸紅の配当利回りと配当性向を競合他社と比較しました。
会社名 | 配当利回り (2025年3月期予想) | 配当性向 (2024年3月期実績) |
丸紅 (8002) | 3.95% | 30.4% |
三菱商事 (8058) | 4.07% | 30.42% |
三井物産 (8031) | 3.33% | 24.09% |
住友商事 (8053) | 3.93% | 39.57% |
伊藤忠商事 (8001) | 2.81% | 28.93% |
参照元:みんかぶ
配当性向はどのメーカーも同じ水準です。2025年3月期の配当利回り予想では、丸紅が三菱商事に次ぐ第2位となっています。配当性向と配当利回りは、企業を評価するときに使う指標です。
配当利回りとは
配当利回りは、購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けられるかを示す指標です。計算式は次のようになります。
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100
配当性向とは
配当性向は、税金を差し引いた企業の純粋な利益である当期純利益のうち、配当に回される額を表した割合です。計算式は次のようになります。
配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100
目安となる数値や詳しい計算方法については、こちらの「配当利回りと配当性向とは?違いや計算式、目安となる数値を解説」記事で解説しています。
丸紅の株主優待
丸紅には、株主優待がありません。
丸紅は株主優待より配当での利益還元を行っており、中期経営戦略(GC2024)における収益力の向上を踏まえ、総還元性向を40%程度に引き上げ、1株当たり年間配当100円を基点とする累進配当や機動的な自己株式取得を実施する方針です。
今後も増配や株の値上がりで利益を狙える可能性が高い企業です。
丸紅の業績
2025年3月期を含む、過去6年分の丸紅の業績を以下の表にまとめました。
決算情報 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
2025年 3月期 | 7,790,168 | 272,310 | 629,207 | 505,004 |
2024年 3月期 | 7,250,515 | 276,321 | 567,136 | 471,412 |
2023年 3月期 | 9,190,472 | 340,814 | 651,745 | 543,001 |
2022年 3月期 | 8,508,591 | 284,490 | 528,790 | 424,320 |
2021年 3月期 | 6,332,414 | 141,553 | 281,742 | 223,256 |
2020年 3月期 | 6,827,641 | 133,875 | -165,935 | -197,450 |
参照元:丸紅株式会社|決算短信
2020年3月期は新型コロナウイルスの影響もあって資源価格が上がり、ガスや石油、穀物事業などで業績が悪化。結果、約1,974億円の損失を出しました。
しかし、その後は業績が回復し、2023年3月期の純利益は過去最高額となる約5,430億円を記録しました。
2025年3月期も多くの資源分野において売上が好調で、純利益は中間決算時点の予想より200億円多い5,000億円になると見込まれています。純利益が増えたことで、年間配当金も1株あたり90円から95円に増える見込みです。
丸紅は一度決めた配当金額を減らさない方針で運営しているうえに、今期のような業績アップに伴う増配も見込めます。定期的な配当収入を狙う投資家にとって、丸紅の株は良い投資先だと言えるでしょう。
丸紅の事業内容
丸紅は「資源事業」と「非資源事業」を両立している企業で、おもに6つのグループにわかれて事業を行っています
- 素材産業グループ
- 生活産業グループ
- 食料・アグリグループ
- 社会産業・金融グループ
- エナジー・インフラソリューショングループ
- CDIO|次世代事業開発本部
それぞれ紹介します。
素材産業グループ
素材産業グループは、石油化学製品と銅を中心とした金属資源の取引・開発を行っている分野です。
チリにある3つの銅鉱山に出資しており、日本企業最大の年間16万トンの資源を採掘する権利を持っています。
鉱山全体で再生可能エネルギーの活用を進め、生産能力を高めるための設備投資にも積極的です。
生活産業グループ
生活産業グループでは、以下の3つの分野で事業を展開しています。
- ライフスタイル分野:衣料品やタイヤなど、景気に左右されにくい商品を提供
- フォレストプロダクツ分野:紙製品やパルプなど、再生可能な商品を提供
- 情報ソリューション分野:ネットワーク回線や携帯電話の販売代行など、情報通信サービスを提供
