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増担保規制銘柄とは
株価が大きく動く原因ともなり得るため、多くの投資家が気にかける増担保規制。それでは、増担保規制銘柄とは何か、見ていきましょう。
増担保(ましたんぽ)規制とは
まず、基礎知識として、投資家が証券会社からお金を借りて株式を買う(株式を借りて株式を売る)取引を信用取引といいます。投資家は、それによって手持ち資金の約3倍もの金額の株式を売買できることになります。
信用取引には一般信用取引と制度信用取引の2種類があります。
一般信用取引は、証券会社が自社で投資家にお金を融資し、返済期限や金利などの条件、売買できる銘柄などは証券会社が決めています。
制度信用取引は、証券取引所が条件や銘柄を指定し、さらにそのうちの「貸借(たいしゃく)銘柄」については、証券金融会社が証券会社に対して、投資家に融資するために必要なお金や証券を貸付ける仕組みになっています。
証券金融会社からお金を借りるときに証券会社は担保金を差し入れます。市場で、過度に信用取引が行われて相場が過熱する場合がありますが、そのような時には、その担保金が平常時よりも多く徴収されることがあります。
それを「増担保」といい、その措置が採られることを「増担保規制」といいます。なお、この規制は、取引所が設定する場合のほかに、証券会社が独自に実施することもあります。
増担保規制が行われると・・・
通常は100万円分の株式売買を行うために30万円(30%)の委託証拠金(担保)が必要ですが、増担保規制が行われると、例えば、委託証拠金率が50%に引き上げられたりします。この場合、同じ100万円の信用取引を行うために、投資家は50万円を用意しなければなりません。
また、委託証拠金は、現金の代わりに株式を差し入れること(代用有価証券)もできるのですが、増担保規制が行われると、委託証拠金のうち20%は現金で差し入れなければならないなどの制限も行われます。これは、50万円の委託証拠金のうち、少なくとも10万円(20%)は現金が必要になることを意味します。
このように、投資家に対して負担を大きくして、信用取引をしづらくすることで取引を減少させ、相場の過熱感を抑えようとする措置です。なお、増担保規制が行われる前に既に行っていた信用取引は、規制の対象外となります。
増担保規制が及ぼす相場への影響
増担保規制は信用取引の売買高が多い場合に、その抑制を目的として実施されます。そこでまずは、その狙った効果の通り、売買高はほぼ確実に減少します。
次に、株価の動きについては、過熱気味に上昇してきた銘柄は規制発表と同時に一旦値下がりしたり、上昇の勢いが止まって横ばいに推移するケースが多いために、増担保規制は売りサインとする人も少なくありません。
しかしながら、その後またすぐに上昇するか、しばらく横ばいを続けるか、下落に転じるかは、個々の銘柄の状況によると言わざるを得ません。逆にいえば、規制が入ったからといって、慌てて売却することもあまり得策でもないようです。
規制が解除される条件
増担保規制がかかった銘柄については、信用取引による売買の過熱感が冷め、株価も落ち着いて来れば、それ以上規制する必要がなくなるので解除されます。東京証券取引所では具体的に、次のように定めています。
残高基準: 次のイ.ロ.の両方に該当する場合
イ.5営業日連続して、信用取引の売り残高が上場株式数に対して12%未満となる。
ロ.5営業日連続して、信用取引の買い残高が上場株式数に対して24%未満となる。
株価基準
5営業日連続して、株価と25日移動平均株価との乖離が15%未満となる。
ただし、これらの基準が満たされたからといって、必ずしも解除されるとは限りません。あくまでも、取引所の判断となります。