株のサポートの特徴
価格の乖離状況を見る移動平均乖離率の見方
証券会社で提供されるチャートには、必ず移動平均線というものが描かれています。この移動平均線と株価によって、投資を判断する手法である「移動平均乖離率」について今回は説明します。
移動平均乖離率とは
移動平均乖離率とは、株価が移動平均線からどれくらい離れているかの割合(%)を示したものです。移動平均線は、過去一定期間の平均株価を並べて繋いだものです。通常、5日、25日、13週、26週などが使われます。
移動平均線は、株価を平均することで小さなブレを消去して、一定の方向性を見ようとするものですが、株価と乖離する場合には、いずれ株価が移動平均線に近づく性質を有しているため、その乖離率を見て転換点を把握(テクニカル分析)しようというのが、移動平均乖離率です。
すなわち、移動平均乖離率は、株価が移動平均線から大きく離れたら、「上げ止まる」、または「下げ止まる」という転換点を見つける目的で使用します。
短期間のトレンドを見るには、「日足チャート」を用い、「移動平均線」の期間は25日を使用します。中長期的トレンドを見るには「週足チャート」を用い、「移動平均線」の期間は26週を使用するのが一般的です。
例えば、株価が50,000円で、25日移動平均線が48,000円の場合、価格差は50,000円-48,000円=2,000円になります。移動平均乖離率は、価格差÷25日移動平均線×100で計算されるので、2,000円÷48,000円×100=4.17%となります。
移動平均乖離率を使うメリット
多くの投資家は、ローソク足チャートと移動平均線を見ているので、移動平均線から株価が離れていくと、「そろそろ転換ではないか」と見始めます。多くの投資家がこの指標を見ているということは、それだけ信頼性が上がることになります。「株は美人投票」と言って、自分の好みに投資するのではなく、皆が選ぶものに投資するというセオリーがあるので、多くの人が見ているということはそれだけ信頼性が高まるわけです。
また、平均値からの株価の乖離という単純な指標であるため、複雑な計算は必要なく分かりやすいという特徴があります。
移動平均乖離率は、経験則上5%以上になると調整局面に入ると言われています。それが、10%になると「転換点」とされています。つまり、プラス方向であれば買われ過ぎ、マイナス方向であれば売られ過ぎと判断されるわけです。
なお、相場自体が上昇して、日経平均株価などの乖離率が上昇しているのに、相対的に乖離率が低めの会社は、株価が出遅れていると判断できるので、銘柄を探す手段としても活用できます。
移動平均乖離率を使うときに注意すべきこと
(1)価格と移動平均線が緩やかに並行して動く場合は使用できない
移動平均乖離率は、トレンドが明確なときには有効に働きますが、トレンド感のない値動きでは株価との差がでないので、あまり役に立たない傾向があります。したがって、そのような場合には、ほかの指標と併用しながら慎重に判断することが必要です。
(2)過去のチャートからその銘柄の傾向をチェックする
移動平均乖離率が大きくなると、調整局面に入るというのが一般論ですが、ベンチャー企業で急上昇を続けるなど、銘柄によっては、必ずしも当てはまらない場合があります。そのような場合には、過去のチャートと移動平均線との関係をしっかりと見極めることが大事です。
(3)株価が動く要因によっては、過去の経験則が当てはまらないことがある
決算の大幅な下方修正があったり、不祥事が発覚したりするなど、企業固有の事情によって株価が大きく動いた場合には、乖離率は意味をなさなくなります。通常の株変動のサイクルではなく、突発的な事象による価格の変動なので、経験則が効かないからです。したがって、乖離率で投資判断する場合には、当該企業に個別事情が無いかどうかを確認するようにしましょう。
以上のように、移動平均乖離率による投資判断は、場合によっては過去の経験則が当てはまらない場合があります。移動平均乖離率だけを過信するのではなく、あくまで参考にするというスタンスで挑むことが重要です。