生活に密着した商品やサービスを扱うためトレンドに左右されにくく、安定した利益が見込めるメイン事業のひとつとなっています。
食料・アグリグループ
食料・アグリグループは、食品原料や穀物の取引から農業資材の販売まで、食品に関する事業を幅広く展開している分野です。
日本向けのコーヒー豆輸入は業界全体の約30%のシェアを誇り、商社トップクラスの穀物取引量を誇ります。
世界的に食料の需要が高まっているので、独自の販売網を活かして安定的な収益が期待できます。
社会産業・金融グループ
社会産業・金融グループは、3つの部門で構成されており、それぞれ以下のようなサービスに関わっています。
- 航空機関連:航空機の部品取引、エンジン整備、衛星打ち上げロケットなど
- 金融・不動産:自動車販売のローン、分譲マンションの運用、REIT運営など
- 産業機器:ダンプやショベルなどの重機販売、自動車販売など
無人運転の船や電気自動車を使ったサービスなど、新しい技術の開発も行っています。
エナジー・インフラソリューショングループ
エナジー・インフラソリューショングループは、従来型エネルギー(石油やガス)から新エネルギー(水素やアンモニア)まで、エネルギー事業を幅広く展開しています。
- 新エネルギー:水素やアンモニアの製造・販売、充填所の運営
- 従来型エネルギー:天然ガスの生産や販売、石油開発
- インフラ事業:発電所の運営、水処理施設、鉄道や道路の整備
環境に配慮した「新エネルギー」に投資しつつ、発電所や交通インフラなどの既存事業を行うことで安定した収益をあげています。
CDIO|次世代事業開発本部
CDIOは、丸紅に適した新たな事業を開発する部門です。おもに4つの分野で事業を行っています。
- 先端技術を活用した社会インフラ整備
- 高齢化に対応したヘルスケア・医療事業
- アジア向けの美容・ブランド事業
- 新興国での教育・コンテンツ事業の展開
丸紅が今後も社会に貢献できるように、世界中のネットワークを活用して成長分野の開発を進めています。
丸紅と競合他社の業績比較
丸紅と競合他社の業績を比較してみましょう。前期(2024年3月期)の業績は、以下のとおりです。
(百万円)
会社名 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 |
丸紅 (8002) | 7,250,515 | 276,321 | 567,136 | 471,412 |
三菱商事 (8058) | 19,567,601 | ー | 1,362,594 | 964,034 |
三井物産 (8031) | 13,324,942 | ー | 1,302,393 | 1,063,684 |
住友商事 (8053) | 6,910,302 | ー | 527,646 | 386,352 |
伊藤忠商事 (8001) | 14,029,910 | 702,900 | 1,095,707 | 801,770 |
参照元:みんかぶ
上記5つの企業は「日本の5大商社」と呼ばれており、国内の商社のなかでも業績がトップクラスです。
ただ、5大商社と比較すると、丸紅の業績は低く見えます。2023年3月期の純利益は三井物産がトップで、丸紅の約2.3倍の業績です。
また、日本の商社はそれぞれ異なる強みがあるので、特徴を以下にまとめました。
- 丸紅:畜産物や穀物など、加工前の資源分野に強い(生産者向け)
- 三井物産:金属やエネルギーなどの資源分野に強い
- 三菱商事:資源分野と非資源分野を両立してバランスよく事業を行っている
- 住友商事:幅広い分野で事業を展開しており、なかでもメディア事業が特徴的
- 伊藤忠商事:衣類や食品などの非資源分野に強い(消費者向け)
とくに、丸紅は穀物の取引量が5大商社のなかでもトップクラスの企業です。今後、小麦やコーヒー豆、トウモロコシなどの穀物需要が増えれば、さらに業績が伸びる可能性があります。
総合商社は、世界情勢やトレンドに応じて業績が変動しやすい分野です。配当金狙いで投資先を決めるときは、競合他社の業績や今後の事業展開についてもチェックしてみてください。
「三菱商事」の配当金や業績については、下記記事で詳しく解説しています。
三菱商事の配当金はいつもらえる?30円の増配でいくらになるかを解説
丸紅の株価
丸紅の株価は、2,527円(2025年5月1日終値)です。過去10年分の株価の推移は、以下のチャートを参考にしてみてください。
丸紅の株は、2015年頃に500〜700円で取引されていました。2018年9月に一度1,000円を超えましたが、2021年10月までは1,000円未満で推移しています。
その後、2022年に1,000円を超え、2023年には2,000円を突破。2024年7月には過去最高の3,158円を記録しました。2025年1月末時点の株価は、当時(過去最高額)から約26%減少して2,000円代前半で取引されています。
また、今後の株は値上がりが期待されています。
また、丸紅と競合他社の株の値動きを、以下の表にまとめました。
会社名 | 現在の価格 | 年初来高値 | 年初来安値 |
丸紅(8002) | 2,527円(2025/5/1終値) | 2,616円 (2025/3/19 | 1,878円 (2025/4/7) |
三菱商事(8058) | 2,492.5円(2025/1/30終値) | 3,775円(2024/5/2) | 2,231円 (2024/1/4) |
三井物産(8031) | 3,089円(2025/1/30終値) | 4,182円(2024/5/22) | 2,401円(2024/8/5) |
住友商事(8053) | 3,362円(2025/1/30終値) | 4,433円(2024/5/2) | 2,676円(2024/8/5) |
伊藤忠商事(8001) | 7,183円 (2025/1/30終値) | 8,245円 (2024/7/11) | 5,671円 (2024/1/4) |
参照元:Yahoo!ファイナンス|日本株
丸紅の自己株式取得
丸紅は定期的に自己株式取得を実施しています。2022年2月〜2024年7月までに行われた丸紅の自己株式取得について、以下の表を参考にしてみてください。
取得期間 | 取得方法 | 取得株式総数 | 取得総額 |
2025/4/1~2025/4/30 | 東京証券取引所における市場買付 | 5,994,900 株 | 134億 |
2024/5/7~2024/7/19 | ①自己株式立会外買付取引 (ToSTNeT-3)による市場買付 ②東京証券取引所における市場買付 | 16,621,100株 | 500億円 |
2023/11/6~2024/2/9 | 東京証券取引所における市場買付 | 8,628,600株 | 200億円 |
2023/5/9~2023/7/31 | 東京証券取引所における市場買付 | 13,678,100株 | 300億円 |
2022/11/7~2023/1/31 | 東京証券取引所における市場買付 | 19,816,900株 | 300億円 |
2022/2/4~2022/4/28 | 東京証券取引所における市場買付 | 22,882,000株 | 300億円 |
また、以下の自己株式取得が予定されています。詳細は以下のとおりです。
- 取得する株式の種類 :当社普通株式
- 取得する株式の総数 :3,000万株(上限)
- 株式の取得価額の総額 :300億円(上限)
- 取得期間 :2025年2月6日~2025年6月30日
丸紅は、総還元性向※30%~35%程度を目安に今後も自己株式取得を実施する方針です。
※総還元性向:企業の利益のうち、配当金と自己株式取得を合わせて株主にどれだけ還元するかを示す割合
丸紅などの個別株への投資は簡単と思っていたけれど実際に難しかった。とくに売る時に迷ってしまい売り時を逃してしまったという方が多くいらっしゃいます。利益を確保するのは大事ですが時には損切も必要になり、これができないと株で資産形成は難しくなります。しかし自分ではできないという方には、投資顧問の利用をおすすめします。当サイトを運営するライジングブル投資顧問は、株の「売買サポート」を行っております。ライジングブルの売買サポートサービスは、3ヶ月9,000円で買い推奨だけではなく、売却、銘柄入替するところまで、リスク管理をしながらサポートします。
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まとめ
本記事では、丸紅の配当金について解説しました。
2025年3月期の丸紅の配当金は、1株あたり年間95円の予定です。100株で年間9,500円の配当金となり、税引後の7,570円が株主に支払われます。
権利確定日は毎年「9月30日」と「3月31日」で、支払日は決算から2〜3ヶ月後なので、中間配当は12月頃、期末配当は翌年6月頃に支払われる予定です。
丸紅は株主優待を実施していません。しかし、配当性向は約25〜30%を維持しており、事業投資と配当金での利益還元をバランスよく実施しています。また、直近5年間の配当利回りは3.6%以上をキープしており、商社株のなかでも高い水準です。
2025年1月末時点で、丸紅の株価は2,000円代前半で取引されていますが、1年後に株価が最高で3,500円になると予想するアナリストもいます。
2026年3月期以降も減配しない方針なので、丸紅の株に投資すれば、安定的な配当収入を得つつ、株の値上がりでも利益が狙える可能性があります。
銘柄選びの参考にしてみてください。
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